天の道を往き、総てを司る撃槍   作:通りすがりの錬金術師

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違和感ありありなキャラにはご注意ください、そして目を瞑ってください。
1日で書いたクオリティなのと、こういうの初めて書いたからよくわからない話になってるかも……。本編の方はそんなことにならないようにしてますので、つまらなくてもお気に入り解除とかはしないで頂けると嬉しいです。


番外編:天道響の誕生日

「うーん………」

 

 

 私、小日向未来は悩んでいた。新学期が始まって数日。もうすぐ響の誕生日なのに、プレゼントをどうしようか決まっていないから。翼さんも奏さんも、クリスも皆用意は出来たって言っていた。………どうしよう。そうだ、ひよりちゃんに相談しよう。

 

 

 

 

 

 と、言うわけでひよりちゃんの家(響の家でもある)に行って聞くことに。

 

 

「え?未来お姉ちゃん、まだプレゼント決まってなかったの?」

 

「うん、いつもは服とか料理道具とかプレゼントしてたけど、今年は違うのにしようかなって。ひよりちゃんは何を渡すの?」

 

「あー……これから取りに行くんだけど……うん、大丈夫かな?」

 

 

 どう言うこと?疑問に思っていると、チャイムがなった。それにひよりちゃんが出て、私もついてきてって言われた。

 

 

「はーい!お久しぶりです!()()()()()

 

「やっほー、ひよりちゃん。迎えに来たよ。ってそっちの子は?お姉さんじゃないよね?」

 

 

 玄関から出た所で待っていたのは黒のスーツに身を包んだ女の人。後ろには彼女のだろう黒塗りの車が停めてあった。

 

 

「お姉ちゃんの親友の未来お姉ちゃんです!……その、お姉ちゃんの誕生日プレゼントで悩んでいるみたいで、一緒に行ってもいいですか?」

 

「えっと、そうだね……うん!いいよ!」

 

「え、あ、ありがとうございます。私は小日向未来です。よろしくお願いします」

 

「私は仮野明日菜。よろしくね、未来ちゃん」

 

 

 明日菜さんを加えた私たち三人は車に乗り込んだ。どこに向かうかひよりちゃんに聞いたけど、ついてからのお楽しみだって言われて教えてもらえなかった。

 3~40分ほど経った頃だろうか。目的地に着いたみたいで車から降りると、なんとそこは。

 

 

「え、ここって……」

 

「はい、ようこそ幻夢コーポレーションへ!」

 

 

 幻夢コーポレーション。日本だけでなく、世界規模で有名なゲーム会社。販売するゲームのどれもが発売後即完売は当たり前。再販されてもやっぱり即完売。それだけの面白さがここのゲームにはあるんだろう。

 

 

「明日菜さん、神様たちは?」

 

 

 へ?神様?……ここって中に神社でもあるの?

 

 

「黎斗ならたぶん社長室だと思うよ。他の人たちは私が出たときにはいなかったから、ちょっと……」

 

 

 はい?社長?………うん、聞き間違いだよね?確かにここの社長さんの名前は『檀黎斗』さんだったけど……神様?

 

 

「とりあえず黎斗の所へ行こっか。……未来ちゃん?」

 

「あっ、はい!今行きます」

 

 

 

 

 

 案内されたのはやっぱり社長室。会社の中に入って最初に警備員の守るゲートがあったけど、明日菜さんが一言言うと特に何もなく通して貰えた。ひよりちゃんは取り出したパスを見せて普通に通ってたけど。途中で話を聞くと、明日菜さんは社長秘書らしい。……ひよりちゃんって何者?普通の中学生って大企業の社長さんとかと知り合うことってないよね?

 で、社長室に入ると。

 

 

「神様ー!」

 

 

 さっそくひよりちゃんが突撃して抱きついた。ってええ!?

 

 

「いつものことだから気にしなくていいよ」

 

 

 いつもなの!?で、なんで神様?

