ベル・クラネルの日記帳   作:重言 白

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久しぶりに原作を取り出した。
狐人の魔法は妖術とも呼ばれ、非常に希少かつ狂ったような効果があるとか完全に忘れてた。
狐人の稀少な魔法を魂ごと封印し、誰でも使えるようにするのが殺生石かと……
おや?フリュネのようすが……


戦闘娼婦のレポート

 あれはいつものように、店先で開店準備をしていた時のことだった。

 誰かに追いかけられていたあの少年が、見た目的に好みだったのもあって匿うことにした。

 追っていたのはヘルメスファミリアのとこの冒険者で、万能者は居なかったが、それでも恩恵を持たない市民を追いかけるには過剰だと感じたが、適当なことを言って撒いてやった。

 春姫に対応させていた少年は撒けたことにホッとした感じで、私にお礼を言った。

 普段、そんな純粋な感謝を伝えられるようなことがないので少しこっぱずかしかったが、礼なら一晩買わないか? なんて風に誘おうとしていたタイミングで、あの馬鹿(フリュネ)がどこから嗅ぎつけたのか現れやがった。

 少年はフリュネの誘いを拒否して逃走、まあ当然だよね。

 フリュネは当然の権利と言わんばかりに、付近の建物を壊しながら追いかけていった。

 ……今日の営業は修理で終わりそうだね。なんて思いながらある程度瓦礫を片付け、イシュタル様に報告に行こうとしていたところ、なんとあの少年が戻ってきた。

 どうやら市民(レベル0)フリュネ(レベル5)を撒いたらしい。

 若干この辺りから、アマゾネスの本能というか何というか……強い男を捕食するためのセンサーが働き始めていた気がする。

 この時初めて、少年がベル・クラネルという名前なんだと知った。

 私と春姫も自己紹介を返し、とりあえずあの馬鹿はどうにかしておくからさっさと逃げるように伝えたのだが、少年は逃げないと言い始めた。

 どうやら馬鹿はもう1人いたらしいと思いながら、どこか期待している自分がいた気もする。

 結局私の説得は意味を成さず、彼はあの広場でフリュネと戦うことになった。

 戦いは常に、彼の手の平の上だった。

 レベル差5という、もはや攻撃すら見えないほどの差があるはずのフリュネの棍棒を躱し、躱し続け、かと思えば自傷も辞さないような特攻。

 見ていて気が気じゃなかった。

 彼が使った薬……感覚鋭敏化薬とかいうのの効果で、フリュネの行動はかなり制限されていたとはいえ、それでも、腐ってもレベル5。

 両足を凍らされ、全身を炎に舐められながらも放った一撃は、彼を人形のように弾き飛ばした。

 投げ捨てられたオモチャの人形のように壁に叩きつけられた彼は、見てわかるほどに致命傷だった。

 しかし彼が何かを唱えると、その傷は部分的にではあるが治り始めていた。

 魔法やスキル? 冒険者でもないのに? 

 そんなことを考えている間に、彼は両手に剣を構えて特攻していった。

 その姿は無辜の人々を傷つける醜悪な怪物に立ち向かう、物語の主人公のようにも見えた。

 最初は剣を叩きつけた跡しか残らなかったのだが、刻一刻と切り傷を増やしていき……最終的にはフリュネの持つ棍棒ごと叩き斬った。

 血を流しすぎたのか、何かの薬の効果か……ついにフリュネは倒れ伏し、起き上がらなくなった。

 それを彼は、なんで立ててるのかわからない身体を剣で何とか支えながら近づいていき、フリュネに何かの薬を振りかけた。

 この時何の薬かはわからなかったが、後で感覚鋭敏化薬の解除薬だと聞いた。

 そして彼も倒れそうになったので、思わず咄嗟に彼を支えていた。

 とりあえずさっさとエリクサーでも何でも使って治療しないと! 

 私はそう考えて行動していた。

 フリュネ? 虫並みの生命力だから死にやしないよ。

 レベル4の私が出せる全速力で彼をお抱えの薬師の元へ運び、自腹を切って治療させた。

 この時にはアマゾネス的本能センサーが全力で働き、寝てる間にちょーっと子種でも頂いておこうかと思ったんだけど、ドクターストップがかかってしまったので泣く泣く断念。

 仕方ないので、目が醒めるまでの間に今回の騒動をイシュタル様に報告していた。

 彼を魅了して眷属にしようとするイシュタル様に、少しモヤっとした物を感じながら、でも同じ眷属になるならいっかと思っていた。

 彼は1時間ほどで目覚めた。

 事情を説明し、イシュタル様の元に案内した。

 一応あの馬鹿について謝罪するというのも嘘じゃないし。

 そしてイシュタル様が魅了を使いながら眷属に誘ったのだが……まさかの拒否。

 魅了が完全に効いていないというわけでもなかったみたいだけれど、まさか拒否されるとは思っていなかったのか、間抜けなアホ面を晒すイシュタル様は笑えた。

 美の女神としての矜持かすぐに気を取り直し、あの時使っていた薬を買う方に話をシフトした。

 するとナァーザとかいう女の許可が必要とのこと。

 とりあえず連行してきた。

 その結果、定期的仕入れる事などを条件に概ね合意。

 このときイシュタル様が殺生石なんてもんを仕入れていた事を知ったが、もはや無意味と断じていたので特にいうことはない。

 もしも彼が来ていなければ春姫は……いや、よそう。

 結果的に大丈夫だったんだから、気にしない方向で。

 それよりも、彼が私らの指導を行うという事の方が大切だ。

 彼の指導を受ける事で市民でも冒険者に勝てる可能性が生まれるなら、冒険者なら1つ2つくらい上のレベルでも勝てる可能性が生まれるはず。

 それなら春姫も死なないで済むし……うん、それが良い。

 そういえばさっき通達があったんだけど、彼を相手にできればボーナスが出るんだとさ。

 まあヤレるならヤルよね……アマゾネス的に考えて。

 それはそうと、彼が帰った後に目覚めたフリュネがいきなりダイエットするとか言い始めた。

 私も思わず2度見ならぬ2度聞きした。

 え? あの美的センスが狂ってるとしか思えないアイツが!?




てーてーてー、ててれっててーん!
おめでとう?
フリュネ(ヒキガエル)は、フリュネ(アマゾネス)にしんかした!
こうげきとぼうぎょ、HPがさがった。
すばやさときようさ、おしとやかさがぐーんとあがった!
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