天の道を往き、総てを司る撃槍   作:通りすがりの錬金術師

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浮かんだネタを纏めてて、気がついたら出来上がっていたので投下。


その名は……

「え、えっと、これって?」

 

 

 胸の奥に浮かんだ歌を口ずさんだ途端、服が変わりピッチリしたボディースーツに、背中から伸びてる二本の紐?それと大きな笏みたいな武器。後は頭に角みたいなのが付いている。

 胸にはひよりちゃんにもらったペンダントが形を変えて付いている。チラリとひよりちゃんを見るけど、そんなの知らないとばかりに首を横にふっている。

 

 

「よくわからないけど、これならいける気がする!」

 

 

 ひよりちゃんを抱えて、ノイズを飛び越えるように他の足場へと駆ける。体も軽い。近づいてくるノイズは避け、逃げる。その最中、私は何を思ったのか手に持っていた笏をノイズに向けてみた。すると、そこからビームが発射され、ノイズを貫いて炭へと変えた。

 

 

「え、私が……倒したの?」

 

「お姉ちゃん凄いよ!」

 

 

 ひよりちゃんを降ろして、ノイズに向き直る。でも、この笏から放たれるビームは小さくて、この数なノイズだと守りきれないかも。そう思っていると、笏が鏡みたいに開いて、そこからさっきより大きなビームが発射された。

 

 

閃光

 

 

 ビームに当たらず近づいてきたノイズは紐が鞭みたいにしなって倒せたし、ノイズに触れても私は炭にならなかった。紐も私の意思である程度動かせるみたい。よし、これならひよりちゃんを守れる!

 

 

「せぇぇぇぇい!!」

 

 

 鏡からビームを放ったまま左右に動かし、広範囲のノイズを撃ち抜く。あらかた倒した所で辺りが急に暗くなる。何かと思って上を向くと凄い大きなノイズがその手を振り上げていた。

 

 

「あわわわ……」

 

 

 咄嗟にひよりちゃんを抱えて飛び退いた。その瞬間にさっきまで私のいた場所に腕が振り下ろされて、直撃していないのに激しい衝撃が襲ってくる。ひよりちゃんはなんとか守りきったけど。体が、痛い。やっぱり私程度じゃ……。

 こちらに向かってくる小型ノイズを睨み付けながら、必死の抵抗をするけど、もう……!

 

 

 その時だった。ブーーンと言う音が聞こえたと思えば、ひよりちゃんと共に急に手を引かれて誰かに助けられた。

 

 

「……響?」

 

「間に合ってよかった」

 

 

 なんで響がここに?ってそれよりもノイズがすぐそこに!だけど、私が注意する前に小さな何かが高速で動き回ってノイズを貫いて炭に変えていく。それはしばらく飛び回ると響の手に収まった。

 

 

「それは……?」

 

 

 手に収まったそれ……赤いカブトムシ?を一瞬だけ見て響はノイズに向き直った。

 

 

「未来、ひより。今から見る事は誰にも言わないように」

 

「え?……うん、わかった。その代わり後で説明してね?」

 

「未来のその姿の事も説明してくれるなら」

 

 

 うーん、それは私も分かってないから難しいんだけど……。

 響はカブトムシを腰のベルトに付けて……って響はいつの間にあんなベルトを?

 

 

「あ……昔、家の倉庫の奥深くで埃被ってたベルトだ……」

 

 

 響のベルトを見てひよりちゃんがそう言った。なんでそんなものを?というか、なんで倉庫にベルト?

 

 

「変身」

 

『HENSIN』

 

 

 響がそう言うと、ベルトのカブトムシを付けた所を中心に響の体を鎧が覆っていく。顔を含む全身を銀とオレンジの重厚な鎧で覆い、右手には斧みたいな武器を持っている。文字通り()()()()響は武器を構えてノイズに攻撃する。危ないと思うも、変身した響も私と同じでノイズに触れても炭化せず、一方的にノイズを倒している。

 私も響の援護を、とビームを放つ。でも、ひよりちゃんもいるから余り派手にはいけない。ノイズがこっちに来たらまずいから。

 

 そして、ここに来てまた大型ノイズが動き出した。さっき吹き飛ばされた時に偶然視界から離れたみたいだったけど、見つかってしまった。すると、それに気づいた響が大型ノイズへと駆け出し、斧を一閃。たったそれだけで大型ノイズは真っ二つに。それを成した響は右手を天に突き出している。その後すぐに残りのノイズを倒しに動いたけど。

 

 

「凄い……」

 

 

 そう呟いた時、今度はプロペラの回る音が聞こえてくる。上を見るとヘリコプターが。なんでノイズのいる所に!?さらにそこから二人飛び降りてきた。

 

 

「 Croitzal ronzell Gungnir zizzl 」

 

「 Imyuteus amenohabakiri tron 」

 

 

 飛び降りてきた二人はさっき私が口にしたのた似た歌を歌うと、一人は槍、もう一人は剣を持って………え、ツヴァイウィング?それにあの姿は……二年前の?ということはこれも?