 

 

「知ってると思うけど、彼がここの社長の『檀黎斗』だよ」

 

「ちがぁぁぁぁぁう!!!」

 

「きゃっ!?」

 

 

 え、何!?社長さんが明日菜さんの紹介に対して大声で否定した。

 

 

「私のォォォ名前はァァァ………檀!黎斗!!(しん)だァァァァァァ!!!!ヴェハハハハ!!!」

 

 

……………えぇ(ドン引き)

 

 

「こら!黎斗!うるさいよ!」

 

「黙れ、ポッピー!」

 

「ピポッ♪……じゃないよ!?今の私は明日菜だよ!いい加減にしないとおやつの苺抜きだからね!」

 

「申し訳ありませんでした明日菜様。私が全て悪うございました」

 

 

 早い!?しかも土下座……。苺抜きって言われるだけでそんな……。一瞬で幻夢コーポレーションの社長さんの印象が決定付けられたのだった。

 

 

 

 

 

 

「んんっ!先程は失礼した。私は幻夢コーポレーション社長の檀黎斗だ」

 

「あ、えっと、小日向未来です。ひよりちゃんの姉の親友です」

 

 

 落ち着いた所で自己紹介。さっきのはなんだったんだろう?

 

 

「さて、し……ひより。君の用件はわかっている。これだろう?」

 

 

 そう言って黎斗さんがデスクの上に置いてあったチップをひよりちゃんに渡す。

 

 

「ちゃんと君の設計通りになっているはずだ」

 

「うん!ありがとう、神様!」

 

「私の信者である君の願いを叶えるのは当然なのだからな!ヴェハハ、げふっ!?」

 

 

 真面目になったと思いきや、またも叫びだした黎斗さんを明日菜さんがハリセンでひっぱたいた。

 

 

「真面目にやりなさい、黎斗。で?他の人たちは来てるの?」

 

「ポッピーのくせに……。ああ、会議室で待っている」

 

「わかった。よし、行くよひよりちゃん、未来ちゃん」

 

 

 明日菜さんは先頭に立って私たちを会議室まで案内するために歩きだす、黎斗さんの襟を掴みながら。

 とりあえず見なかったことにしよう。黎斗さんの名誉の為にも。

 

 会議室には三人の男の人が待っていた。彼らはそれぞれひよりちゃんに気づくと、こっちに寄ってきた。ひよりちゃんも顔が明るくなってきている。

 

 

「呉島さん!戦極さん!鴻上さん!」

 

 

 ん?待って、三人のうち二人はどこかで聞いたことのある名前なんだけど?……いや、まさか。

 

 

「久しぶりだな。おや、そちらは?」

 

「私のお姉ちゃんの親友の未来お姉ちゃんだよ!」

 

「小日向未来です」

 

「私はユグドラシルコーポレーションの日本支部長、呉島貴虎だ」

 

「同じくユグドラシル所属の研究員、戦極凌馬だ」

 

 

 やっぱりあのユグドラシルの!?世界各地で介護や保険を提供していると言われている……。で、後の一人は……なんで鼻歌?このメロディーは、ハッピーバースデー?

 

 

「ハッピーバースデー!我らの出会いを祝おうじゃないか!」

 

「は、はぁ……」

 

「ああ、私は鴻上ファウンデーション会長の鴻上光生」

 

 

 えーと、鴻上ファウンデーションは確かかなり大きな会社だけど……何やってるかわからない企業で有名なんだよね。それを言ったらユグドラシルも似たようなものだけど。

 

 

「さて、これが頼まれていた物だ。大事に使ってくれたまえ」

 

「ありがとうございます!」

 

「こっちは私から。誕生日用のケーキだ」

 

「は、はぁ」

 

 

 ひよりちゃんが戦極さんに端末を渡されて、私は鴻上さんにケーキを渡された。誕生日……ってもしかして響の?となると鴻上ファウンデーションはケーキ屋?

 

 

「ねぇ、未来お姉ちゃんがお姉ちゃんへの誕生日プレゼント決まらないみたいなんだけどどうしたらいいと思う?」

 

 

 ひよりちゃん!?相談する相手おかしいよ!?大企業の社長さんたちにする話じゃないって!

 

 

「プレゼントか……申し訳ないがそれは私の管轄外だね。というわけで貴虎、君に任せたよ」

 

「待て、凌馬!……ったく、あいつは」

 

 

 戦極さんはそう言って部屋を出ていった。

 

 

「そうだな。誕生日のプレゼントなら相手が喜ぶと思う物を選ぶべきだな。ひよりの姉の好みがわからんから私からはこれ以上は言えんが」

 

「確かにそれも大事だが、それよりも大事な事がある!」

 

「え?」

 

 

 呉島さんの言葉の後に鴻上さんが話す。

 

 

「君の欲望を押さえつけるな、ということだ」

 

「……はい?」

 

 

 ごめんなさい、言ってることがわかりません!

