1%の可能性   作:どこにでもいる調推し

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是非とも俺に教示してくれないか?

 仮設本部へとつき、やることがなくなった律は、仮設本部内をウロウロしていた。

 

「ん? 律君、どうしてこんなところに?」

「いや、おっちゃんがきねくりと別れたら、こっちに来いっていったんじゃん」

「そうだったな。もしかして、やることがないのか?」

「そうだよ。暇だからこうしてこの船のなかをウロチョロしてる」

「そうか。丁度いい。俺も暇なんだ。だから、君のもつ異端技術について教示してくれないか?」

「えっ? あぁ、はい。まぁ、良いですけど。どこから話せば良いですか?」

「ふむ。そうだな……」

「魔術について、でいいんじゃないですか? 神へと至った異端技術ですし、僕たちも知りませんから」

 

 ヌルっと会話に入ってきたNINJAに多少驚いたが、これが普通とばかりの弦十郎の態度に、律は驚いたことを表情に出さなかった。

 そして、律はNINJA、もとい緒川の提案に乗り、自信の持ちうる知識を披露することになった。

 

「まず、お二人は魔術と言われたら、どんなことを思い浮かべますか?」

「ふむ、そうだな……やはり、魔方陣とか大鍋を使ったものだろうか」

「僕もそんな感じですね」

 

 そこまで言われて、律はなんとなく二人の魔術への理解が一般人並みであることを理解する。

 むろん、この二人が異端技術に対して、それほど知識がないわけではないと言うことは理解している。

 

「それなら、まずは、誤解を解くことからですね。まず、大釜だったり、魔方陣を使うのは自分の扱う体系には少ないです。一応、自分が神に至るために利用した術式の一部には、その系列のものもありますし、悪魔召喚の儀式に魔方陣を利用する場合もありますが、それもあくまで一部です。ですので、今回、説明する魔術の基礎と言うものは、占いです」

 

 しれっと、次回もあるといいながら律は続ける。

 

「そも、魔術とは占いから派生したものと、ソロモン王が旧約聖書に記された神から授かったもののパターンがあります。日本の陰陽道も基は占いですね。では、その占いがどうして魔術として広く知られるようになったのかというと、魔女狩りの影響が大きいでしょう。

 当時、奇跡と言われることをした人物は魔女と呼ばれ、正しいとは言えない裁判にかけられ、火刑に処されました。つまり、当時の占いをしていた人物の大半は殺され、そのときに魔術が普及したとも言えます。

 そのときに名をはせれたかもしれない錬金術師も同様です。

 と、話がそれましたが、基本、魔術において占いと言うものは切っても切り離せない関係にあります」

「となると、俺たちの中の魔術師像は、魔女狩りが行われた時の考え方が大きく影響しているのか?」

 

「はい。占いは女性の方が信じやすいですし、女性だからこそ、当時の魔女狩りが行われたとも言えます。

 では、魔女狩り以前の魔術と言うものがどういったものなのかというと、ルーンを利用した占いや亀の甲羅や動物の骨を利用したものがありました。

 俺の魔術はこのルーンを基礎としたものです。まあ、俺の場合、普通とは違うので全く参考になりませんけど、ルーンを使うと言う点においては差異はないのでこのまま解説しますね」

「ルーン? 確か昔の欧州辺りの文字だったか?」

「あ、それは知ってるんですね。それなら、ルーンの説明はそんなにしませんよ。わからないようでしたら後でネットで調べてください。

 ルーン文字というのは、ゲルマン民族が使用していた文字で、記録用と占い用の二つの側面があります。

 当然、占いで使うので文字そのものに意味があるものもありますし、占い方は多種多様なので、難しいことは全て省いて言いますと、ルーンを魔術的記号に合わせ行使することにより、ルーン魔術と言うものは可能になります。

 例えば、ギューフとイスを組み合わせ、指を指す、これだけで」

 

 律は弦十郎を指差す。そして、そこに文字が浮かび上がると、弦十郎の体に異変が起きた。

 

「ぐっ……ぬっ、ぬうぅぅぅぅん」

「は?」

 

 と思っていた時期が律にもあった。と言うのも、律が指を指したのは、対象を指定し確実に効果を出すため、そして、律の使用した魔術は対象を動けなくするものだったのだ。

 

「おかしいだろ!! おい! なに、なんで動けんの!? あんた人間? 神様と同等の停滞の魔術くらって動けるって何さ!?」

「うむ。確かに、キツいな。気を抜けば声すら出せなくなるだろう」

「いやいやいやいや! 確かにそうだけど、こんな人間がいるなら俺の解説要らなくね? もう、あんた一人にノイズ倒せる兵器作るから、おっさん一人で世界の平和守ればよくね?」

