天の道を往き、総てを司る撃槍   作:通りすがりの錬金術師

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テスト終わった……てなわけで、コラボ更新です。

あと、何あれ!?並行世界のオレッ娘翼と……清楚?世話焼き?なクリスは……。シンフォギア公式は神だった?一応一枚ずつ当てました。


偽物を見破れ

 もう一人の私を挟むように睨み合う二人の翔。先ほどまで私と一緒にいた方が本物だと言うのはわかっている。より早く決着をつける為にも介入を……!?

 

 

「これは……!」

 

 

 その瞬間に周囲一帯をガスが覆う。これは、確かこの前初めて見たネイティブのガスか!プェロフェソプスと名付けられたあのネイティブの力は完全には計りきれていない。

 顔を手で覆ってガスを吸い込まないようにしていると、嫌な予感が体を襲う。それに従いその場から跳ぶように後退すると、さっきまでいた場所に例のプェロフェソプスがその両手の鉤爪を振り下ろしてきた。相手が交戦状態に入っているのを認識すると、すぐさま近くのカブトゼクターを呼び腰のベルトへとセットして『変身』する。

 それと同時に、プェロフェソプスは姿を消した。クロックアップして超高速で動いているのだろう。ここは無理にキャストオフするのではなく、耐えて反撃へと持っていくべきか。そう決めるとマスクドフォームのまま、その場に留まり防御を固めてその時を待つ。時折、周囲のガスが不自然に揺らいでいるので、そこにいるのだろうと予想が出来る。意識を切らさず、集中していると体に衝撃が襲いかかってきた。それも一度ではなく、何度も何度も。

 だけど、以前戦った時も思ったが、プェロフェソプスの攻撃力はそこまで高くはない。あのときはライダーフォームだったが、今はマスクドフォーム。硬い鎧に包まれている為、速度による威力の上昇がのっても大したダメージは入らない。この程度なら単体での強さはそれほどでもないのだろう。

 

 実際の時間にして10数秒。プェロフェソプスの姿が目に見えるようになった。今にも頭上から飛び掛かりつつ、その鉤爪を振り下ろそうとしていた。

 

 

「キャストオフ」

 

【CAST OFF】

 

 

 飛び散った鎧がプェロフェソプスに直撃し、吹き飛ばす。

 

 

【CHANGE BEETLE】

 

「クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 そして今度はこちらの番。加速した私は未だ空中にいるプェロフェソプスに向け、飛びあがって踵落としを叩き込む。地面に落ちてからはプェロフェソプスも再びクロックアップしてこちらへと襲いかかってくる。だが、アキャリナは翔と向かい合っていてこちらにはこれない。ビエラがいないのが気になるがその時はその時だ。とにかく油断は出来ないがプェロフェソプス一体ならば、敵ではない。

 鉤爪による攻撃は少し大振りだから対処しやすく、時折吹き出すガスの勢いが強いこと以外は問題ではない。そのガスには強い臭いと催涙効果があるようだが、カブトの鎧によって阻まれて私には害はない。

 左を受け流し、続けて放たれた右を掴む。それを引っ張ると同時に足払いをかけて相手の体勢を崩すと、掴んでいた手を離して拳による連打を叩き込む。最後に蹴りを入れると、地面を転がっていく。プェロフェソプスはなんとか起き上がるが、その足取りはふらふらしていて明らかに弱っているのが目に見える。

 

 

【ONE TWO THREE】

 

 

 それでも向かってくるプェロフェソプスに対して、私はゼクター上部のボタンを押して構える。

 

 

「ライダー……キック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 響のライダーキックによりプェロフェソプスワームが倒されるとほぼ同時に、翔のいる場所から空気が破裂するかのような音と共に衝撃波が公園全域へと広がった。

 

 

「翔くん!ッ!?」

 

 

 二人の翔の近くにいた立花はそれに吹き飛ばされないように身を庇いながら、なんとか状況を飲み込もうとする。そして、プェロフェソプスが倒されたからか、もしくは先ほどの衝撃波でか、ガスが晴れていき塞がれていた視界がはっきりとなっていく。

 ガスがなくなったのを確認した立花は周囲を見回し、翔の名前を叫びながらグラウンドの中央に向けて走り出した。そこには、息を切らせて睨み合う二人の翔の姿が。

 

 

「翔くん……」

 

「「響……」」

 

 

 駆け寄った立花に気づいた二人は、同時に顔をそちらに向けた。

 

