天の道を往き、総てを司る撃槍   作:通りすがりの錬金術師

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暑い……最近気力が萎えてる……。この先少し更新遅くなるかも?頑張りますけど。
それと久々に白猫復帰して、ゼノンザード始めました。(やはりどうでもいい)


敗北と奮闘とカブトムシと

「キ、キャァァァァァ!!!」

 

 

 目の前で人が死ぬ。その惨状を初めて目にした弓美は悲鳴をあげ、他の二人も声こそ出ていないが酷く怯えている。不運な事に弓美の悲鳴に反応したのか、何体かのノイズが窓を破って校舎に入ってくる。響は三人を連れて逃げようとしたが、座り込んでしまった弓美が動かない。どうしたのか聞くと、

 

 

「ごめん、腰が抜けて動けない……。だから皆はあたしを置いて逃げてよ」

 

「板場さん!?何を言っているんですの!?」

 

「もしアニメだったらさ、正義のヒーローが助けに来てくれるんだろうけど、ここは現実。そんな都合のいい事なんて!」

 

「ならば助けてやる」

 

「え?」

 

 

 ノイズの迫る中、動けなくなった弓美が自棄になりかけたその時、響が前に出た。

 

 

「ビッキー、何を……?」

 

「あの人が言っていた。正義とは私自身。私が正義だ!」

 

 

 響が手を掲げると、ブゥゥゥンという羽音とともに空間を越えて飛んできたカブトゼクターが響の周りを何度か回り、その手に収まる。腰にはいつの間にかベルトが巻かれていた。

 

 

「変身」

 

【HENSIN】

 

 

 響の全身が鎧で覆われていく中、ノイズが響に突っ込む。最悪の結末を想像してしまった三人。しかし、鎧に包まれた響が拳をぶつけると、ノイズだけが炭となって消えた。信じられない出来事に三人の頭は固まった。

 

 

「キャストオフ」

 

【CAST OFF】

 

 

 さらにゼクターホーンを反対側に動かし、鎧をパージ。飛ばされた鎧がぶつかって炭になるノイズもいた。

 

 

【CHANGE BEETLE】

 

「クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 人やノイズには感知出来ない速度で動き、次々とノイズを殲滅していく響。それを見ていた三人は言葉に詰まっていた。

 

 

「凄い……」

 

「まさに正義のヒーロー……アニメみたい」

 

「立花さん……」

 

 

 実際の時間にして僅か数秒。その間に校舎に入り込んだノイズは駆逐された。だが今度は通路の壁が吹き飛び、そこから何かが現れる。その影を見た響は三人に向けて叫んだ。

 

 

「行け!早くここから離れろ!」

 

 

 それと同時に銃弾が響に放たれた。響はクナイモードのカブトクナイガンでそれの直撃を防ぐ。何者かと響が交戦に入ったと理解した三人は、刺激しないようにその場からゆっくりと離れた。腰を抜かせて動けない弓美は創世に背負われていたが。

 響は改めて敵の姿を確認した。敵は二人。その姿はいずれも重厚な鎧に包まれている。片方の手には蜻蛉がセットされている銃。もう片方は蠍がセットされている剣だ。

 

 

「……やはりドレイクとサソードか」

 

 

 その名前は仮面ライダードレイク・マスクドフォームと仮面ライダーサソード・マスクドフォーム。ネイティブに対抗するために造られたマスクドライダーシステムだ。

 ザビーとガタック、ホッパーはいないのか、と気になった響だがそれは思考の隅に追いやり、まず狙ったのはドレイク。遠距離から攻撃できる後衛は先に倒すべきだと判断した。クロックアップで加速し、カブトクナイガンでドレイクに一撃をと突っ込む。

 

 

【CAST OFF】

 

【CHANGE SCORPION】

 

 

 しかし、サソードがその手に持つ剣、サソードヤイバーを構えて間に割り込み、響の攻撃を受け止める。それと同時にサソードゼクターの尻尾をサソードヤイバーに押し込んでキャストオフ。同じくクロックアップを行い、弾け飛ぶ鎧と剣の一撃で響を押し返した。