 

 

「相手の為になるプレゼント。確かにそれもいいでしょう。だが、それよりも君の欲望をもっと解放したまえ!例えば相手と遊びたいなら、遊ぶ為の物をプレゼントしたり、映画をみたいならチケットを渡せばいい。ずばりそういう事だよ」

 

 

 私が響としたいこと………。もっと一緒にいたい。これからも仲良くしたい!

 

 

「どうやら決まったようだね」

 

「はい!ありがとうございました!」

 

「では、私たちはこれで失礼するよ」

 

 

 鴻上さんと呉島さんも帰っていき、わたしとひよりちゃんも黎斗さんに挨拶して帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 パァーンとクラッカーが鳴り渡る。二課の仮本部の潜水艦に半ば無理矢理響を連れてきて部屋に入るとこの歓迎だ。

 

 

「誕生日おめでとーー!!」

 

「……ああ、感謝する」

 

「おいおい、固いぞ。笑え……って照れてるのか?」

 

 

 短く一言だけ言った響に絡んでいった奏さんだけど赤くなってる響を見て察したみたいだった。

 

 

「よし、まずはプレゼントだな。あたしからはこれ。ペンダントだ!」

 

 

 奏さんが渡したのは赤い、カブトムシを象ったペンダント。明らかに響の『カブト』をイメージしてる。

 

 

「私からはこれだ」

 

 

 翼さんの出した物は着物。色は赤と紫だ。

 

 

「立花と小日向をイメージした色を選ばせてもらった」

 

 

 着物姿の響……。それは是非見てみたいな。それで、後は私とクリスなんだけど……。

 

 

「ほら!アタシたちが頑張って作ったんだ。残さず食べてくれよな!」

 

「どうぞ召し上がれ」

 

 

 私が選んだのは料理。まさかのクリスと被ったけど、このパーティーに出るのは私たちだけでなく二課の皆も。そのため、料理はいくらあっても困らない。……まあ、響の作ったものには敵わないと思うけど、自信作ではある。

 

 

「その……どうだ?」

 

「美味しい?」

 

 

 いくつか見た目の悪いのが私たちの作ったやつ。これからも響と一緒にいられますようにと願いを込めて作った。ちなみに私たちの作ったの以外の料理はオペレーターの藤堯さんが作ったもの。趣味が料理らしく、けっこうな腕前だった。

 

 

「ああ、とても美味しかった」

 

 

 その言葉がとても嬉しくて、つい響に抱きついちゃった。お誕生日おめでと、響。これからもずーーっと一緒だからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば響。ひよりちゃんからプレゼント貰った?」

 

「ああ。最新型の携帯端末らしい」

 

 

 見せてもらうと、まず裏側にはユグドラシル、幻夢コーポレーション、鴻上ファウンデーションにS.Brainのロゴが小さく入っていた。さらに端末を起動する時間も既存の機種より圧倒的に速くて、動作も信じられないくらいサクサク。しかもセキュリティも国家レベルより上だとかなんとか……。流石にそれは嘘だろうと藤堯さんと友里さんがハッキングに挑戦してみると全く手も足も出なかった。……ひよりちゃん、なんて物を。作ったのは名だたる大企業だけど。




仮野明日菜
幻夢コーポレーション社長秘書。バグスター等ではなく、普通の人間である。社長である檀黎斗の幼なじみ。ポッピーピポパポという名前で幻夢コーポレーション所属のモデルもしている。彼氏が欲しいと思っているが、黎斗から目を離せないので一向に出来る気配がない。

檀黎斗
幻夢コーポレーション社長。神。

呉島貴虎
三大何やってるかわからない企業の一つ、ユグドラシルコーポレーションの日本支部長。

戦極凌馬
ユグドラシルの研究員。よく意味のわからない物を作っては騒ぎを起こしている。噂では自爆プログラムを研究室に仕掛けたとかなんとか。

鴻上光生
三大何やってるかわからない企業の一つ、鴻上ファウンデーションの会長。事あるごとにケーキを作って祝ってくる。


なお、彼らの本編での出番はありません。名前だけなら出てくるかも知れませんが。

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