自殺志願の神殺し(F)/生存欲の魔王(B)   作:天崎

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星を落とす尾(T)/千切り舞う鮮血(B)

 

第二ラウンドを始めよう、そう言って割り込んだのはいいが力の差が埋まったわけでも、傷が治ったわけでも無い。

簡単に言えば押される一方である。

 

「ハァァァァァ!!」

 

「グボハァ!?」

 

ドゥルガーは二本の棒で喰を殴り飛ばし、矢で左肩を貫き右脇腹を抉る。

“鬼切丸”は既に弾かれ、離れた所に突き刺さっていた。

そして、トドメの如く燃える投げ槍が体を貫く。

 

「(ったく、笑えねぇぞ。マジで敵わねぇ………)」

 

(そろそろ変われ、俺がやる)

 

「(大丈夫なのか?)」

 

(まっ策はねぇがやり様はある)

 

「(まぁいい。確かに疲れたし任せた)」

 

喰の意識が奥に行き、骸の意識が前に出る。

一房の白髪が黒髪へと戻り人格が変わる。

そんな時に肩に蝶の様な物が止まる。

 

「なんだ……これ?」

 

首を傾げるが、それ所では無くなる。

 

「まだ息はありそうですね。ですが、まずは邪魔になりそうな貴女から殺るとしましょう!!」

 

「チッ、そうなるわけね!!」

 

身構える半月だが、彼女の剣は既に折れている。

ドゥルガーが攻撃を放てば成す術も無いだろう。

 

「さぁ、行きますよ」

 

ドゥルガーはインドラから授かりし雷を槍状にして構える。

それが放たれたら終わりである。

 

「(クソッ!!抜けねぇ!!)」

 

腹に刺さりし槍を抜こうとするが地面にも突き刺さっている槍は中々抜けない。

 

「ん?」

 

そんな時に“鬼切丸”の纏う呪力が半月の方を向いているのに気付く。

そして、それが何を意味するか感付く。

 

「いいぜ、“鬼切丸”!!汝の望む主の元へと行け!!」

 

骸が言霊を唱える。

同時に“糸”を通して呪力を送る。

変化はすぐに起きる。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

ドゥルガーの手から雷槍が放たれようとした瞬間、半月の前に“鬼切丸”が現れる。

 

「これは………あいつらの刀?」

 

答える様に“鬼切丸”の纏う呪力が震える。

 

「私に使われたいわけ?」

 

肯定する様に呪力を放つ。

それを気に入った様に半月は口元を歪ませる。

 

「よし!!それなら行きましょうか………“鬼切丸”だっけ?」

 

半月は“鬼切丸”を掴むと、ドゥルガーの手から放たれた雷槍を斬りつけ、軌道をズラす。

“疑似土地神化”はまだ続いている。

とはいえ、完全に無傷とはいかずに掌は焦げる様な火傷を負っている。

 

「ったく、無茶やるな………」

 

「あんたこそ、その出血で大丈夫なわけ?」

 

「大丈夫なわけがねぇだろ………ダリィ事に立ってるのがやっとだ」

 

「あなた達は二人とも面白いですね!!さぁ、速く続きをやりましょう!!」

 

「慌てなくても大丈夫だっての。とりあえず燃えとけ」

 

「ぬぐぅ!?」

 

突如としてドゥルガーの体が炎上を始める。

 

「何が起こって……ガァァ!?」

 

「俺の四元素の火は俺の血を種火に変える。お前はどれだけ返り血を浴びた?」

 

例え離れていようと“彼ら”の血であれば、種火として使えるのだ。

 

「さて、後は打ち合わせ通りでいいんだな?」

 

『はい。発動後の事は御身に任せます』

 

「その声……院長!?」

 

骸の肩に止まる蝶。

そこから院長の声が聞こえたのだ。

 

『えぇ、子供たちの避難を優先していた為にこの様な方法でしかお助け出来なくて心苦しいあまりです』

 

「気にすんな。むしろ呼び込んだのは俺だろうからな」

 

話しながら骸はドゥルガーを中心に五本のナイフを地に刺す。

それを見て、半月は何をするか察する。

 

「それなら、あんたはもう二歩右に行きなさい」

 

「何の話だ?」

 

「いいから!!」

 

「分かったよ」

 

渋々と言った感じで骸は二歩右に動く。

 

