そんな世界に生まれ、同じく「イカれちまった」主人公が最後にとった行動。
原作の熱烈なファンであれば、多少なりとも不快感を覚える内容かも知れません。
私も原作は好きです。
大好きですが、こんな終わりがあったかも知れないと思い、形にして残しておくことにしました。
原作のストーリーを改変してしまっていますので、そう言ったものが苦手な方はブラウザバックを推奨します。
また、原作プレイ済みであることを前提に作成しておりますので、原作を知らない方が読んでも理解が難しいかと思います。
ソーマ曰く「イカれちまった世界」。
そんな世界に生まれ、同じく「イカれちまった」主人公が最後にとった行動。
原作の熱烈なファンであれば、多少なりとも不快感を覚える内容かも知れません。
私も原作は好きです。
大好きですが、こんな終わりがあったかも知れないと思い、形にして残しておくことにしました。
原作のストーリーを改変してしまっていますので、そう言ったものが苦手な方はブラウザバックを推奨します。
また、原作プレイ済みであることを前提に作成しておりますので、原作を知らない方が読んでも理解が難しいかと思います。
「長い…実に長い道のりだった。
年月をかけた捕食管理により、ノヴァの母体を育成しながら…
世界中を駆けずり回り、使用に耐え得る宇宙船を掻き集め…
選ばれし1000人を運ぶ計画が、今、この時を以って成就する!」
ノヴァの顔の横、リフトの上に立つ支部長が語っている。
アーク計画。
終末捕食を人為的に引き起こし、事前に宇宙へ退避していた「選ばれし1000人」が終末捕食完了後に地球へ帰還、再び文明を築き上げるという計画。
遂に実行されてしまったのだ。
いつの間にか付いて来ていたらしいサカキ博士と支部長が話し始めたが…話がまるで頭に入って来ない。
カナ。
私達第一部隊の隊長にして、極東支部初の新型神機使い。
彼女が支部長の隣に居る。
まるで支部長の味方をするかの様に、武器を持ってこちらを見下ろしている。
「リーダー…どうして…?」
「何考えてんだよお前!
こんなの…みんな死んじまうだろ!」
状況が飲み込めず、疑問を口にするコウタと私。
ソーマとサクヤさんは、黙って支部長とカナを睨んでいる。
サカキ博士と支部長も口を噤み、全員が彼女を注視した。
「…」
しかし彼女は何も答えず、ふと私達から目を逸らして時計を見た。
その瞬間…
…ボンッ…ボンッ…
突然、遠くで爆発が起きた様な、低いくぐもった音が連続して聴こえた。
咄嗟に音の聴こえた方角、支部長の背後の空へ目をやると、上空から何か光るものが降ってきており、支部長も怪訝そうにそちらを見ている。
「…フフッ、上手くいった。」
居心地の悪い沈黙が場を覆いかけたところに、涼しげな笑い声が響いた。
「カナ君…何が上手く行ったのかね…?
…まさか…!?」
笑い声の主は彼女だった。
私達と同じく困惑気味だった支部長だが、何かに気付いたらしく焦燥を滲ませた声音で彼女に詰め寄る。
「そう、今のはね、あなたの飛ばした宇宙船が木っ端微塵になった音。
計画失敗、残念でした。」
「何故だ!?