 

 青い方……確か翼さんはノイズを蹴散らしに、もう一人のオレンジは奏さん。あの時、私と響を守ってくれた人。こっちに歩いてくる。

 

 

「さぁて、無事かい?……ッ!あんた……」

 

「あ、えと……お久しぶりです……」

 

「ああ……」

 

「未来お姉ちゃん、知り合いなの?」

 

「うん、ちょっとね……」

 

「……よし、悪いがしばらくそこで大人しくしててくれ。あたしらにはやることがあるんでね」

 

 

 そう言うと奏さんもノイズを倒しに行った。響と翼さんと奏さんの三人だと沢山いたノイズもすぐに倒し尽くされた。そして今、響が二人に武器を向けられている。

 

 

「特異災害対策課の者です。武装を解除して着いてきていただきたい」

 

「無駄な抵抗せずに従ってくれるとありがたいんだけどな」

 

 

 だけど、響はその要望に応じず、足元の地面を攻撃して目眩ましするとそのままどこかへ行っちゃった。大丈夫なのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 ノイズの後始末に自衛隊の人達が来て、私とひよりちゃんは黒服の人達に囲まれてる。でも、捕まるとかじゃなくてどちらかと言えば周りを警戒している?

 

 

「はい、温かいものどうぞ」

 

「あ、温かいものどうも……」

 

 

 どこかの制服を着た女の人に飲み物を貰った。ちょうどいいくらいに温かくて冷えてきた体に染み渡る。それを飲んでリラックスした所で謎のピッチリスーツ(?)が消えて、元のリディアンの制服姿に戻る。

 

 

「よっ!ちょっといいか?」

 

「あ、かな……天羽さん」

 

「奏でいいよ。あたしも名前で呼んでくれた方が気が楽だからさ」

 

「じゃあ、奏さんって呼ばせてもらいますね」

 

「あたしの事は知ってるみたいだからいいか。あんたらの名前は?」

 

「小日向 未来です」

 

「立花 ひよりです!中学一年生です!」

 

「未来にひよりな。とりあえず、未来はあたしらと一緒にこっちだ。ひよりは友里さんに家まで送ってもらえ、な?」

 

 

 空も暗くなってきて、明日には学校があるからひよりちゃんは言葉に甘えることに。ちなみに友里さんっていうのはさっき飲み物をくれた人だそう。

 

 

「未来お姉ちゃん、ばいばーい!」

 

 

 車に乗ったひよりちゃんが手を振ってきたから私も返す。一応車に乗る前に、今日の事は絶対に秘密だよって言っておいたし大丈夫。

 

 

「さて、そんじゃあ……緒川さん」

 

「はい。失礼しますね」

 

「へ?」

 

 

 ひよりちゃんも帰ったし、てっきり話をするもんだと思ってたらものすごくゴツい手錠をかけられた。

 

 

「申し訳ありません。貴女の身柄を拘束させて頂きます」

 

「な……」

 

 

 

なんでぇぇぇぇ!!!???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ!特異災害対策機動部二課へ!」

 

 

 ツヴァイウィングの二人に連れてこられたのは何故かリディアン。地下にシェルターが作られているのは知ってたけど、目的地はそこより更に下だった。少し怖くて、収監される人ってこんな気分なのかな……って思っちゃった。不謹慎かな?

 で、案内された部屋に入ると、中の人達が一斉にクラッカーを鳴らした。垂れ幕まで下がっていて、そこには『熱烈歓迎、小日向 未来様』って書いてある。

 

 

「えっと……?」

 

「よし、もういいだろ。緒川さん」

 

「そうですね」

 

 

 状況を理解出来ずに混乱していると手錠が外された。

 

 

「奏さん。私の名前、いつの間に伝えたんですか?」

 

 

 とりあえず疑問の一つを消化すべく、奏さんへと聞く。でも返ってきたのは

 

 

「いんや、あたしはまだ何も伝えてないさ」

 

「え?じゃあ、なぜ……」

 

「それは俺たち二課の情報収集能力ならお手のものってわけだ」

 

「はい。これ、貴女のでしょ?」

 

 

 あ!私のカバン!と、ひよりちゃんが響に渡す予定の調味料。何が情報収集能力ですか!?

