天の道を往き、総てを司る撃槍   作:通りすがりの錬金術師

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開始早々にお気に入りが50越えて、評価(それも高評価)が2つ……。励みになります。お礼に(?)更新です。

原作改変要素が色々と出てきた……タグの少しの部分消すべきか?後、今回は天道ビッキーの出番がほぼないです。主人公なのに……。主人公なのに。


覚醒の鼓動……?

「立花さん!」

 

「……なんでしょうか」

 

「前から、何度も、ずっと言っていますが、貴女だけ音程がズレています!もう少し皆と合わせるように!」

 

「……わかりました、努力します」

 

「はぁ……。それでは続きいきますよ」

 

 

 リディアンに進学して二週間。未来と響は相変わらずの日々を送っていた。音楽の授業で先生に指摘されるのも毎回の事。勉強、運動、家事、その他諸々、基本なんでも出来る響だが、歌は違った。楽器の演奏等は問題ないのだが、歌う事になると何故か音程がズレてしまう。それが響の唯一の欠点だ。

 そんな響にはもう一つの顔がある。それが……。

 

 

「立花料理長!Bランチ二つ注文入りました!」

 

「こちらはAランチ三つです!」

 

「わかった」

 

 

 リディアン高等科食堂の料理長である。響は()()()()()()リディアンの食堂に乗り込み、生徒ながら料理長を兼任するというリディアン開校以来初の珍事を引き起こした(対外的には元料理長がトップである)。調理師たちは全員、響の実力にノックダウンし弟子入りを希望。響は断ったが、勝手に見て盗めと言わんばかりに毎日の様に料理の腕を奮っている。

 ちなみに、学校の先生や運営に携わる人たちはこれを一度問題視したが、調理師全員による必死の訴えで仕方なく認められたというのは余談である。

 

 リディアンの生徒たちも学生が料理長って大丈夫なのだろうか、と思ったが今では大盛況。学食の為、値段も良心的で味も美味しい、栄養バランスもとれていて、さらに料理長が(おっぱいのついた)イケメンとあっては年頃の女子高生が騒がない理由がない。なお、この背景には二・三年に数人存在する『響御姉様親衛隊・リディアン支部』なるファンクラブの活躍があったことを追記しておく。……そのメンバーが急激に増えたことも。

 

 そして、食堂の一角。親衛隊により確保され、ある意味専用席と化した場所で未来はリディアンで親しくなった友人、板場弓美・安堂創世・寺島詩織の三人と響の作ったご飯を食べていた。

 

 

「いやー、最初は食堂に行ったら先輩たちにヒナが連れていかれてどうなることかと思ったけど……うん。ヒナの席を確保していたとは……」

 

「未来は先輩を顎で使って、響は料理長……ほんっと、どこのアニメよ」

 

「ですが、この味はナイスですわ!高級料亭で食事してるみたいで……」

 

「そうだね。でも、話もいいけど静かに食べないと響に『食事の時間には天使が降りてくる。そういう神聖な時間だ。静かにしろ』なんて言われちゃうよ?」

 

「……ヒナ。もしかしてビッキーの言葉、全部覚えてるの?」

 

「流石に全部は知らないよ」

 

「覚えてるって部分を否定しないってことは聞いたやつは覚えてるんだ」

 

「響とは長いからね。何度も聞いてるよ」

 

 

 食事をしながら、未来は自身の首にかかっている()()()()()()()()()()()()()を見ながらこの前の事を思い出していた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「あ!未来お姉ちゃ~ん!」

 

「ひよりちゃん!」

 

 

 この子の名前は立花 ひより。名字で分かると思うけど、響の妹。響と似た容姿をしているけど、クールな響とは違って、かなり活発な印象を持っている。私生活は印象とは真逆に近しいけどね。

 

 

「あれ、ひよりちゃん。服汚れてるよ?」

 

「えへへ、実はさっき人とぶつかっちゃって……」

 

「もう、毎回気をつけてって言ってるのに」

 

「ごめんなさい……」

 

「よし!これで綺麗になった」

 

 

 私と響の通うリディアンとひよりちゃんの通う中学校はそこそこの距離が開いている上、この日は平日。何故、ひよりちゃんがリディアンの近くに、それも私たちが学校終わった直後辺りに来ているかというと。

 

 

「今日が創立記念日で学校休みで良かった~。お陰でお姉ちゃんたちに入学祝い渡せるもん!」

 

「もう、そんな理由で今朝いきなり『今日の放課後そっちに行くね!』なんて電話してきたの?それなら今度の休日でも良かったのに」

 

「ボクもお姉ちゃんたちから貰ってるからお返しだよ。後、早く渡したかったし」

 

 

 まずは未来お姉ちゃんね、とひよりちゃんに渡されたのはペンダント。石柱みたいな部分はひよりちゃんの知り合いがアメリカ旅行に行ったとき偶然拾った物で、譲ってもらったらしい。私にプレゼントにするならこれをペンダントにしようと決めたそう。それにしても綺麗な石……。

 

 

「ありがとう、ひよりちゃん」

 

「後はお姉ちゃんだね!」

 

「響には何を持ってきたの?」

 

「えっとね、海外の調味料!」

 

「えっと、うん。まあ、響だし………」

 

 

 どうしよう。最近料理してる響ばかり見てて、それでいいんじゃないかって思っちゃう。ほんとは女の子らしい服とかアクセサリーとかが……そういえば学校の制服以外で響のスカート姿見たことない!?

