1%の可能性 作:どこにでもいる調推し
シンフォギアはYouTubeで公式の無料配信で追いかけているため、AXZとの設定の噛み合いをどうするか悩んでいたら、大分期間が空いてしまいました。
金銭面に余裕ができたら、シンフォギアのBlu-ray揃えていつでも振り替えれるようにしておきます。
連れてこられた先にあったのは、アニメなどでみたことがありそうな管制室のようなところだった。
全体を見渡せる位置に赤のワイシャツを着た男性が立っていることから、その男性がこの場でのトップなのだろうと少年は推測する。
そこの大型のモニタを見ていると、魚のような生物相手に少女二人と軍人が戦っていた。
ただ、軍人の攻撃はあまり効いていないのか、魚のような生物は槍のように体を尖らすと、軍人へ襲いかかる。
その鋭利な槍が軍人の体を貫くと、真っ黒な炭へと変わり、人の形を保てず崩壊し、その魚のような生物も同様に崩壊した。
魚のような生物が崩壊するところは実際にみたが、人も同じように崩壊するところは初めて見たので、少年は衝撃を受ける。
だが、ここにいる人たちはこういった光景に慣れているのか、冷静に対処していた。
その光景は少年にとって見たことのないもので、また、秘密基地のような光景は、八歳の少年の心を擽るには十分すぎた。
興奮して目を輝かせているが、それで、なにかをやらかして、ブタ箱行きは避けたいと考え、少し落ち着きを取り戻す。
そして、一段落ついたのか、赤色のワイシャツを着た男性は振り向き、声をかけてきた。
「呼び出しておいて、放っていてすまない。それで、君をここに連れてきてもらったのは、君が持つガングニールと同じ波形パターンを持つ物について聞きたいからだ。不躾ですまないが、君について、教えてもらえないか?」
「えっと、つまり、おれ……僕の持つ槍について聞きたいってことでいいんですか?」
「あぁ。いきなりで本当に申し訳ない。いつもなら歓迎会の一つでも開きたいところなのだがな」
「あ、その、歓迎会とかは別にいいんです。それで、槍についてはそう簡単に語るわけには……」
口ごもる少年に、「だろうな」と男性は呟く。
意外な反応に少年は目を見開いて驚いた。
「なにも知らない相手に自分のことはあまり喋りたくないのだろう? それはともかく、自己紹介をしよう。俺は、風鳴弦十郎。詳細は話せないが、ここの司令官をしている。趣味は映画を見ることだ」
「月読律です。その、そちらと敵対する気はないので、物騒なことをしないなら、こちらから攻撃することはありません」
「そう言ってくれるのはありがたい。だが、君のような少年が使うには、まだ早すぎるのではないか? まあ、そのことは良いだろう。それと、君に危害を加える事がないことは約束しよう。だが、もしもの時、君の助力が必要になるかもしれない。そういった話をしようと思うのだが、君のご両親と連絡をとれないだろうか?」
弦十郎の言葉には、精一杯の配慮が感じられる。
それくらい、ノイズを倒すことのできる人材は貴重なのだ。
「あ、はい。問題ないですよ。少し待ってください」
そう言ってポケットの中に手を入れ、子供用携帯所謂キッズケータイを探す。
だが、どれだけ探そうとも、出てこない。当然である。
律は、親友に心臓を貫かせた後、着ていたものと自身を灰へと変え、風に乗りこの日本にたどり着き、形を取り戻した。距離的に一部の灰が雨などの天候によってはぐれた可能性もある。その一部の灰の中に、キッズケータイの物も含まれていたと言う可能性があるということだ。
「連絡手段がないようなら、俺のを使うか?」
律の様子からなんとなく察した弦十郎から、スマートフォンを差し出される。
「いいんですか?」
「あぁ、これはプライベート用だからな。見られて困るようなものはない。おっと、ロック解除を忘れていた」
弦十郎が、スマホにかけていたセキュリティを解除すると、ダイヤル画面を出し、律に手渡す。
律はそれをお礼を言って受けとると、母親の電話番号を入録し通話ボタンをタップする。
数回コールオンがなった。
『お掛けになった電話は、お客様のご都合により、お繋ぎできません』
「えっ、どういうこと?」
「どうかしたのか?」
「いえ、電話が繋がらなかったので」
「そうか。できれば親御さんを交えて話したかったのだが、繋がらないのであれば致し方ない。君には少し不自由な思いをさせることになるかもしれないが、こちらから監視等の者をつけさせてもらう」
「あ、はい。わかりました」