「そうしたいのは俺も同じなのだが、立場上他が許してくれなくてな……」

「すんません。取り乱しました。それじゃあ、解説を続けます。先ほどおっちゃんにかけたのは、指を指すと言うターゲットを捕捉し、病気にかける魔術を応用し、その病気の呪いをルーンによって停止という風に変えたものです。ルーン魔術事態はそんなに難しいものではないので、誰でも簡単に覚えることができますよ」

「それは僕たちでも可能なものなんでしょうか?」

「はい。紙とペン、それだけでできます。多少魔術ができるようになった人物なら、頭の中で術式を組んで魔術の行使が可能ですが、魔術初心者であるお二人には、まず、ルーンにおける占いをしてもらいましょう」

「いや、俺は話を聞くだけでいいのだが……」

「安心してください。魔術の神と聖書の神の力を一身に纏う自分がお二人の占いのバックアップをさせてもらいますから、失敗はあり得ません」

 

 話を聞かない律が楽しそうだったので、それ以上二人は何も言わなかった。

 因に神様のバックアップありの占いが外れないはずがないので、その結果を紳士に受けとめるしかないことをこと時の律は考えもしなかった。

 

「司令、恋愛関連が絶望的って……」

「う、うむ。まあ、ここに勤める以上、色恋などできるはずもないな」

「おっちゃん、ドンマイ」

 

 そんな寂しげな会話を偶然にも聞いてしまった藤尭は、涙ぐむ目を擦り、仕事に戻っていった。

 

 

※※※

 

 

 律は帰宅を始めていた響たちと合流し、仮説本部での出来事を事細かに、三人に話していた。

 その時、弦十郎の恋愛運が壊滅的で絶望的なまでにないと言うことまで話したので、クリスがおかしくなり、お腹を押さえながら笑い始めてしまった。

 

「あっははははは! なんだよ、おっさん恋愛運ないとか、残念すぎんだろ! あー、やべ、腹いてぇ」

「おい、雪音そんなに笑うこと……ふっ」

「あんただって笑ってんじゃねぇかっ。っはぁー、べぇマジつれぇ」

「二人とも、笑っちゃかわいそうですよ。師匠だって結婚をしたいと思ってるかもしれないじゃないですか。そうして頑張ってる師匠を笑うなんて……ふふ、やっぱり無理──! 我慢できない」

 

 いつまでも笑っている三人に、律は一言、こう言った。

 

「因に三人の分は俺が占いました」

 

 その一言に空気が凍った。

 

「えっ、えっと、勝手に占っちゃダメでした?」

「いや、その、お前が占ったってことは」

「ほぼ外れないということで」

「で、どんな結果が出たの? あたし知りたい」

「りょーかい。それじゃあ、ビッキーから」

「ちょっとまて、魔術師が占ったってことは一種の未来予知みたいなもんなんだろ? それって、この先の結果がわからるってことじゃねぇのか?」

「未来予知とかそんなちゃちなものじゃないですよ。神様からの啓示みたいなものです」

 

 えっへん、誉めろ誉めろーと言わんばかりに胸を張る八歳児。

 実際問題、律は右目を捧げ、この世界の知識を得ているため、この世界の過去、未来、現在に至るあらゆる人物の基本的なところからかなり踏み込んだところまで知っている。

 この世界で現在、どれだけの人が死に、どれだけの人が生まれ、どれだけの国家でどれだけの人が苦しんでいるのか、それすらも知識として得ているのだ。

 占いというものに頼らなくても、答えは得ているようなものである。

 

 だが、そんなことを考えさせる暇を与えないのは、律の幼稚さが、そういった人知を越えた知識を得ていることを察せれないほど、高いからなのだろう。

 

「はいはい、自称神様からの啓示ってやつ聞いてやろうじゃねぇか。魔術師だったら、外したっておかしくはねぇんだろ?」

「まあね。あと、魔術師の大半はロマンチストとリアリストが同居しているような生物だから、時々矛盾したこととか平気で言うからね? 

