剣槍弓が非常識すぎて盾の悪魔が天使です   作:namaZ

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召喚された勇者にやべーやつしかいない件

 全ての元凶七つの人類悪の一つ、『憐憫』の理を持つ第一の獣・ビーストⅠ=ゲーティア。

 数多の英霊の協力の下——————大切な人を一人犠牲にして……この人理焼却は解決された。

 壮絶な旅路は出会いと別れの連続だった。

 造られた命でしかない彼女は魔術師にとって使い捨ての消耗品。

 少女は初めて先輩と慕う人ができた。

 選ばれた特別な人(Aチーム)に比べれば雲泥の差。

 世界でも稀なレイシフト適正を除けば一般人に魔術の魔の字が生えた程度の魔術師として基礎の基礎すら出来るか怪しい人物――――――カルデアにただ一人残された『人類最後のマスター』として、人類史の崩壊を回避すべく、数多のサーヴァントと聖杯探索に身を投じていく。

 

 今にして想うと、特異点F『冬木』で私は覚悟を決め先輩を守ると誓ったのではない。レフ爆弾に巻き込まれ、死の運命が確定された瀕死の私を最後まで見捨てず――――――手を握ってくれたあの時から……私は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ゆめ?」

 

 

 違う。私は読書をしていたはずです。カルデア図書館で皆さん(キャスター)オススメの本を棚から取り出す際、『四聖武器書』なるなにやら古そうなタイトルの表紙が目に入り、つい手に取ってしまった。

 神話や伝説、伝承や歴史上の人物までほぼ知識として網羅しているマシュでさえしらない本。

 行儀が悪いと想いながらその場で立ったままページをめくる。

 本の内容は、異世界で終末の予言がなされた。その終末は幾重にも重なる災厄の波がいずれ世界を滅ぼすというもの。災厄を逃れる為、人々は異世界から勇者を呼んで助けを乞う物語。

 そして召喚された四人の勇者はそれぞれ武器を所持していた。

 剣、槍、弓、そして盾。

 

 この時点で、読む意欲が湧いてきたマシュ。自分と同じ盾をメインに戦う勇者の物語をどうしても読みたい。

 アルトリアさんを連想させる巨人や巨竜を斬り伏せる剣の勇者。

 クー・フーリンさんのように大雑把な振る舞いで周りを和ませ誰でも仲良くなる仲間思いの槍の勇者。

 ロビンフッドさんをアーラシュさんみたいに明るくした弓の勇者。

 剣、槍、弓の物語は終わり、盾の勇者のページをめくり――――――

 

 

「あれ?書かれていません」

 

 

 盾の勇者を語るページは真っ白だったのだ。

 作家(キャスター)がこれを見れば毒を吐きながら作者を馬鹿にすること必至。

 書くにしろ、書かないにしろ、本として出版するからには物語として成立する必要がある。

 こんな中途半端な未完成品を世に出したアホな作家は誰だと言うに違いない。

 残念と落ち込みながらまた白いページに視線を落とすと――――――それを最後に、私の意識は遠くなっていき。

 目を覚ますと魔術儀式の祭壇に立っていた。

 

 

(召喚魔術?いえ、これは違います。レイシフトにまだ近い。ならカルデアからは私一人違う時代に跳ばされたのでしょうか。ですが、一番の摩訶不思議は肉体と霊格がもとの戦える状態まで治っていることですか)

 

 

 特異点に跳ばされるのも慣れたもの。今回は先輩や他のサーヴァントは巻き込まれず一人。一刻も早く連絡手段を確保しなければと寂しい心に気合とカツを入れる。

 そうと決まれば呼び寄せたと思われるローブを来た男達に声をかけようと――――――ん?

 ローブを着た男達は唖然として、私と一緒に召喚された三人に膝を屈している。

 

 

(カルデア以外から召喚された人が三人も。うう……先輩がいないと私ダメダメです。もっと気を付けないといけませんね!!一般人かもしれない彼らをデミ・サーヴァントである私が守らなくては!!)

