自殺志願の神殺し(F)/生存欲の魔王(B)   作:天崎

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新章です。
五巻の少し前辺りの時系列です。
護堂達とも関わります。




再び出会いし者達(R)/合わない歯車(G)

 

草薙護堂は教室にいた。

城楠学園一年五組。

現在はホームルームの始まる十分前という所である。

リリアナ・クラニチャールが転校して来て少し経ったある日の事だ。

クラスの連中が隣のクラス、万里谷裕理の所属する一年六組に転校生が来ると聞き、更にその生徒が女と聞き、特に男が謎の盛り上がりをしている中の事だった。

謎の盛り上がりの三割ほどは、[また護堂関連じゃないよな]と言う内容でもあるのだが、護堂は全く気付いてない。

護堂はエリカ、リリアナと話していると、窓の方から物音がした。

何となくそちらを見る。

 

「な!?」

 

そこには見覚えのある人物がいた。

その人物は、上月 骸。

数ヵ月前に護堂が戦った“八人目”のカンピオーネだ。

その存在はいまだに隠されているらしい。

少なくとも“八人目”誕生が確認されたという類いの話はエリカ達から聞いてない。

護堂達も“彼ら”の事は誰にも話していない。

数ヵ月前の戦いも正史編纂委員会も神獣という事で片付けていた。

その骸が何故ここにいる?

しかも、位置的に外から開いていた窓に飛び乗った感じである。

クラスの連中はまだ気付いてない。

護堂が何かを言う前に骸が口を開く。

 

「よぉ、同類。久しぶっ!?」

 

が、言い切る前に廊下側から何かが投げ付けられ、落下していった。

 

「何しに来たんだ、あいつ?」

 

「さぁ?私に聞かれても分からないとしか言い様が無いわね」

 

「そもそも、あの男は何者ですか?」

 

護堂の呟きにエリカは肩をすくめる。

リリアナには説明が必要だな、と思った時にはホームルームが始まろうとしていた。

ちなみに、骸の存在はクラスの連中は一人も気付いていなかった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

そして、昼休み。

何時もの様に護堂、エリカ、万里谷、リリアナ、静花のメンバーで昼飯を食べている。

そこへ、“あいつら”は現れる。

 

「よぉ、同類。さっきは中途半端になったが久しぶりだな」

 

骸は上から飛び降りて来たかの様に護堂達の前に着地した。

ここは屋上だと言うのに、この無茶苦茶加減である。

だが、問題はそこでは無い。

静花を含めた屋上にいた生徒の瞳から光が失われていた。

エリカ、リリアナ、万里谷は影響を受けて無い様だ。

 

「…………何をした?」

 

「騒がれてもダリィから術で意識を封じてるだけだ。解けば元に戻る。だから、そんな怖い顔するなって今日は戦うつもりはねぇよ。俺も、喰も」

 

どうやら無意識に戦闘体勢に入っていたらしい。

言われて力を抜く。

それでも骸が何かをしたら取り押さえるくらいは出来る程度ではあるが。

 

「しかし、また女が増えたのか。この女たらしが」

 

「誰が女たらしだ。誰が」

 

「お前だよ」

 

悲しい事に否定する様な事をエリカ達は言ってくれない。

骸は欠伸をしながら座る。

何となく殺気を向けられてる気がするのだがそれは気にしない。

 

「いちゃいちゃを邪魔されたからって怒るなって」

 

「あら、私は別に邪魔をされたからと言って怒りはしないわよ?」

 

万里谷とリリアナが何やらごにょごにょ言ってる間にエリカが言ってくる。

 

「というか、戦う気が無いなら何の用だよ?」

 

「ちょっと様子見にな。ついでにお前らも見ておこうと思って来ただけだ」

 

適当な調子で答える。

 

「まっ変わり無い様で何よがっ!?」

 

「何してんのよ、あんたは………」

 

突如として骸は悲鳴を上げ、前向きに倒れると後頭部を誰かに踏まれる。

骸を踏んでいたのは黒髪長髪の女子であった。

 

「神宮さん!?何故此処に!?」

 

「何故って、こいつが何かやって無いか見に来ただけよ?」

 

女子は現在進行形で踏んでいる骸を指差しながら言う。

 

「万里谷、知り合いなのか?」

 

「知り合いと言うか……今日転校してきた、神宮 半月さんです」

 

まさかの転校生であった。

それよりも問題なのは骸と知り合いっぽい所である。

骸の知り合いと言う事はやはり魔術関連なのだろうか?

