魔法少女リリカルなのは//黄昏と薄明   作:悠畏

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遅くなりました。


第四話

 なのはを残して転移し、アースラという巡航艦で移動した先は、時空管理局の本局と呼ばれる場所だった。

 移動中に時空管理局の事を聞いたが、時空管理局には本局と地上本部があるらしく、地上本部は魔法発祥の地、第一管理世界ミッドチルダというとこにあるらしい。

 

「クロノ! 嘱託魔導師の試験受かったよ!! これでなのはに早くって、あれ? その人は?」

 

「そうか、それは良かった。彼は篠崎かいと。なのはから緊急で連絡を受けてね。それでちょっと詳しい事情を聞こうと連れてきたんだ」

 

 本局に着いてすぐに金髪の女の子が、クロノに駆け寄る。

 クロノの彼女かと思い、移動中に仲良くなったエイミィに頑張れと念を送っておく。

 まったく、罪作りな人だね、クロノは……。

 

「なのはが危ないの!?」

 

「ちょ、待ってくれ、フェイト。次元世界の危機と彼女の危機を同一にしないで、いや、間違ってもないんだが、次元世界の危機の方が遥かに大事だ」

 

「私にとっては同じことだよ」

 

 ふむ、此処で待っていてもいいけど、っておや? 凰花の友達?

 

『まぁ、狼をベースにしてるから、仲間みたいなものだろうけど、使い魔とプログラムの違いかな』

 

 オレンジ色の毛並みをした大きな狼を見ながら、素直な独白を思ってるとアウラと同じように念話で会話してくる凰花。

 

『頼むから心を読まないで……』

 

『はいはい、思春期だもんね♪』

 

 凰花の言葉に顔を赤くして、からかわれてる事に気付き、ガクリと肩を落とす。

 まぁ、思春期ですけど……。

 

「で、アンタがその危機とやらを知ってるみたいだけど、どうなんだい?」

 

「ん? うん、正確には黄昏の書が、だけどね」

 

 いつの間にか話の中心がこちらまで来ており、質問されたことに答えながら黄昏の書を取り出して開く。そこには遠回し的な文で、今後の危機が書かれていた。

 

 ―――世界の海を渡りし舟より転生せし闇。刻満ちる雨天の夜、再び目覚め束の間の平穏を過ごす。しかし、時は無情に主を蝕む時、騎士達は(おの)が武器を持ち、惨劇を繰り返す。闇は世界に拡がり、禍々しき波を引寄せ、世界に破滅に導かん。

 

 …………うん、スッゴい分かりやすい。

 まるで古代によくある遠回し的な預言ではなく、現代の言葉を誰にでもわかるように古い言い回しをしてるだけだね。

 

「世界に破滅はわかるけど、他が謎だね。クロノ、何か他に分かるとこある?」

 

「世界の破滅と、世界の海を渡りし舟かな……これはアースラの事だろう(そして舟より転生せし闇は多分……)」

 

「あ、そうか言われてみれば……」

 

 …………クロノは大部分は理解してるみたいだけど、金髪の女の子はまだよく分かってないのかな。

 これは、クロノと金髪の女の子の経験の差ってとこだね。

 

「とりあえずは、黄昏の書を詳しく調べるから、少し待ってくれ」

 

「わかった」

 

 黄昏の書を持ってクロノは、先へと進んでいくのを僕と金髪の女の子、フェイトとオレンジ色の狼さんも後を追うようについていく。

 

「……あの」

 

「何?」

 

「私、フェイト・テスタロッサって言います。この子はアルフ……よろしく、ね?」

 

 ああ、そう言えば互いの自己紹介はまだだったか、聞くタイミングも逸れたし……。

 

「さっきクロノが紹介した通り、篠崎かいとだ。カイトって呼んで?」

 

「うん!」

 

「良かったね、フェイト。友達が増えてさ」

 

「うん、早速なのはにビデオレターで報告しなくちゃ!」

 

「あ、そん時はアンタも居るんだよ?」

 

 自己紹介した途端に、この盛り上がりよう。

 いったい何がそんなに嬉しいのか、それに度々出てくるなのはって、高町なのはの事なんだろうけど、僕もなのはと友達なわけで、これは言った方が良いのだろうか?

 

『と言うわけで、多数決……言った方が良い?』

 

『言った方が良いんじゃないか? 話題が広がるだろうし』

 

『だが、カイトと高町の友達としての付き合いは、そうない。俺は言わなくても良いと思うが……』

 

『言ってくれなかった悲しみを考えてやりなよ。あの子達の話からすれば、友達が居らず、なのはが唯一の友達みたいだろ? 日頃のなのはの話でも良いんじゃないか』

 

『どうでも良い……って、昔の僕なら言うだろうね。僕は言った方が良いと思う』

 

『そうですね、私も言った方が良いと思います』

 

 上から順にオルカ、バルムンク、凰花、司、アウラが案を出してくるが、その殆どが言った方が良いと言う結果になった。

 盛り上がる彼女達を見て、僕も言った方が良いかもと思い教える事にした。

 