何故そんな真似を…!」
アーク計画に乗った神機使いなら他にも居るし、正直な話、彼女もそうなのかと落胆しかけていた。
しかし、どうやったのかは分からないが、計画の要である宇宙船を彼女は破壊したらしい。
タイミング的に計画阻止の為ではないし、私達の味方にも見えない。
全く彼女の意図が読めなかったが、彼女の答えは誰も想像すらしていないものだった。
「人間を滅ぼす為。」
暗い、怒りと怨み、様々な負の感情が篭った声。
彼女がこんなに強い感情の篭った声を発するのを初めて聴いた。
「私達は…とんでもない爆弾が身近にあることを知らなかった…みたいだね。」
サカキ博士でさえも驚きを隠せない様子だ。
彼女はもう口を開く気も無い様子で、不意に神機を構えもせず、支部長の隣からこちらに飛び降りてきた。
全員が神機を構えて警戒する中、彼女は真っ直ぐソーマの方へ、シオちゃんの体を守る様に間に立った彼に近付いて行き、彼の剣が届くか届かないかというところ、間合いギリギリで立ち止まった。
「…なんだ?」
彼女はソーマの問いには答えず、いきなり神機を一閃した。
ソーマは反射的に装甲を展開したが、彼女の一撃は彼にも装甲にも擦りすらしない。
しかし…
ゴトッ
ソーマの背後で嫌な音がして、視界の端を白いものが転がっていく。
「…!?見るな!ソーマ!」
コウタが必死に叫んでいたが、ソーマは既にそれを見てしまっていた。
シオちゃんの頭。
斬り落とされた頭が転がっていった。
彼女の装備している刀身、ヴァリアントサイズと呼ばれる大型の鎌は刀身を自在に伸縮させることが出来る。
それを利用し、器用にソーマの背後にあったシオちゃんの体から、頭だけを斬り飛ばしたのだ。
「あ…あ”あああああああああああああ!?」
悲痛な叫びを上げて、ソーマが彼女に斬りかかる。
「やめなさい!ソーマ!!!!」
サクヤさんの制止は届かず、彼は高い身体能力を活かしてあっという間に間合いを詰める。
確かに鎌という武器は距離を詰められると不利になるが、彼女の実力は折り紙付きだ。
1000人もの人を殺しておいて「上手くいった」と笑う彼女と、怒りに飲まれかけているとは言え、根が優しく、きっと彼女に対する情を捨て切れていないソーマ。
技量が同等だとしても、躊躇いという重石を抱えたソーマは彼女に勝てない。
下手をすれば殺されてしまう。
私達のそんな予感は意外にも、そして幸いにも裏切られた。
「…もうどうせ全員死ぬのに、何で襲いかかってくるの。」
彼女はソーマの剣を回避も防御もせずに受けた。
白い服が真紅に染まっていくが、それでも彼女は立ったまま笑っていた。
肩に食い込んだ剣をそっと神機でどける彼女を、ソーマは呆然と見ている。
バスターと呼ばれる大型剣、人間など簡単に両断出来る武器にも関わらず、肩に食い込む程度で済んだ辺り、やはりソーマは優し過ぎる程に優しいのだろう。
「どうせ全員死ぬ…そう言いながら、何故シオの頭を…?」
サカキ博士が問うと、彼女は壁に背を預けて座りながら答えた。
「頭部神経節にあたる部分が人間の脳の様に機能している。
つまりこのアラガミの人間的、理性的な言動はコアではなくて、頭部神経節が司っているんでしょ?
あなた達と仲の良かったこのアラガミの意思が奇跡を起こす…なんて感動物語になったら私困るの。
アラガミとして、オラクル細胞として、ちゃんとこの星を食べ尽くして貰う為に、理性を刈り取ったってところ。」
シオちゃんを見て、アラガミとの共生などと言う博士が先程語った夢も、少しは信じられる様な気がしていた。
しかし、同じ人間であるハズの彼女と分かり合える気がしない。
一般的なアラガミと違って、言葉は通じるし、理性もある。
それでも絶対に埋められない溝を彼女との間に感じてしまった。
おそらくこの場に居る全員がそう感じたのだろう。
もう誰も彼女に言葉をかけなかった。
支部長はその場に座り込み俯いている。
博士は呆然と彼女を見つめている。
サクヤさんは俯き、静かに涙を流している。
ソーマは死んだ様な目でシオちゃんの切り離された頭と体を交互に見ている。
コウタは家族へ向けてだろうか、泣きながら「ごめんな」と言い続けている。
私はそんな皆を見回して、最後に彼女を見た。
彼女だけが笑っていた。
心の底から満足そうに、穏やかな笑顔を浮かべて死んでいた。
認めたくはないが、その顔はとても綺麗だった。
一応断っておきますが、彼女はごく一般的な神機使いです。
GE2で登場したラケル博士の様な人物ではなく、原作通りに適合試験を経て神機使いとなっただけ。
ただ人間として「イカれちまった」だけです。
何故そうなったのかはご想像にお任せしますが、私というただの人間が考えた内容ですから、あなたの身近にもこういう人間が居るかも知れませんね。
原作ファンの方であれば、少なからずマイナス感情を抱かれるであろう内容かとは思います。
誰も救われないバッドエンド。
しかし、誰もが平等に救われないからこそこれ以上の犠牲も出ない。
今後犠牲になる「誰か」が全て消え去り、その後の地球で何が起ころうと犠牲を犠牲だと観測する「誰か」も存在し得ない。
誰にも観測されない事実は存在しない。
「終わり」を考えた時、ふと浮かんだ1つの答えがこれでした。