 

「響、騙されるなッ!こいつが偽物だ!」

 

「何を言う!偽物はお前だッ!」

 

 

 二人は互いに相手が偽物だと、指差しながら言う。立花はそんな二人を交互に見ては首を傾げる。どちらが本物の翔なのか、さっぱり検討がつかない。

 二人とも寸分違わぬ同じ顔、同じ体格、同じ服装、同じ声。整体も、指紋も、遺伝子も、立花と翔がお揃いだと喜んだ胸の傷さえも、ネイティブの擬態能力は完璧に再現している。立花の目には二人が同じに見えて、見分けようにも区別のしようがない。

 

 

「響、君なら分かるだろう?」

 

「信じてくれ響!」

 

「今、本物を見極められるのは響しかいないんだ!」

 

 

 立花は迷う。どうすれば本物の翔を見分けられる?その方法を考え、悩む。しかし、一向に手段は明らかにならない。だんだんと立花の息が上がってくる。視界はふらつき、世界が揺れる。

 もし、間違えてしまえば本物の翔は傷つくのは明らかだろうし、ネイティブの手によって始末されてしまうだろう。その恐怖に、プレッシャーに立花は押し潰されそうになる。

 

 

「あの人が言っていた……」

 

 

 そんな立花に響が声をかける。それに気づいた立花は振り返る。

 

 

「天の道のわたし……」

 

「『本物を知る者は偽物には騙されない』お前はきっと、大切な人を言い当てる。それはお前にしか出来ないことだ」

 

 

 曇り空。雲によって隠されている太陽を指差しながら響が告げたその言葉は、響の迷いを、悩みを、プレッシャーを消し飛ばすには十分な威力を持っていた。その言葉は、立花響の在り方を思い出させた。

 

 

「ッ!そうだ……。こんなところで迷っているなんて、わたしらしくない!」

 

 

 顔を上げた立花は、目の前の二人の翔の姿を真っ直ぐに見据える。もう恐怖は感じないと言ったら嘘になる。だとしても、立花の想いは決して変わらない。

 

 

「わたしから翔くんへの想いが揺らぐことなんて決してないんだから!」

 

 

 そして立花は選択する。

 

 

 

 

 本物を。

 この世界でたった一人の、大切な人を。

 

 

「わたしの……わたしの翔くんはッ!」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 その頃、響の世界では。

 

 

 

 

「ふッ!はッ!」

 

 

 自宅の道場で木刀を手に持ち、素振りに励んでいた青髪の少女の前に二機の昆虫型メカが姿を現す。

 

 

「む?ガタックゼクターか……どうかしたのか?」

 

 

 『ガタックゼクター』と呼ばれた青いクワガタムシ型メカは、以前響を翔たちの世界とは別の並行世界へと送った銀色の小型のカブトムシ型メカ『ハイパーゼクター』の横を飛び、何かを訴えている。

 この少女もその時にハイパーゼクターの手によって並行世界へと送られた為、ガタックゼクターの言いたい事はだいたいわかった。

 

 

「ふむ……。並行世界でお前の力が必要とされている、というわけだな?」

 

 

 少し少女の推測が混じったが、ガタックゼクターは頷くように縦に揺れたので間違いではなかったのだろう。少女はガタックゼクターの資格者として、力を貸そうかとも思ったがどうやら呼ばれているのはガタックゼクターだけのようだ。その事に少し寂しく感じたが、すぐに少女は割りきった。

 

 

「いいだろう。助けを求める者あらば、手を伸ばす事が『人の道』。並行世界の窮地、お前の剣で救って来るのだ!」

 

 

 資格者の許諾を得たガタックゼクターは、ハイパーゼクターと共に時空のトンネルへと消えていく。

 そんな相棒の姿を、少女――風鳴翼は誇らしげに見送った。




二人の翔の対決は伴装者側を見てね!


次回!デッデデデッ

アキャリナネイティブ「こうなれば、まとめて始末してくれるわ!!」
翼「私達も、負けてはいられないッ!」
天道響「ッ!?この光は──」
翔「お前が絶対に真似る事の出来ない、人間の心に宿る炎。人はそれを“愛”と呼ぶんだ!!」
響・翔「「変身ッ!」」
『CAST OFF.』
翔「それが俺の、“男の道”」
響「これが“わたしの道”ッ!」
天道響「そして私の“天の道”」

『響き翔く天の道』
天の道を往き、総てを司る!

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