魔法科高校ヒロインを救うのはお兄様でも魔法でも無くギャルゲーマーだった件   作:ローファイト

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エリカ編②

翌日の午後の休憩時間。

 

「ウイードがボッとしてるんじゃない。邪魔だ」

 

桂馬はゲームをしながら廊下を歩いていたのだが、一科生の生徒と軽く接触してしまった。

桂馬は反射的にゲーム画面を見ながら、頭を軽く下げたのだが、一科生の生徒は何か気にくわなかったようで桂馬を壁に突き飛ばしたのだ

 

桂馬は黙って立ち上がり、ゲームの携帯端末が無事なのに、ホッとし、ゲーム画面を見ながら頭を下げ、その場を立ち去ろうとする。

 

「ちっ、負け犬のウイードめ、目障りなんだよ。補欠が」

その一科生は桂馬の後ろ姿に悪態を付き、立ち去った。

 

だが、桂馬は後ろから肩を捕まれる。

桂馬はさっきの一科生がまだ何か文句でもあるのかと思い、振り返りかえる。

「僕は頭を下げたはずだけど?何か用?」

 

しかし、振り返った先には、さっきの一科生の男子生徒ではなく、明らかに不機嫌な顔をした赤髪の美少女が立っていた。

「あんた!あんな事を言われて悔しくないの!少しは言い返しなさいよ!」

 

桂馬はその美少女を見て、一瞬目を大きく見開いた。

千葉エリカだったのだ。

 

「別に悔しくはない。用事がそれだけだったら、僕は忙しい」

そう言ってその場を立ち去ろうとする桂馬。

 

「そんな風だから、あいつ等がつけ上がるのよ!」

 

「僕には関係ない」

 

「関係ないですって!……あんた、確か同じクラスの桂木桂馬よね。実習をすべてサボってたわよね」

エリカは桂馬が手に持っていた携帯端末を取り上げる。

 

「うわっ!何をする!返せ!」

 

「ようやく、私の顔を見て話したわね。 次の実習の授業受けなさい。それまでこれは預かっておくわ」

 

「横暴だ!返せ!」

 

「ふふっ、返してほしかったら、次の実習出なさい!」

エリカは悪戯っぽい笑顔を桂馬に向けていた。

 

 

 

千葉エリカに一方的に携帯端末を奪われた桂馬だが、次の実習をサボり、屋上でゲームに興じる。

桂馬は複数携帯端末を常に所持しているのだ。

一つや二つ奪われたところで動じない。

 

「神様!あの子を落としてくれる気になってくれたんですか!!」

エルシィが嬉しそうに桂馬に話しかける。

 

「……成り行きだ。ゲームが存在する限り、僕はまだ死ねない。それに僕が千葉エリカと直接対決しなくてもいいルートを見つけたからな」

 

「神様!」

 

「ところで、お前、その制服はなんだ?」

第一高校の制服姿のエルシィに尋ねる。

 

「えへへへへっ、この制服可愛いじゃないですか。着てみたかったんですよ。それにもし見つかっても、制服姿だったら、生徒と間違えられて大丈夫ですよ」

 

「この制服、どこかの宇宙軍の制服のコスプレ見たいだぞ……しかし、いつの間にそんなものを用意した?」

 

「ふふっ、羽衣をこうやってこうやって、はい!」

エルシィは自分の羽衣千切ってを粘土の様にこねくり回すと、第一高校の制服が出来上がった。

 

「……魔法じゃない……どういう仕組みだ。まあいい」

 

「服だけじゃないですよ。あまり大きなものは作れませんけど、いろんなものに変化できるんです」

 

「……他に何が出来る?」

 

「えーっと、掃除と料理が得意です!」

 

「そう言う事を言ってるんじゃない!お前は駆け魂を捕まえに来たんだろ!?僕は役に立ちそうな術とか無いのかと聞いているんだ!」

 

「はぅ、空を飛べます」

 

「ふむ」

 

「羽衣を変化させる事ができます」

 

「ふむ」

 

「………」

 

「ふむ、それだけか?」

 

「すみませんすみません。私落ちこぼれで……戦ったり、魔法とか全然できません」

エルシィは半泣きしながら頭をひたすら下げる。

 

「……本当に悪魔か?まあいい、そもそもお前に期待していない」

 

「酷いです~神様~」

 

「はぁ、羽衣を変化させるとはどの程度のレベルまで可能なんだ?」

 

「あんまり大きなものはダメです。荷馬車ぐらいの大きさだったら」

 

「ふむ、意外と使えそうだな」

 

 

 

屋上の扉が勢いよく開く大きな音が響く。

 

「桂木桂馬!!ここに居るのは分かってるのよ!!なぜ実習に出ない!!」

千葉エリカの声が徐々に近づいてくる。桂馬たちの方に向かってくるのが分かる。

エルシィはこそこそと隠れ出す。

桂馬はベンチに座り、堂々と携帯端末でゲームをしていた。

 

「居た!桂木!なんで実習に来ない!この携帯端末がどうなってもいいの!?」

 

「僕は実習に行くだけ無駄だ。どうせ後でそれ、返してくれるんだろ?」

 

「ちっ!いいから来なさい!!」

エリカは桂馬の首根っこ掴み引きずりだした。

 

「わわわっ!何をする!!」

 

「その負け犬根性叩きなおしてやるわ!!」

 

桂馬はこの後の体育の実習授業、千葉エリカにしごかれる事になった。

 

 

 

 

 

 

翌日の昼休みの屋上では……

 

「神様~、大丈夫ですか?」

制服姿のエルシィは、ベンチの上でぐったりしてる桂馬に話しかける。

 