 よーし、それじゃあ、楽しみにしているビッキーから」

「よしきた! ドーンとこい」

「まず、ビッキーは近くのフラグに気づきましょう。たくさんの人をタラシ込んで、たくさんの人を巻き込んだ大騒動にまで発展しかねません。とくに、身近なそうですね……同じ布団で寝るような人との距離感には気を付けましょう」

「なんで、未来と一緒の布団で寝てるの知ってるの!? 律くん、いつ知ったの!! ねぇ! ねぇ!!」

 

 律は無視して翼の方を向く。

 

「次は翼さんですね」

「ふむ、私か? 私はこの国の剣となるため、日夜研鑽を積んでいる身だ。色恋沙汰などにうつつを抜かしている余裕はないのだが……」

「取り敢えず、過去にとらわれすぎない程度の付き合いはしましょう。過去を忘れろとは言いませんが、過去に囚われるのとは違いますので」

「これは、手厳しいな……」

「最後にきねくり。きねくりが一番どう伝えるのか迷ったんだよなぁ」

「あぁん? どういうことだよ?」

「だって、きねくりって色々大変な事件にまきこまれてるでしょ? だから、俺から言えるのは、詐欺に引っ掛からないようにってことと、年下との相性が抜群に良いってことくらい。あと、素直になれないからといって、他人を名前で呼ばないことがあるから、それが不況のもとになる可能性があるってことくらいかな?」

「あたしのだけ、なんか話のベクトルがちがくねぇか?」

「仕方ないね、きねくりだもん」

「なぁーにが仕方ないだ、このクソガキぃ」

「ぎゃー、痛いぞきねくり────!!」

 

 理不尽な暴力が律を襲う。だが、この距離感こそが、この二人の関係とも言える。

 仲の良い姉弟とも錯覚できる銀髪の少女と眼帯少年は、最終的には互いに笑いあっていた。

 

「ふぅ、痛かったぁ。翼さんもビッキーも助けてくれたっていいじゃんかー」

「いや、二人の距離感が昨日一日で大分変わっていたことに驚いてな」

「うんうん。なんか本当の姉弟みたいだったよ」

「はぁっ? こいつが弟とかごめんだぞ。ピーマン食わねぇし、脱いだ服を投げ捨てて、風呂にはいるし」

「俺もきねくりみたいな姉は嫌だね。食うときめちゃくちゃ汚いし、口うるさいし」

「なんていうか、姉弟の距離感って感じがひしひしと伝わってくること以外わからないなぁ」

「そうだな。まあ、雪音が楽しそうで何よりだ」

「ど、どこがだよ!! めちゃくちゃ面倒くさいんだぞ、こいつの面倒見るの!!」

「でも、クリスちゃん昨日、率先して律くんを預かろうとしてなかった?」

「し、してねぇよ! こいつが帰る家ねぇから、仕方なく……」

「あのあと、翼さんの家は汚いからとか、ビッキーの家は同居人がいるからとか言ってなかった?」

「ちょーっと、おまえはだまってようなぁーっ!」

「ぐぎゃー! 痛い痛い、痛いってばよ──!!」

「まーた始まった」

 

 会話が始まれば、必ず律のこめかみは押さえつけられたり、グリグリと拳を入れられたりと散々な目にあう。

 

「それで、今日もうちに来るか? あたしも暇だし、面倒くらいは見てやっても良いぞ?」

「ほーん。きねくり、それは、きねくりがいっちょまえにご飯もこぼさずきちんときれいに食べれてから言えることだぞ?」

「んじゃ、今日はうちに来ねぇってことで良いのか?」

「きねくりは、俺がいないといけないからな。ここはお兄さんとして、きねくりの面倒を見てしんぜよう」

「はっ! お前があたしの兄貴になれるわきゃねぇだろ」

「これでも兄貴やってた時期があるんですぅ。年下の面倒くらい見れますぅ」

「少なくともあたしはお前よりも経験が深いんだ。見た目通りのお前よりは年上やれるよ」

「十二年木の下で首つってただけですぅ。実年齢的にはこの中で一番年上ですぅ」

「精神年齢が見た目通りじゃどうしようもねぇよなぁ? いくら、二十歳でも、体も心も成長してないんじゃないか?」

「ほら、雪音、月読、話がずれてきているぞ。結局、月読は、雪音の家で預かるということで良いのか?」

 

 二人の会話がズレ始めていることに気づいた翼が、軌道修正する。

 律はうーん、と悩んだ結果、「きねくりの面倒は見ないといけないからな」と生意気なことをいって、クリスの家に泊まると言うことになった。

 当然、クリスも、「お前の好き嫌いが直るまで泊めてやるよ」と挑発的に、受け入れていたと言うことは語るまでもない。

 結局、二人の姉弟ゲンカじみたやり取りは、クリスの家に着くまで続けられた。

 

 

※※※

 

 