「(ここは五行でいいな)火を司りし朱雀よ。金を司りし白虎よ。水を司りし玄武よ。木を司りし青龍よ。土を司りし黄龍よ」

 

骸が言霊を唱え始めると、ナイフから各々別の色の光が放たれる。

そして、各々を結ぶ様に地に魔法陣が浮き上がる。

五亡星を円で囲む様な陣が出来る。

 

「汝らの力を持って我が敵を押さえよ!!我、五行の属性を掲げたり。五行よ、繋ぎ弾き相乗せよ。そして、我が敵を滅せよ!!」

 

「この程度で私がどうにか出来るとでも!!」

 

四元素の火に体を包まれ、五行の陣によって力を削がれる。

しかし、そんな物はまつろわぬ神にとって微々たる物でしか無い。

 

「一つならそうだろうな。じゃあ重ねたらどうだと思う?」

 

「な!?」

 

五亡星の中心に新たなる五亡星が描かれる。

それで終わらず次々と小さな五行の陣が現れる。

 

「(あれ?教会を囲む結界とリンクさせてるとはいえ、ここまでの規模にするつもりは無かったが………)」

 

想定以上に発動している陣に首を傾げる。

そこで半月が自分に動く様に指示したのを思い出す。

 

「なるほど……地脈ね」

 

「だが、まだだぁぁ!!私はこの程度じゃ!!」

 

「うるさいのよ!!」

 

叫ぶドゥルガーに向かって、半月が砕けた剣の破片を投げ付ける。

当然弾かれるが、そこで隙が出来る。

 

「我は力を欲する!!天の星を履き寄せ、地に落とす尾よ!!我が元に来たれ!!」

 

全身に激痛が走った上に既存の傷の痛みも増す。

それを代価に龍の尾を顕現させる。

 

「龍の尾如きで私が!!」

 

「なら、特大のこいつならどうだ?」

 

「っ!?」

 

ドゥルガーが空を見上げると、天から巨大な塊がドゥルガーへと向けて降り注いだ。

 

「ぐっ………ガァアァァァァァァァ!?」

 

「赤い竜の尾は天の星を落とすんだよ」

 

実際はそれらしき力の塊なのだが。

多重式五行の陣により、衝撃は陣の中だけに収まり、ドゥルガーは地底深くまで沈んで行った。

陣のあった場所には深い深い穴があるだけだ。

とはいえ、これで倒したとは思えない。

 

「あと二、三撃って所だが…………体が駄目か……………」

 

全身から血を溢れさせ、骸がフラリと倒れかける。

 

「やっぱり無茶してんじゃない」

 

「悪い……」

 

半月に支えられ、倒れずに済む。

 

「何か回復とかの権能は無いの?」

 

「あるにはあるんだが…………」

 

「なら、使いなさいよ。このままだと失血死するわよ?」

 

「いや……その為には血が必要でな…………」

 

「輸血パックが全滅してるから使えないと………仕方ないわね」

 

何かを決めた様な表情をすると、いきなり修道服をいじり始める。

 

「ちょ!?おい、何してんだ!?」

 

「何って……血を吸いやすいように首元出してあげてるんじゃない」

 

「は?」

 

「私の血を吸えって事よ!!それくらい察しなさいよ!!」

 

「いや、それはさすがにな………」

 

修道服の構造上、少々上半身が露になった状態で待機されているのもあるのだが、吸血の意味合いを考えて骸は躊躇する。

吸血鬼にとって吸血は性交を意味する。

だからこそやりにくいのだ。

 

(玉依姫の時は躊躇無かったじゃねぇか)

 

「(あれは別だ)」

 

「ちょっと速くしなさいよ!!あいつが戻ってくるでしょうが!!」

 

「いや、そのな………吸血の意味合い分かってるのか?」

 

「何?そんな事気にしてるの?(まっそれはそれでいいんだけど)」

 

半月は少し考えると、悪戯を思い付いた様な顔をする。

 

「じゃあ、こうしましょう。あんた達は私を守るんだったわね」

 

「そうだが。どうして今聞く?」

 

「なら、私はあんた達に血を捧げるから、命を掛けて私を守ってくれる?」

 

「どういう意味だ?」

 

「血の“契約”って物よ」

 

ようは口実である。

こういう理由があれば面倒な意味合いとかは気にしなくていいだろう。

 

「“契約”ねぇ。まぁ確かにダリィ事に“契約”は破れねぇからな………しょうがねぇ」

 

