METAL GEAR SOLID 3 : PREDATOR EATER   作:きゅっぱち

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テンポのないバトル回に。バトル回にこそ文才のなさがよく出ると思っています。萎えたらごめんなさい。


中章 蛇は宇宙生物の夢を見るか

マズルフラッシュが視界を灼き、落雷のような轟音が鼓膜を叩く。

 

戦士が戦士として生き、その生を実感出来るのは戦場だけだ。

 

今、スネークは戦士として、戦場に立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──夢を見ていた。

 スネークイーター作戦は無事成功。今スネークは雑踏の中タキシードに身を包み、ニッポンのトーキョーシティにいた。周りの日本人は皆腰にサムライブレードを差し、ネオンサインが踊る下を忙しそうに行き交っている。彼らの特徴的なセカセカ歩きは、その姿を滑稽なものと演出していた。

 そこにおかしな格好をしたEVAがやって来た。道行く人がぺこりとお辞儀をし、セカセカ歩き去って行く。スネークはそれをボンヤリと眺めていた。

 

「EVAか?何だその格好は?」

「あら、知らないの?キモノという日本の服なのよ?さぁ、行きましょう」

 

 向かうはスシバー。暖簾をくぐると元気な声が聞こえた。席に座るとスシマスターが声をかけてきた。胸のカードに"ロバート・オカザキ"と書いてある。

 

「オットンガエルを4つ」

「2つで十分ですよ」

「いや、4つだ。2つじゃない」

「2つで十分ですよ」

「それにラーメンも」

「分かってくださいよ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハッと目を覚ます。時計を確認、1分もたっていない。白昼夢の様だった。やけにはっきりしてたな、これじゃいけない。もし"ヤツ"の話を聞いてしまったら…………。

 頭を振って頭から締め出す。それよりもっと恐ろしい現実とこれから戦わねばならないのだから。

 

「奴と戦うには………武器は…」

 

……手元にあるのは、

コルト・ガバメント M1911A1"ハンドキャノン"大型拳銃

フェアチャイルド XM16E1"ブラックライフル"突撃銃

イジェフスク AK-47 "カラシニコフ"突撃銃

イサカ M37 "フェザーライト"散弾銃

イズマッシュ SVD "ドラグノフ"狙撃銃

ソ連製の破砕、スモーク、チャフ、スタングレネード。

TNT高性能爆薬、M18"クレイモア"対人地雷。

 

「奴は見えない。奴からは見える。勝つには、奇襲か、罠を用いた待ち伏せ(アンブッシュ)しかない……敵の位置、視界まで分かるレーダーがあれば………いや、そんな無い物ねだりをしてもしょうがない、か……」

 

 スネークは地図を見て、地雷とTNTを設置し、マークをつける。

 奴はバカみたいに大きい。ジャングルも静まり帰っているが、念のためクレイモアのピンは強めにセットする。万が一にも自分の罠で死ぬわけにはいかない。しかし、こんなもので仕留められる相手では無いと薄々感じていた。

 

 ボンヤリとしたシルエットのみであるが、確実に体長は2mを悠に越していた。それに、大の大人を抱えての跳躍。人間業とはとても思えなかった。真っ向からやりあって勝てる相手ではない。現に、奴はあの巨体で素早く三次元機動を行い、姿を消し、謎の武器を備えている。スネークの手がかりは微かに見たシルエット、照準用と思われる三点レーザーポインターのみ。状況は最悪だった。

 

《スネーク?何をしてるんだ?》

「これか、奴を仕留めるための工夫だ」

《M37のマズルチョークを削って………成る程、ダックビル加工の真似事か。奴は見えない、メクラ撃ちで少しでも命中率を上げるためか》

「そうだ。人間は、配られたカードで戦うしかないからな」

 

 ショットガンの先端には"マズルチョーク"というパーツがあり、これにより散弾の収束率を変更できる。そこを削り、銃口を上からやや潰す。正面から見るとアヒルの口の様に見える為"ダックビル"と呼ばれたそれは、散弾を水平に散らばらせる為の特殊加工だ。これならばいくら射撃が下手でも、銃身を水平に保ちさえすれば大体当たるのだ。第二次世界大戦時、米空軍の警備兵が飛行機から敵を守る為に、この様な改造を施したショットガンを使っていた記録が残っている。本来は工房などにより改造、マズルを取り付ける事で行うのだが、戦場にそんな贅沢な設備も時間も無い。暴発の危険もあるが、背に腹はかえられない。