 

 

【CAST OFF】

 

【CHANGE DRAGONFLY】

 

 

 そしてその間にドレイクもドレイクゼクターの尾の部分を引っ張りキャストオフ。これでこの場にいる全てライダーがライダーフォームへとなった。

 

 ドレイクはクロックアップを行わずに射撃を行う。その状態で放たれた弾丸は、本来ならクロックアップしている響にはほとんど止まっている様に見えていて、なんら脅威ではなかった。そう、()()()()

 だが、現在響が戦っている場所はリディアン音楽院校舎内、廊下だ。両側に壁があり、左右に動ける範囲が制限されていて思うように動き回れない。片側が窓であれば突き破って外に出るという選択肢があったが、それも不可能。後ろに退いた場合、先ほど逃げた弓美たちが被害にあう可能性がある。大きな隙を晒すことになるだろうから壁を壊すのも却下。よって広い場所に出るなら前に進むしかない。しかし、その前は弾丸とサソードが阻んでいる。

 

 

【CLOCK OVER】

 

 

 響はその身体能力を活かして、一度も攻撃を受けずに凌いでいたが、ここでクロックアップが終わる。その瞬間時間の流れが元に戻り、止まっている様に見えた弾丸も元の速さに戻る。しかし、サソードは未だクロックアップ中。サソードは響を何度も斬りつけ、ゼクターの尻尾をヤイバーに再び押し込む。

 

 

【RIDER SLASH】

 

 

 サソードのライダースラッシュが一閃。さらにドレイクの弾丸が追い討ちとばかりに響に命中する。

 

 

【RIDER SHOOTING】

 

 

 必殺技を連続して受けた響。流石に耐えられず後方へ大きく吹き飛ばされる。そのまま壁を、ガラスを突き破り外へ放り出され瓦礫に勢いよく叩きつけられる。

 

 

「うおっ、なんだ!?」

 

「……女の子?」

 

「おい、君!大丈夫か!?」

 

 

 ちょうどそこにはノイズを誘導していたらしい自衛隊の面々が。必殺技を受けた事と瓦礫にぶつかった衝撃で変身が解除され、カブトとしての姿は見られなかったようだ。

 

 

「何があったか聞きたいがここは危険だ。とりあえず向こうに避難を!」

 

 

 隊員がそう促してくるが、響の耳には入らなかった。カブトゼクターは響を心配するように肩に止まっていて、響は先ほど自分が飛ばされてきた方向を注視している。ドレイクとサソードがこちらに来ないか警戒しているのだ。

 

 

「大型ノイズが寄ってきたぞ!」

 

「このまま引き付けつつ、人のいない所まで行くぞ」

 

「了解!」

 

 

 だがドレイクとサソードが響を追って出てくる事はなかった。代わりに大型ノイズが複数、自衛隊へと引き寄せられてくる。

 

 

「まずい、ほら早く逃げて」

 

「……いや、それには及ばない。あの人が言っていた。二兎を追うものは二兎とも取れ。学校の皆の命も、あんたたち皆の命も、どちらもノイズごときに渡さない」

 

「何を言って……」

 

 

 響は肩に止まっているカブトゼクターを掴み、ベルトに装着。一気にキャストオフまで行い、ノイズへと駆けていった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 二課からの緊急の連絡を受けて、私たちはリディアンへと急いで向かった。ヘリはノイズに落とされて、翼さんのバイクはいつもの如く、ノイズに突っ込ませるという乗り捨て行為のせいで修理が必要なレベルで破損してたから、走るしか手段は残されていなかった。

 

 

「おい、リディアンって所まであとどれくらいだ?」

 

「もう少しだ!」

 

「もう見えているよ!」

 

 

 そしてリディアンに着いた時、空は暗くなっていた。それでも綺麗だった校舎はボロボロ、瓦礫が散らばって、地面にもノイズとその被害者のものだったんだろう炭が沢山散らばっていた。

 

 

「そんな……私たちの学校が、帰る場所が……」

 

「ひでぇことしやがる……!」

 

 

 感傷に浸っていると、少し離れた所から戦闘音が聞こえてきた。

 

 

「ッ!誰かが戦っているのか!?」

 

「まさか、立花か!?」

 

「急ぐぞ!」

 

 

 リディアンの敷地に入って、その戦闘音の聞こえる所へ向かう。無事でいて、響!