骸は覚悟を決める。

 

「覚悟はいいな?」

 

「何時でもどうぞ」

 

「じゃあ、行くぜ」

 

骸は半月の肩に手を置くと、ゆっくりと顔をさらけ出されている首元へと近付ける。

きっと、お互い顔は紅くなっているだろう。

 

「アァ………ハァ!?」

 

半月が何かを感じるかの様に体を震わせるが、骸はしっかりと掴んで離さない。

二人は吸血の間に何か繋がりの様な物を感じるのだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「グルガァァァァァ!!」

 

絶叫を上げながらドゥルガーは穴から飛び出してくる。

どう見ても怒り狂っている。

 

「もう遊びはお仕舞いよ。一切の容赦も無く肉塊に変えて上げる!!」

 

「そっちも準備はいい様だな。こっちも迎え撃つ準備は出来ているんだよ!!」

 

骸の瞳は赤くなり、髪は完全に白一色であった。

手の横には顕現させた龍の爪と先程出した龍の尾が顕現している。

傷は塞がっている。

横には半月が立っている。

多少貧血気味でフラフラしてはいるが何とか立っている。

骸がドゥルガーへと飛び掛かろうとする前に半月は骸の頬へとキスをした。

 

「んな!?」

 

「縁起付けよ。血を捧げてあげたんだからキチンと勝って私を守りなさいよ」

 

「了解!!」

 

互いに頬を赤めながら言い合う。

それを合図として、骸はドゥルガーへと飛び掛かる。

ドゥルガーの放つ矢を爪で弾き、炎を纏う投げ槍を尾で弾き、そのまま爪で斬り掛かる。

 

「容赦しないと言っただろう?」

 

「ぐふっ!?」

 

すれ違い様に横一閃斬られた。

しかし、それは此方も同じである。

龍の爪はドゥルガーの脇腹を抉り抜いていた。

そして、振り返り際に爪で腹を突くが、逆に右肩と鳩尾を鉄棒で突かれ、吹っ飛ぶ。

ドゥルガーはトドメを刺す為に落下地点へと突進していく。

 

「ダァァァァァァァァ!!」

 

「………まれしその頭よ、我の前に顕現せよ!!その顎を振るい暴れろ!!王を喰らえ!!聖人をも打ち倒せ!!」

 

言霊が唱えられた直後に土煙の中から龍の頭部が現れる。

そして、突進して来ていたドゥルガーの左半身を喰らう。

 

「ゴバァァァ!?」

 

土煙の奥では左目を空洞した骸が倒れている。

龍の頭でドゥルガーを攻撃するが、右半身だけで全ての攻撃を受け止められる。

 

「ダリィな。さすがは戦闘狂の女神と言った所か。だが、その体でもう一頭追加されたらどうだ?」

 

言った直後に左耳を斬り落とし、代価として差し出す。

黒い靄の様な物が斬り落とされた左耳を喰らい、形を変えていく。

そして、もう一つ龍の頭が現れる。

 

「なぁ!?」

 

「知らなかったか?赤い竜の首は七つあるんだぜ?」

 

その時には左目は回復していた。

半月程の血の質ならば、再生速度をここまで上げる事が出来るのだ。

二つの龍の頭はドゥルガーへと連携して攻撃していく。

そして、ついに捉える。

 

「ゴブッ、フグァ!?」

 

数回の突撃で片方の龍頭の突進で龍の角がドゥルガーの腕を一本斬り落とす。

そして、その隙にもう一体が下半身を喰らったのだ。

 

「終わりだな、ドゥルガー」

 

「中々楽しめましたよ!!また機会があれば戦いたいぐr

 

ドゥルガーが言い切る前にもう片方の龍がドゥルガーの上半身を喰い潰した。

そして上半身と下半身を引き千切る様に交差し、鮮血が舞う。

龍の顎からは血が垂れ、元より紅いその身を更に真紅へと染めていくのだった。

 

 





ドゥルガー戦終了です!!

赤い竜の部位は一度消えても代価をもう一度払えば完全な状態で出てきます。
とはいえ、身を削る系の代価を必要とする物はそこらへんが面倒ですが。
そこで吸血鬼の権能による高速再生ですが。
出してる部位と同じ部位は召喚出来ませんが頭だけは七つあるので代価次第で追加出来ます。


それでは質問などがあれば聞いてください。
感想待ってます。
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