pray,and play   作:錯乱墓

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Prologue2 行動原理

人の姿を象る。

巨大すぎる精霊の反応を、隠蔽する。

それによって、エスペランサは自身を人間に偽装した。

当然、人間に近づくための下準備である。

 

だが、一口に『人間に近づく』といっても、事はそう単純ではない。

否、近づくだけならいくらでも呼吸のように容易く行える――――だが、()()()()()()()()()

まず、エスペランサがただ普通に人間のもとに向かったとしても、神霊種である彼女は人間に逃げられる。

神霊種など、人間にとっては災禍に等しい――――どころか、災禍など及びもつかない存在なのだ。そんなものが近づいて来たら、逃げる以外に打つ手はないだろう。

故に、彼女は自身が神霊種であることを隠さなければならない。

だからといって、神霊種以外の種族に化ければいいという話でもない。神霊種だろうが何だろうが、人間にとって他種族が脅威であることに変わりはないからだ。

故に彼女が化ける姿は――――人間。それ以外の選択肢など、考慮に値しない。

と、結論を出し、彼女が自身を人間の姿に変えてもまだ問題は残る。

確かに人間を欺くだけならそれで十分だ。だが、エスペランサが目的を達成するにはそれだけでは足りないのだ。

彼女は、人間の観察――――ひいては希望の源泉の特定を目的としている。故に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

だが、人間はあまりにも脆く弱い――――それは(エスペランサ)のお墨付きだ。

他種族一匹に遭遇して、それが種の根絶につながる程度には弱い――――よって。

エスペランサは人間の集落に他種族が来るリスクを減らすため、自身の精霊反応を偽装しなければならない。

そして、万が一他種族が人間の集落に近づいてきたときには、これを撃退する必要さえある。それも人間には察せられず損害も与えず――――だ。

その難易度は、恐ろしく高い。当然簡単に出来ることではない――――だが、エスペランサは観察をやめようとは欠片も考えなかった。

 

――――希望が、わからない。

エスペランサは、希望の神霊種でありながら希望という概念を毛ほども理解していなかった。

未来に悲観し、過去に達観し、今に諦観する。彼女は、希望を抱くことが出来なかったのだ。

それもそのはず。彼女には――――生きる目的が一切なかったのだから。

願われることで生まれる神霊種――――その行動原理は、当然自分を生んだ願いによって決定される。

だが――――ここで、エスペランサは彼女にしか起こりえない最悪の事態に見舞われる。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

故に、彼女は目的を持てない。

故に彼女は希望を抱けない。

行きたい場所もないのに、歩き出すことがないように。

目的もなしに、行動するなど出来るわけがない。

やりたいこともないのに、やる気が溢れたりしないように。

行動する気もないのに、希望が抱けるわけがない。

 

だが――――突然、世界に希望が生まれた。

人間が抱いた希望によって――――この世界に、今までなかった希望が生み出された。

それによって、エスペランサは今まで持ちえなかった目的を――――行動原理を持つことが出来るようになった。

『希望とはいったい何なのか』。

終ぞ行動し(しらべ)ようとは思えなかった――――その疑問。

その疑問を明かそうと――――動くことが出来るようになった。

そして、現時点でエスペランサにそれ以外の目的は存在しない。

だから――――観察をやめるという選択肢は事実上存在しないようなものなのだ。

 

命の危険?顧みる意味がない。

むしろ、己に行動原理(もくてき)をくれた人間を守るくらい当然の恩返しだ――――

彼女には、そのような思考しかできない。

 

だから彼女は、人の姿で集落に向かう。

そこで人のように立ち振る舞い、人として生きれば――――私にも『希望』が理解できるはずだ。

『希望』の神霊種でありながら、欠けている『希望(モノ)』。

自身の存在証明が――――できるはずだ。

エスペランサはそんな()()を胸に、戦火渦巻く赤い天蓋の下を歩いた。

 




要約:今まで志望大学が見つかってなかったけど、ようやく見つけたよ。やったぁ。
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