魔法科高校ヒロインを救うのはお兄様でも魔法でも無くギャルゲーマーだった件   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。

繋ぎ要素回


妹ができました。

「今日転校してきました桂木エルシィです!そこの桂馬にーさまの妹です!よろしくお願いします!」

 

国立魔法大学付属第一高校1年E組。1学期最後の登校日。明日から夏休みという今日この日に、転校生がやって来たのだ。

 

桂馬は何時ものように自席で携帯端末のゲームに集中していたのだが、この時ばかりは携帯端末を取り落としそうになった。

 

「おい!そんな設定知らないぞ!!」

桂馬は思わず叫ぶ。

それもそのはず、桂馬はエルシィが転校してくることも、妹を名乗る事も全く知らなかったからだ。

 

そんな桂馬の叫びなど気にせず。

エルシィは席を与えられ、クラスメイトから歓迎される。

 

朝のホームルーム後の休憩時間にエルシィは、クラスメイトの女子に囲まれ質問攻めに遇う。

「前はどこの学校だったの?」

「新地獄学校です」

「シンジゴク学校?聞いた事ないわ」

エルシィは偽装する気が全く無いのか、正直に答えていた。

 

「あのオタクの桂木の妹って、……双子なの?全然似てないから、双子に見えないけど」

「はい、双子じゃないです」

「司波君の所の兄妹と同じで年子いうことかな?」

「いえ、にーさまとはお母様が違うんです。腹違いの妹なんです~」

「そ、そうなんだ」

そんな重い話を満面の笑顔で答えるエルシィに、クラスメイトは若干引いていた。

そんなエルシィを、桂馬は自席から睨みつけ(よけいな設定を足すな!!)と心の中で叫んでいた。

 

「また中途半端な時期に編入はなんでなの?」

「今迄、兄さまと離れて生活してたんですけど、やっと一緒に住めるようになったんです」

またしても、エルシィは重苦しい話を満面の笑みで話す。

 

桂馬は我慢しきれなくなり、エルシィを教室の外に連れ出す。

「ちょっと来い」

 

 

「なんですか?神にーさま?」

 

「……どこから突っ込んだらいいのか、一つ一つ聞くぞ」

 

 

「はい?」

エルシィは疑問顔をしていた。

 

「なんで!この学校に編入してきた!いや、どうやって編入できた!普通の高校に比べてセキュリティが高い魔法科高校だぞ!家族構成から何から何まで調べられるはずだ!お前のような住居不特定な悪魔が入れるはずが無い!しかも、魔法実地試験やペーパーテストもあるはずだぞ!お前みたいなアホ悪魔が編入試験に受かるわけが無い!」

 

「神にーさま、酷いです!確かに新地獄学校では落ちこぼれでしたけど………」

エルシィは新地獄学校では、超が付く落ちこぼれだったため、卒業後300年間も掃除係を命じられていたのだ。

 

「そんな事はどうでもいい!どうやって編入できた!!」

 

「駆け魂を捕まえるために、神にーさまといつも近くに居たほうがいいじゃないですか」

 

「そんな事を聞いてるんじゃない!編入だ。編入!どうやってこの学校の生徒になれたんだと聞いてるんだ!」

 

「えーっと。わからないです~、上司のドクロウ室長にお願いしたら、やってくれました!はい!」

エルシィは、堂々とわからないと答えた後、第一高校の生徒全員に配られる生徒手帳や連絡事項が掲載される小型情報端末を桂馬に見せつける。

 

「……偽物じゃない。本物だ」

その小型情報端末を手に取り、エルシィの生徒証明ページを開く、そこにはエルシィの偽りの経歴が掲載されていたが、端末自体は本物だった。

桂馬は、エルシィの上司にお願いしてもらったという言葉で、ある仮説を立てた。

駆け魂攻略中の対象者の記憶は桂馬と接触した部分だけ、きれいさっぱりなくなるか、都合のいい記憶とすり替わっていたのだ。

しかも、それに関連した人間関係すらリセットさせてしまう程完璧なものだった。

それが、地獄の力らしい事はエルシィに何となく聞いていた。

ならば、エルシィが編入できるように色々と改ざんできるのではないかという考えに至っていた。

実際に、地獄の魔術で、攻略中の対象者と関連者の記憶を改ざんさせていたのだ。

今回のエルシィの編入の件も上司であるドクロウ・スカールが改ざん許可をだし、地獄のとある機関が魔術で改ざんした結果だった。

 

「他の人間は騙せたとしても、僕は騙されないぞ!僕には妹は居ないし、必要ない!そこは変えようがない!」

 

「えー、いいじゃないですか神様。可愛い妹が出来るんですよ」

 