 

 

 開けた場所に出ると、やっぱり響がいた。全身をあの鎧で覆っている響が向かい合っているのは、響と同じく全身を鎧で包んだ人が二人と……え?

 

 

「了子……さん?」

 

「これはてめぇの仕業か、フィーネェェェ!!!」

 

 

 響の元へ駆けつけて、了子さんを見たクリスが叫んだその言葉に私たちに緊張が走る。了子さんが、敵?

 

 

「おいおい、嘘だよな?なあ、了子さん。冗談だって言ってくれよ!」

 

「……嘘なものか。私はフィーネ」

 

 

 了子さんはそう言った後、一息ついて再び口を開いた。

 

 

「永久を生きる巫女だ!フハハハハ、ハハハハハ!!!」

 

 

 眼鏡を外して、くくっていた髪を解き、服が弾けとんで(……なんで弾けとんだの?)金色の鎧が了子さんを包み込んだ。あの鞭は見たことある。ってことはネフシュタンの鎧なの?でもクリスが使ってた時と色とか形が違う。

 

 

「……なあ、了子さん」

 

「フィーネだ」

 

「あの時の……あたし一人生き残ったあれも了子さんの仕業なのか?それにライブの時も……」

 

 

 あれ?ライブのは私と響が行ったあのライブの事だろうけど……。

 

 

「その通りだ。それだけでなく、ここ最近のノイズに関するのも、広木大臣の殺害も、全て私が手引きした」

 

「なぜそんな事を!」

 

「決まっている。そう、全てはカ・ディンギルの為!」

 

 

 その言葉と共に地面が激しく揺れて、残っていた校舎も崩れ去る。そして代わりに大きな塔が競り出てくる。

 

 

「なんて物を……」

 

「櫻井女史、貴女は一体……」

 

フィーネだと言っておろうが!

……こほん、まあいい。私が何者か、か。この私、フィーネは超先史文明期の巫女であった。遺伝子に己が意識を刻印し、自身の血を引く者が、アウフヴァッヘン波形に接触した際、その身にフィーネとしての記憶、能力が再起動する仕組みを施していたのだ。12年前、風鳴翼が偶然引き起こした天羽々斬の覚醒は、同時に、実験に立ち会った櫻井了子の内に眠る意識を目覚めさせた……。その目覚めし意識こそが、この私なのだッ!」

 

 

 つまり、昔の人であるフィーネが本物の了子さんの意識を塗りつぶして出てきたって事?

 

 

「それに、フィーネとして目覚めたのは私一人ではない。歴史に記される偉人、英雄……世界中に散った私たちはパラダイムシフトと呼ばれる歴史の転換点に幾度も立ち会ってきたのだ!」

 

「まさか、シンフォギアシステム!?」

 

「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための副産物に過ぎん。……ああ、小日向未来のシンフォギアも()()()()()()が作り上げた物だ」

 

 

 私のシンフォギアも……了子さん、いやフィーネが。

 

 

「御託はいい。こんなものまで造り上げて、お前の目的はなんだ?」

 

 

 ずっと相手の動きを観察して警戒していた響が声をあげた。そうだ、フィーネの目的は一体……。

 

 

「ふっ、そうだな。冥土の土産に貴様らに教えてやろう。

今宵の月を穿つ事だ!!!




色々と難産でした……。

ゼロワンはいいなぁ。腹筋崩壊太郎とかマモルとか……。あ、でもアルトのネタは……うん()

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