鬼滅の波紋使い   作:速川渡

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連載版第4話となります。

遅くなりまして、お待たせいたしました。
読み切りぶりの戦闘回でございます。
男が圧倒的なのです。


鬼退治:表

 夕刻には随分早くに、かぁかぁと小屋の手前で五月蝿く鳴く烏。それは、人の言葉を介していた。

 

「カァカァ! 丸末山(まるすえやま)!! 丸末山!! 丸末山ニ鬼ガデタァ!! 波柱ァ向カエ!! 向カエ!! 」

「カラスのくせしてしゃべるのか......」

 

 そう呆れながら驚いたが、西洋には人真似する鳥がいるという話を聞いたことがあったので、あれは烏だったのかと納得(かんちがい)する。

 そして、ささっと身支度をし始める。最後に赤い首巻きを緩く結んで、足袋を履き小屋から出る。烏の案内の下、夕日が落ちる前には丸末山に辿り着く。烏は息切れを起こして、地に伏せてしまっているのに対して、男は全く疲れを見せていない。烏はその場で休ませて、山へと入っていった。

 

 山は草木で生い茂っており、樹の影で日の光は一切断たれていた。成る程、日の光で蒸発してしまう奴ら(おに)の拠点には打って付けだ。

 山林を進んでしばらく、日も沈み山の中腹辺りであろうか。男は火を焚いて、その場に座り込む。更には、煙管に火を入れて一服する。端から見れば、油断しているように見えるかもしれない。しかし実際は、火を焚き、煙草の煙を吐いて鬼を誘っているのである。

 果たして、山の主は現れた。それは、この山に迷い混んだ子供、それを探しに来た大人たちを喰らいに喰らい数ヶ月。鬼としてはまだまだ駆け出しではあるが、並の鬼殺隊を幾人も殺す実力を持っていた。鬼はこのまま殺してはつまらないと、男の後ろから声を掛けてやる。

 

「ヒヒッ、こんなとこで野宿なんぞして。鬼に喰われちまうぞ」

「いや。生憎、鬼に嫌われる体質でな。お陰でいつも逃げられてしまうのよ」

 

 だから、追うのが面倒なんでそっちを待ってたのサ。と薄笑いを浮かべて、鬼に向き合う。

 

 鬼になってから、鬼殺隊に対峙してもさして恐怖は覚えなかった。圧倒的にこちらが有利であり、実際、簡単に殺せたからであった。鬼にはそれほどの実力があった、多くの人間を喰らい自信もあった。それでも目の前の男が、死神のように見えた。鎌を首に掛けられてもう逃げられないような錯覚を覚えた。

 恐怖を覚えたとき、生物の行動は二つ。恐怖に向かっていくか、逃げるか。鬼は前者を選んで、男に攻撃を仕掛ける。叫びながら、腕を樹木の如く変化させて勢い良く男の方に伸ばす。

 

「う、うぉぉぉおおおおお!!!!! 」

「やれやれ。逸るなよ」

 

 鬼が男が居たところに、攻撃を当てる頃には。既に鬼は後ろを取られていた。男は樹木に変化した腕を避けながら、鬼の死角を通ったのだ。

 男は一呼吸置いて、貫手で鬼の首を飛ばすつもりで、一撃を入れる。鬼は後ろを取られ、振り向き、その一撃をまともに受けてしまうが、首が飛ぶことはなかった。首に傷跡が残る。

 

「グゲェエ! イ、イデェ! ゴハッ。糞が!! 何しやがった!! 」

「ほう、この程度じゃやはり無理か」

「うぐぐ、まだイテェな。だけど、こんな傷直ぐに......っ!? な、治らねぇ!? 」

「あぁ、治らねぇよ。ふむ、脆くなっては居るようだな」

 

 鬼が慌てているところで、もう一呼吸。今度は『コォォォォ』という奇妙な呼吸音を発しながらの呼吸であった。

 そうして、鬼が躱す間も無く、首元に淡く光った拳を叩き付ける。

 

 [仙道・波紋疾走]

 

 男は仙道という呼吸法で、太陽の力を身に纏う術を持っていた。それは普段からそうであり、軽い呼吸も全てその呼吸であった。太陽に嫌われた鬼たちに対して、この力は特攻を持つ。故に男は無手での戦いを得意としているのだ。

 

 今度の一撃で、鬼の首から上が宙を舞う。それが地面につく前に、今度は淡く光った脚で蹴りを見舞い鬼の(かぶり)は蒸発した。

 

「ふぅ、さぁて(けぇ)るかね」

 

 何事もなかったように、焚いた火を消して、山を降り、帰路に着いた。夜半ば、朝になる前には自宅の小屋に着いた。

 手拭いと着替えを持って山奥の渓流で身を清め、序でに魚を取る。

 

 そうして、朝になる頃に眠り着き、昼には起きて飯を食らっている内に、次の鬼の知らせを烏が持ってくる。

 幾らなんでも、早すぎるだろうと苦笑しながら、男は準備を済ませて鬼退治に向かっていった。

 




明治コソコソ噂話
[仙道・波紋疾走]
いわゆる、通常攻撃。ただのオーバードライブ。
因みに、一回目の攻撃は軽い呼吸でかなり薄い波紋だったよ。傷跡が残るほどの威力じゃないはずだけどなぁ。
[鬼]
血鬼術も使えて、ノーマル隊士だったら余裕で倒せてたから、かなり油断してたよ。
植物のように身体を変えられたり、植物を操る感じの血鬼術を使えて割りと苦労して倒させる予定だったけど、書いてる内に出落ちで倒される流れになった可哀想な奴だよ。
[丸末山]
適当に作った山だよ。原作と無関係な深緑豊かな山で、鬼の血鬼術がかなり有利に活かせるんだよ。鬼が出落ちだったから、意味無かったよ。

 鬼滅の刃のファンブック欲しいです。(切実)
 全巻も欲しいです。(切実)

 ただ、全巻揃えるのは難しいので、ファンブックだけでも手に入れて置きたいと思います。

 戦闘回と言えば、上弦とも原作前に戦わせたいですね。ただ、上弦はどいつもこいつも強すぎないっすか? 波紋使いの良さを活かしつつ、闘わせるの難しそう(他人事)。

誤字脱字、批評講評、その他感想をお待ちしております。

追記
短編版の一話がおかしな状態になっていたので、直しました。
多くの方が混乱したことと思います。申し訳ございませんでした。

次の展開について中々決まらないのでアンケートで決めます。

  • 波紋による治療編
  • 各柱(原作)との絡み編
  • 各柱(本作)との絡み編
  • 以上全てダイジェストにして原作へ

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