 

 

「では、自己紹介といこう。俺は風鳴 弦十郎。一応ここのトップをやらせてもらっている」

 

「そして私が、出来る女と評判の櫻井 了子ですッ♪」

 

「知ってるみたいですけど、小日向 未来です。よろしくお願いします」

 

「さて、君をここに連れてきたのは訳がある。君も、聞きたい事があるだろう?」

 

「あ、はい!あの……さっきのあれや、奏さんと翼さんのって……」

 

「ふふん。それはこの私の分野ね」

 

 

 了子さんがモニターに何かを映し出し、説明を始める。

 

 

「翼ちゃんと奏ちゃん、そして未来ちゃんがさっきまで纏っていたのはシンフォギアって呼ばれる物よ」

 

「シンフォギア……ですか?」

 

「正式名称をFG(フォニックゲイン)式回天特機装束と言って、この私が提唱した櫻井理論を元に作り上げたアンチノイズプロテクターなのよ。その性質はノイズの位相差障壁の調律、及び炭素変換への耐性が主なものね」

 

 うーん?えっと………。

 

 

「そして、これに欠かせないのが核となる聖遺物と呼ばれるもの。奏ちゃんならガングニール、翼ちゃんは天羽々斬と言った所ね」

 

「これが、そのシンフォギアだ」

 

 

 奏さんと翼さんが出したのは、私がひよりちゃんに貰ったのとよく似たものだった。

 

 

「え、それって……」

 

 

 私も服の下からそれを取り出すと、辺りがざわめいた。

 

 

「ちょ、ちょっと未来ちゃん!?それ、どこで手に入れたの!?」

 

「ち、近いです。後少し痛いので離して……」

 

「そこまでだ、了子くん」

 

 

 了子さんに肩をがっしり掴まれて、詰め寄られる。かなりの力が入っていたので、弦十郎さんが止めてくれたお陰で助かった。

 

 

「未来くん。大事なことなんだ、教えてくれ」

 

「あ、はい。これは……」

 

 

 これはひよりちゃんから貰ったこと。聞いていたその来歴も一緒に話す。それとシンフォギアなんてものは今初めて知ったことも。

 

 

「……了子くん。このシンフォギアに覚えは?」

 

「ないわね。私が作ったのはあの3つだけよ」

 

「そうか」

 

 

 それきりしばらく無言になり、私ももう遅いので今日の所は帰されることに。ちなみに私の持ってたシンフォギアは了子さんが一度詳しく調べてみるからと回収された。今は、案内を買って出てくれた奏さんと一緒に外までの道を歩いている。

 

 

「……なあ、未来」

 

「はい、なんですか?」

 

「あのひよりって子さ。もしかして、あの時の子の……」

 

「はい、ひよりちゃんはあの時のライブの子……響の妹ですよ」

 

「そうか。道理で似ていると思ったよ。その、響ってのは元気してるか?」

 

 

 元気ですって答えようとしたけど、一つ良いことを思い付いた。ここがリディアンの地下ならたぶん来れるよね?

 

 

「お昼頃にリディアンの食堂に来たらわかりますよ」

 

「?」

 

 

 奏さんは言ってる意味がわからなかったのか、首を傾げている。その後、学校の外に出ると奏さんとも別れ帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 とある屋敷で一人の女が酒を飲みながら物思いに耽っていた。

 

 

(もう、かなりの昔………当時は色々とあって()としての活動が出来なかったあの時期。そこで作り上げたシンフォギアのプロトタイプ。てっきり処分したと思っていたがまさか、今になって出てくるとは。そしてそれを扱える小日向 未来。些か興味深いが……それよりも)

 

 

 その女は一枚の写真を手にしていた。そこに写っていたのは、銀とオレンジの全身鎧姿の戦士。

 

 

(間違いなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……色合いが記憶と少し違うが、一体誰が扱っているのだ……)

 

 

 




神獣鏡(プロトタイプ)
Gの神獣鏡とは違い、顔を覆うヘッドギアと足のゴツい装甲がない。超紙耐久。飛行も出来ないしミラービットも存在しない。攻撃手段がアームドギアの笏とそれから出るビーム、後は近接のみ。神獣鏡の特徴でもある魔を祓う光、それすらも機能しない。さらにかなりの性能の低さにも関わらず、他のシンフォギアより高い適合係数を要求される。最低限ノイズから身を守れるだけの事実上最弱のシンフォギア。

なお、未来が歌ってるのは歪鏡・シェンショウジンではなく、陽だまりメモリアの模様。



シンフォギアの世界は現代より少し未来の話って書いてるから時間軸的な問題は大丈夫なはず。……たぶん。

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