その理解の及んでいない表情に、溜め息こそ吐かなかったが、不安を抱える弦十郎。
そんなとき、国の情報だったり等を漁って、律の情報を集めていた藤尭が呟いた。
「嘘、だろ……」
「どうかしたのか?」
「いえ、月読律と言う人物は、五年前に死亡届けが受理されています。公的には、死者です」
「いや、そんなはずないだろう。今、ここにいる訳だし」
「それだけじゃありません。十二年前、月読律は欧州に旅行に行ったときに行方不明。それから、数年後、月読夫妻とその長女が事故に遭い、夫妻の死亡が確認されています。また、現在は長女が行方不明となっています」
「つまり」
「月読一家の戸籍は現在ないと言うことになります」
自分のわからないうちに判明していく事実に、混乱し、不安になっていく。
それでも、取り乱さないよう努力できたのは、律自身が非常識の塊だったからに他ならない。
「えっと、つまり、俺は十二年前、セフィロトを描いた大樹に首を吊ったまま放置されてたってこと?」
「行方不明じゃなくて死亡してた!?」
「仮死状態ですよ。間違えないでください」
「首を吊った仮死状態ってなに!? この子、この歳でどんな、思考してるんだ!?」
「それで、どうしましょう。戸籍がないってことは、俺、帰る家がないってことですよね?」
「確かに、それは困るな……藤尭、お前の家に彼を泊まらせてやることはできるか?」
「そうしたいところですけど、無理ですよ。普通の公務員と比べると少し高い程度の給料しかない俺に、子供を養える程のお金はないです。て言うか、司令が面倒をみればいいじゃないですか。司令の家、デカイんですし」
「ふむ。それもそうだな。むさ苦しいと思うが、月読君、これからは俺の家に住んでくれるか?」
「え? あ、はい。わかりました」
気づけば、帰る家が決まっていた。
だが、会話の内容から、なぜ首吊りをしたのかや、セフィロトとはなんなのかなど、沢山の聞きたいことがあると思うのに、それでも、律と言う子供のために解決策を模索しているのは、人が良いと言うものだ。
因みに律としては、家がなくても問題はない。
というのも、適当な山奥で、適当な住居を作ってしまえば、後は適当に狩りをして、時々世界を動かしたり、転移したりして、妹を探すつもりだったからである。
神格を得た魔術師の思考はぶっとんでいた。
ただ、彼が魔術師でありながら、神格を有しているために、信仰と言うものも少しは必要になってくる。
目指すは門の内へと入り、一人前の神へと至ること。
彼は神格を得ても、門を開く能力はなかったのである。
その原因は、自身への信仰不足。単純に言うと格が足りなかったのだ。
だが、現代において、信仰を集めることは相当難しい。特に、新興宗教となると尚更だ。
そういった意味で、地盤を固めるためにも、この町に拠点を持てることは、とても喜ばしいことだった。
「それでは、一段落ついたところで、お茶にでもするか」
弦十郎がそういうと同時、ノイズが出現した。
藤尭の口調から緊急事態であることはすぐにわかる。
ノイズの出現場所は、Queen of Musicの会場らしく、一般人が多くいるらしい。
また、それに対抗できる戦力が現在ほぼ動けない状態であるとのことだ。
「動けないなら、自分がいきますよ。もしもの時のために、自分がいるんでしょう?」
「いや、ダメだ。人の目が多すぎる。相手も人質として一般人を巻き込んでいる以上、下手に手を出すということはないだろう」
「待機……と言うことですか?」
「あぁ。まだ子供の君を戦場に送るわけにはいかないからな」
「そうですか……それじゃあ、近くまでいってみます」
「何を……」
弦十郎がなにか言う前に、律はその場からいなくなっていた。
一応、二課には現代忍術を扱う忍者が存在するため、驚きはしなかったが、頭がいたくなるような案件であることには、間違いなかった。
「あの子も、司令や緒川さんのような人種なのか……」
藤尭の諦めたような呟きが、二課の一般人と逸般人の境界を如実に表していた。
※※※
藤尭や弦十郎が頭を抱えていると考えもせず、Queen of Musicの会場の近くにやって来た律は、キョロキョロと辺りを見渡していた。
「勢いで来ちゃったけど、これからどうしよう」
その呟きに答えるものはいない。それからすぐのこと、会場から沢山の人が出てきた。
その人たちは、少し歩くと、スマートフォンや近くのモニター等を見始める。
律もそれにつられ、そのモニターを見ると、ステージ上で、剣を模して作られたマイクを振り回しながら戦っている、女性二人がいた。