 

 

 マシュ、君は何も間違っちゃいない。一流魔術師であろうとデミ・サーヴァントであるマシュに正攻法で勝てるのはごく少数。

 そうこの場に召喚された三人は例外なく一般人でも魔術師でもなく、吸血鬼などの怪物よりたちの悪い――――――

 

 

「……ここはどこだ?星辰体(アストラル)が薄すぎる。第二太陽(アマテラス)に何かしらの問題が……」

 

 

 七刀も身に着けている金髪の男性。数多くの英霊と交流するマシュの観察眼が、この人もまた英雄だと直感する。

 

 

「女神が統治する世界でこのような現象に遭遇するとは……今度こそ、人として生きると約束したばかりというのに」

 

 

 黄金の槍を携えた同じく金髪短髪の男性。この人もまた凄みを感じどこか人間離れした別のナニかのような見えてしまう……がどこか悲しそうで懐かしむ横顔がまだ人間だと教えてくれる。

 

 

神々の黄昏(ラグナロク)とともに消滅したはずの俺がまだこうして地へ足をつけ五体満足に立っている。はて……阿頼耶(アラヤ)からの繋がりを感じるがか細いな。終段は使用不可能か。急段までは問題なさそうだな」

 

 

 無手の益荒男。獰猛な獣そのものであるかのような鋭い目つきと口角が印象的。この人もまた英雄としてのオーラを感じるが……何故か魔王が似合うと思った。

 

 

 

 ——————人を超えた存在。 

 マシュは気づかない、この三人は超問題児で守る必要もない自分勝手(ギルガメッシュ)な超人魔人の部類であることを。

 否、下手をすればビースト以上に世界を終わらせる。

 勇気ある一人のローブ男性が話を進めるべく話しかけてきた。

 

 

「——————勇者様方!!どうか、何卒どうかこの異世界をお救いください!!」

 

 

 そんな中、行動力の化身として真っ先に動き出したのが。

 

 

「おい。ここはどこで貴様らは何者だ?無関係な少女まで巻き込み集めたようだが事と返答によってはその首無いと思え」

「私もまた職務を全うするのみだ。これでも警察なのでね。異世界への誘拐を看過する気はない」

「ほう世界とな?わかるぞ、盧生として様々な時代に馳せ参じたがこんな経験初体験だ。ここがどんな世界か気になるがまずは戻る方法を教えてもらおうか」

 

 

 真っ先に三人同時に動き出した!!軍服姿も相まってマシュですら少し怖い。正面から対峙するローブの男は今にも気絶しそうな意識を繋ぎとめるために――――――ガゴン!!頭を石床に叩きつけ痛みと血が彼の意識を鮮明にさせた。そのままヒビの入った頭蓋をグリグリとより深々と頭を沈め土下座する。

 

 

「世界のピンチ故勇者様達を古の儀式で召喚させていただきました!!歴代男しか召喚されず、意図的に誰かをと此方からの指定は不可能な魔法でありますので、そちらの少女が召喚されたのはまったくの予想外でございます!!同意なしの強制召喚。知りもしない異世界を救ってくれと道理も筋もない勝手な申し出でと理解しております!!ですがァ!!……何卒、なにとぞおおおおッッこの世界をお救いください!!……………………わたくしの権限では頭を下げ懇願するしかありません。死がお望みならばこの場で自害いたします。だから、どうかまずは王様と謁見して頂きたい。報奨等の相談はその場でお願いします!!」

 

「素晴らしい!!その心意気その魂から熱いリビドーなるものを感じるぞ!!」

 

 

 まあ当然この男が真っ先に感動するわけで。

 

 

「いいだろう案内を頼む。ここが国であるのなら必要最低限の礼儀は弁えているつもりだ。まずは話し合い。あの若き英雄ならばそう言うだろうからな」

 

「私もそれで構わん。この世界の知識が不足している今、へんに事を構える気はない。こと細かな情報を開示してくれると期待している」

 

「ハハーッ!!」

 

 

 前線で戦う将軍級だと思わせて実はこの三人元の世界で王様とかしてませんでした?マシュは訝しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 王様は酷く緊張――――――を通り越して憔悴していた。

 謁見の間に現れた四人の勇者。特に『剣』『槍』『弓』の鳴り響く軍靴の音は、まさしく鋼鉄が奏でる響きだった。一歩近づくだけで三人の熱量と覇道は更に燃え上がる――――――王様は逃げたかった。

 謁見の間に一歩入っただけでこれだ――――――王様は逃げたがっている。

 それが10m離れているとはいえ、自分に近づきその眼光が自分に集中しその声が自分に向けられる――――――王様は腰を抜かした。もう逃げられない。

 

 

「よ、ようこそ古の勇者達よ。ワシがこの国の王、オルトクレイ=メルロマルク32世だ。……………………すまんが一歩だけ下がってくれまいか?」

 

 

 王様の言葉に素直に従い一歩だけさがった四人に、王様は安堵のため息がこぼれる。

 帰ってくださいお願いしますなんでもしますから、と言いたい衝動に駆られたがグッと我慢する。

 

 

