天の道を往き、総てを司る撃槍   作:通りすがりの錬金術師

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(実はまだXV12話見てない作者です)


愛故に

「馬鹿な。カブトごときにサソードとドレイクが敗れただと!?そんなはずは……」

 

 

 フィーネのそんな呟きを耳にしつつも、響は怒りで暴走している未来を抑えにかかる。

 

 

「目を覚ませ、未来!」

 

「う゛う゛う゛……あ゛あ゛あ゛!!!」

 

 

 声をかけ、落ち着かせて正気に戻そうとするが、効果はない。今度は響を標的に定めたようで、ビームを放ったり、鏡で殴りかかったりしてくる。未来に対して手を出せない響。避ける、受け流す、受け止めるしか出来ない。

 一方、暴走している未来は更に攻勢を強める。鏡を巨大化させ、所構わず振り回す。

 

 

逆鱗

 

 

「ッ!クロックアップ!」

 

【CLOCK UP】

 

 

 この質量による攻撃はカブトの鎧があっても何度も受けられるものではないと、クロックアップして回避する。響は未来の行動に注意しながらも、この伸びた時間でどうやって未来を正気に戻すかを思考する。しばらくして考えが決まったのか、クロックアップを解除して未来の前方に立つ。

 

 

「う゛う゛う゛……」

 

「行くぞ、未来」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「ふっ!」

 

「そこだッ!」

 

 

 クリスと未来という後衛を失った翼と奏だが、フィーネが冷静でないのもあってか、押している。フィーネが冷静さを欠くのも仕方ない。彼女の筋書きとしては、自分がシンフォギア装者を抑えている間にサソードとドレイクがカブトを撃破、そしてクロックアップへの対抗策を失った装者たちを倒し、カ・ディンギルで月を穿つ。この筋書きが根底から覆されたからだ。カ・ディンギルは何度でも放てるため、一撃目を止められたのはまだ許容範囲だ。その後、小日向未来が暴走したのも想定外でこそあれ、脅威にはならない。しかし、カブトにサソードとドレイクが敗れたのはフィーネにとって大打撃である。例え自身がネフシュタンの鎧と融合した不死身の肉体であっても、クロックアップにはついていけず、それを持ってカ・ディンギルを破壊されては月を穿てないのだから。

 

 

「この……調子に、乗るなぁ!」

 

 

 フィーネは二人のアームドギアを腕ごと鞭で掴んで持ち上げる。急に上に向かって引き上げられた二人は反応出来ず、そのまま地面に叩きつけられる。

 その間にもフィーネは思考する。ちょうどいい具合にカブトは暴走した小日向未来と戦闘している。カ・ディンギルの二発目もまもなくチャージが完了する。そこまで理解したフィーネは笑みを浮かべ、その時を待つことにした。もう既に焦りも消えている。

 ボロボロになりつつも、なんとか抜け出した二人はフィーネの笑みと激しく光るカ・ディンギルに気付いた。

 

 

「まさか、まだ撃てるというのか!?」

 

「――そんなに驚くことではなかろう。いかにカ・ディンギルが最大最強の兵器であろうと、一発しか撃てないのであれば欠陥品と同じだ。必要がある限り何度でも撃ち放てる。その為にエネルギー炉心にはデュランダルを取り付けてある!それは無限のエネルギーを供給する不滅の刃、尽きることのない無限の心臓なのだから!」

 

「だが、それも操るてめぇがいるからだ!」

 

「お前を倒せば、カ・ディンギルを動かす者はいなくなる!」

 

「出来ると思うなら試してみるがいい!」

 

 

 その言葉と同時に叩きつけられた鞭をジャンプすることでかわし、二人はそれぞれのアームドギアを巨大化させ蹴りつける。

 

 

天ノ逆鱗

 

SPEAR ∞ ORBIT

 

 

「その程度の攻撃、通ると思ってか」

 

 

ASGARD

 

 

 それに対し、フィーネは鞭を格子状に束ねて組んだバリアを4重に展開して受け止める。バリアに対し、斜めに突き刺さった二振りの武器。二人は体重をかけ、どんどん武器を押し込んでいく。それと同時に角度も垂直に近づいてくる。

 

 

「奏、頼んだ!」

 

「任された!」

 

 

 翼は新たに二振りの剣を取り出し、天ノ逆鱗を足場に高く飛び立つ。その姿は剣に纏わせた炎も相まって、不死鳥(フェニックス)のようにも見える。

 

 

炎鳥極翔斬

 

 

「いけぇ!翼ァ!」

 

「始めから狙いはカ・ディンギルか!……ならば」

 

 

 唐突に奏の攻撃を抑えていたバリアを解いたフィーネ。奏が驚く間もなく、フィーネに槍の先端が突き刺さる。

 

 

「であぁぁぁぁ!!!」

 

 

 自分に刺さった槍のダメージを無視して、鞭を振り奏を弾き飛ばす。そしてそのまま翼へと伸ばしていく。かなりのスピードで追い付いたそれは翼に当たり、シンフォギアの装甲を散らす。

 

 

「……だ」

 

「何?」

 

 

 落下する翼と奏。だが、二人は諦めていなかった。この場に剣と槍を構えているのは自分たちだけなのだから。自分たちが倒れては世界がフィーネに支配されてしまう。それを許すわけにはいかないと死力を振り絞る。

 

 

「まだだ。まだあたしたちは飛べる」

 

「奏と一緒ならどこまでだって飛べる」

 

「「両翼揃ったツヴァイウィングに不可能はない!」」

 

 

 雄叫びをあげながら空中で体勢を整えた二人。アームドギアを回転させ、翼の下まで奏は追い付き二人でカ・ディンギルへと突撃する。フィーネは今度こそ落とそうと再び鞭を伸ばすが、弾かれて二人には届かない。

