天の道を往き、総てを司る撃槍   作:通りすがりの錬金術師

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遅くなりましたが更新です!……うん、ちょっと自信ないかな。今回は。


その2

「そこの旦那、少しいいか?」

 

「あ゛?」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「おい、そちらの先輩たちどうしたんだよ?なんか信じられないものを見た顔して」

 

「す、すまない。少し時間をくれ……」

 

「ああ、別に構わんが……」

 

「助かる。……翼」

 

「ええ……」

 

 

 部屋の端っこの方に行って、旦那たちに聞こえないような小声でチラチラと響を見ながら翼と話し合う。響が別人過ぎてあたしたちは困惑している。

 

 

「なあ、響ってあんなキャラじゃないよな?」

 

「ええ、同じ姿をした別人にしか見えないわ」

 

「だよな……。猫被ってるとかないよな?」

 

「流石にそれは……あの子なら別人に成りきれそうね」

 

 

 

「あっちの先輩たち、ほんとにどうしたんだ?」

 

「先ほどから立花をチラチラと見ているが……」

 

「あっちの世界でこの馬鹿が何かしたんじゃないか?」

 

「私は何もしてませんよ!?」

 

「立花。お前の事ではなくて、並行世界の立花という意味だ」

 

「あ、そういう……」

 

 

 

「ないな」

 

「ないわね」

 

 

 聞こえてきた響たちの会話を聞いて確信した。あの響が猫被ってる気配なんて感じられないし、どこか馬鹿っぽさが……な。

 

 

「よし、大丈夫だ。悪いな、時間貰って」

 

「では、早速だが事情を聞かせてもらえるか?」

 

「ああ。とは言ってもそんなに話すことないんだよな」

 

「ええ。ただ、トレーニング後に食堂へ行っただけですから」

 

「は?それだけなのか?」

 

 

 そう、たったそれだけなんだよな……。ルナアタックの事後処理であたしたちがまともに外に出れないからやることも限られてるし……。

 

 

「何か変わった事はなかったのか?」

 

「あー、やっぱあれだよな?」

 

「あれしかないわね」

 

「何があったんですか?」

 

 

 なんて説明したらいいかな……。とりあえず食堂で響の飯を食べようとして注文した。そしたらルナアタックで響の使っていたカブトムシみたいなのが飛んできた。触ったら光って、気付いたらあの森にいた。

ってことを説明した。

 

 

「はい!奏さん、翼さん」

 

「ん?なんだ……響?」

 

「なんで疑問形なんだよ……」

 

「そっちの私って料理出来るんですか!?」

 

「そこかよ!?もっと他に聞くことあるだろ、馬鹿!お前ほんとの馬鹿!」

 

 

 え、こっちの響って料理出来ないのか?マジか……。翼も響の言ったことにショックを受けている。

 

 

「あっちの先輩も、なんでそこを質問したのか理解仕切れてないみたいだし……」

 

「あ、いや。それは違うぞ、クリス」

 

「へ?」

 

 

 そう、翼がショックを受けたのはその質問をしたことじゃない。あ、いや一応関係はしてるから間違いではないのか?

 

 

「翼はただ、響の飯が食べられないと知ってショックを受けてるだけだ。もちろん、あたしも飯を頼んだ直後にこれだったから腹ペコだ!」

 

「なんでだよ!?」

 

「家事が出来ない翼の最近の昼はずっと響の作った飯だしな……」

 

 

 それを言うとこの世界の翼がこっちの翼の所に行って肩を叩いた。

 

 

「大丈夫か、私」

 

「ええ……」

 

「少し気になったのだが、そちらの立花の作る料理は美味しいのか?」

 

「ええ!栄養バランスもとれてるし、量もちょうど良くてまさに理想の食事よ!」

 

「それは……ゴクリ」

 

 

 翼たちがそう話してるのを聞いてると腹の鳴る音が聞こえた。一応言っておくとあたしのじゃないからな?腹減ってるのは事実だけどさ。で、誰のだ?

