ベル・クラネルの日記帳   作:重言 白

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ベル・クラネルのおじいちゃんってゼウスらしい。
神は人の子を産めないはず。
ベル……誰の子?

ゼウスファミリアの冒険者の子の可能性もあったけど、今作では村の子。
じゃあどうやってゼウスの孫に?

A. 焼き払われた村の生き残り


デルメルファミリアの業務日誌

 █月█日

 

 今年も大量の孤児や浮浪者に食事と宿を貸しつつ、上手いこと働かせる季節が始まった。

 私の担当は都市の外から来て浮浪者になりかけていた白髪の少年1人、ダイダロス通りの孤児の少年少女4人の計5名。

 初日は雇用期間中の業務内容と作業の流れを説明し、全員を風呂に入れ、結束を固めるために豊饒の女主人で宴会を行った。

 団結……したかどうかはともかく、私の指示を聞くようにはなったので良しとする。

 

 

 

 █月█日

 

 今年のアルバイト達は、例年よりも良く働いてくれている。

 白髪の少年……ベル・クラネルがダイダロス通りの少年少女に指示を出している姿をよく見る。

 あそこの子達はあまり他人を信用しないのにも関わらず、しっかりと指示に従っているのは、それが正しいと理解しているからなのだろう。

 事実、私がその指示は間違っていると指摘しようとした時、私より先に反論していた。

 あれ? 私、必要ない? 

 

 

 

 █月█日

 

 休日に外に出たクラネル少年が冒険者に襲われた。

 何とか無事だったが、また同じような事があれば私が護衛しようと思う。

 ただ、うちのファミリアでこの時期、治安向上を目的として貧困層に仕事を与えているのは周知の事実。

 わざわざ彼を襲う理由がわからない。

 物盗りらしき言動を繰り返していたらしいので、ソーマファミリアみたいなノルマがあるファミリアの冒険者に、金を握らせて襲わせた? 

 一体何のために? 

 とりあえずこの件はギルドに報告しておく事にする。

 

 

 

 █月█日

 

 クラネル少年を襲撃した冒険者達が、クラネル少年の手により血祭りにあげられた。

 ちょうど私が用事があって護衛できなかったタイミングで、事件は起きた。

 クラネル少年は新しい職場を探すため、様々なお店を回っていた。

 この時何故か、殆どのお店で門前払いを受けたらしい。

 理由は田舎者だの肥溜め臭いだの農家風情だの……とりあえず該当店舗は今後、デメテルファミリア及び提携農家から食材を買う事はできないと思え。

 農家を馬鹿にする奴に食わす食材なんてウチにはない。

 クラネル少年はどのお店でどういった対応を受けたか、しっかりと報告してくれたからな? 

 後日しっかりとリストにして提出する事にする。

 

 それはそうと、今は事件の詳細を書く。

 またも門前払いを受けたクラネル少年は、気晴らしとしてじゃが丸くんの屋台に行った。

 じゃが丸くんあずきクリーム味を購入し、近くに座って食べていた時、いきなり後ろから剣で殴打されそうになったのだとか。

 剣を躱された冒険者は激高、冒険者はモンスターを倒しているから市民より偉いという謎の理屈を語りながら、近くいた女性市民を人質にとり、人質の頬を舐めるという変態行為をしながら財布と奉仕を要求。

 何故市民が人質になると判断したのか、理解に苦しむ。

 クラネル少年は指示に従って財布を取り出し、投げて渡せと言われたので冒険者の顔に叩きつけるように投げた。

 冒険者の顔に財布が当たり、痛がっている間に市民を救出。問題はその後。

 目撃者によると、残った冒険者を素手で壊し始めたらしい。

 この冒険者はレベル1ではあったが、それなりのベテランで偉業さえ達成すればレベルアップ確実と言われるほどだった。

 ここからがクラネル少年本人の証言だ。

 先ず抵抗力を奪うため、指を踏み砕いた。

 次に行動力を奪うため、膝を逆に折り曲げた。

 最後に心を完全にへし折るため、全身の骨を順番に砕いていこうとしたとき、他の冒険者達が襲ってきた。

 性犯罪者の同類であると判断し、同じように対処した。

 とのこと。

 この事件は最後、人質にされた市民が近くにいたガネーシャファミリアの冒険者を連れてきたことで終了した。

 性犯罪者は命に別状がない程度に全身の骨を砕かれた状態だったらしい。

 今回の件で正式に私がクラネル少年の護衛につく事になった。

 

 

 

 █月█日

 

 雇用期間の終わりが近づいてきたが、クラネル少年のみ次の就職先が見つかっていない。

 デメテルファミリアに永久就職しないかと誘ってみたが、断られた。

 未だに妨害らしきものは続いているらしく、殆どは門前払いらしい。

 ……そうだ。豊饒の女主人なら、妨害は受けないんじゃないか? 

 こう言ってはなんだが、ギルドのブラックリストに載ってもおかしくないような面子ばかりだし、良いかもしれない。

 というわけで推薦してきた。

 今度面接に来なという返事をその場で頂けた。

 この事をクラネル少年に話すと、嬉しさ半分困惑半分みたいな微妙な表情をされた。

 ああ! 童顔だから大丈夫と思ってたけど、そういう風に思われるのは男の子としては嫌なものか。

 この業務日誌を書いている時にようやく気付いた。

 まあ……いっか。大丈夫でしょ、多分。

 

 

 

 █月█日

 

 今日は雇用期間の最終日。

 サクサク進んでいた私の班は既に業務を前日までに終え、既に引っ越しの支度を始めている。

 業務時間中以外に問題が多発したけど……というか大体クラネル少年が台風の目だったけれど。

 結局豊饒の女主人に就職できたみたいだし、他の少年少女達も就職できた。

 そのうち2人はデメテルファミリアへの就職を決めたので、他の子の手伝いをしている。

 明日恩恵を授かることで、正式にファミリアの一員として認められる。

 ……この2人は幼馴染で、将来結婚しようと約束しているのを目撃した。

 私もそろそろ、相手を探さなきゃいけないかもなあ……




Q. 迷宮都市で最も喧嘩を売っちゃいけないファミリアは?
A. デルメルファミリア及び提携する生産系ファミリア

オラリオ近郊全てと提携する生産系ファミリア。
冒険者としての全力を出すことすらできず、飢えて死ぬ。
ダンジョン内で採れる食材?
オラリオ全体を賄えるほどはないでしょ。
飢え死ぬよりも先に、巻き添えを食う他のファミリア達に捕まって差し出される可能性の方が高いかも?
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