 

 

双星ノ鉄槌-DIASTER BLAST-

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

【ONE】

 

 

 カブトゼクター上部のボタンを押しながら未来へと響は駆けていく。未来は大きな鏡を構え、今にも振りおろさんとしている。

 

 

【TWO】

 

 

 一歩進むごとにエネルギーが脚部へと収束していく。未来の鏡も鈍い光を放っている。

 

 

【THREE】

 

 

 響は飛びあがり、体を捻る。そしてゼクターホーンを反対側に戻し、勢い良く展開する。

 

 

「ライダーキック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 響のライダーキックと未来の逆鱗が空中で激突。周囲に衝撃波を起こす。競り勝ったのは響。未来の鏡は粉々に砕け散った。そして、空中でゼクターを取り外し変身を解除。そのまま黒く染まる未来へと抱きついた。

 

 

「あの人が言っていた。自分に溺れる者はいずれ闇に落ちる。未来、その力はお前が望んだ力ではないはずだ。そんなものはさっさと捨てて帰ってこい!」

 

「う゛あ゛……ひ、びき。ひびきぃ!!」

 

 

 目から大粒の涙が零れ、未来は正気を取り戻す。それと共にギアが解除されて、未来は座り込んだ。そして二人の背後では翼と奏の『双星ノ鉄槌-DIASTER BLAST-』がカ・ディンギルへと突き刺さる。そこを起点にカ・ディンギルは大爆発して崩壊し始めた。

 

 

「そんな……カ・ディンギルが。私の長年の悲願が……」

 

 

 フィーネはカ・ディンギルが崩れ去る様を見て、呆然とする。未来を座らせたまま、響はフィーネの下へと歩みを進める。

 

 

「やっとあの御方へと想いを告げられると思っていたのに……。それをお前たちは!」

 

「侮ったな、フィーネ。これが今を生きる私たちの力だ」

 

「黙れ!そもそもなんなのだ、お前は!」

 

「……私が何者か、だと?そんなに知りたいなら教えてやる」

 

 

 右手をフィーネへと突きだし言い放つ。そしてカブトゼクターが一人でにベルトへと装着された。

 

 

「私は天の道を往き総てを司る女、立花響。お前を倒す者だ!」

 

【CHANGE BEETLE】

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 戦っている。響とフィーネが、その身一つで。響は全身を鎧に包まれていて、フィーネはネフシュタンの力で再生するから、お互いの傷の度合いはわからない。でも、遠くから見ているからわかる。戦っている時間の長かった響の疲労は大きくて、少しでも気を抜いたら負けそうだってことが。他に頼りになる翼さんや奏さん、クリスはもういない。私も力が入らなくて助けになれそうにない。どうしたら………。そのとき、私の耳が声を拾った。この声は、リディアンのみんな?

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「応援しようよ!」

 

 

 次々とシンフォギア装者が倒れていくのを映像越しに見ていた弓美たちは絶望しかけていた。だが、同じ部屋に避難してきた一人の少女がそう言うと、二課の職員が慌ただしくなる。

 

 

「応援……シンフォギアの動力源はフォニックゲイン、つまりは歌の力」

 

「そうか、ここにいる人たち全員の歌を未来ちゃんたちに届ける事が出来れば……」

 

「つまり、未来や響の助けになるって事ですか!?」

 

「藤堯!」

 

「十分可能です!ですが、ここの設備では電力が足りません!校舎の電源が活きていれば……」

 

 

 それを聞いて一部が沸き立った。驚く人たちもいるが、リディアンの生徒は『やっぱりか』と思った。そう、沸き立ったのは親衛隊所属の生徒だ。響の力になれるのが嬉しいのだろう。

 

 

「緒川」

 

「お任せください」

 

「あの!」

 

 

 緒川が部屋を出て電源を起動させに行こうとしたとき、弓美が立ち上がって声をかけた。創世と詩織もその後ろに立っている。

 

 

「私たちも手伝わせてください!」

 

「ビッキーやヒナたちが頑張ってるのに、じっとしてられないよ!」

 

「私たちは立花さんに助けられました。だから今度は私たちが助ける番です!」

 

「……わかりました。ついてきてください」

 

 

 緒川は少し考えた後、三人の申し出を了承した。

 

 そしてしばらくすると、部屋の電気がつき電力が来た事を知らせてくる。弓美たちが戻ってくると同時に作戦はスタートした。

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「「はあぁぁぁぁ!!」」

 

 

 響の蹴りとフィーネの鞭の一撃が交差する。その衝撃により互いに後退する。仕草には出さないが、二人とも疲労は大きい。

 

 

「チッ、中々やる……なんだ?」

 

「……これは歌か」

 

「どこから聞こえる。この不快な歌……歌、だと!?」

 

 

 二人の耳に入ってきたのは歌。それもリディアンの校歌だ。そこで響は思い出した。未来から聞いていたシンフォギアの特徴を。そして赤、青、オレンジ、紫の四つの光の柱が各地から立ち上がる。

 

 

「フィーネ、どうやら年貢の納め時のようだな」

 

「ふざけるな!なぜ立ち上がれる?何を持って力と変える?それは本当に私の作った物か?そうだ、お前たちの纏うそれはなんだ?なんなのだ!?」

 

「なんだ、自分の作った物の名前も忘れたか?それは……」

 

 

 

「シンフォギアァァァァ!!!!」

 

 

 朝日と共に白のシンフォギアを纏う四人の戦姫が舞い戻って来た。




(ボツネタ)響が未来に抱きついた後の台詞。

「あの人が言っていた。全ての女性は等しく美しい。未来、お前にその姿は似合わない。いつもの笑顔を見せてくれ」

……なんか告白みたくなったので敢えなくボツにしましたw

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