 

 

「あ、ごめんなさい。私です。話聞いてたらお腹空いちゃって……」

 

「よし!じゃあこっちの響を探して飯作ってもらおうぜ!」

 

「そっちの私も来てるんですか!?」

 

「それは間違いないだろ。あのとき、響も側に居たしな」

 

「ふむ、ではそちらの響くんも探してからもう一度話し合おうとするか」

 

 

 弦十郎の旦那の言葉であたしたちの方針は一先ず決まった。この世界の翼とあたし、クリスと翼でペアを組んで街に出て探す事に。響は報告があるからって別で探す事になった。なにか気になるけど、この世界の事件だ。余り関わりすぎるのは良くないと思うしな。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 休日の今日。私は弓美ちゃんたちと街に買い物に行く約束をしている。昼ご飯を食べてからの集合だから、行く途中で食べようと思ってた。うん、思ってたの。でもね?流石に信じられないものを見たら……ね。

 私の目の前にあるのは一つの屋台。のぼりを見る限りはラーメン屋みたい。で、そのラーメン屋なんだけど、物凄い行列になっている。いや、それだけなら人気店なんだろうな、で済むんだけど……。

 

 

「こちら、醤油ラーメンだ」

 

「おお!いただきます!」

 

 

な ん で 響 が 作 っ て る の !?

 え、響って料理は食べる専門だったよね?その響が具材を切って、麺を茹でて、器に注ぐ。単純だけどその動作が凄く洗練されていて、どう見てもその道のプロにしか見えない。驚きで少し固まっていたけど、電話が鳴った事でハッとした。慌てて誰からか確認を……って、え?()()()()()()()()()()()()()()すぐ近くにラーメン作ってる響。当然両手は埋まってて電話は出来ない。で、着信の名前も響。どうなってるの!?

 と、とりあえず電話の方に出てみる事に。

 

 

『もしもーし、未来ー?』

 

「えーと、響?どうしたの?」

 

『うん。その、ね?私を見かけたら連絡して欲しいんだけど……』

 

 

 はい?

 

 

「えーと、響。もしかして迷子にでもなったの?」

 

『違うよ!……えっとね、今並行世界の私が来ているみたいなんだけど、何処にいるかがわからなくて……』

 

 

 なるほど。だいたいわかったよ。

 

 

「そういうことなんだ」

 

『うん!だから「今、私の近くにいるよ」へ?』

 

「なんでか分からないけど、私の目の前でラーメン屋やってるよ」

 

『わ、わかった!すぐ行く!』

 

 

 そう言うと電話は切れた。なるほど、並行世界から……。あっちの響は料理人か何かかな?

 暫く並行世界の響を見守りながら待っていると、響を筆頭に5人がこっちに走ってきて……あれ?5人?マリアさんは仕事で海外のはずだし、調ちゃんと切歌ちゃんは確かセレナさんの世界に行ってるはず。それと気のせいかな?変装してる翼さんが二人いるような……。もう一人も変装してるけど、たぶんあれ奏さんだよね?

 

 

「未来!並ぶよ!」

 

「え?……え?」

 

「ほら、あいつの作るものは全部旨いんだ。食べなきゃ損だぜ?」

 

 

 響に手を引っ張られて、列に並ぶ。まあ、ちょうどお昼を探してたしいいかな?後、やっぱり翼さんは二人いて奏さんもいた。二人も並行世界から来たらしい。そして暫く待って、私たちの番になった。

 

 

「いらっしゃ……なんだ、お前たちか。注文は?」

 

「おいおい、客にそんなこと言ってもいいのか~?」

 

「奏!……オススメでお願いするわ。6人分ね」

 

「了解」

 

 

………ほんとに響、だよね?並行世界の響ってのはわかるけど、別人にしか見えないんだけど?雰囲気といい、喋り方といい。

 

 

「おい。誰だよ、あれ」

 

「見た目はどう見ても立花なのだが……」

 

「へー、あれがもう一人の私……」

 

 

 まあ、でも並行世界の響だしそう言うこともあるかな。

 

