魔法少女リリカルなのは//黄昏と薄明   作:悠畏

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※本作品は諸事情により作者と投稿者が違います。御了承下さい。


第一話

「うわぁああああがぁぁああああああっ!!!」

 

 深夜、怪しげな女性に襲われ、胸元に激しい痛みが走った。

 その痛みに耐えきれず、僕の意識はすぐに闇の中へと落ちていく。

 そんな中、走馬灯のように今日の事が頭の中に浮かんでは沈む。

 

 何故、こんな事になったか。

 今日と言う日をいくら振り返っても、わからないだろう。

 いや、今日は昨日までとは違ったかな。

 

 

 

 

 

 第一話 白い少女

 

 

 

 

 

 今から17時間前、僕は窓の外から聞こえた雀の(さえず)りで目が覚めた。

 この日は体がいつもより軽く感じ、思った通りに体を動かせそうな気がしたが、半分寝惚けてたので自重する事にした。

 自分で作った朝ごはんを食べて、小学校へと行く。

 この近くに、小学校は私立聖祥大付属小学校しかない。

 僕はそこに通う生徒だ。

 入試試験というものに、おっかなビックリだったが、なんとか受かったので良しとする。

 

「しかし、今日で9才か……」

 

 9才と言っても、特別変わった事はない。

 ただ出張中の父さんと父さんに付いて行った母さんから、昨日の夜に誕生日プレゼントを宅配便で受け取った。

 中身は今話題のThe Worldの携帯端末機だ。

 

 The Worldとは、CC社が開発したオンラインネットゲームで、本来ならパソコンからアクセスして遊ぶんだけど、今年から外からでもアクセスして遊べる携帯端末機が発売されたんだ。

 前々から欲しいと思ってたから、かなり嬉しい。

 

「オッス、カイト」

 

「おはよう、泰彦(ヤスヒコ)

 

 登校中に声を掛けられ、振り替えると田中 泰彦だった。

 泰彦に挨拶をして、一緒に歩く。

 

「そう言えば今日だったよな? 誕生日。おめでとさん、プレゼント楽しみにしとけよ?」

 

「ありがとう。楽しみにしとくけど、父さんからのプレゼントの方が凄かったからなぁ~。泰彦のプレゼントで驚けるかなぁ」

 

「お、何貰ったんだよ。親父さん達、今は出張中だろ? …………宅配か?」

 

「うん」

 

 僕は泰彦に両親からのプレゼントを話すと、泰彦は目に見えて驚いた。

 というか、自分で貰っていて思うけど確かに驚くだろうね。

 なんせ、金額がバカみたいに高いから……。

 

「いいな~。俺も欲しいなぁ、The World専用の携帯端末機。CC社も、商売が上手いよ。携帯のアプリでも良いと思うんだ」

 

「いや、昨日やってみたけど、容量が携帯の比にもならないから、アプリじゃ……起動しない」

 

「やっぱり?」

 

 泰彦の言葉に頷く。

 まぁ、泰彦の言いたい事は僕もわからないでもない。

 一昨日までは、僕もそう思ってたし、The Worldをプレイしてる人も同じ気持ちだ。

 

「と、着いたな。んじゃ、また昼な。使い心地とか根掘り葉掘り聞き出してやるから覚悟しとけよ?」

 

「アハハ……お手柔らかに…………」

 

 自分達の学年クラスがある階へ着くと、クラスが別の泰彦とは此処で別れる。

 さて、泰彦の尋問には実際やらせれば良いとして、昼までどうしようかな。

 そんな事を考えて、僕は教室へ入っていった。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 昼休み。

 泰彦を待ってると聖祥で有名な三人がやって来た。

 

「かいと、今日は一緒に食べましょう?」

 

 最初に声を掛けてきたのは、長い金髪をサイドアップした全身から活発オーラを放つ、アリサ・バニングスだ。

 その後ろに笑顔で此方を見てくる茶髪のツインテールの女の子は高町なのはで、紫の長髪の女の子が月村すずかだ。

 三人共、美少女と言える程の容姿で、性格も好感が持てるため、同年だけでなく、年下、年上からも人気で本人達に隠れてファンクラブなるものがある。

 そんな三人を誰が呼んだか、聖祥大付属初等部の三大女神とかなんとか……。

 