ただ、薄桃色の髪の女性、マリア・カデンツァヴナ・イヴは、マイクだけでなく、身に纏った黒いマントを自由自在に操りながら青色の髪の女性、風鳴翼を追い詰めていた。
「うへぇ、なんだこれ。って、まて、この波動……まさか?」
戦闘の余波こそ無いものの、ステージの上で起きていることだ。ガングニールと類似する物を持っている律は、ガングニールのシンフォギアから発されるエネルギー、その波を感じ取っていた。
「はい、はい。わかりました。小学三年生くらいの眼帯をしている男の子ですね。探してみます」
「迷子か?」
「そうみたい。眼帯をしている小学生だって。あ、こんな感じの子」
「ねぇ、小日向さん。もしかして、あの子……?」
大人しそうな女子高生から指差され、ピクリと律は反応してしまう。
その反応を見て、当たりとつけたのか、駆けてくるような足音が複数聞こえてきた。
律はなんとなくその場から離れようとしたが、ツインテールの女子高生に、捕まえられた。
「ねぇ、ぼく。親御さんは?」
「えっと……いません」
「もしかしてはぐれたの?」
「いえ、その、えーっと……」
しどろもどろに答える律に、なんとなく察した女子高生四人組は、律の居もしない両親を探すのを手伝い始める。
律は、申し訳なさを感じながら、会場内の状況を注視していた。
「そういえば、皆さんはどうしてここに?」
「ん? あたしたちはもう一人の友達と一緒に、このライブを見にこようと思ったんだけどね」
「その子がいつものごとく遅刻して」
「気づいたらこんなことになっちゃったってわけ」
「でも、響も大変なんだよ。響は困ってる人を放っておけないから」
「その、響さんって方、お人好しなんですね」
「うん。見てるこっちが心配になるくらいには」
「そんな友人がいるって良いですね。俺にもそんな友人がいたんですけど、今どこでなにしてるのか……」
その瞬間、律の後方から、ジトッとした嫌な視線が刺さる。
その方向を向くと、薄紅色の髪の二十代くらいの青年がいた。
「久しぶり、律」
「俺からしたら昨日ぶりなんだけどな」
「仕方ないだろ? あれから十二年たったんだ。うん。でも、これで確信に変わったよ」
「なにが?」
「君が亡霊であることが……だよっ!」
その一言が紡がれると、どこからか槍を取り出した青年が、律に向けてその穂先を突きつける。
「ちょっと、あんた、いきなりなにしてんのよ。迷子の子供に物騒なもの向けて」
「迷子? 確かにそうだね。この子は今、この世界にいてはいけないんだ。迷える魂はきちんと鎮めなきゃ」
「は? なに言ってんの?」
「あ、なるほど。そう言うことか」
「ちょっと! 君もなに納得してるのさ!」
「君と二人きりになるには、ここは少し人目がありすぎる」
「わかった。それじゃあ、一気に飛ぶな」
律は、身の丈以上の槍を取り出して軽く一振りする。
そして、その瞬間、律と青年の見ていた景色が一変した。ドームが見えていたところから少し離れたビルの屋上だ。
二人はいきなり変わった景色による動揺が見受けられない。
「よかった。もし、君がそんな力を使わなかったら、僕が使わないといかなかったから」
「そうか。お前も魔術、使えるようになったのか」
「違うよ。僕のは錬金術。君みたいに死んだまま、魂をこの世に留めることはできないよ」
「まさかだけど、神霊化と神格化を混ぜて考えてるのか?」
「何が違うんだい? 君は言ったじゃないか、神の力を得るために、君の持つその槍を心臓に突き立ててくれって」
「確かに、神の格はもらったが、神の核は得ていない。神霊に至るには神の核の方が必要なんだよ」
「意味がわからないね」
青年は、携えた槍を勢いよく律に突きつける。スピードの乗った槍を律は寸でのところで避け、柄を掴む。
じわじわと掴んだ手が熱くなることを感じる。
「神殺し、その一端か?」
「そんな昔のこと忘れたよ。僕にあるのは、あのとき、君を止められなかったことだけだ」
「つまり、神殺しの一端を担っているものであることは間違いないわけだ。槍にその特性があること自体は珍しくないからな」
「もうそろそろ、その口を閉じてくれると嬉しいな。亡霊!!」
「こいつ、ここまで話を聞かないやつだったか?」
八歳の握力では二十代の腕力に勝てるはずもなく、槍はあっさりと手から離させられた。
その離れた槍を、青年は律の頭上から振り下ろす。
律は、それを体を捻って避ける。
「なぁ、ホントに戦わないとダメか?」