 

「おう、嬢ちゃん!ちょうどその六人で店じまいだ。材料がもうねぇからな」

 

「わかった」

 

「ところで、このレシピって……」

 

「旦那の好きに使うといい」

 

「そりゃ助かる!まあ、いきなり嬢ちゃんの味を出すのは無理だろうが、いつかは追い越してやるぜ!」

 

「それは楽しみだ……っと、お待ち」

 

 

 店主だと思うおじさんと話をした響。そして私たちにラーメンが配られる。えーと、それじゃあ……

 

 

「いただきます!」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「よく来てくれた!並行世界の響くん!」

 

 

 昼飯を食べたあたしたちは、S.O.N.G.の本部に響を連れて戻ってきた。最初は渋っていた響だったが、S.O.N.G.の名前を出した瞬間に意見が180°裏返った。理由は気になるけど、また後で聞けばいいだろな。

 

 

「それじゃあ、改めて自己紹介だね!私は立花 響、17歳。誕生日は9月の13日で血液型は0型。彼氏いない歴は年齢と同じ!」

 

「いや、それする意味あるのか?」

 

 

 自己紹介………自己紹介、ね。翼を見ると、あたしと同じく察したのか諦めたような顔をしている。

 

 

「……ひよりみたいだな」

 

「ひより?」

 

「ああ、妹だよ。響のな」

 

「妹!?」

 

 

 驚くって事はこの世界の響には妹はいないみたいだな。妹がいるのかと、こっちの世界の三人が少しざわめくが、響が手を掲げて話し始めた事で静まった。

 

 

「あの人が言っていた……」

 

「ん?」

 

「あ?」

 

「私は天の道を往き総てを司る女、立花響」

 

 

 まあ、これが響なんだが……。

 

 

「こいつは……」

 

「その、なんと言うか……」

 

「格好いい!!」

 

「「えっ?」」

 

「へ?」

 

 

 感性は似てるのかもな。じゃないと流石にあんな言葉使いにはならないだろ。格好いいと言われた響も満更じゃなさそうだし。

 

 

「あー、話をしてもいいか?」

 

「ああ、構わない」

 

「では……まず響くんは現状についてどれくらい理解している?」

 

「私がやることだけは理解している」

 

「やることだと?それはいったい?」

 

 

 この世界の翼が疑問の声をあげる。あたしも気になるぞ、それ。

 

 

「ネイティブがいた」

 

「な、んだと!?」

 

「それは本当なの!?」

 

 

 いやいや、マジかよ。それはヤバくないか?途中でこの世界とあたしたちの世界の違いを確認したが、この世界にはネイティブはいないはずだろ?つまりクロックアップに対抗出来る奴がいないって事で……。

 

 

「そして奴らの狙いはここだ」

 

 

 は?待てよ、冗談だろ?なんで奴らがここを?

 

 

「何やらここに運び込まれた物が狙いだと言っていた。心当たりは?」

 

「ふむ……。そういえば最近運び込まれた物で一つだけよく分からない物があったな」

 

「今、それはどこに?」

 

「S.O.N.G.の研究施設で解析作業をしている。が、どうやら進展が全くないらしい」

 

 

 なるほどな。一番怪しいのはそれだな。って、おい。

 

 

「響、どこいくつもりだ?」

 

「私はネイティブを探しに行く」

 

「……わかった。けど、せめて連絡がつくようにはしてくれ。ネイティブがこことか施設狙ってきたら連絡いれるようにするからさ。旦那」

 

「あ、ああ。そちらの通信機器は使えないのだったな。これを貸そう。それよりも響くん、一人で探すつもりか?俺たちも力を貸すぞ?」

 

「いや、ネイティブと戦えるのは私だけだ。余計な被害者が出ない内に倒す」

 

 

 そう言って響は出ていった。通信機は受け取っていたからまあ良しとするか。

 

 

「……奏、翼。ネイティブとやらについて詳しく教えてもらえるか?」

 

 

 ああ、そうだな。どこからどう説明したもんかな……。


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