 

「あぁ、あんたが日本のカンピオーネ様ですね。名は万里谷さんの言った通りです。好きに御呼びください」

 

骸を踏みながら崩れた敬語で話してくる。

 

「……って言っても敬語は面倒だし、タメ口でいい?」

 

「あぁ、別にいいけど」

 

「それより足をどけてくれねぇか?」

 

そこでようやく骸が口を開いた。

 

「駄目よ。そもそもあんたは私の転校初日なのに何を問題行動しているのかな?」

 

「別にお前に関係は………」

 

「あるわよ!!転校初日に変な事件あったら、私の関連を疑われるでしょうが!!私がフォローに苦労するにも限界があるし!!」

 

「はいはい、悪かったよ!!とにかく足をどけてくれ!!」

 

「ったく、しょうがないわね」

 

ようやく半月は足をどける。

 

「つーか、あんたは何て格好してんのよ」

 

「別に何時も通りだろ」

 

今の骸の格好はボサボサの伸びっぱなしの黒髪を適当に後ろで纏め、白い半袖Tシャツに黒いズボンである。

髪は前に護堂と会った時より長くなっている。

髭は剃ってあるが胡散臭い格好ではある。

護堂達を放っておいて言い合うが昼休みの終わる五分前になって止まる。

 

「さて、用は済んだし俺は帰るか。あぁ、そうだ。来週俺も転入するから。じゃあな」

 

「はぁ!?」

 

適当に言い残して骸は去っていった。

よく分からんが嵐が過ぎ去っていった。

同時に静花達も目を覚ます。

あの言葉は本当だった。

 

「それじゃ私も教室に戻るわ~」

 

背を向け、適当に手をヒラヒラと振りながら半月も教室へと歩いていった。

結局彼女が何者かも聞けなかった。

何の為に現れたかいまいち把握出来ないまま、護堂達は首を傾げるのだった。

とはいえ、転入してくるというのならその内分かるだろう。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「ったく、ダリィな。本当に俺も転入する必要あるのか?」

 

骸は住処としている廃墟にて一人呟く。

正確には“一人”では無いが。

 

(当たり前だ。ここらで一般常識でも学んどけ)

 

「おいおい、常識くらい知ってるぞ」

 

(知ってるなら窓に外から飛び乗ったり、屋上に着地したりしねぇよ)

 

新調したソファーの上に寝転がりながら喰と話す。

骸は日本で暮らすにあたって、護堂達の近くで暮らす事を選んだ。

思惑としては面倒事に巻き込みやすいと言った感じである。

住処は半月とは別である。

半月は院長の知り合いが近くの教会にいるらしく、そこに居候しているらしい。

半月を高校に入れるのは院長に言われた事であった。

骸はこの廃墟を周辺の土地ごと買い取って住処としていた。

廃墟とはいえ、まだ住めるので利用していた。

四階有り、それなりに広い。

ただし、四階部分は半壊しているが。

家具は全て新調してある。

電気ガスなども通じている。

 

「しかし、これから先どうするかね」

 

(半月を守るんだろ?)

 

「だから、守りやすい土地に来たが………逆に特にする事がねぇな………まぁいい寝るか」

 

(寝るくらいなら体を貸せ!!)

 

「ガッ!?」

 

骸は精神的な意味で殴られて、喰に体を奪われる。

髪が一房白くなる。

 

「ったく、笑えねぇ。骸の奴……やっと自殺願望が薄れたと思ったら、今度は無気力になりやがって…………やっと馨から解放されたって言うのによ!!」

 

引っ越し自体は八月中旬に終わっていた。

しかし、そこからは沙耶宮 馨に振り回されていた。

と言うか、仕事を押し付けられていた。

彼女とした“契約”__正体を広めない代わりに仕事を請け負う。

その“契約”のおかげで引っ越しの手引きや転入の為のあれこれ等の恩恵を受けれるのだが、存在を知られていないカンピオーネと言う使い勝手のいい人材を利用しない手は無い。

つまりは見返りとしてかなり面倒な仕事を押し付けられるのである。

それらも一段落して転入と言う感じなのである。

喰としては解放されたからには転入するまでの一週間を楽しみたいのである。

 

「さて、まずは街を把握するか」

 

そんな事を考えていると、携帯が鳴る。

そして画面を見て思いっきり嫌な顔をする。

とはいえ、仕方無いので出る。

 

「何の用だ?」

 

『いきなりかい』

 

「どうせ面倒事か何かだろ?」

 

『いや、今回は一つ知らせておきたい事があってね』

 

何時もと違うノリでとりあえず話を聞く事にした。

一通り聞き終えると電話を切る。

そして、盛大にため息を吐く。

 

「やっぱり面倒ごとじゃねぇか!!」

 

内容的には直接は関係無かった。

しかし、何か巻き込まれそうな予感がするのだった。

 

 





転入編でした!!
ここからは護堂達にも絡んでいきます。

馨とは協力関係ではあります。
損得勘定が基本な関係でもあります。
貸し借りで動く関係とも言います。


それでは質問などがあれば聞いてください。
感想待ってます。
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