 彼女が集まる時点で、視線はこちらに集中しており、男子からは嫉妬の視線が突き刺さる。

 全くもって勘弁してもらいたい。

 まぁ、これも……その三大女神の一人と交友を持ってしまったが故だけど、僕は悪くないし、嫌いではない。

 

「別に良いけど、泰彦も良い?」

 

「良いわよ。アイツからはガセネタ掴まされたし、ちょうど懲らしめたかったしね」

 

 そう言ってアリサは悪どい顔で、握り拳を作って燃えていた。

 まぁ、この事からわかるように、関わりを持ったのはThe Worldで、交友したのがアリサなのだ。

 

「ガセネタって? The Worldの事? アリサちゃん」

 

「どんな情報を掴まされたのさ?」

 

「ええ、そうよ。む、それは、ほら、私って重剣士じゃない? 欲しい刀が欲しくて、泰彦からレア装備と引き替えに教えて貰ったのよ。『Δ(デルタサーバー) 試されし (つわもの)求む 強敵』っていうエリアの奥にあるって!! そして行ったらアイテム神殿像の宝箱には、防具だったのよ!!」

 

 『Δ 試されし 兵求む 強敵』で手に入る刀ねぇ。

 

「………それってレア度5の贄殿遮那(にえとののしゃな)かな?」

 

 僕の呟きにアリサは、バッと僕に向き直り、肩を力強く掴んで凄まじい形相で睨んできた。

 まるで知ってるのかって言うくらい……と言うか、完全に目が訴え掛けてる。

 

「痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い……」

 

「キリキリ吐きなさい。知ってること全部よ!!」

 

「言います、言わせて頂きます。だから放し……」

 

「今、言うの!!」

 

「理不尽だ!!!」

 

 肩を圧迫して、骨にまで軋みをあげそうな感覚に陥るも、言うと言ったからには言わないと解放されそうもない。

 そう思って口を開こうとしたら……

 

「おい~っす、て、何やってんだ? お前ら」

 

 運良くと言うか、悪くと言うか、泰彦のフォローをする前にやって来た。

 その瞬間から、アリサの標的は泰彦となって僕は肩の痛みから解放された。

 うん、まぁ、こうなったのは仕方ない。

 泰彦がアリサに嘘を言ってない事は、僕がよくわかってるから……ただ、説明が足りてなかった自分の愚かさを痛感して散ってくれ。

 

「やぁ~すぅ~ひぃ~こぉ~っ!!」

 

「こわっ!? お、おい、どうした、アリサ? 何故、じわじわと俺を追い詰めるような……」

 

「あたしにガセ掴ませるとか、覚悟はできてんでしょうねぇ!!?」

 

「はぁ~? ガセ、ちょ、待て……話せばって、ぎゃぁぁああああああああ!!!!」

 

 泰彦が後退りながら、アリサから逃げようとするが、アリサは軽く跳んで泰彦の胸元にドロップキックをかました。

 アリサのドロップキックは、末恐ろしい威力だった事を此処に記しておく。

 

 アリサが泰彦を葬った後、多少落ち着いたアリサに、贄殿遮那をドロップ出来るモンスターの出現方法を教えた。

 そう、泰彦はエリアの奥にあるとしか言ってなかったのだ。

 正確には、エリアの奥で移動してるモンスターを倒せばドロップ出来る、だ。

 恐らくアリサが行ったときは、偶々遭遇しなかっただけだろう。

 

「死んでないからな!? たく……と言うかなんであんな存在感あるMOBに会わないんだよ。俺ですら普通に歩いてたら遭遇したぞ」

 

「遭遇しなかったんだから仕方ないじゃない!!」

 

「あはは……」

 

「ね、ねぇ、かいとくん。そのThe Worldって、そんなに面白いの?」

 

 The Worldをやってないなのは、すずかは、会話に着いてこれないのか、アリサと泰彦のやり取りを見ていた僕に話し掛けてきた。

 この様子からしたら、アリサは二人にThe Worldをやらせてはいないみたいだ。

 これは、意外かな……

 