「さて、まずは事情を説明せねばなるまい。この国、更にはこの世界は滅びへと向いつつある」

 

 

 王様の話を纏めるとこうだ。

 1.現在、この世界には終末の予言と言うものが存在する。いずれ世界を破滅へ導く幾重にも重なる波が訪れる。その波が振りまく災害を撥ね退けなければ世界は滅ぶ。

 2.その予言の年が今年であり、予言の通り、古から存在する龍刻の砂時計という道具の砂が落ちた。

 3.この龍刻の砂時計は波を予測し、一ヶ月前から警告する。伝承では一つの波が終わる毎に一ヶ月の猶予が生まれる。

 

 なんやかんやあって、国の騎士と冒険者だけじゃ無理と判明。このままでは災厄を阻止することが出来ない。

 だから国の重鎮達は伝承に則り、勇者召喚を行った。

 というあらましを説明した。

 ちなみに言葉が分かるのは勇者達が持っている伝説の武器にそんな能力があるそうだ。……武器自前じゃね?

 衣食住やお金関係の交渉もしたがその辺はしっかりした人たちで話しやすかったが。

 

 

「剣の勇者が七刀。槍の勇者が神々しい黄金の槍。弓や盾の勇者はそもそも身に着けてすらおらん。イレギュラーが多すぎるぞ……ンン!!では勇者達よ。それぞれの名を聞こう」

 

 

 挨拶は大事。古事記にもそう書いてある。

 

 

「私の名はクリストファー・ヴァルゼライド。一国の総統をしていた」

 

「ブー!!!」

 

 

 ぶち込まれた爆弾に噴き出す王様。

 

 

「私はラインハルト・ハイドリヒ。最終的な階級は親衛隊(SS)中将。ゲシュタポ長官もしていた」

 

「え!!」

 

 

 これにはマシュ驚く。だってこんな凄い人を暗殺した人絶対に英霊に登録されてるって。

 

 

「俺の名前は甘粕正彦!!最終的な階級は大尉。分かりにくくて申し訳ないが俺が弓の勇者だ。飛び道具は創るのが得意だからなその影響もあり、無いと考えていたが……うむ、大きすぎて上にあるのか」

 

「?よくわからんがあるのなら良い。してそなたが」

 

 

 まさか宇宙空間に弓があるとは誰も思うまいて。

 

 

「はい!私の名前はマシュ・キリエライトと申します。人理継続保障機関フィニス・カルデアの局員をしてます。盾の勇者として、皆さんをお守りしますのでどうかよろしくお願いします!」

 

「……あぁッ、よろしく頼む!」

 

「はい!王様!」

 

 

 天使だ。盾の悪魔は天使だった。むしろ他三勇者が悪魔。

 

 

「ウンンッ……それでは皆の者、己がステータスを確認し、自らを客観視して貰いたい。今後の参考になるだろう。やり方は」

 

 

 ・・・・・・~王様説明中~・・・・・・

 

 

「成程、自分のステータスは確認できた。なら今後のことを踏まえ情報を交換しないか?」

 

「ヴァルゼライド殿それは自分をさらけ出せと言っているに等しいぞ?……職業柄だな悪い癖だ済まない。全く交流のないそれぞれ別の異世界から四人が協力して戦うのだ。そのくらいは妥協すべきか」

 

「ほう……それぞれ異なる世界と確証を持って発言されるのだなラインハルト。おっと許可もなく呼び捨てることを許してほしい。俺の世界では貴様らのような素晴らしすぎる人は一人しか知らんのでな。この際だ。クリストファーをクリスと、マシュはマシュと呼ばせてもらう。俺のことは好きに呼んでくれて構わない。参考までに皆俺のことを馬鹿だの阿保と呼んでいたな」

 

「でしたら、クリスさん。ラインハルトさん。甘粕さんと呼ばせていただきます。お二人も気軽にマシュとお呼びください」

 

「……分かった。これも何かの縁だ。マシュ、ラインハルト、アマカス、よろしく頼む」

 

「私の方こそよろしく頼む。みなの足を引っ張らぬよう精進する」

 

「挨拶も済んだことだ。それぞれ紙にでもステータスを書き込み情報交換を行うとしよう。すまないが王よ、紙を用意してくれないか?」

 

「容易だとも。しかし……おぬしら謁見中だと忘れておらんか?」

 

「関係者も全員この場に揃っているのだろ?ならば、最初のうちに私たちのステータスを知ってもらったほうが何かと今後の話もしやすいだろう」

 

「ヴァルゼライド殿がそうおっしゃるのであれば。おい、早く書き物と紙を持ってまいれ」

 

 

 渡された真っ白な紙に記入していく勇者四人。

 真っ先に書きあがったのは意外にもマシュ・キリエライト。

 

 

「では、お先に開示させます」

 

 

マシュ・キリエライト

職業:シールダー(盾の勇者)Lv80

 筋力:C

 耐久:A

 敏捷:D

 魔力:B

 幸運:C

 宝具:?

