私と2作品目、蒼の彼方のフォーリズム 天を翔く翼が始まります!1作品目の方をメインで進めていくので、更新は遅めになると思いますが、末永くよろしくお願いしますm(_ _)m
───俺は空が好きだ
小学校に入学する前から暇な時はよく空を見上げていたし、初めて飛行機に乗った時なんかはずっと窓の外の風景ばかりを見ていた。指導員の資格を持っていたお袋とはよく一緒に空を飛んだりもした。近くに自由に飛べる場所がなかったから、少し遠出して専用の施設に行かないといけなかったのが玉に瑕だが。今思えばフライングサーカスという競技に俺が興味を持ったのも、当然といえば当然だったのかもしれない。
初めてフライングサーカスの試合を見たのは小学4年の時だ。親父がフライングサーカスの公式審判員の仕事をしていたのもあって、親父が審判をするフライングサーカスの大会をお袋に連れられて観戦に行った。当時はすごく興奮したのを今でもよく覚えてるし、それからも何度も親父の仕事先について行ってはフライングサーカスを観戦した程度にはのめり込んでいた。
1番印象的だった試合はやっぱり初めて見に行った大会のあの試合。仇州の四島と呼ばれる日本で最もフライングサーカスが盛んなそこで見た、確か組み合わせは………神代龍月対各務葵。
「………すっげぇ」
夏の大会だったらしく、他にもたくさんの試合を観戦したが、この試合だけは息を飲んで見入ってしまった。他の試合はあんなに興奮していたのに、だ。後にも先にもこんな経験はこの時だけだった。
小6の12歳になった時は誕生日プレゼントで貰った競技用グラシュ、MIZUKI社の飛燕二型を早く使いたくて、最近近場にできたフライングサーカスのクラブに入った。練習場として使っている施設は海沿いにあって、東京ドームくらいの広さのブイに囲まれた指定された範囲内なら海の上を自由に飛べる。練習のない日は一般開放されていて、練習の日はその時間だけ貸切にするシステムで、俺は練習の日はもちろんのこと、練習のない一般開放の時間も日が暮れるまでそこで飛び、自主練に明け暮れていた。それだけ飛ぶのが楽しかったし、フライングサーカスにハマっていた。ちなみにスタイルは色々試した結果、スピーダー。本来ならオールラウンダー向きの飛燕二型をスピーダー向きにカスタマイズして使ってた。
自分で言うのも何だけど、俺は結構強かった。フライングサーカスを始めて最初の大会では(そもそもこの地区があまり活発でなかったのもあったが)地区大会はぶっちぎりの優勝。その勢いのまま全国大会まで勝ち進み、結果はベスト8。その試合の対戦相手は………確か仇州の四島ってとこから出場した日向晶也。その師が各務葵選手だったのもあるだろうが、何より彼自身の実力は凄かった。スピードだけは勝っていたが、技術や戦術という意味では完敗だった、そう思う。これが俺の最初の勝利の美酒と敗北を味わった瞬間となった。
この敗北をきっかけにして俺は更にトレーニングを重ねた。いろんなスカイウォーカーの試合動画を研究して、俺のスタイルに使えそうなものをピックアップ、それをひたすら練習。これを繰り返した。経験についてはどうしようもないが、独学なりに技術はついたと思うし、クラブのコーチからも評価されていた。
そして迎えた3月。小学校の卒業式。式が終わったらすぐに両親と一緒に飛行機に乗った。行先はイギリス。俺の卒業祝いと仕事が忙しくて半年間祝えなかった全国大会ベスト8祝いでフライングサーカス発祥の地、イギリスに来たってわけ。それにイギリスは俺が初めて見た試合の神代龍月選手が普段プロとしてプレイしている国。正確には2年前のあの時で既にプロだったが、あの大会の時はたまたま別件で帰国していて、タイミングがあったから出場していただけらしい。ちなみに当時神代龍月選手は18歳。その彼のプロの試合を観戦、俺にとっては最高のプレゼントだった。
だが、この旅行が俺の人生の転換期となってしまう。
旅行3日目。その日は大会初日。ただの観客の俺と違って、公式審判員の親父は当然、その手伝いでお袋も先に会場入り。俺はのんびりホテルで昼食を済ませてから会場へ向かうつもりだった。両親が関係者というのもあって、幸いホテルは会場とそんなに離れてはおらず、まだまだ小学校卒業したばかりの俺1人でも迷わず会場へ向かうことは可能だったし、ホテルにも日本人スタッフはいたので(ホテル内にいれば)言葉もあまり不自由はしなかった。
当初の予定通り俺はホテルのレストランで昼食をすませ、一通り用意をしてからホテルの外へ。そこで俺は違和感を感じた。何やら周りの人が騒がしい。いや、元々賑やかな場所ではあったが、そういう話ではない。英語ばかりで何を言っているのかは理解出来なかったが、フライングサーカスの試合会場へと向かう人が多いのと、アクシデントという単語がちょくちょく耳に入ることから、試合会場で何かあったのだろうと察した俺もそこへと向かう。