「千葉エリカめ!腕立て伏せ200回、懸垂100回、腹筋100回、スクワット100回って、できる訳ないだろ!!」

桂馬は昨日の体育の実習授業でエリカにしごかれ、体中筋肉痛でまともに体を動かす事が出来なかった。

特に腕を徹底的にしごかれ、手がしびれて携帯端末さえ、まともに持てない状況だ。

桂馬がゲームをしていない風景は珍しい。

 

「神様、運動不足そうだから、たまには体を動かすのもいいんじゃないですか?でも、神様投げ出さずにやってましたよね。全然出来てませんけど」

 

「見ていたのなら助けろ!!僕はインドア派なんだよ!!」

 

「でも~、千葉エリカさん、どこか楽し気でしたよ」

 

「まあいい、攻略は順調だ。何故だか向こうから接してきてくれた。これはラッキーだったな。しかもこの流れは、直接対決とはならないルートだ。千葉エリカは実は面倒見がいい姉御肌だ。しかも超が付く負けず嫌いのようだ。しかも体育会系脳筋。このまま千葉エリカの好感度ポイントを稼ぐ」

桂馬はプルプルしてる腕をベンチの背もたれにかけ、起き上がろうとする。

 

「頑張ってください神様!」

 

「お前も何かしろ!この役立たず!!」

 

「ふぇーん。酷いです神様~」

 

 

 

「桂木桂馬!!うふふふふっ!さあ、行くわよ。今日も徹底的にしごいてあげる」

そこで、またバンという大きな音共に屋上の扉が開き、エリカが現れる。

 

「まて!!千葉エリカ!次は自習時間じゃないのか?」

 

「屋外訓練所の使用許可は取ったわよ。あんたのその根性を叩きなおしてあげるわ」

 

「魔法の訓練じゃないのか!?なぜ筋トレを!?」

 

「魔法を扱うにもまずは体を鍛えることからよ。あんたはもやしだから、魔法がまともに扱えないのよ。ごちゃごちゃ言わずに来る!」

 

「やめーー、横暴だーー!」

桂馬の抵抗もむなしく、エリカは桂馬の首根っこを掴み待たしても引きずって行く。

 

 

 

 

 

それから一週間が経った昼休みの屋上……

 

「か、神様?だ、大丈夫ですか?」

げっそりし、ベンチに横たわってる桂馬にエルシィは声を掛ける。

 

「……こ、殺される。このままだと首輪で首が飛ぶ前に、僕は千葉エリカに殺されてしまう」

桂馬は明らかに死相が顔に浮かび上がっていた。

桂馬は毎日の様に千葉エリカからしごきとも思えるような筋トレなどの訓練をさせられていたのだ。

 

「神様~、しっかりしてください!でも千葉エリカさんの好感度は確実に上がってますよ!」

 

「ルートはあってるはずだ。だが、決定打に欠ける。このままでは、友人関係だけで終了だ……何かが足りない」

桂馬は空を見上げながら思考にふける。

 

 

「桂馬!!来なさい!!今日もしごいてやるわ!!」

何時の様に扉が大きな音と共に開け開かれ、エリカがやってくる。

エルシィはいつもの様に隠れる。

 

「うわっ!出た!」

 

「出たって何よ!人をお化けみたいに!さあ行くわよ」

桂馬はエリカに首根っこを掴まれ、引きずられて行く。

 

「ぎゃー!人としての権利を主張する!」

 

 

 

その日の午後からの5時限目

 

桂馬はエリカに筋トレを課せられ、グラウンドの横に屍の様に倒れていた。

男子は体育はサッカーで、女子は隣のコートでクラウド・ボールという、魔法でテニスのような競技を行う球技を行っていた。

 

エリカは桂馬がへばった後に、女子コートに戻って行った。

 

 

「よお、桂木。お前も大変な奴に目を付けられたな」

グランドの端で転がってる桂馬に声を掛けたのは、いかにも体育会系の体つきをしてるイケメン、同じクラスの西城レオンハルトだった。

エリカの友人の一人だ。

 

「……」

 

「まあ、お前もよく、エリカの奴について行ってるよな。普通逃げだすぞ」

 

「……僕も逃げれるものなら逃げたい」

桂馬はうつ伏せのまま答える。

 

「そうか?お前、逃げれるのにあいつに付き合ってやってるように見えるぞ」

 

「ふん。そう見えるのなら西城、お前の目がおかしい。僕を軽々と片手で引きずって行けるような女だぞ。僕が逃げられるわけが無い」

 

「あはははははっ、そうだな」

西城レオンハルト、友人からはレオと呼ばれる彼は、爽やかな笑顔を見せる。

 

「……西城、千葉は何故あんなに必死なんだ?僕なんか、放っておけばいいのに」

桂馬は仰向けになり、レオに質問する。

 

「お節介焼きなんだよ。彼奴は。しかも負けず嫌いだ。大方、一科生の連中に目の敵にされてるお前をどうにかしたいと思ったんだろ。それに実習にも出ず、今の状況に甘んじてるお前にも腹が立ったんだろーぜ」

 

「僕が一科生の連中に目の敵にされてる?初耳だ」

 

「おい、自覚が無かったのかよ」

レオは目を丸くしてから、呆れた様な表情をしていた。

 

「リアルに興味は無い!」

 

「あはははははっ!一科生の連中は空回りだったってわけか!お前、変わった奴だな。気に入った。俺の事はレオでいいぜ。よろしくな桂馬!」

レオは豪快に笑った後、桂馬から離れ、サッカーの練習に戻って行く。

 

「ったくなんなんだ?……しかし、西城からは千葉エリカについて新たな情報はえられなかったか、負けず嫌いに面倒見がいい、それだけではない気がするが……」

 

その頃、隣のコートでは、クラウド・ボールでエリカが二科生2クラスの勝ち抜き戦で一位になっていた。

 

 

 

 

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