「別に戦わなくても構わない。そのときは僕が君を滅するだけだからさ!」
「ダメっぽいな。許せよ。親友」
律が呟くと、空中に文字が浮かび上がり、その文字から木の枝が放たれた。
青年は、その枝を槍で打ち落としていく。
文字が消えると、また新たな場所から文字が浮かび上がり、次々とその文字から鋭利な木の枝が青年を襲う。
「くっ……」
「この程度で対処できなきゃ、俺と戦っても意味がないぞ」
余裕。その一言で言い表せるほど、状況がはっきりとしていた。
その様はまるで、RPG序盤でラスボスが登場し、主人公たちをボロボロにして、どや顔をかましているようだ。どちらがラスボスかなど言うまでもない。
「亡霊に心配されるとはね……だけど、そう言ってられるのも、時間の問題だ。僕の力は、君を見殺しにしてからの十二年の研究の集大成なんだ。君がもしも、本当に神霊化していたら、現世で迷う前に来世、神の世界につれていくために」
「愛されてるなぁ……できれば女子から愛される方が嬉しかった」
「ふざけていられるのも、今のうちだよ」
「だから、今のお前じゃ、俺に敵うわけないだろ」
激昂する青年に、律は、冷静に対処する。
正面から来る槍をかわし、凪ぎ払われる槍をかわし、押し寄せる炎の嵐を消滅させ、振り下ろされた槍を避けると、その穂先に乗る。
足の裏が熱くなるが、気にしない。
「こんな危険性を感じない、神殺しもあるんだな。俺の持つグングニルの方がまだ危険だぞ?」
「そうか。それは、君の心臓を貫いた槍だから、当然と言えば当然か。それじゃあ、今日のところはここまでにしておいてあげるよ。次会うときは、君を滅する」
青年がそういうと、赤い光を発する謎の陣が現れ、その光が収まると、青年の姿はなかった。
一人残された律は、再びQueen of Musicの会場へと転移する。
そのとき、会場の外ではなく、内側にとんだ。
青年との戦いの最中、ヘリコプターが会場の上空に見えたからである。
ステージ上では、よくわからない管制室の様なところで見た、二人の少女と、ステージ上でマイクを振り回しながら戦っていた少女たちがいた。
「なんだ、この状況」
「一般人!? なぜここにっ!?」
「俺のことは気にしなくてもいいですよ。少し、面倒ですけど、この周りのやつは倒しておきます」
律は、戦っている少女たちを無視し、周囲にいる倒しきれていなかったノイズを相手に無双を開始した。
通常の兵器では、対処できないが、律の持つ槍は少し違う。
原理的には哲学兵装だが、正確には、魔術師の作り出した、完全聖遺物グングニル。
平行世界の自身を集約し、自身に捧げさせることによって、ノイズ相手に高出力の攻撃を可能にしている。
「神様貫いたこの槍に、殺せぬものなどあんまりない!!」
律は完全にふざけながら戦い始めた。
その光景はあまりにもおかしなものだった。
適当に振り回された槍がノイズを片っ端から炭化させていく。一体崩れれば、二体、四体、八体、気づけばライブ会場にいたノイズは、全て律によって倒されていた。
「うーん。いい運動になった」
「気を抜いていられるのは」
「今のうち、デース」
「は?」
回転する鋸と大鎌が目の前に迫る。
それを律は避けるでもなく、受け止めた。
「デース!?」
「なんで?」
二人と少女から疑問の声が上がる。
それもそのはずである。
「なんで、こう、俺は命を狙われるのかな? さっきも親友と戦ったばかりだってのに」
律は鋸と鎌を受け止めた。手ではなく、空中で。
「ん? 君は……」
律は黒髪の少女に目を向ける。
「まあ、いいか。それで、なんで君たちは俺の命を狙ったわけ?」
「マムからあなたが危険だと言われたからデス」
「正直、小学生相手だと気が引けたけど、ノイズを倒したことから、普通じゃないってわかったから」
「うーん。なんともまあ、めんどくさそうなこって」
律の口調は二人の少女をなめていた。それも、心の底から。
「まあ、でも、あそこの女性、割りと不味い状況っぽいけど、放っておいていいの?」
「調」
「任せて。切ちゃん」
そういうと機械的なツインテールの黒髪の少女が、黒いマントの女性のもとへと向かっていった。
「ふーむ。俺の相手は君になるのか」
「小学生相手デス。手加減してあげてもいいデスよ?」
「むしろ、俺の方が手加減してあげようか?」
「小学生が、イキるといいことないデスよ。黒歴史確定デス」
「その口調の方が黒歴史になるんじゃないデスか?」
「真似するなデス」
「真似しちゃうデス」
子供のような争いが始まっていた。
