鬼滅の波紋使い   作:速川渡

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連載版第一話完成でございます。

原作前から、話を詰めていく予定です。
ゆっくり進めていければよいかなと思っております。

ちょっとアンチ・ヘイト注意です。


連載版 一部 原作開始前
怪異殺しの男


 明治の世、技術、文化などが大きく西洋寄りとなり、(あやかし)や怪異はあまり信じられることがなくなっていた。実際に見たものが、ほぼ居なかったためだ。

 居なかったという言葉では語弊が生まれるだろうか、見たものは皆一様に死するか狂人と成り果ててしまうか。正気を保ったまま、それらから生き残るものは少ない。

 

 男は、そのような世の中で、誰から報酬を受けるでもなく。怪異や(あやかし)の影あるうわさあれば、その者たちを殺し、或いは祓い被害に遭った者たちを救っていた。

 外見にして(よわい)は、十代後半。しかして、彼を知るものは少なくとも彼が二、三十年は生きていると話す。もしかして、男自体が怪異なのではないかと噂する者もいるが、とある健康法によるものであると男は嘯く。基本山奥に住まい、人と会うことは少ない。

 

 その男を探して、一人のなよっとした病弱そうな青年がその山奥へと訪れる。そこには山小屋と川にかかった水車、畑があった。そのあたりに人の気はなく、山小屋にも誰もいないようである。出掛けているのだろうか。青年はその山小屋前で待とうか検討しているところに、後ろから声がかかる。

 

「あんた、俺の家になんか用かい? 」

「えぇ、貴方が怪異殺しさんでしょうか」

「まあ、そうだな。お前さんのような、若いもんがこんな山奥に来るとは珍しい。何か依頼ごとか? 」

「依頼といえばそうなるでしょうが、口頭で直ぐ言い終わる内容でもありません」

「良いだろう、前の仕事の清めが今終わったとこだ」

 

 男は青年を小屋の中へ促し、囲炉裏までつれて湯を沸かします。男は煙管を片手にとり、火をくべようとして躊躇する。

 

「煙草はダメかね? 」

「いえお気になさらず」

「そうかい、なら遠慮は失礼だ」

 

 微笑をこぼして、煙管に火を入れ一服する。そうして、煙草の煙を体に循環させ、湯が沸いたところで茶を注ぐ。

 

「飲みな、ここまで歩きで疲れたろう」

「ええ、ありがたく頂戴します」

「ふむ、なんとも我慢強い奴だな。普通なら煙管を取り出すあたりで、話をけしかけるようなのが多いんだが、茶を出すまで依頼について言葉を発しなかったのは、あんたが初めてさ」

「いえ、喉が渇いていたもので、話すに話せなかったのです」

「そうか、じゃあそろそろ聞かせてくれないか? 」

「ええ、まず自己紹介をさせて頂きます。私は産屋敷耀哉と申します」

「自己紹介なんぞするやつも、初めてだな。で、用件は何だってんだよ」

 

 青年は真っ直ぐと男を見据えて、何か悟りきったような面持ちで言葉を発する。男はその顔から死にかけている老人を思い出した。彼の年代がしていい顔ではない。そして思ってみればこの声も、心地のよさを感じる。何か事情持ちなのだろう。

 

「私の依頼というのは鬼退治です」

「鬼退治ねぇ、坊ちゃん。もっと具体的に聞かせな」

「はい、私の一族は鬼を殺す鬼殺隊というものを組織しています。貴方のその幼き頃から、鍛えられた()を貸してほしいのです」

「……話の答えを出す前に二つ聞かせろ。お前が、なぜ、それを知っている。お前が言う()ってのは歴史の影の存在であり、知るものは少ない」

「さて、そういったものを知るコネが、私にあるというだけの話です」

「……そうか、ではもう一方だ。俺があんたの話を蹴ったとして、あんたはその力の存在を一生胸に秘めていられると誓えるか? 」

「もちろんですとも」

 

 青年は柔和な笑みを浮かべてそう答えた。男はそれを見て、恐怖を覚えた。何故って、その青年に安心感に似た気持ちを得た故だ。青年はどのようなことになっても、言わないでいてくれると、確信できてしまった。()()()()()()()()()。自分は警戒していて、その警戒心が一気に信頼に変わった。これは異常だ。

 一つ、呼吸を入れる。煙管を吸うではなく純粋な深呼吸。落ち着くための呼吸だ。

 

「ふふ、坊ちゃん。あんた中々に傑物だな。ろくな大人になんねぇだろうさ」

「ええ、心得ています。それでも、私は鬼の元凶を倒さねばならぬのです」

「鬼の元凶、鬼舞辻無惨か。ウチの一族でも代々伝わってるよ。幸いにも遭ったことはないようだけどな」

「その男は我が一族の恥部なのです。貴方のその力は、奴に対してかなり有効でしょう」

「伝え聞く、鬼の特徴と同じであればその通りだろうさ。やってやる義理はないがな」

「確かにその通りです。貴方は金には興味がないようですし、対価を求めるわけでもない」

「そうさな、断る腹積もりでいた。だけど、お前は目的のためなら何でもしそうだ」

 

 男は続けて、「対抗策は俺以外にもあるのだろう、そして、その策は多くの命が伴う。違うか」と青年をにらみつけて、怒気を混ぜた声で言い放つ。

 青年は、ため息を吐いて、困ったように声を漏らす。

 

「えぇ、その通り。私は鬼舞辻無惨(おに)を殺すために手段を問う気はありません」

「……お前さん、地獄に落ちるぜ? 」

「構いませんとも、目的(おにたいじ)が成るのなら」

「はぁ、まあ。断れないよなぁ」

「ありがとうございます。ですが、こちらの考えを見透かされるとは」

「甘く見るなよ小僧。こちとら今年で(よわい)四十だ。腹芸の一つ二つ見抜くなど造作もないさ」

「失礼しました。では、わが屋敷に案内します」

 

 こうして、怪異殺しの男は、鬼退治に駆り出された。これが、この後の運命を大きく変えるのだが、今は誰も知る由なし。




というわけで、産屋敷さんに協力要請される図ですね。
原作では柱さんとか炭治郎とかが心酔してて良い人に見えるかもですが、はたから見たら外道行為ですからね。
因みに彼の持病による顔の爛れはまだない感じです。原作で言うところの、悲鳴嶋さんを助ける前あたりから物語は始まっております。
なので、ゆっくりと進行していこうと思います。

誤字脱字やご感想などお待ちしております。

次の展開について中々決まらないのでアンケートで決めます。

  • 波紋による治療編
  • 各柱(原作)との絡み編
  • 各柱(本作)との絡み編
  • 以上全てダイジェストにして原作へ
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