「そのなのはって子なんだけど」

 

「なのは? なのはは、私の一番の友達で優しい子なんだ」

 

「あ、うん、そうなんだ……」

 

 ……ダメだ、とても言える状況じゃない!! いや、言えないこともないけど、彼女の言葉を遮る自信がない。

 

 と、そうしてるうちにクロノが一つの部屋に入って行って、僕はフェイトのいつ終わるかわからない友達(なのは)自慢を聞いていた。

 

 

 

 

 

 第四話 時空管理局本局

 

 

 

 

 

「いろいろと調べさせて貰ったよ。外部からの干渉は一切受け付けないってのは本当らしいし、君の協力のお陰でこれは君が所持していても問題ない安全なロストロギアと判明した」

 

 そう言って黄昏の書を渡してくるクロノ。まぁ、危険と判断される可能性の機能を調べさせて無いけどね。

 封印処理されて管理されてしまうと、世界の危機に立ち向かえないし、何よりもアウラに会えなくなるのは嫌だ。

 

「それと預言の文だけど、これは専門家に回してみたところ、闇の書と言う極めて危険なロストロギアとわかった」

 

「「闇の書って?」」

 

 アウラの情報で僕を襲ったのが闇の書の守護騎士で、世界を滅ぼすモノってのは知ってるけど、預言と守護者プログラムの機能しか知らないと言う設定の僕が闇の書について聞かないのはおかしい。はぁ、いろいろ取り繕わないといけないのは、かなり面倒だ。頭痛がする。

 そのあとクロノから軽い説明を聞いて、僕の実力を試す事になった。

 何故、模擬戦とは言え戦わないといけないのか、クロノに聞いてみると「現地協力者として君を戦力に加えるつもりだからさ。 その為には実力を知っておいても損はないだろ?」との事だ。

 うん、まぁ、一応理に叶ってるよね。戦いたくないと言っても良いけど、それは流石に今後動く事に支障を来す。

 

「良いけど、誰が相手? 僕、一応戦闘未経験者だから、弱いよ?」

 

「クロ……」

 

「アルフ、君が相手をしてやってくれ」

 

 フェイトが目を輝かせてクロノと言うが、フェイトの声を遮ってクロノがアルフを推した。

 そこからフェイトの落ち込みようは、とんでもなかった。

 

「え、アタシ? クロノがやりなよ。そう言う実力を見る戦いは得意だろ? もしくはフェイト」

 

「っ!!」

 

「確かに僕が直接やれば手っ取り早いけど、客観的に彼の実力も見たいからね。フェイトは手加減出来そうにないから……」

 

 アルフが自分の名前を出してくれたことに、落ち込んで俯いていた顔を上げて花が咲き誇るような笑顔でウンウン頷くが、クロノの否定的な言葉でまた落ち込む。

 

 ……なんだ、このコント。

 

『ふむ、この時代の強敵(とも)の実力が知りたい』

 

『そうだな、ある程度水準が有れば、それに合わせれる』

 

『では、凰花はそこの落ち込んでる方と戦ってみては?』

 

『そうしようかね。 私としては、あっちの男の子が良いけど……』

 

「クロノ、フェイトと戦いたいって言う人が居るんだけど」

 

 話が纏まりクロノに凰花の事を話すと、「守護者プログラムの実力も確かに必要か。フェイト、構わない……みたいだな」クロノは少し考えながら、フェイトの方を見るとやる気十分にアップしてるフェイトが居た。

 うん、何はともあれ、バトルパート行ってみよう。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

「蒼炎、セットアップ!」

 

 ――ゴッ!!

 

「さぁ、胸を借りる勢いで掛かってきな!!」

 

 カイトの周囲に蒼い炎が現れると、カイトにオレンジ色の冒険者服を模したバリアジャケットを纏わせ、アルフは両拳をぶつけて好戦的な笑みを浮かべながら構えを取る。

 

『動きはThe Worldをプレイする感覚で、頭の中にイメージをすれば動ける』

 

『わかった』

 

 アウラのアドバイスを受けてカイトは、手にした双剣を逆手に持ってアルフと対峙する。

 

「それでは、始めてくれ」

 

 ――ビーッ!!

 

 合図と共に駆け出す二人。

 先に間合いに届いたのはアルフで、雷を纏わせた拳をカイトに向けて振るが、床を力強く蹴って一瞬加速して拳を避け、深く懐まで潜り込んだカイトは振り上げるように双剣を縦に一閃させる。

 しかし、元が獣の為かアルフは反射的にカイトの反撃を回避して、掌にオレンジ色の雷弾(フォトンランサー)雷弾を至近距離で放つ。アルフのカウンターを直感で察して足下に小さな(シールド)を展開して蹴り、その反動で回転しながらその場から離れる。

 相手に隙を見せない為か、蒼炎弾(フレアショット)を飛ばす。

 

「っと、ハッ!! 本当に初心者かい?」

 

「ええ、でも、シミュレーションに近いのをやってました」

 

「なるほど」

 

 アルフが問い、カイトが答える。確かに先程の攻防は初心者とは思えない動きだが、熟練の戦士とは思えない程の雑で無駄な動き、初心者が戦いを習い始めてようやく見れるようになったくらいのレベルだった。

 自分で初心者と言っていたにしては出来すぎており、アルフの質問はクロノが思っていた事でもあった。

 

「形が出来てるんなら、上げるよ?」

 

「いつでも」

 

『此処からは、蒼炎のアシストをつけておくね』

 

『お願い』

 

 ――轟ッ!!

