天の道を往き、総てを司る撃槍   作:通りすがりの錬金術師

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遅くなりましたぁ!すいません。


最終決戦!……その前に

 響が校内でドレイクとサソードと戦闘している時のこと。独自の調査でカ・ディンギルの正体を見抜いた緒川が二課に戻りそれを伝えようとしていた。

 

 

「カ・ディンギルの正体は………!?」

 

『おい、どうした緒川!?何があった』

 

 

 エレベーターで司令室へ向かいつつも通信機で連絡をとっていたが、その最中エレベーターの天井を突き破ってきた何かが緒川の持つ通信機を破壊、同時に緒川自身を背後から床に押さえつけた。

 

 

「まさか、こうも早く悟られるとは。何がきっかけだ?」

 

 

 緒川を押さえつけたものの正体は女。片手に金色の剣を持ち、鞭のついた金の鎧を纏うフィーネだ。彼女は押さえつけた緒川を睨み付けながら問いただす。

 

 

「塔という目立つものを人知れず建造するのであれば、既にある建物を利用するか、地下へと伸ばすしかありません。そんな事が出来るのはスカイタワー以外だと『ここ』、二課のエレベーターシャフトのみ。そしてそれを可能とするのはただ一人、貴女ですよね。了子さん」

 

「ふん、正解だ。漏洩した情報を逆手に上手くいなせたと思っていたのだが」

 

 

 フィーネがそこまで言うと同時にエレベーターは目的地に到着した。扉が開くと同時にフィーネは緒川を外へと蹴りだした。緒川は転がりながらも体勢を建て直し、拳銃を抜いて三発フィーネへと放った。だがそれは全てフィーネの振った剣に弾かれる。弾丸を弾いた剣に傷は一つも見られない。

 

 

「ッ!まさか、それはデュランダル!?それにその鎧も……」

 

 

 フィーネは鞭で緒川を捕らえ、壁へと叩きつける形で放り出す。そして倒れた緒川を無視してデュランダルを収めるが為に保管庫へと歩みを進めるフィーネ。自身の持つ『櫻井了子』としての通信機でロックを外そうとしたが、すんでの所で緒川の放った銃弾によって壊された。

 

 

「貴女をその先にはいかせません!」

 

 

 立ち上がった緒川は拳銃を投げ捨て、捨て身での格闘を仕掛けようと構える。だが、それが行われる事はなかった。

 

 

「待ちな、了子」

 

 

 弦十郎が廊下の天井を突き破り、緒川とフィーネの間に立ち塞がるように降り立ったからだ。

 

 

「ふん、まだ私をその名前で呼ぶか」

 

「女に手をあげるのは気が引けるが、これ以上手を出させる訳にはいかん。手を出すならば、俺がお前をぶっ倒す!」

 

 

 その男、特異災害対策機動部二課の司令官にして、飯食って、映画見て、寝るという方法(独特な鍛練)で憲法違反クラスの肉体を持ち、まさに人類最強とも言える強さを誇る者。名を、風鳴弦十郎という。

 

 

「調査部だって無能じゃない。米国政府のご丁寧な道案内でお前の行動にはとっくに気づいていた。後は燻り出す為にあえてお前の策に乗り、シンフォギア装者を全て動かしてみせたのさ!」

 

「……陽動に陽動をぶつけたか。くえない男だ。だが、それで私を止めれると思ってか!」

 

「おうとも!後程じっくりと話を聞かせてもらう為にも、止めてみせる!」

 

 

 弦十郎がフィーネに向かって飛び出すのと、フィーネが弦十郎に鞭を振るったのは同時だった。放たれた二本の鞭。その片方を拳で受け流し、もう片方はジャンプすることで避ける。そして飛び上がった勢いのまま天井を蹴り、拳を握りしめフィーネへと一直線に突撃する。

 

 

「はあぁぁぁ!!」

 

「チッ!」

 

 

 その拳をフィーネはデュランダルの腹で受け止める。『不朽不滅』の特性を持つデュランダルには傷一つついていない。だが、その衝撃はかなりのもので床にはヒビが入り、更にネフシュタンの鎧にまで傷がついた。

 

 

「何!?」

 

 

