天の道を往き、総てを司る撃槍   作:通りすがりの錬金術師

31 / 38
G編プロローグです!ここから始まる『誰か』の物語、どうぞ!


なんか最近内容が薄くなりがちな気が……。一話辺りの文字数も少なくなってきてるし……。


天ノ弐道~LOST LOVE~
始まりの歌、鳴り響く


『 Gatrandis babel ziggurat edenal 』

 

 

 歌声が聞こえる。

 

 

『 Emustolronzen fine el baral zizzl 』

 

 

 辺り一帯に、命を掛けた絶唱(うた)が響き渡る。

 

 

『 Gatrandis babel ziggurat edenal 』

 

 

 姉を、友達を、母を、皆を守ろうという意思の籠ったその歌が。

 

 

『 Emustolronzen fine el zizzl 』

 

 

 目の前のネフィリムを止める、その為に放たれた。

 

 

 

 

 

 

「セレナァァァァァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 六年が経った。

 ザーザー、ザーザーと、雨の音がする。どしゃ降り……とまではいかないが、かなりの雨の中、一人の少女が傘をさして建物裏の小規模な花畑の側に建てられた、小さな小さな石碑の前に立っている。その石碑の前にはお手製の花束が置かれている事から、誰かのお墓だろう。しかし、刻まれているべきだろう名前の場所には何も刻まれていない。

 

 

「……もう、ここに来れるのも今日が最後なんだ。明日には日本に行かないといけないの。……大丈夫、皆は私が守るから。だから、心配はいらないよ」

 

 

 その少女は目の前に誰かがいるかのように話をする。毎日の出来事、これからすること、自分の気持ち。まるで、全てを放出するかのように。

 

 

 

「セレナー」

 

「おーい、どこにいるデスかー?」

 

 

 

「……っと、呼ばれちゃったからもう行くね。バイバイ、―――」

 

 

 

「……あ!」

 

「セレナ!」

 

「月読さん、暁さん、どうしました?」

 

「……マムが呼んでる」

 

「ほら、早く行くデスよ!」

 

「分かりました、マムに怒られたくはないから急ぎましょう!」

 

 

 

 セレナ、そう呼ばれた少女は自分を探しに来た二人と一緒に建物の中へと入っていく。先ほど誰かの名前を呼んだ時に一瞬だけ見せた、悲しげな表情は完全に引っ込めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、日本に到着した数日後。

 

 

「警備の配置は覚えた。目的の場所も確認した。……うん、行きましょう」

 

『セレナ。決して無理をしてはいけませんよ。奪取が不可能ならそれでも構いません』

 

「大丈夫だよ、マム。私にはこの子がいるから」

 

 

 そういって、彼女は手に付けている()()()()()()()に停まっている蜂型のマシンを撫でた。

 

 

『……マスクドライダーシステム、ですか。フィーネの記録にも残ってましたね。それも彼女が見つける事が出来なかった、ザビーゼクター。選ばれたのが貴女だと言うことに少し思う事はありますが、時間に限りのある私たちには渡りに船です』

 

「うん、それじゃあ、行ってきます!」

 

『ええ、頑張りなさい』

 

 

 通信を切った彼女は、ただ停まっているだけだったザビーゼクターをライダーブレスにセットする。

 

 

「変身」

 

【HENSIN】

 

「キャストオフ」

 

【CAST OFF】

 

【CHANGE WASP】

 

 

 そこに現れたのは蜂の巣を模した姿の鎧の戦士。更にライダーブレスにセットされているザビーゼクターを半回転。それと同時に鎧が弾け飛び、その下から蜂を模した姿が現れる。

 

 

「さて……クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 腰のバックル上部を触ってクロックアップを起動。目標は目の前の施設に保管されている他のゼクター。二課の装者やカブトに来られては達成は難しい。時間との勝負になる、彼女はそう考えた。

 

 なお、この時の彼女は当然知るはずもなかったが、カブトこと響は並行世界に行っていたので、駆けつけられるはずもなかった。

 

 加速した彼女は、その拳一発で施設の壁を破壊して内部へと侵入。()()()()()()事前に調べた目的地まで障害物となる壁を破壊しながら、一直線に突き進む。

 目的のゼクターを見つけると、彼女はそれらを対応している武器と共に回収。今、来た道をそのまま逆戻りして撤退を始めた。

 

 

 

【CLOCK OVER】

 

 

 施設から少し離れた所でクロックアップが解除される。ここまで、現実の時間では1分も経っていない。

 彼女が施設を振り返って見ると、非常に慌ただしくなっている。壊れた壁となくなったゼクターで大騒ぎなのだろう。彼女は追っ手が来るのを警戒して、再びクロックアップしてアジトまで戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「ソロモンの杖移送作戦……?」

 

「ああ。翼と奏はアーティストとしての仕事が控えているので、君たち二人に頼みたい。日本の代表として友里が向かうので、目的地である岩国基地まで彼女とソロモンの杖の護衛が役目だ。やってくれるか?」

 

「ああ、任せろ!」

 

「わかりました!」

 

 

 二人の少女が気持ちを固め

 

 

 

 

 

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴ……アメリカの人気アーティストか。次のライブ、必ずや成功させてみせる……!」

 

「おいおい、ライブは翼一人でやるものじゃないぞ?あたしやこのマリアって人を忘れないでくれよ?」

 

「わ、わかってる!」

 

「なら、いいけどさ。翼の事だからもし何かあったら自分のせいだー、って抱え込みそうだと思って」

 

「う……それは……」

 

「なーんて。冗談だよ、冗談。この前、自覚しただろ?なら大丈夫さ」

 

「もう……やっぱり奏はイジワルだ」

 

 

 両翼の歌姫はライブを楽しみに

 

 

 

 そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの人が言っていた……。美味しい物を食べるのは楽しいが、一番楽しいのはそれを待っている時間だ、と」

 

「おお……!なんか、よくわからないデスが格好いいデス……!」

 

「ズズズ……お代わり」

 

「調!?無駄遣いは駄目デスよ!?」

 

「……確かに。300円(贅沢)がバレたらマムに怒られる」

 

「まだお小遣いが残ってるから、なんとかなるんデスが……」

 

 

 響は知り合いの屋台でバイトしていた。




(21:50)追記:副題の追加しました。そして、頂いたG編の表紙絵です!


【挿絵表示】




ここで、少しお知らせ。
作者、今年就活生なんで、しばらくは投稿遅くなるかもです。例のあれの関係もあって、関連イベントは全部中止になってますが。……なんで、この時期なんだよ、バカヤロー!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。