「うん、面白いよ。そうだ、試しにやってみる? The World」

 

「何を言ってんのよ。The Worldはパソコンからしかアクセス出来ないじゃ……」

 

「まさか、持ってきたのか!? なぁなぁ、俺にも使わせてくれよ!! 使い心地とか知りたいんだ!!」

 

「持ってきたのかって、まさか!! ちょっ、カイト!! それ、私にも貸しなさい!!」

 

 僕が携帯端末機を取り出そうとした時、言い合ってた二人は僕の方へと詰め寄ってきた。

 

「は、いや、ちょっと待って……まずはなのはとすずかに……」

 

「そうだよ、アリサちゃん!!」

 

「自分達だけズルいの!!」

 

「「う、ま、まぁ、それなら……」」

 

 僕とすずか、なのはの言葉にぐうの音も出ないのか、渋々と引き下がるアリサと泰彦。

 それにしても、アリサが持ってないのは珍しい。

 アリサもThe Worldのコアなユーザーだ。

 もうとっくに持ってるのかと思った。

 

「The World関連のって、すぐに高性能なパックとか出るじゃない? 何度も買ってたらバカになんないのよ……。親にも迷惑掛けられないしね」

 

 な、なるほど、一理ある…………あれ? 僕、口に出したっけ?

 

「顔を見りゃわかるわよ」

 

 そ、そう……。

 

 この事に関してなのかはわからないけど、アリサには嘘を着けそうもないみたいだ。

 

「あ、はい、これ。電源入れたらログイン出来るから」

 

 そう言ってすずかに、端末を渡すと、すずかは端末を起動して、FMD(眼鏡型のディスプレイ)を掛けた。

 

「にしても、アリサが二人に教えないのはどうしてだ?」

 

「べ、別に教えなかった訳じゃないんだけど……」

 

「「「?」」」

 

 顔をふぃっと背けるアリサに、僕と泰彦、なのはは首を傾げる。

 そのあと、ローテーションで端末を回して、昼休みは終わった。

 初めてプレイしたすずかとなのはも、The Worldの雰囲気に圧倒されてすずかは始めてみるみたいだが、なのはは終始迷ってた。

 

 まぁ、無理に誘ってもこう言うのは自分からやった方が長続きするはずだ。

 

 

 

 

 

 ☆☆

 

 

 

 

 

 放課後。

 僕と泰彦はアリサ達と別れて、どこも寄り道する事なく家へと帰った。

 泰彦との会話は、もっぱらThe Worldの事だった。

 家に帰りついて、早速The Worldにインして遊ぶ。

 途中、泰彦のPC(プレイヤーキャラクター)のオルカと、アリサのPCのフレイムと合流して遊んだ。

 

 そして夜、僕にとって最高の日常から最悪の日になった。

 それはほんの気紛れで、夜の散歩も良いかなって思い外へと出て、ポツポツと歩きながら公園の前まで行くと、僕は何かを感じた。

 その感覚に従い、公園の中へと入っていくと、空間に歪みみたいな、波が見えた。

 ソレに惹かれるように近付くと、波の中心から白い少女が現れた。

 

「なっ!?」

 

「見つけた」

 

「見つ、けたって、、、僕?」

 

 辺りを見渡しても、夜の公園には僕しか居らず、白い少女は僕の問い掛けに答えず、一つの本を差し出してきた。

 

「これを……」

 

「これは?」

 

「魔法の力。 使い方一つで、救い、滅び、どちらにでもなる」

 

「魔法の、力……」

 

 魔法と聞いて思ったのが、The Worldで使うスキルを想像したのは、僕がThe Worldに染まってる証だろう。

 でも、こんなのを貰って何をすれば……

 

「ね、ねぇ……って、あれ?」

 

 本から白い少女へと目をやれば、白い少女は何処にも居らず、ただ渡された本だけが残った。

 夢と思うには、現実味を帯びてるし、何よりも手に(しっか)りと本がある。

 

 あの少女は、いったい何だったんだろう? と、首を傾げつつも、僕は家に帰ろうとした瞬間、世界が緑色に染まった。

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