「ふん。何が妹だ。上辺だけの妹など要らん!」

 

「私だって妹です~、地獄にはちゃんとお姉ちゃんがいたんですから」

 

「お前が妹だと!?ふん、このなんちゃって悪魔!妹の何たるかもわからずに、妹を名乗るなどクソゲーしか生み出さないゲーム制作会社以下だ!!」

 

「え~!?」

 

「いいかエルシィ、妹とは、兄を尊敬し敬い、兄を陰ながら支え、兄に対し最大級の家族愛を注ぐのが真の妹なのだ!!今流行りのツンデレ妹や兄を振り回すわがまま系妹などいらん!!そんなもんは将来苦労する未来しか見えん!!」

 

「私だって、神様を尊敬してます~!掃除洗濯で神様を支えられます~!料理も得意なんです~!だから、愛情たっぷりの料理を神様に食べてもらうんです~!!」

 

「掃除など間に合ってる!しかも料理だと!?典型的な何をやっても失敗するダメ系妹の癖に!ぜったい飛んでもない料理を出すに決まってる!!腹を壊して寝込む未来まで見えるわ!!このバグしか生み出さないバグ魔!!」

 

「ひ、酷いです神様!!料理はすごく得意なんですーーーー!!私から料理と掃除を取ったら何も無いのに、酷すぎです~!!きっと神様だって、私の料理を食べたら!美味しいって言ってくれます~!!」

エルシィは涙ながら、桂馬に訴える。

確かに桂馬の言い分は随分と酷いが、掃除と料理しか取り柄が無い悪魔と自分で認めてしまってるエルシィは、悪魔としてどうなのだろうか?

 

「最大の問題は、お前が本当の妹でない事だ。義妹や幼馴染妹系などという設定は、もはやギャルゲーにとって化石同然、百害あって一利無し!真に必要なのは血のつながった妹だという純然たる事実だ!!」

 

「ふぇーーん。神様は意地悪です~!!」

 

「真の兄妹として一緒に育ったというアドバンテージは何よりも代えがたい!昨日今日、妹を名乗った血縁者でもないお前など、妹の風上にも置けないなんちゃって妹もいいところだ!!」

 

「ん~~~!!」

エルシィは突然、桂馬の指に噛みつく。

 

「な、何をする!!」

当然桂馬の指から血が滴っていた。

エルシィは桂馬の指に噛みつき、血を少し口に含んだのだ。

 

「これで、私も神様の血を頂きました!!立派な血縁者です!!」

 

「何を……!?」

 

「古代から伝わる悪魔の契約です~!血の契約は何にも代えがたいんです~!これで神様と親兄妹にも勝る強い絆で、結ばれました!」

エルシィは必死に桂馬に訴える。

 

「………ふん。勝手にしろ」

桂馬はそんなエルシィに、何か言おうとしたが、やめ、ため息を吐いた後、携帯端末を取り出し、ゲームをしながら教室へと戻っていった。

 

「はい、勝手にします。神にーさま!」

エルシィはそんな桂馬の後ろ姿に嬉しそうについて行く。

 

 

桂馬が引き下がったのは訳があった。

学校生活等には興味は無いため、エルシィが妹を名乗り学校生活を送る分には、桂馬の学校でのゲーム三昧ライフに影響が無いと判断したのだ。逆に目に入る範囲にエルシィが居れば、エルシィの主張通り、駆け魂狩りも効率化するだろうとまで思っていた。

 

 

しかし放課後……

 

「なぜ家までついてくる」

制服姿で大きな風呂敷を背負っているエルシィがニコニコ顔で、ゲームをしながら帰路につく桂馬の横を歩いていた。

 

「えー?私も家に帰るからですよ?」

 

「まさかお前、内の家に一緒に住むつもりじゃないだろうな?」

 

「えー?兄妹だから、一緒に住むのは当たり前じゃないですか、神にーさま~」

 

「まさか、お前!うちの親にも記憶操作したんじゃないだろうな!?」

 

「そんな事しませんよ~、バディの神にーさまのご家族や近い血縁の方には、記憶操作が効きにくいんだそうですよ~室長が言ってました」

 

「ふぅ、そうか。だったら残念だったな。家にはかーさんがいる。いくら何でもお前を受け入れるはずがない。地獄でもどこでもとっとと帰れ」

桂馬はエルシィのその言葉にホッとし、エルシィを追い返そうとする。

 

「一緒に住みます~!」

エルシィはそれでも桂馬の後をついて行く。

 

桂馬はそんなエルシィの言葉を無視し、ゲームをしながら黙々と家路へと歩んでいく。

家には桂馬の母がいる。どうせ、エルシィが家族として家に居座る事は出来ないだろうと……

 