 来年には小学校へと通えるよう、手続き等を二課が主導で行いながら、F.I.Sの同行を探って約一週間たった。

 一週間あれば、お気楽のーてんき眼帯少年月読律がクリスと距離を縮めるには十分すぎ、姉弟ゲンカもほぼ毎日行われていながら、そこそこの信頼関係が生まれつつある。

 

「はぁ、めんどくせぇ」

「ため息をつくと幸せが逃げてくぞー、きねくり」

「そんな迷信魔術師が言うなよなー。はぁー」

「そうでもないぞ。現にきねくりも、現在進行形で不幸だぞ?」

「あー、確かに。十七で子供を育てる立場になるとは思わなかった」

「なに!? きねくり、子供を産むのか!?」

「お前のことだよ。この眼帯キッズ」

「失礼な! 俺は立派な大人だぞ!! 少なくとも魔術師界隈では天才なんだぞ!!」

「はいはい。天災天災」

「うぐぅー、たいぐーのカイゼンをよーきゅーするー」

「前向きに検討しとく」

 

 うがぁ! と変な声を出しながら、律は目の前の一週間連続で出された緑の悪魔を食べる。

 慣れない苦味に顔をしかめながら、ため息をつくクリスの心情を考察し始めた。

 

「なぁ、きねくりは、友達いるんだろ? それに、後三日で学祭? ってやつらしいじゃん?」

「ん、あぁ、そうだな。うぁーめんどくせぇ」

「とか言いつつ顔がにやけてるぞ?」

「うっせぇ!」

「なるほど、なるほど、きねくりは、学祭を楽しみにしてるのか。俺も見にいって良いだろ?」

「好きにしろ」

「んじゃ、俺風呂入ってくるー」

「ん、全部食ってるな。明日も好き嫌い強制プログラムを実施するからなぁ」

「いやだぁ!!」

 

 そんなことを叫びながら、律は脱衣所に向かいながら、服を脱ぎ始める。それに再度ため息をこぼしながら、クリスは回収した。

 回収し終え、適当に分別した洗濯物を洗濯機にぶちこんだ後、クリスの通信機に連絡が入る。

 

『クリス君。夜分遅くに申し訳ない』

「任務だろ? さっさと言えよおっさん」

『理解が早くて助かる。律くんは今いるか?』

「今風呂に入ってるよ。まあ、すぐでると思うからあいつも必要ならあたしから伝えとく」

『ふむ。そうか。されなら、律くんを連れて今から送るポイントまで向かってくれ』

「りょーかい」

「きねくり、任務か?」

「あぁ、お前もついてこいだと」

「りょーかい」

『仲が良いんだな』

「あっ!」

 

 通信機の通話を切り忘れていたクリスは慌てて、通話を切る。

 呆れたような律の視線がクリスを指すが、気づかないフリをした。

 

「よし、靴下はいて出るぞ」

「準備かんりょー」

「は? おまえ、パジャマのまま行く気か?」

「うん、そうだけど?」

「おまえ、これは、任務なんだぞ? そんな、お遊びみたいな服装で」

「いや、これで足りるからダイジョブ」

「はぁ、わかった。お前がそれで良いって言うなら、そういうことにしておいてやる」

 

 そんな、任務前とは思えない会話を繰り広げながら、二人は通信機に送られてきたポイントまで向かう。

 

 

※※※

 

 

 ついた先は病院だった。律は眠たい目を擦り、あくびをし、翼の通信機から聞こえてくる司令の声を聞く。

 

「こいつだけ緊張感ねぇよな」

「仕方ないじゃんよー、俺肉体は八歳なんだぞー。育ち盛りの眠り盛りなんだーよ」

「頭も回ってないようだな」

「うーん。やっぱり律くんは待機の方が」

『悪いが、そうもいっていられない。今日で片をつけるつもりだからな。そのためにも彼がいた方が効率がいい』

『司令を動きにくくさせるだけの能力はある。この意味、翼さんと響さんならわかりますよね?』

「なるほど、確かにそのような力があるのならば、活用しないわけにはいきませんね」

「律くんって人間?」

「半神半人だよー」

 

 気楽そうな律の言葉に、ため息をついて三人は、歌う。

 聖詠。それは、聖遺物から、贈られる歌らしいのだが、律にはよくわからない。というのも、律の持っているグングニルというのは、完全聖遺物と化しているが、元は律の作った儀式用の槍だったのである。

 そんなものに歌を作る能力などないと、道具に意志があるわけないと、本人が知っているからだ。

 

