自殺志願の神殺し(F)/生存欲の魔王(B)   作:天崎

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地に脈打つ流れ(L)/血に染まり倒れる者(B)

 

「グブッ………ガハァ…………ハァ…ハァ……ドゥルガーだと?また厄介な女神様が来たもんだ!!」

 

喰は突き刺さっていた槍を引き抜く。

傷口から多量の血が溢れるが、それを気にしている場合では無い。

口元の血を拭い、フラフラと立ち上がりドゥルガーを見る。

 

「喰、あんた立って大丈夫なの!?」

 

「ハァ……大丈夫に……ハァ……見えるか?」

 

現在進行形で赤い竜の再生力と四元素の火による生命力で傷の回復を速めてはいるがすぐに治る筈も無い。

 

「準備は良さそうですね。では、戦いを始めましょう!!」

 

「あぁ!!戦ってやるよ!!」

 

「ちょ、その体で戦える筈が………キャ!?」

 

ドゥルガーが向かって来た瞬間に喰は背後の半月を押し、距離を取らせる。

ドゥルガーは十の腕があり、各々に武器などを持つ。

 

「ハァァァァ!!」

 

「チッ、分が悪いねぇ」

 

“鬼切丸”を右手に持ち、左手には数本のナイフを召喚し、投げ付ける。

しかし、一本残らず三叉戟の一振りで弾かれる。

続けて槍を振り降ろして来る。

刀で受け取るが傷口から血が溢れ出す。

 

「ガッ……クソが…………」

 

「ふん!!」

 

そして、傷が痛み怯んだ所で手に持っていた雷によって貫かれる。

 

「ガァァァ!?」

 

攻撃を受け、隙が出来た直後に槍と三叉戟によって斬り飛ばされる。

更に円盤によって殴り飛ばされる。

 

「(さすが戦闘狂女神様と言った所か。この傷じゃ敵わねぇ………骸の奴もまだ目覚めねぇしな………手がねぇぞ)」

 

「だー!!もう!!だから言ったでしょうが!!」

 

半月が物陰から出てきて叫ぶ。

 

「(“場所”も“流れ”もちょうどいいわね)」

 

何かを確認するかの様に周囲を見渡してから、剣を地に突き刺す。

 

「地に流れし果てしなき力よ。我にその力を分けたまえ。我の傀儡にその力を注ぎ、その力を持って我が敵を祓え!!」

 

地面が線を書く様に光り、剣の刺さっている場所とドゥルガーの足元を繋ぐ。

 

「これは……地脈?」

 

「正解。さぁ、行きなさい私の傀儡鎧達!!」

 

ボコリ、と言う音と共にドゥルガーの周囲から西洋鎧らしき物が三体現れる。

その手には大剣を持ち、ドゥルガーへと斬り掛かる。

 

「こんな玩具で私をどうにか出来るとでも?」

 

「思っちゃいないわよ!!」

 

直後に半月は太股にセットしてある小銃を取り出し、鎧の隙間に向け、銃弾を放つ。

銃弾が鎧の中で跳弾し、火花が散る。

そして、火花が鎧の中の多量の火薬を着火させる。

 

「吹っ飛べ、戦闘狂」

 

激しい爆音が響き、ドゥルガーが爆炎に包まれる。

その間に喰を回収して木に持たれ掛からせる。

 

「お前………無茶するな……………」

 

「それは此方の台詞よ!!」

 

言い合いをしながら傷口を見る半月。

出血量と傷の深さに驚きつつも、具合を確認する。

 

「というか、さっきの魔術は何だよ?」

 

「私の呪力で地脈に干渉して、その力を多少借りながら傀儡を操っていただけよ」

 

「地脈ねぇ………」

 

「カンピオーネには何をどうした術が掛かるのよ」

 

「そりゃ経口接種、つまりは口移しで魔術を掛けるしか」

 

「それを早く言いなさいよ!!」

 

「は?って、ちょムグゥ!?」

 

口移しでしか魔術が効かないと言った直後に躊躇無くキスをされた。

 

「さすがに傷そのものを治すのは無理だから止血と痛みを和らげるのを掛けて置いたわ」

 

口を拭う様にしながら説明する半月。

対する喰は少々呆然としている。

 

「どうかした?」

 

「いや、魔術については礼を言うが、軽くキスしてくるなと思ってな」

 

「別にそこに抵抗は無いわよ。魔術を掛ける為だし……(それにあんた“達”はちょっと気にいってるし)」

 

「………?まぁお前がいいならいいんだ」

 

半月の最後の部分の呟きは喰には聞こえて無い様で、顔をそらし頬を掻く半月に首を傾げる。

半月の顔はよく見ると頬がほんのり紅くなっていた。

 

「戦いの場で何をしているのですか?」

 

爆炎を破る様にドゥルガーが姿を現す。

その体には傷の一つすらついていない。

 

「あの程度で私が傷を負うとでも?」

 

「思っちゃいないわよ」

 

「さて……」

 

「あんたは休んでろ」

 