 今更な事に少し驚きながら、響にプレゼントを渡す為に道を歩いていく。響本人は今日ひよりちゃんが来ることを知らない。サプライズにしたいから黙っていて欲しいって頼まれたから。

 

 異変が起きたのは響の所に向かう途中。いつもなら多くの人がいるはずの大通り。だけど、今日はそこに人はいなくて、代わりに黒い炭が舞っていた。

 

 

「え、これって……」

 

「もしかしなくても……」

 

 

 私たちはすぐに近くのシェルターに向かって走り出した。すると、案の定ノイズがどこからともなく現れて私たちを追いかけてくる。元陸上部の足を使ってひよりちゃんと一緒に逃げる。ひよりちゃんもやっぱり響の妹と言うべきか、中学生ながら凄い身体能力で私に付いてきている。

 でも、逃げる先にまたノイズ。触れないように道を変えて逃げてると気づいたらシェルターから遠く離れていた。私たちの息もだいぶと切れてきたけど、まだノイズの自壊時間には遠いみたい。

 

 

「未来お姉ちゃん……」

 

「大丈夫。響も言ってたよね。『私が望みさえすれば、運命は必ず私に味方する』って。諦めないよ。私もひよりちゃんも必ず生き残るんだから!」

 

「うん!」

 

 

 だけど、疲れてきたのは確か。周りにノイズが確認出来ない今、たどり着いた工場地帯の給水塔に登り、少し体を隠すと共に息を休める。

 

 

「はぁ、はぁ……」

 

「つ、疲れたよ……」

 

 

 こんなに走ったのはいつぶりだろうか。正直、もう走りたくない……。そう思って顔を上げて、下を見るとノイズに囲まれていた。ひよりちゃんもそれに気づいたようで、そっと私の服を掴んできた。

 

 

「大丈夫……私は絶対に……」

 

 

 二年前のライブ事故。そこで奏さんが()()()()()ケガをした響にかけた言葉。響流に言うなら、奏さんが言っていた……。

 

 

「生きるのを、諦めない!」

 

 

 その時、ひよりちゃんに渡されたペンダントが一瞬光ったのは気のせいだろうか。

 

 

「 Rei shen shou jing rei zizzl 」

 

 

 そして気づいたら、胸の奥から沸き上がる歌を口ずさんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

同時刻、某所

 

 

 

「ノイズの反応パターンとは別に高エネルギー反応を検知!」

 

「照合、開始します!」

 

「これは……まさか、アウフヴァッヘン波形!?対応する聖遺物は……!?」

 

「旦那!了子さん!」

 

「すいません、遅くなりました!」

 

 

 遅れて来た二人が着いた瞬間。モニターに結果が映し出された。

 

 

「これは……」

 

神獣鏡(シェンショウジン)……だとぉ!?」

 

「!?」

 

「それって!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

さらに同時刻

 

 

 響は一人、ノイズにより人通りのなくなった道を走っていた。酷く嫌な予感がしたのと、二年前に出来た胸の傷がうずいたからだ。その道は奇しくも未来たちのいる方向へと一直線だった。

 

 

 そしてその後ろ。上空から響を追いかける一匹の赤いカブトムシがいた。




未来が主人公にしか見えない気が……。


響は◯◯◯◯◯(転生前の名前)の時から歌う事が苦手だった。声は綺麗なのだが、音程がズレているため台無しになっている。ただし、某運命シリーズのドラクル娘ほど酷くはない。せいぜい、なんか変な子がいるな、程度の認識である。かなりの努力により、歌以外はかなりのレベルに達しているが、歌だけは天性の気質なのかどうにもならなかった。

ペンダントの石柱部分
最初に拾った人は立花家の近くに住む、綺麗な石のコレクターの石井さんという、どうでもいい裏設定がある。日本に帰ってきてから人工物だと判明し、放置されていた所をひよりが引き取った。

海外の調味料
立花家の近くに住む、料理研究家の(チャオ)さんにひよりが頼んで買ってきてもらった物。響本人が知らないまま、それを使った料理を振る舞う約束をされている。上と同じくどうでもいい裏設定。


確かに前回、響が変身したという事実は書いた。だが、未来が変身していないといつから錯覚していた?






安心してください。作者も想像してませんでしたw
思いつきで書いたらこうなっていた。しかし、それに付随する設定も同時に思い付いているのでたぶん大丈夫だろう。

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