 

 アウラがカイトの中に眠る蒼炎を目覚めさせると、カイトの周囲に今までよりも大規模な蒼炎が吹き出る。

 その瞬間、アルフも今までとは違うと感じ、すぐに飛び出さずに魔力で身体強化しながら油断なく待ちの構えでカイトを観察する。

 

「飛炎・虎輪刃」

 

 双剣をクルリと回すと炎が円刀(チャクラム)のような形となり、カイトはそれをアルフに向かって投げるように放ち、自らもアルフへと駆け出す。

 放たれた虎輪刃をアルフは難なく回避して、カイトを迎え撃とうとするが、獣の直感で身を捩るように跳ぶと、アルフの胴を撫でるように虎輪刃が通過して、カイトを通りすぎてゆっくりとターンしながらアルフへとまた向かう。

 

「誘導弾!?」

 

 自身へと再度襲ってくる虎輪刃に、誘導弾と判断したのはなのはの戦闘を見ているからだろう。

 しかし、実際は誘導弾とは似て非なる魔法、追尾弾なのだ。

 

「ハァッ!!」

 

 そして虎輪刃に気を取られ過ぎて、カイトの接近に気付くには遅く、気付いた頃にはカイトは蒼炎を宿した双剣を振りかぶっていた。

 

「チィッ!!」

 

 勝てる!! カイトはアルフの反応を見て、勝ちをイメージした。

 カイトの攻撃で怯み、そこに虎輪刃が襲い、追撃で魔法を放てば墜ちる。

 そう確信するカイトを裏切るように、アルフはカイトが先程見せた(シールド)を足場にして回避する行動で、カイト波状攻撃の流れを止めた。

 

「え?」

 

 アルフが回避した事で大きく空振りして、自ら放った虎輪刃に直撃するカイト。これはカイトの油断が原因だろう。

 確かにカイトのイメージ通りなら常人では対処できずに墜ちるが、アルフはフェイトの使い魔として飼われているとは言え、大自然で生きてきた狼であり、戦闘も師匠と呼べるべき人から、フェイトと共に戦ってきた事から、カイトの何倍もの経験をしてるのだ。

 例え守護騎士を赤子のように捻る蒼炎のアシストがあったとしても、カイトに慢心、油断があればそれは発揮されることはない。

 さらに言えば、カイトのイメージ通りの攻撃が通ったとしても、アルフは墜ちずに反撃してくるはずだ。

 

「んー、なんだか、調子狂うね~」

 

 自分の攻撃を食らい、自爆したカイトを呆れ顔で見て頭を掻くアルフ。初心者と思ってやれば一本取られ、ベテランとまで行かないがソコソコやれると思い戦えば初心者の顔を出すカイトに、どうやれば良いのかわからなくなったアルフはどうするかと考える。もし此れがカイトの思惑ならば成る程、カイトは凄く演技が上手く、こちらの油断を誘って成功と言っても良いだろう。

 しかし、カイトのソレは演技ではなく素なのだ。その証拠に戦闘体勢を解いた自分に襲い掛からないのだ。

 未だ煙の中で構えてるカイトは……。

 

「アンタが少しはやれることはわかったよ。それはクロノにも十分にわかったはずさ、だからこっからは全力で一撃勝負と行こうじゃないか?」

 

「全力で一撃勝負?」

 

 アルフの提案に首を傾げ、暫くして合点が付いたのかカイトは快く頷いて先とは別の構えを取った。

 それは腕を交差して、双剣を逆手から普通に持つように構えて蒼炎を放出する。カイトに合わせるようにアルフは再度構えて、自ら雷を纏い始める。

 バチバチッと空気を裂きながら放電するオレンジ色の雷、轟轟ッと空気を焦がす蒼い炎が徐々に間合いを詰め、そして触れあった。

 

 ――ッ!!

 

 先に動いたのはアルフで、雷を纏いながら狼の姿へとなってカイトへと駆ける。

 それをカイトはまだ構えて、頭の中で蒼炎の動きを覚え、徐々に動きを自分の体へと合わせていく。

 

 ――蒼炎……

 

 そしてカイトの目がアルフを捉え、蒼炎の動きを完全にトレースして現最大の業を放った。

 

 ―――トライエッジ!!

 

 斬ッと、空間ごと切り裂く音を響かせ、カイトの前方には歪な三角形の傷痕があったが、突貫してきたアルフが何処にも居なかった。

 だがカイトが見つけるよりも速く、カイトはお腹から来る衝撃で意識を失った。

 

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