 つまり、スネークは見えない敵に対し、スラッグ弾という一発の弾でなく散弾を用い、更に先端を簡易改造、散弾がより広範囲に散らばるよう改造したのだ。この無理な改造により射程距離は著しく低下するが、スネークはこの武器を至近距離で使おうと決めていた。脳裏にあの断面が過ぎる。敵は噂に聞くサムライソードの様な鋭いブレードを持っている。斬られたらシャレにならない。

 

 また、敵のスピードに対応するため、あまり大量の武器弾薬類を持ち運ぶ訳にはいかない。AK、SVDは定点に置き、いざという時に使う様にする。

 主兵装(メインアーム)はXM16E1をチョイスする。

 AKは頑丈だが、フルオート時の命中率は低い。それに対しXM16E1は整備性剛性こそAKに劣るものの、軽く、命中率、集弾率、及びフルオート射撃時のマズルジャンプがAKよりは小さく、ハンドリングが容易な為だった。ここは前線からも遠く、手に入れたAKも質の良いAKでは無かった。セミオートでも命中精度は余り高く無いのが現実だった。AKの持つストッピングパワーは捨て難いが、当たらなければ仕方がない。的は大きいが、素早い。それなら確実に当てられる武器が好ましいだろう。

 

 次にチャフグレネード、スモークグレネードを組み合わせる。敵の目が人間と同じならスモークで誤魔化せるが、レーザーポインターはきっとそうはいかないだろう。その為の対策だった。

 スタングレネードは最終手段だ。ここに約100万カンデラ以上という莫大な閃光と、160-180デシベルの爆音を防ぐ建物はない。自分の感覚を潰しかねないスタンはなるべく使いたくない。そもそも見えない敵に効くかすらも分からないのだ。

 

「パラメディック、透明な生き物はいるのか?」

《いるわ。グラスキャットなんてそうね》

「猫?そんな猫がいるのか?」

《魚よ。透明のね。でもあなたの言う様な完全な透明じゃないわ。映画の透明人間も神経や目が隠せなかった様に、光を受ける器官があり、身体に厚みや複雑な構造がある以上、見える部分はどうしても出てしまうのよ。後は……タコかしら。タコは周囲の風景に溶け込めるの。肌の色や形を変えてね。でも、透明になれる訳じゃない》

「いつかそんな迷彩ができるかもしれないが、今じゃない。そうだ、敵に一番近い生物はなんだ。あの運動性能、凄まじいと思ったザ・フィアー以上だ。とても人とは思えない。信じられないが、何らかの生体兵器かも知れない」

《現実では………映画の話になるけど……》

「もしかしたら参考になるかもしれん。話してくれ」

《私が観る映画は、人と別の生物がくっついてしまうものはたくさんあったわ。皆、人の形をしているのだけど、頭だけ違ったりするの。皆、人以上の力を持つわ。だけど、どんな力を持っているものも不死身じゃない。さっきの透明人間だって、どうしても少し見えてしまったり問題はたくさんあったの。がんばってねスネーク、貴方なら大丈夫よ。私も貴方と話せなくなるのは嫌。がんばって》

「ありがとう、パラメディック」

 

 そこへ通信が入る。相手はEVAだ。

 

《スネーク!!良かった!!やっと通じたわ!》

「EVAか、聞きt」

《大丈夫よスネーク。こっちもてんてこ舞いだけど、状況は分かる。スネークの敵は、こちらでは "Хищник "……英語では、そうね、"プレデター"とでも言いましょうか》

「"プレデター"………捕食者か…」

《ええ、大体10年毎くらいにそこへ現れる、正体不明、被害甚大、対処不能な事例。最重要機密なの。"森の悪魔"、"暴風"も同じ奴の別称よ。これが現れた時、軍は箝口令を敷き、その地域を封鎖するの。もうすぐミノフスキー粒子が散布されジャミングによる無線封鎖始も始まってしまう。今…こにいる……ザ…貴方と………ザザ…よ》