桂馬の自宅は住宅街の一角にある大きめの一軒家だが、一階は桂馬の母親が半分趣味で開いてるオシャレな喫茶店となっていた。

桂馬の父親は海外出張で家を空ける事が多く、今は桂馬と母親の二人で暮らしである。

 

桂馬は、自宅の喫茶店の玄関前でエルシィにもう一度言う。

「とっとと帰れ」

 

「えー、だって~」

 

「ふん」

桂馬はぐずるエルシィを余所に、喫茶店の扉を開ける。

エルシィが何を言おうとも帰るしかないと高を括っていた。

 

 

「ただいま」

 

「桂馬おかえり~」

メガネを掛け、桂馬とよく似た顔立ちで温和そうな桂馬の母親がエプロン姿で出迎える。

喫茶店内は、今は客がいない様だ。

 

「こんにちは~、エルシィです」

行儀よく頭を下げ、挨拶をするエルシィ。

 

「こんにちは、あらあら珍しい。桂馬のお友達?しかもこんなに可愛らしい子。桂馬も隅に置けないわ」

桂馬の母はにこやかに対応する。

 

「……」

桂馬は二人の会話を無視して、店の奥へと歩む。

 

「お母さまですか?私は桂馬にーさまの妹です~」

 

「あら、何かの冗談かしら?それほど仲が良いってことかしら?」

桂馬の母は少々困り顔で聞き返す。

当然だろう。桂馬の妹という事は、自分の娘だという事だ。

それはあり得ない。娘など産んだこともないのだから。

 

「これを読んでいただいたら分かります」

エルシィはポケットから手紙を取り出し、桂馬の母に渡す。

 

「うん?何かしら………!?……????……!!!!!!!~~!!!!!」

桂馬の母は手紙を受け取り、読みだしたのだが……にこやかだった表情がみるみると怒りの形相と変わる。

 

桂馬の母は、エルシィをその場に残し、喫茶店のキッチンの奥に入り……どこかへ電話をかける。

「おいーーーー!!てめぇ!!どこで娘をこさえた!!!!!このボケナスが!!!!……知らないだと!!!!ふざけんな!!!!てめぇが他所で作った子が目の前に居んだよ!!!!自分で作った娘だろ!!!!責任も持てないのか!!!!……何――!?言い訳はいい!!てめぇは帰ってくんな!!!!離婚だ。このすっとこどっこい!!!!」

先ほどまで温和だった桂馬の母からは想像できないような怒声が聞こえて来る。

桂馬の母は、普段の温和な感じからは想像できないが、元暴走族のヘッドだったのだ。

電話の先は、もちろん旦那であり、桂馬の父だろう。

 

「エルシィ!お前、かーさんにどんな手紙を渡したんだ!?」

桂馬はその母の怒声に慌ててエルシィにこんな事になった原因の手紙について聞く。

 

「お母さま、こ、怖いです~」

桂馬の母のあまりの変わりようにエルシィも涙目になっていた。

 

「お前がやったんだろ!!手紙の内容だ内容!!」

 

「えーっと、室長の渾身の偽の手紙です。私のお母さんと神にーさまのお父様とで他所で作った娘という事になってまして、お母さんが死んでしまったので、面倒見て下さいって書いてあります」

記憶改竄の魔術が利きにくいバディである桂馬の親族用に用意した、エルシィの上司であるドクロウ渾身の一筆だったそうな。

桂馬の母は見事騙されたのだった。

 

「おいーーーー!!なんてことするんだお前!!家族崩壊させるつもりか!!」

 

「えーー、だって~」

 

 

電話の相手である桂馬の父に散々罵声を浴びせた桂馬の母は、電話を切り、駆け足で戻ってきて、涙目で、いきなりエルシィと桂馬二人を抱きしめる。

「エルちゃん。大変だったわね。私の事はお母さんと呼んでね。桂馬とエルちゃんとお母さんの3人で一緒に暮らしましょ。」

 

「父さんはどうするんだよ!」

桂馬は母に訴える。

 

「あんな奴の事は忘れるのよ桂馬!!あんの腐れ●●め!!のうのうと帰ってきたら市中引き回しにしてやる!!」

 

「………」

桂馬は母のその形相に何も言えなかった。

もはや、桂馬はエルシィを拒絶出来ない状況に陥っていた。

 

こうして、エルシィは正式に桂木家の一員として迎えられ、桂馬の腹違いの妹、桂木エルシィとして、一緒に第一高校に通う事になった。

 

 

桂馬の受難はまだまだ続く様だ。

 

 




次は、一応妄想では……真由美さん編か雫ちゃん編のつもり……でも、まだ書いてないんで、妄想チャージ中です。
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