ベル・クラネルの日記帳   作:重言 白

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ベル・クラネルに近づく不穏な影!
一体誰イヤなんだ……


×××××のベル・クラネル観察日記:1

 █月█日

 

 面白い子を見かけたので、今日から観察日記を書く事にした。

 彼の名前はベル・クラネル。

 今はデメテルファミリアで短期のアルバイトをしている少年だ。

 あれは私がいつものように、神の鏡を使って街を見ていた時のことだった……

 雑多な魂の群れの中で、純白に輝く魂を見つけた私は、私のファミリアに入れてあげるだけの勇士になるかもと思い、彼にピントを合わせた。

 目があった。

 まるで私が見ている事に気づいたかのように、彼は振り返ってこちらを見ていた。

 びっくりして思わず神の鏡を解除してしまったけれど、その時の特徴だけでオッタルが彼の情報が集めてくれたからそれは別に良いの。

 明日も彼を観察しようと思う。

 

 

 

 █月█日

 

 やっぱりだ! 

 彼は私が神の鏡で見るたび、必ずこちらに気づいていた! 

 私のファミリアでも、これに気付けるのはそうそういない。

 やはり彼を勇士として、私のファミリアに入れるわ。

 オッタルからの報告によれば、彼は新しい就職先を探しているらしい。

 そのままこのファミリアに勧誘させようと思ったのだけれど、オッタルからストップがかかった。

 どうやら彼は冒険者になる気がないと公言していて、就職先が見つからないのは冒険者にさせようとする誰かの動きのせいの可能性が高いのだとか。

 今、冒険者になる気がないにしても、彼が変なところに就職するのは好ましくないので、ミアに何かあれば受け入れてあげるようにお願いしておいた。

 

 

 

 █月█日

 

 彼が冒険者に襲われた。

 いや、襲撃され続けていた。

 話は聞いていたけど、神の鏡で観察していたのは毎日ごく短い時間だったので、現場を見たのは初めてだった。

 まさかあんな市民を人質にとって脅すような冒険者がいるだなんて……

 とりあえず撃退された犯人および協力者、そのファミリアの主神には罰を与えるように指示。

 私のお気に入りに手を出しただけでなく、冒険者全体の名声を汚すような行動をした責任、きっちりととってもらわないとね……

 それはそうと、まさか彼があそこまで強いだなんて。

 あれなら少しくらい、試練を与えても大丈夫そうだわ。

 

 

 

 █月█日

 

 オッタルから驚くような報告を受けた。

 彼を襲って反撃を受けた彼、後遺症でマトモに冒険者活動を続けられないらしい。

 回復薬で傷は完治したはずなのにも関わらず、全力で動くと全身に軋むような激痛が走るのだとか。

 ディアンケヒトの診察によると、破壊された骨のカケラが健康な肉体の節々、特に関節部に集中して撒き散らされており、もはやエリクサーでも回復し得ない……とのこと。

 何それ怖い。え? あの子、こうなる事をわかってやったの? 

 確かに命に別状はない程度だけれど、冒険者としては死んだも同然じゃない。

 あんな行動を普段からしているとすれば、恨みも買っているはず。

 ……力を誇示していばり散らしていた屑から、その力の一切を奪ったらどうなるか。

 まあ、結果は書くまでもないわね。

 それが原因で彼には、“屠殺屋(ザ・キーパー)”という二つ名が与えられた。

 あの子になら、もうすこし可愛い名前でも良いと思うのだけれど……

 それとミアから、あの子が今度面接に来るという連絡を受けた。

 ……上手いこと勧誘できないかしら? 

 

 

 

 █月█日

 

 ミア、グッジョブよ。

 

 

 

 █月█日

 

 あの子は冒険者を炭鉱夫の一種だと思っていたらしい。

 ……あれ? ダンジョンに潜って魔石とドロップアイテムを集めて、その量と質で収入を得るという辺り、特に変わりない? 

 ま、まあ、ただの炭鉱夫と違い、冒険や出会い、ジャイアントキリングのようなドラマもあるもの。

 ただ鉱石を掘るだけの炭鉱夫とは違うんです。

 それと、今年の怪物祭のとき、彼にちょっとした試練を与えることにした。

 八つ当たりじゃないわよ? 元々考えていて、ちょうど良かっただけ。

 その日に彼が休暇を取れるように、スケジュールの調整をしておきましょう。

 それはそうと、今日もあの駄女神が来ていた。

 今日は来店から23秒で簀巻きにされていた。

 彼はだんだんとタイムを縮めている。

 

 

 

 █月█日

 

 今日は待ちに待った怪物祭! 

 彼にモンスター共を嗾しかけ、私はそれを観戦しようとしていた! 

 日頃から武器を携帯できる冒険者ならともかく、一応市民の彼のために、いくつかの武器を近くに置いておくように指示を出したり、色々と手間暇をかけて準備したわ! 

 そして最後に魅了したモンスターに指示を出し、急いで観戦する場所に移動し、神の鏡を使ったの。

 何故か植物のモンスター……オッタルも見たことがないそうなのでおそらく新種……と彼が戦っていた。

 恥も外聞もなく、思わず「ふぁ!?」なんて女神らしくもない声を上げてしまったのも仕方ないと思うわ。

 それでも、彼はやっぱり凄かった。

 大小二振りの剣を的確に操り、まるで料理をするかのように、元々決められていた手順に沿うかのように植物のモンスターを駆除した。

 しかし、あのモンスターはなんだったのだろうか? 

 私でも虹色の魔石という物は見たことも聞いたこともない。

 出来れば間近で見てみたいけれど、それより先にあのモンスターについて調べなきゃね。

 ヘスティアは19秒で簀巻きにされた。

 20秒をきった! と無邪気に喜ぶ彼はとても可愛らしかった。




僕の心と行動に一点の曇りなし……
全てが『正義』だ。

新種って多分、深層とは無関係だよね?
同じ植物系モンスターのタイタンアルムは知ってたみたいだけど。
アレって普通、どの階層にいるんだろう……

駄女神簀巻きRTA
もう少しタイムを縮められると思います。
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