「うーん。ちょっと、先に行ってもらっていい?」

「なんでだ? おまえはあたしらのサポートにまわるんだろ?」

「そうなんだけど、それ以上に厄介なのに見られててさ。さっきから鳥肌がヤバい」

「ふむ。やはり、見られていたのか。月読の知り合いか?」

「まあ、命のやり取りをする間柄ってところ?」

「それならば、私たちも残った方が」

「いえ、たぶん、今回のあいつは、相当ヤバいかも。俺のグングニルの半分程度を解放しないと戦えない」

「その出力がよくわからないが、私たちにできることは?」

「任務に集中してもらうことくらい」

「わかった。死ぬなよ、月読」

「錬金術師風情に遅れはとりませんよ」

 

 どこまでも油断しているその言葉に不安をおぼえるが、翼はクリスや今なお、不満げな響を連れて病院の中に入っていった。

 その時、響はせめてもと、律に仮説本部に繋がっている通信機を渡していた。

 

「さて、そこにいるんだろ、ロン?」

 

 律は眠たい目を向けながら、誰もいない空間に問いかける。

 すると、そこから、頭の先から靄が晴れるかのように、薄紅色の髪の男性が現れる。

 

「なんで、奇襲をしなかったんだ?」

「僕の狙いはあくまでも君だ。他の子を巻き込むわけにはいかない」

「そうか。それで、目的ってのは、俺を食らうことでいいのか?」

「あぁ、君をこの槍に取り込んで、この世界から救済する」

「ハハ、ひでぇな。そのために俺を一度殺さないといけないんだろ?」

「半分正解で半分不正解だ。君を救うためには、君の魂から穢れを取り除かないといけないんだよ。その穢れを、取り除くためにもう一度君を殺す」

「なるほど。つまり、俺から神格を失わせることによって、槍に監禁するってことか」

「ダメかい?」

「できるならどうぞ。ま、全力で抵抗させてもらうけどな」

「嘘だね。君が全力を出すことはないだろう? もしだしたら世界を壊し兼ねないんだから」

「そりゃそうだ」

 

 二人は会話をしながら槍を構える。片方は朱色の、片方は純白の槍だ。

 律は肌に感じる神殺しの力が、ぶつかり合っていることに、内心やべぇなぁ、と思いながら、青年を見据える。

 

 そして、音もなく、戦闘が始まった。




今回の話はここまでです。
いやぁ、三話を見返しながら、なんとか書き上げることができました。

さて、今回の話の振り返りと言うなのネタバレコーナーへと移りたいと思います。

まずは、律の魔術講座。
この世界の魔術は、フィーネの異端技術、錬金術以外の奇妙奇天烈な異端技術になっています。はい、独自設定なのは許してください。
まあ、ざっくりとしたイメージは、アニメでもよくある魔術と大体同じ程度の認識で十分です。
シンフォギアになぜか、錬金術師はでるのに、魔術師は出ないので、そこら辺が独自のものになっちゃうんですよねぇ。

次に、律の住まいですが、クリスとの相性のよさがたった一日で証明されたため、これから司令のところに行くことなく、クリスの家で生活します。できるだけ、年の離れた姉弟っぽさを演出してみたんですけど、どうだったでしょうか?
律がうざい弟、クリスが何だかんだで面倒を見ちゃう姉と言う風に描いてみました。

そして、突入するF.I.Sの拠点?攻め。正直ここ、拠点であってますよね?司令も今回で片をつけるつもりでっていってましたし。医療設備等も持ち込まれていたから、どう考えてもマムの治療用だと思いますし。
少し話を修正して、律は攻める前に離脱し、ロンとの戦闘に入ると言うところで終了。

ロンは成長してますが、律は成長していません。
きっとロン視点で話を書くと100%律がボスです。律が成長していない理由は、神の知識を得ているため、研究の意味がないから、また神の力を得ているため、鍛える意味がないからと言うものです。
では、ロンがどのようにして成長したのかというと、フェンリルの魂から流れ込む憎悪を飲み込み、神殺しとしての特性を1ランク上昇させ、槍の出力を上昇させることに成功し、自身を一種の哲学兵装へと変質させることに成功したと言うものです。

つまり、未だに発覚されていないビッキーの神殺しよりも先に、最も危険な神殺しが現れると言う事態になりました。
ビッキーの神殺しと、ロンの神殺し、そして、律の神殺しはそれぞれ別のものになっていると言いましたが、公式で紹介されているビッキーの神殺しはおいておいて、ロンの神殺しは、神性を喰らって殺すと言うものになっています。以前、ロンの神殺しは、神特攻といったのも、これが理由です。
律の神殺しはいずれ、紹介します。

それでは、また次回、お会いしましょう。
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