クラス別能力

 対魔力:A 

 騎乗:C 

 自陣防御:C 

 憑依継承:? 

 星見の旅路

保有スキル  

 誉れ堅き雪花の壁

 時に煙る白亜の壁

 奮い断つ決意の盾

 

宝具

 いまは遙か理想の城(ロード・キャメロット)

 ランク:B+++

 種別:対悪宝具

 

 

 

 

「こんなステータスワシは知らんぞ!!!??何故かっこ勇者なのだ!!ってLv80????」

 

「ええ!?皆さんこうじゃないんですか!?」

 

「どうやらそれぞれの異世界でステータス表示が違うようだ。俺はこれだ」

 

 

クリストファー・ヴァルゼライド

職業:星辰閃奏者(剣の勇者)

基準値: B

発動値: AAA

 

集束性:EX

拡散性:E

操縦性:E

付属性:A

維持性:D

干渉性:E

放射光極限収束・因果律崩壊能力。

 

 

 

「せめてLvを表示させろ!!後なんかやばい能力書いておらんか!!?」

 

「うわークリスさんと書き方あまり変わりませんね!私は分かりやすくていいと思いますよ!」

 

「次は私か」

 

 

ラインハルト・ハイドリヒ

職業:■■■黄金■■■(槍の勇者)※弱体化

形成

 ATK:4(-2)

 DEF:5(-2)

 MAG:3(-2)

 AGI:3(-2)

 EQP:5(-2)

創造※使用不可

 

■■※――――――

 

 

 

「もう突っ込まんぞ!!ワシは絶対に突っ込まん!!」

 

「デバフがかかってますね。先輩がいたら解除できたんですが……」

 

「最後になってしまったか。これだ」

 

 

 

甘粕正彦

職業:盧生(弓の勇者)

熟練度 Lv.999

 戟法 剛 60 

    迅 60

 楯法 堅 70  

    活 90  

 咒法 射 150  

    散 150  

 解法 崩 10  

    透 50 

 創法 形 150

    界 150   

能力値合計 940

【急段】:斯く在れかし(あんめいぞ)聖四文字(いまデウス)

 

【終段】※使用不可

 

 

 

「レベグァ!!?」

 

「国王!?お気を確かに!!」

 

「すごいのは分かるのですが、それぞれ基準が曖昧なのでその世界でどれだけ凄いステータスなのか判断しづらいですね」

 

「卿はなかなか観察に優れた良い目をしているな。まあそれもこの場にいる勇者全員に言えることだがな」

 

「早速だが我々が戦う敵の情報。この世界の細かな詳細が知りたい。王は体調が優れないご様子。謁見もここまででいいだろう。そこのローブの男、名を聞いてなかったな」

 

「わたくし如きが名乗る名などありません。どうぞわたくしの事は、そのまま"ローブ"とお呼びください」

 

「ローブさんよろしくお願いします!」

 

「ハハ、盾の勇者様。それでは謁見の間に出来うる限り情報を整理いたしましたので図書館にご案内いたします」

 

 

 こうして、それぞれ異なる世界からの来訪者。四勇者はそれぞれの目的に従い動き出した。

 外の景色を堪能しながら図書館に向かう最後尾で三人の後姿を視線を移す。

 

 

「優しく楽しい方ばかりでよかったです。これから共に戦う仲間なのですから私がシールダーとして皆さんをお守りしないと」

 

 

 先輩の助けを待つだけではいけない。自分でできることは最大限努力しないと。

 マシュは誓う。絶対に誰も死なせはしないと。

 

 

 

 

 

 マシュはまだ知らない――――――本当の非常識を。

 

 

 

 

 

 




多分続くと・・・・・・おもう?

こっちはオバロ書きながら息抜きに書いていこうと思っています。
ですからすんごい亀最新です。
むしろ誰かこのネタで書いて(懇願

基本的には優しい世界を書きますが、IFなどを書くさい参考にします。1はシリアス。2はシリアス。3もシリアル。4はどう転ぶか分からない。

  • 事情がある?世界の為に?そうかだが死ね√
  • 話のわかる優しい世界を突き抜く√
  • 保護者参戦√
  • お前らのせいで世界が滅んだ√

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