普通って本当に存在するのだろうか

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壊れた世界

目が覚めるとそこは、私の部屋だった。何の変哲もない、女子高生の部屋。天井の模様と目が合う前に布団を飛び出した私は、意識がはっきりとする前に階段を駆け下りていた。

そこにはいつものようにお母さんが朝ご飯を作っていてくれて、お父さんがコーヒーを飲みながら新聞を読む。一般的な家庭の図がある。そう思い、何も疑わなかった 。

一階に降りるとまず目に入ったのは、珈琲カップの裏側を舐めまわし、白目をむいている全裸のお父さんと、のっぺらぼうの自分の髪の毛を引っ張る上半身だけのお母さんの姿だった。

「あ、、、あの、、、、」

声が出なかった。どういえばいいのかわからない不快な臭いがするリビングで、異常な光景を目にしているのだ。

「螟ァ螂ス縺阪〒縺咏オ仙ゥ壹@繧医≧縺阪∩縺後″繧峨>縺?縺壹▲縺ィ縺ュ」お母さんのようは上半身だけの謎の物体が叫ぶ。口がないのに叫ぶ。

「縺ゅ&縺セ縲√d縺輔↑縲√∪縺悶i縺溘o縺?∪縺カ繧九f繧九◆縺ー縺輔d縲√↑繧峨°縺ッ縺溘&繧?&」

同じく意味不明のお父さん。

狂ってる。頭がおかしい。意味不明だ。こんなところにいたら自分の脳みそもおかしくなってしまいそうだ。

走る。靴を履く。全速力で家から飛び出す。

 

外へ出ると、いつもと同じような、いつもよりも清々しい朝のような天気だった。太陽がまぶしく、家の中が嘘みたいな。そんな気がした。

誰かに会いたい。普通の人と会いたい。怖い。怖い。

お隣さんと目が合う。家の前をほうきで掃いていた。

ほうき?ほうきなのか?違う。ほうきなんかじゃない。見覚えのあるズボンがついている。人間の下半身である。お母さんだ。そうに違いない。

怖い。怖い。走る。走る走る走る走る走る走る走る走る走る。

学校の前まで来た。幸い家に近く、だれとも会わずに来た。校門を通り、中に入る。

下駄箱を見ると、半分くらい人が来ているようだった。ひとまず、自分と同じ考えの人間がいて安心する。

同時に、友達もみんなおかしくなってしまったんじゃないかと怖くなる。行くしかない。選択肢は残されていないのだ。

靴を履き替え、自分の教室へと向かう。話し声が聞こえてくる。

「あれまぢやばくない?まぢ怖いんだけど」

「ほんとに!ちびっちゃいそうだったーw」

ああ、私と同じ、普通の人もいるのか。安心する。教室に入るとそこには、床に人間の生首だけが転がって会話をしている。友達もいっぱいいる。本当にどうなっているのだろうか。

目が合った合ってしまった。一人がしゃべりだす。

「繧??縺溘↓縺医s縺ソ繧薙↑縺溘☆縺代※縺?k縺九&繧薙☆縺阪〒縺」

目、鼻、耳、口という顔のありとあらゆる穴からウジ虫が湧いてくる。

ウジが。たくさん。わいてくる。すぐさま教室の床のほとんどはウジで埋め尽くされた。

気持ち悪くて吐きそうだった。しかしそれよりもこの場所から離れることを優先した。

階段のほうに全速力で走る。

玄関に行く階段が防火シャッターでとじられていた。上へと上がる。

何も音のしない空間。上級生の階には人の気一つしない。

屋上へ行こう。地域全体を見渡してみよう。そう思った。

屋上には、真っ黒の人の形をしたなにかがいた。

意味不明だが、安心できる雰囲気を出していて、逃げようとは思えなかった。

「やあ。どうしたんだい?」

話しかけられる。とりあえず答えてみる。

「会話が、、できるんですか?」

「まあ、できるよ。」

「よかった…。普通の人がいた…。」

「普通?どういうことだい?」

「だって朝起きたらみんなおかしくなっていて…。まともな人と会えなくて…」

「僕や君みたいな人が「普通」なのか?少なくとも今は僕たちじゃない人のほうが多い。この地域の中でも会話ができるのは君と僕くらいだろう。たった二人しかいない。それを普通というのか?」

「でも…昨日まではみんなが私と同じような感じだった。」

「それはあくまで「だった」という君の中だけの記憶なんだ。その他の全員が「昨日からこうでした」というだけで異常者は君のほうになる。第一、たった一秒前の動作なども、今となればただの「一秒前こうしていた」という記憶なんだ。もしかしたら一秒後に今の記憶を入れられるアンドロイドかもしれない。意識も感情も知恵も人格も全て記憶でしかない。それを自分だけが信じてるというのか?おかしいのは君だったりして」

「私がおかしいってことですか?そんなはずない!私が普通なんだ!たしかに記憶だけど、確証のある事実なんだ!」

口ではそういったが、果たして本当にそうだろうか。そういわれれば言われるほど、「自分」が、「記憶」が、「普通」が、不確かなもののように思えてきた。

普通、正しい、当たり前なんてものはこの世に存在するのだろうか?

基準なんてものはあるのだろうか。いつも通りの変わらない日々がとても尊くて、不思議で。二度と戻らないものだと感じた。

狂っていたのは自分か、周りか、この世界か。

白目向いて笑ってるやつが普通なら、私も最期はそうしよう。

せかいがさかさまになった。

 

 

 

 

 

 

普通なんてつまらない。周りと別のことがしたい。私は特別なんだ。いつも周りにそう言っていた少女はおかしなものに手を染めてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある少女が、薬物乱用により幻覚をみて発狂。高校の校舎の屋上から飛び降り死亡。

 

 

 

 

 

 

おかしかったのは少女で、普通だったのは少女だった。


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