「なるほど……一対一のルール無用制限時間無しの一本勝負か…ん?今何て言った?」

《奴を倒…ザザッ……うはi……迷sザッ……みz…………》

 

 雑音が酷く、上手く聞き取れない。既に状況は転がり出しているという事なのだろう。

 

「EVA?おい!クソッ、ダメか」

 

 スネークは毒づき、電波妨害(ジャミング)によりザーという雑音のみを吐き出す様になってしまった無線機の電源を落とす。

 

「………まぁいい。敵は分かった。後は、倒すだけだ」

 

 今は俺と奴だけ。幾ら暴れても五月蝿い外野は来ない。

 奴もそれに気づいているはずだ。ここは今もう既に俺の場だ。目は誤魔化せても、ワイヤーは誤魔化せない。

 

………スネークの作戦はこうだ。

 こちらから仕掛けるのは不利なので、奴が仕掛けてくるのを待ち、奴がクレイモアに掛かった瞬間TNTを爆破する。それでも仕留めきれない場合は、TNTにより焼け出された奴を銃で撃ち倒す。それだけだ。作戦は単純な方がいい。複雑な作戦はアドリブに弱い。それに、戦術とは奇策を用いる事ではないのだ。過去の積み重ねから、最適解を導き出す事に他ならない。マニュアル通りに行くならば、それが一番なのである。

 スネークは目を閉じた。話に寄れば、東洋では目を閉じ、ザゼンを組んで集中するらしい。ただその時を待つ。日が傾き、暮れ始めたその時だった。

 

──時は来た。

 

 クレイモアが音を立て炸裂した。クレイモアは設計通りの効果を発揮し、キルボールを撒き散らす。反撃の狼煙だ。

 

「ショータイムだ」

 

 スイッチを押し込みTNTを炸裂させる。高性能爆薬の信管に稲妻が走り、眠れる獅子が咆哮をあげその真価を発揮する。

 ジャングルに光が迸り、爆音が木々を揺るがした。

 耳を塞いでも腹に響く轟音。耳を塞ぎ口を半開きにして伏せていなければそれだけで肺が破裂するぐらいの爆音がスネークを揺さぶる。

 

 爆炎により圧し折られた木片が飛び散り、大木が火を放ちながら倒れて行く。美しかったジャングルは跡形もなく破壊し尽くされ、辺りは地獄絵図と化していた。

 

「ヒュー、戦場は地獄だぜ」

 

 素早く立ち上がり、周りを見回しつつ似合わない事を言ってみる。

 スネークは凄まじく興奮しつつ心は冷静だった。こんなもので奴が死ぬはずがない、さぁ、戦おう!どちらかが生き、どちらかが死ぬ。そんな命のやりとりする、最高の時間にしよう!

 

 ナイフを抜き放ち、CQCの構えをとる。ナイフは揺れる焔を照り返し紅く輝いていた。

 

"そうね、後は、ゲーマーとしての勘を信じなさい"

 

 "あの人"の声が脳に響く。背後に殺意を感じ、咄嗟にしゃがんだスネークの頭上をエネルギー弾が過ぎてゆく。

 しゃがみつつ体を捻りショットガンを抜き、エネルギー弾の弾着角度から大まかに狙いをつけ射撃。12ゲージ00バックが九つの散弾をばら撒き、その一つがヤツ(・・)の腕を、二つが胴体を捉える。蛍光グリーンの液体が敵から噴き出る。どうやらヤツの血らしい。

 

「──………血がでるのなら、殺せるハズだ」

 

 ヤツの咆哮を聞きつつスモークグレネードを投げ、ついでに破砕手榴弾も投げ姿をくらます。

 

 スネークは心からこの戦いを愉しんでいた。

 

……………………………………………………………………

 

足元で音がした時、直感に身を任せ咄嗟に身を投げ出していた。

何かが腕を、足を擦り、それとほぼ同時に大爆発が起きる。

幸いにも二段目の大爆発は致命傷とならなかったものの、プレデターは痛みに思わず呻き声をあげた。痛みが彼を興奮させ、同時に、彼は怯え、逃げるだけだった獲物が牙を向いてきたことに無常の喜びを感じていた。