「な!?」

 

喰が立ち上がろうとしたところを半月が止める。

 

「ただの人間がまつろわぬ神の相手は出来ねぇぞ?」

 

「大丈夫よ。そんなもんは分かっているから」

 

「なら……」

 

「いいから、あんたは黙ってみてなさい!!」

 

「っぐう!?」

 

傷口を思いっきり蹴られた。

激痛にのたうち回る喰を置いといて半月はドゥルガーの前に立つ。

 

「人間よ。私は神殺しと戦いたいのです。あなたには興味が無い。死にたくなければどきなさい?」

 

「そういうのはこれを見てからにしなさいよ!!」

 

叫び、剣で自分の周囲に円を書く。

 

「龍の如く地を流れる力よ。我は器なり。器を満たすべく、その力を我に注げ!!我は土地を守護する者なり。故にその力を我に貸し与えよ!!」

 

「これは…………」

 

半月の黒髪が光を放つ様な銀色となり、その瞳は碧眼へと変わる。

 

「(この力は昨日までなら理解出来ず使いこなせていなかった。でも、骸の話を聞いて力の正体を知った今なら出来る筈。地脈、龍脈に干渉して力を私の身に宿すこの術を使いこなせればそれりに戦える筈。何故ならこの術の正体は私の魂の半分である神の部分を触媒に私の身体を神に近い呪力で染める物だから!!院長の結界の中でならば“面倒事”は起きないでしょうし)」

 

「なるほど。確かにあなたでも私を少しは楽しませてくれるかもしれませんね。それに不可思議な力には興味がありますし、何より私が此処へ現れる時、悪魔の気配と一緒に感じた獲物の気配と同じなのだから!!」

 

「どういう意味かは知らないけど準備は出来たし始めましょう!!」

 

両手に剣を持ち、半月はドゥルガーへと向かっていく。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

(どういう状況だ、こりゃ?)

 

「骸、目覚めたか。見ての通り半月がまつろわぬ神と戦っている」

 

(キスの時から目覚めてるっての。それは置いといてよ。見れば分かるが、俺が聞きたいのは……)

 

「あいつからまつろわぬ神みたいな気配を感じる事だろ」

 

そう、現在の半月からはまつろわぬ神に近い気配が発せられていた。

おそらく自身の存在を神に近付けた事によって発生しているのだろう。

 

「言うなら、“疑似土地神”って感じか」

 

(それがマジならダリィにも程があるんだが)

 

「確かに笑えねぇが……“守る”には変わりねぇだろ?」

 

(まぁな。それよりも、半月は見た所は近接特化の対人必殺的な戦闘スタイルだ。あれ相手には分が悪いだろ)

 

「だから、そろそろ割り込む」

 

そして、“彼ら”が立ち上がろうとした時、右手に持っていた“鬼切丸”が脈打つ様な力の流れを感じる。

 

「そういや調子がおかしかったな、“鬼切丸”」

 

(俺らより持ち主に相応しい奴を見付けたんじゃねぇか?)

 

「それは傷付くな。まるで俺達にそいつの所へと運ばせたみたいで」

 

まるで肯定を示し、急かす様に“鬼切丸”の力の脈打ちが早くなる。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「タァァァァァ!!」

 

「ふむ。太刀筋もいいです。私の攻撃に対応するだけの反応速度もいいです」

 

半月は何とかドゥルガーの攻撃に対応していた。

槍も、三叉戟も、雷も、円盤も二刀を駆使して何とか受け、避け、返していた。

しかし、それは強化した身体能力でギリギリ補えているだけであり、ドゥルガーはまだまだ余裕と言った感じである。

対して半月は三分くらいしか経っていないのに息を切らしていた。

この身体強化は体力をかなり持っていく上に呪力の消費も速まる。

 

「しかし、私を満足させる程ではありませんね。そろそろ終わりとしましょう!!」

 

「なぁ!?」

 

ドゥルガーの槍での一撃を受けた途端に半月の剣が砕けたのだ。

考えて見れば当然である。

半月の剣はそこそこの業物とは言え、骸やドゥルガーの攻撃を受け続ければ耐え切れずに崩壊する。

 

「武器も失った様ですし、これでトドメ!!」

 

「っ!?」

 

剣が砕け、隙が出来た所に向かってドゥルガーが突きを放つ。

そこへ、

 

 

「半月に手を出してんじゃねぇよ!!」

 

 

血塗れの喰が割り込んでくるのだった。

槍を剣で受け止める。

そして、ドゥルガーを睨み付ける。

 

「さぁ、第二ラウンドと行こうぜ」

 

喰は刀をドゥルガーに突きつけながらも半月を守る様に立つのだった。

 

 





半月vsドゥルガーでした。
ほぼ戦って無い気もしますが。

半月の力については今後です。

半月は“キスは”別にそこまで気にするタイプでは無いです。
喰もその場で紅くなるタイプでは無いです。
骸は多少気にするタイプですが今回は直接では無いので。


それでは質問などがあれば聞いてください。
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