 驚いたフィーネはそのままデュランダルを振り、弦十郎を後退させる。すでにネフシュタンについた傷は修復されているが、脅威には変わりなかった。後退した弦十郎が体勢を建て直す前に仕留めようとフィーネは鞭を伸ばす。しかし、弦十郎は一瞬で体勢を整え鞭を掴み、フィーネごと自身の方へ引き寄せる。

 

 

「むんっ!」

 

「が、は……」

 

 

 振り抜いた拳がフィーネの腹に直撃。弦十郎の後ろに飛ばされ、床に倒れ伏す。同時にデュランダルもその手から床へと落ちる。

 

 

「生身で完全聖遺物を砕くとは……。どういう事だ!?」

 

「知らいでか!飯食って映画見て寝る!男の鍛練はそれで十分よ!」

 

「んな馬鹿な事があるか!?……だが、人の身なればノイズには抗えまい!」

 

 

 馬鹿げた理論を当然のように口にする弦十郎に対し、フィーネはノイズを出そうとソロモンの杖を取り出す。が、使用する前に飛び込んできた弦十郎により、手から弾かれ呆気に取られるフィーネ。そしてその隙を逃す弦十郎ではない。拳を振りかぶり降ろそうとするその瞬間。

 

 

「弦十郎くん!」

 

 

 フィーネではなく、櫻井了子の声で言われた言葉に動きが止まってしまった。そしてそれは致命的な隙でもあった。

 

 

「がはっ!?」

 

「司令!」

 

 

 これまで影も気配もなかった鎧の剣士(サソード)が現れ、その手のサソードヤイバーで弦十郎の腹を突き刺したのだ。刺さったヤイバーがそっと引き抜かれると弦十郎はその場に倒れ伏す。

 

 

「殺しはせん。お前たちにそのような救済を与えてなるものか」

 

 

 フィーネは弦十郎の懐から通信機を取り出し、デュランダルを拾って保管庫へと歩みを進める。ソロモンの杖はいつの間にか来ていたドレイクが確保している。

 緒川は重傷を負い意識を失った弦十郎を放っておく事は出来ず、フィーネたちを追いかけることは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 弦十郎を担いだ緒川が本部司令室に辿り着くと、職員からは驚きの表情が感じ取れた。

 

 

「二課本部に侵入者です!敵の……フィーネの正体は櫻井了子!」

 

「そんな!」

 

「急いで装者たちに通信を!」

 

 

 藤堯、友里が中心となり急ぎ通信を試みる。最初の数秒だけ繋がったが、後は内部から通信が遮断された事により届いたかはわからない。二課の面々は装者たちの無事を祈りつつも通信の繋がる場所を探す為に、最低限の荷物を持ち出し部屋の外へと出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「……ビッキーは大丈夫かな」

 

「立花さんを信じるしかありませんわ」

 

 

 地下シェルターの一室。響に守られて逃げた弓美たちは近かったここに駆け込んだ。避難してから何度か激しい揺れに襲われ、今は机の下に隠れている。

 

 

「大丈夫……。響ならきっと……」

 

 

 弓美は不安なのか、自分を落ち着けようとぶつぶつと呟いている。

 そんなとき、ドタバタと人の足音が聞こえて部屋の扉が開く。

 

 

「よし!ここの設備は生きてます!」

 

「周辺の監視カメラに接続します!」

 

 

 入ってきたのは藤堯と友里を始めとする二課のメンバー。何事かと驚いていた三人だが、その説明はここに運ばれてくる途中で意識の戻った弦十郎から行われた。

 

 

「我々は特異災害対策機動部。一連の事態の収束に当たっている」

 

「特異……それって政府の?」

 

「回線再接続完了!モニターに映します!」

 

 

 地上との通信に成功した藤堯の持つパソコンに映像が映し出される。気になった弓美たちも後ろから覗きこんだ。そして驚きの声をあげた。

 

 

「未来にツヴァイウィング!?」

 

「それに、あの赤い鎧は……」

 

「立花さん、ですわよね」

 

 

 モニターに映し出されたのは、フィーネと二人のマスクドライダーシステムを相手取る未来たちシンフォギア装者と『カブト』響だった。




いつもより短い文量なのに期間空いてしまった……。明日からは学校けど投稿間隔出来るだけ空かないように頑張ります。目標、今月中の無印完結!

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