鬼滅の波紋使い   作:速川渡

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連載版第7話目でございます。

構想に関しては依然投稿時より完成していたのですが、
流れが強引というか不自然だったので少し時間がかかりました。

今回のお話も多少不自然だったり、
これは解釈違いとなる方もいるかもしれませんがご容赦ください。

後、産屋敷耀哉さんへのヘイトマシマシです。
苦手な方はこの話を読まなくても大丈夫なように次のお話に
続けるのでそちらをお待ちください。


初めての説教

 次の日、男はその子供が次の任務に行くのを見送ってから、烏の鬼退治の知らせも聞かず真っ直ぐとある屋敷へと足を向けた。もちろん産屋敷邸である。屋敷に無造作に入って、邸主を見つけると襟元を掴みあげた。

 

「どういうつもりですか。いきなり」

「それはこっちのセリフだ。なんで俺の小屋に怪我人なんぞ運び込んできやがった」

 

 男は耀哉の真意を何となく察していたが納得はできなかった。さらに言えば、それに対して激怒していた。耀哉はなんともないような雰囲気で正直に答えた。

 

「...ええ、貴方も察しているように、貴方がどの程度の怪我人を治せるか知りたかったので鎹烏に貴方の小屋まで案内させました」

「しかも、その前の任務に強い鬼でもあてただろ。裂傷が数えきれねぇほどと数十か所の打撲痕、骨折もしてた。だけどそれが日常茶飯事のように意識だけはしっかりとしてた」

「はい、その通りです。いやはや、大きい骨折以外は完治とは現代医学以上に頼も──

「ふざけるのも大概にしろよボウズ。お前がしてるのは鬼一体に襤褸(ボロ)切れ寸前になるようなガキを玩具のようにこき使ってるだけだ」

「しかし、そう簡単には死なないはずですよ」

 

 男の怒気が満ちた説教に、それでも耀哉はなんでもないように返し続ける。

 

「なんでわかる? 」

「彼らには七日間、飢餓状態の鬼たちが跋扈(ばっこ)する山で生き抜くだけの力があるからです」

「なるほどな。そいつが話に聞く選別試験ってわけか」

 

 男は仙道を込めず、勢いがほぼない軽い張り手を耀哉にぶつける。しかし、そのはたきは耀哉の心を抉った。自分がこんな風に頬をはたかれ説教を受けるという経験がほとんど無かったゆえか、その張り手には怒りと思いやりがあったゆえか。頬はほぼ痛まないのに何故か胸の奥が苦しくなった。

 

「それが言ったまんまの選別なら狂気の沙汰だ。蟲毒でも作る気かてめぇは」

「鬼舞辻無惨を倒せるのであれば、私たちは手段を選びません」

 

 ここで産屋敷耀哉は初めてその声を震わせた。平静を保たせるような落ち着いた声はその悔恨故か震えていた。男は逆に選別方法の愚かしさに怒りを通り越して呆れながら、捨てるように言葉を放った。

 

「手段を選ばないとかそういう話じゃないだろ、阿呆すぎて話にならんな」

「貴方に何が分かるっていうんだ! 」

「何もわからんがお前らのやってることは、ただ無為に命を犠牲にし過ぎていることには違えねぇ」

 

 立場が反転した。産屋敷は生まれて初めて噛みつくように叫んだ。怪異殺しはそれを受けて正論を返した。男の主張は何一つ違わない。そして、それをその通りだと受け止めそれでもなお歩みを止めぬ、とあと数年歳を重ねていれば返せただろう。

しかし、正論(それ)を受け止めるにはまだ青年は若すぎた。何も返す言葉はなかった。

 

 しばしの沈黙。

 

 後、男は産屋敷(こぞう)の襟元を放り煙管を取り出す。耀哉の顔はいつもの姿からは想像もできないほど歪んでいた。うっすら目尻に涙も浮かべている。

 

「なんだよ腹黒小僧、年相応なとこもあるんじゃねぇか」

「……」

「こうしてお前を叱ってくれる奴はいなかったか、泣きそうになってるぞ」

「っ──」

 

 男は薄ら笑って産屋敷を茶化しながら煙管から煙を呑み込む。それに産屋敷は軽く恥じらい、涙をぬぐい去って出来るだけ平静を装い言葉を返した。

 

「ええ、貴方の言う通りです。しかし、この選別で何人もの強い隊士が生まれているのも確かです」

「死んだ奴は仕方ないと? 馬鹿言え、その強い奴の何倍の人間がその試験で死んだ? 或いは試験を切り抜けても、その後死なない保証はないだろうが」

「ある程度の死人が出るのは仕方ないのです」

()()()()と来たか。その程度が狂ってると言ってるんだがな。なんなら、俺がその試験とやらを管理してもいいがね」

 

「は? 」

 

「その試験方法が言ったまんまなら考えなしで、非効率的で死人が多すぎる。俺なら軟なやつは通さないし、死人が少なく済む」

 

 産屋敷耀哉にとってこの男がそこまでしようと動くことは想定外だった。ただ、悲鳴嶋から眼を治してもらったという話を聞いて、怪我人も治せるかを確かめようとし、この正体不明の男の力の程を見定めようとしていた。さらに言えば、この鬼殺隊を抜けるようなことをいつ何時(なんどき)言ってきてもおかしくないと思っていた。しかし、怪異殺しを名乗る男はより鬼殺隊として重要な役割を担おうと申し出てきた。

 耀哉の中に『彼ならばこれからの鬼殺隊の隊員の質を上げることができるかもしれない』という期待と『何かを企んでいるのではないか』という不安が入り混じる。しかし、提案自体はもっともらしいものだし、よりよい試験方法の考えがあるなら聞いてみるのも悪くない。

 

「具体的にどうするつもりなんですか」

 

 紫煙をゆっくり吐き出しながら、男は選別の方法についての大まかな考えを話し出したのだった。




明治コソコソ噂話
[明治コソコソ噂話]
よくよく考えたら、このお話は大正以前のお話だから
明治の元号が正しいと気づいて今更全話分明治コソコソ噂話に直してるよ。
ぶっちゃけどうでもいいことだよね。

[産屋敷耀哉]
作者曰く、『この当主、頭無惨との血筋を感じてしまう』らしいよ。
というかこの物語を書いていくうえでこの先もずっとヘイトを被るであろう人物なんだって。
実際、やってることは非道でドス黒い行為だし、覚悟ガンギマリでも許されることではないようなことをしているわけだし仕方ないよね。


[原作:鬼殺隊選別試験]
本編でいってた通り、七日間の間藤襲山というお腹ペコペコの鬼たちが
いっぱいいる山の中で生き残ることが合格条件だよ。
作者的には、この条件中々に狂ってるから変更したかったんだって。


次回では柱合会議にて新選別試験の方法についてなどを書ければと思います。

誤字脱字、講評批評、その他感想などお待ちしております。
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