一応言うが、律はわざとやっている。こうすることがいい方向へ向かうわけではないし、他の人達の手助けになるとは思えないが、時間稼ぎには繋がる。時々、物騒な鎌の刃が回転して迫ってきたり、少女が鎌を振り下ろしてきたりと、戦闘行為がないわけではなかったが、全てが律に当たる一歩手前で停止するため、有効だにはならなかった。
「それはそうと、ずっと気になってることがあるデスよ」
「ん?」
「なんで、あなたはその見た目から変わってないデスか?」
その問いに律の目は鋭くなる。
少なくともこの金髪女子の顔は見覚えがない。であるならば、自分のことをなぜ、知っているのか気になってしまう。
「……何を知ってる?」
「あたしは調が大切に持っていたものを見せてもらっただけです。そこにあなたと同じ顔の男の子が写っていたデス」
「記憶力がいいのか、聡い子なのか知らないけど、そうか。やっぱりそうなのか」
「つまり、調と関係ある人物ってことデスか」
「そうだな。そうだ。あの子と知り合いの君なら名乗っても良いだろう」
「知り合いじゃないデス。親友デス」
「あーうん。そう言う……まあ、いいや。俺の名前は月読律。あの子の兄だよ」
その言葉に、金髪女子の目が鋭くなる。
射殺さんとばかりの目に、さすがの律も動揺してしまう。
「調のお兄さんには全く見えないデス。見た目小学生デスし」
「ハハハ、どうやら俺は十二年間、木の下に放置されてたらしいからな」
「何で生きてるデス!?」
「神様だからじゃないかな?」
「気持ち悪いデス。ってマム? えっ、ホントデスか!? 急がないとデス」
通信か何かあったのか、少女が駆けて五人の少女たちが争うところに飛び込んでいった。
そのとき、「まだいたのかよ!?」という、イメージカラーは赤だと思われる、銀髪の少女が叫んでいた。そこから繰り広げられる戦いを、律は眺めていた。
「こんなところにいましたか」
「今度はなに……?」
「いえ、司令からあなたを連れ戻すようにと言われましたので」
「うがぁ、あのおっちゃんか……」
「はい。あのおっちゃんからです」
スーツの男性は律の手を引き、会場から外へと出ていった。
律はここまでかと思いながら、場を引っ掻き回せたことを少し楽しんでいた。
それから、少しして大きな虹色の竜巻が起きたのを確認すると、律は二課仮説本部へと連行された。
今度も似たようなことで連行されないよう、律は心に決める。それを守るかどうかは甚だ疑問であるが。
こんなところで今回は終了です。
久方ぶりに八千字書きました。匿名にしてない方の作品は基本五千字にしているので。
それでは、今回の話の振り返りをしていきましょう。
まず、律が調のことを『調』と言わないのは、自分がこれからどうするか悩んでいるから、というメタ的な側面があるというのと、未だ調ときちんと話せていないからという側面があるからです。因みに、他のキャラの名前を出していないのは、また別の浅い理由。
次に、律の言った神の格と核の違いですが、これは、本編でも言う予定ですが、神の格は半神半人、核はそのまんま神ということです。
そして、神殺し。これが一番悩みました。
AXZの用語解説で読んで存在は知ってましたが、まさか、こんな事態になるとは……。
青年の持つ神殺しと言うのは、響の持つガングニールとは少し特性の違うもので、また、律の神の力も、シンフォギア公式とは違うものになっています。
そこは、こちらの独自設定ということでなんとか。
それで、青年の持つ神殺しは、その言葉の通り、神の力を持つものに対する特効効果を持っています。原理で言うと、それが神であるならば、自身であれ牙を向くものであり、その基となる素材はフェンリルの牙から作られています。
律の神の力は、彼の持つグングニル(ガングニールとは差別化のため、こちらが律の振るう槍のこと)を心臓に貫かせることにより、平行世界の69億3千万の月読律を殺し、この世界の月読律に集約することで得たものになっています。
なお、残りの7千万の平行世界は、辻褄合わせで滅んで存在しないものになっていたりします。
数がなぜこうなのか、察してもらえると思いますね。
わからない人のため兼、察した人のための確信ようにヒントを出すなら、『七十億の絶唱』ですね。
それでは、今回はここまで、次回の投稿も相当時間がかかるかもしれません。XVが始まるのでもっとかも知れないですし……。
ですが、そのときも読んでくださると嬉しいです。
それでは、また次回、お会いしましょう。