 

燃え広がる火はジャングルを蹂躙し、熱が広範囲分布しているものの、その中で火の無い地域を見つける。

そこで彼は獲物となる低温のシルエットを察知し、肩のプラズマキャノンを放つ。

 

信じられない事が起こった。敵はプラズマキャノンをまるで背中に目があるように回避して見せ、躱しながら反撃してきたのだ。胴体と腕に感じる痛みが彼を激昂させた瞬間、目の前が再び爆発した。

多数の破片を浴び、よろけた時には既に敵は居らず、前はあらゆるセンサーを利用しても見えない煙が広がっていた。彼は敵が戦士であることを再確認し、威嚇の咆哮をあげた。

 

……………………………………………………………………

 

 スネークは走っていた。後ろからは凄まじい咆哮が聞こえる。木の裏に隠れ、ショットガンに弾を込める。走りつつ撃ち、最後の一発を撃とうと振り向いた瞬間、殺気を感じ身を引く。

 凄まじい風切り音と同時にショットガンが真っ二つになった。既に原形をとどめていないショットガンを投げつけつつローリング。元いたところが大きく見えない何かに抉られる。XM16を構える暇は無いと判断、サイドアームのM1911A1を抜き全弾発砲、全てその空間に吸い込まれ、明るい緑の蛍光色を放つ液体を撒き散らすも、敵は動きを停めない。

 

「化け物め!」

 

 スネークはここで賭けに出た。スモークを全てばら撒き、スタンを後ろに放り出しつつ敵の足元を滑るようにスライディングをかました。

 体格差からスライディングを当てても意味がない事は分かっているため、スモークとスタンを囮に自分を見失わせる事を狙った起死回生の一手だった。

 

……………………………………………………………………

 

スモークを突破し、プレデターは前方を走る獲物を視界に捉えた。散弾が足を捉え、兜に弾かれるも足を停めず、振り向いた獲物にリスト・ブレイドによる必殺の一撃を食らわせる。その一撃は敵の武器を破壊するものの仕留めるに至らず、投げつけられた敵の武器だったものを軽く払い、今度こそはと一閃させる。

 

あるはずの手応えが無い。

 

ヤられた、と思うがはやいか脇腹に複数の衝撃を感じ、痛みを堪えそちらに向き直り突進する。その瞬間爆音が身体を揺さぶり、再び例の煙が沸き出て、彼は獲物を見失った。

 

……………………………………………………………………

 

「何て奴だ。"プレデター"、奴は不死身か?」

 

 上手く"プレデター"を振り切り、スネークはSVDを構え伏せていた。奴は必ずエネルギー弾を使う。その時を狙うつもりだった。

 

 スネークは、幸運を持つ男だった。昼間の泥とさっきまでのドンパチで彼の身体はほぼ全身が泥に覆われ、"プレデター"から見えていなかった。日は完全に落ち、TNTによる火災が空を紅く染めていた。

 

「……………見つけた」

 

 彼が探していたものは、ヤツが放つレーザーポインターだった。闇に沈みつつも揺らめく火に照らされるジャングルの中、獲物を探すようにゆっくりと動くレーザーを目で追う。

 

 遂に待ちわびた時が来た。

 

 レーザーポインターは三つの点からなっている。それが倒木にかかる瞬間、段差でそのポイントがズレる。スネークはそこのズレから敵の位置を割り出し、遂にその姿のシルエットを捉えた。

 

「Hasta la vista, Baby!」

 

 引き金が引き絞られた。スネークが抱きかかえる様にして構えたSVDが火を噴き、その真価を発揮する。

 SVDの放つ7.62mm×54R弾が、秒速830mで夜空を染め上げる様に紅く燃え上がるジャングルを駆け抜け、一直線に目標へと吸い込まれていった。

 

 

 

 

 




序章で、次の次で終わると言ったな、あれは嘘だ。多分次で終わります。多分スネークなら弱点を知らなくても倒せると思う。
後、本来狙撃時含め銃による射撃時は手振れを抑える為呼吸を止めます。このスネークの様に喋りながら撃ってはいけません。
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