トラックの突発的な故障だったらしい。走行中のトラックが突如制御不能となって近くにあった建物に突っ込んだ。その建物が今日から行われるフライングサーカスの試合会場本部だったのもたまたまだし、そこがスタッフルームだったのもたまたまだ。だが、そのたまたまが最悪の事態を引き起こした。
俺の両親がその事故に巻き込まれた。俺がその場所に着いた時には現地警察が既にバリケードを引いていて俺は近寄ることすら出来なかったが、遠目に倒れている両親は見えた。俺は必死に抵抗し、そのバリケードを突破しようとしたが、所詮当時の俺は子供で相手は複数人の大人、それも鍛えられた警察だ。出来るはずもなかった。話せばわかってくれたかもしれないが、生憎当時の俺はそれが出来るほど英語が堪能ではない。
「君は………そうか。なるほどな。君が彼らの」
その時に口添えしてくれたのが神代龍月選手。現場の指揮者であろう人を通じて、俺が被害にあった2人(正確には被害にあった人はもっといるが)の肉親だと、俺を取り押さえている警察官の人へ伝えてくれた、と後に俺は聞いた。その時の俺からしたら唐突に拘束を緩めて通してくれた、程度の認識だったが。
結果として、その事故によって俺の両親は帰らぬ人となってしまった。当然この事故によって試合は中止となり、俺は1人日本へと帰国した。両親の葬式は日本のフライングサーカス連盟が執り行ってくれたし、事故を起こしてしまったトラックの会社からも慰謝料が入ったが、正直どうでもよかった。たった数時間もしないうちに俺は天涯孤独となってしまい、そのショックの方が大きかったからだ。俺の歳を考えれば当たり前だが、当時の俺の心の拠り所は両親による所が大部分であった。親父もお袋も仕事で家を空けることが多かったこともあって思い出らしい思い出は一緒に空を飛んだことやグラシュを買ってもらったこと以外はパッとは出てこない。が、それはそれで充実していた。
そんな親父とお袋がいなくなって、俺の心にはポッカリと穴が空いたような、そんな気がした。夜は泣いて過ごすことが増え、食べ物も喉を通らなくなった。もちろん以前は毎日のように空を飛んでいたのも、全くしなくなった。
そんな生活を1週間も続けたところでとうとう俺は倒れ、病院へと運ばれた。栄養失調と診断された。ま、そりゃそうだ。たまに水は飲んでたけど、ろくに何も食べてなかったんだからな。精神的な負荷もあって余計にそうなっていたらしい。
入院生活を続けて4月半ば。同級生は皆中学校へと進学したが、俺は相変わらず回復していなかった。まだ食べ物は喉を通らず、栄養を点滴。四六時中寝て過ごす日々。たまにテレビで見るフライングサーカスが俺を正気でいさせてくれていたんだと思う。そんな時、彼が俺の前に現れた。
「遅くなってすまない。すぐに駆け付けたかったんだが、スケジュールが立て込んでてな。こんなことなら無理矢理にでも来ればよかった」
「か………神代………龍月、さん?」
そう、フライングサーカスでプロとして活躍する日本人、神代龍月選手。なんでこんな所に?と出てきた疑問はすぐに解決した。なんでも、件の事故の時、たまたま俺の両親の近くにいて、最期を見届けてくれたのが彼だったらしい。親父は何度も彼の試合をジャッジし、彼の身元もはっきりしていて信頼出来る。不躾とはわかってはいたが、その時に俺の事を託して息を引き取った、とは後に聞いた言葉だ。
「だから、俺が面倒を見よう。君の両親の代わりになる、とかそんな大層なことは言わない。責任とか贖罪とかそういうのでもない。が、たまたまとは言っても俺はあの2人を看取って、君のことを託されたからな。君が望むならフライングサーカスを教えてあげよう。よく言えば恩返し、悪く言えば俺の気まぐれ、そんなところかな」
もしこれを受ければ、今まで過ごした日本から離れることになるし、当然友達とも別れることとなる。が、それを差し引いても悪い話ではないように思えた。だが、俺は直ぐに答えることが出来なかった。日本に未練があるわけでもないし、別れたくない人がいるわけでもない。単純に両親の死という現実が俺に重くのしかかり、翼を閉じさせていた。
「………ま、これも仕方の無いことか。心の支えを失ったんだ。なら、最後にこれを君に伝えておく。ご両親が亡くなる間際、君へ向けて遺した言葉だ」
「………ぇ?」
「
俺の人生の転換期となったこの事故。良いか悪いかで言えば決していいことではなかった。むしろ最悪の出来事と言ってもいい。が、だからといって俯いていては何も始まらない。どんな悪夢も受け止め、前を………いや、空を見上げる。そして俺は………手を取った。
これが俺、
いきなりのあらすじ回のようになってしまいましたが、今回はここまでとします!
次回からはちゃんとストーリー展開していくのでご安心ください!(今回のように地の文メインは滅多にないと思います)
そして次回からは原作キャラも出していきます。少しずつ、ですが。フライングサーカスの試合描写も………出来るといいなぁ。
こんなグダグダな私ですが、別作品の方共々、よろしくお願いしますm(_ _)m