タイトルから予想した人もいるかもしれない。そう、ついにあれですよ!
私がシンフォギアを受け取ってから一月。今日は流星群が見られる日。響と見に行くのをとても楽しみにしていた。……だけど。
「見たかったよ……響と一緒に、流星群を見たかった!」
「おい!先走るな!」
涙を流しながら現れたノイズにビームを放っていく。一緒に戦っている奏さんの声が聞こえる。でも、ごめんなさい。今だけはノイズに八つ当たりさせてください!怒りのまま、ノイズを殴り、蹴り、紐を鞭のように叩きつけ、ビームで跡形もなく焼き消す。そうしてると、次第に体に鋭い痛みが走ってくる。それは徐々に強くなってきて……。
『え……未来ちゃんの適合係数、急激に低下!?バイタルに異常がみられます!』
『どういうことよ!?』
『わかりません!ですが、このままではギアを維持出来ません!バックファイアも相当な物になるかと』
『奏!今すぐ未来くんを止めるんだ!』
「ッ!わかった!」
奏さんの起こした竜巻で周りのノイズが倒される。そして奏さんに組み伏せられて、同時に私の体に強い痛みが走ってギアが解除された。
「はぁ、はぁ……」
「おい!しっかりしろ!」
「ひび、き……」
「旦那!了子さん!」
『ああ、医療班はすでに待機させている。これから迎えをよこす。しばらく待っていてくれ』
なんで、こんなに苦しいんだろう……。
――――――――――――――――――――――
「……未来?」
その頃、響はスマホのカメラ機能で流星群を撮っていた。未来がとても楽しみにしていたが、急用で行けなくなったので少し涙目になっていたのを目にしたからだ。
『男がしてはいけない事は二つある。女の子を泣かせる事と食べ物を粗末にする事』by天道総司のおばあちゃん
響は泣いている
だがその途中、何かの気配を響は感じとった。それは一月前、自分の手に来たカブトゼクター。それは響の周りを数回回ったかと思うと、一直線にどこかへ飛んでいった。まるで、響に着いてこいと行ってるかのように。
幼い頃、家族総出で家の掃除をしているときに倉庫の奥で見つけたカブトの変身ベルト。その時、この世界で『仮面ライダー』という番組や創作物の存在を見つけられなかった響は確信した。いつか必ず、私の手に力は来ると。ワームやネイティブも確認出来てないが、ゼクターが存在する以上どちらかは存在する可能性があると思っている。
響がカブトゼクターにしばらく着いていくと、眼前に見えたのはノイズの群れ。響が手を掲げると前を飛んでいたゼクターは180°方向転換してその手に収まる。それを腰に持っていきながら響は発した。
「変身」
【HENSIN】
ゼクターから発せられる電子音声と共に響の体を鎧が包み込んでいく。マスクドライダーシステム一号機『カブト』を纏い、ノイズへと突撃する。響に気づいたノイズは攻撃を仕掛けるも、偶然知り合ったとある
「へぇ~、流石『
「……誰だ」
ノイズを倒し終わると現れた白銀の鎧を纏った少女。何故か彼女はカブトの名前を知っていて、響は警戒度を大きく引き上げた。
「別に知る必要もないさ。お前はあたしにやられるんだからな!」
――――――――――――――――――――――
私、ダメだなぁ。奏さんたちに心配かけて……。こんな調子じゃあ響を守れるようになるなんて夢のまた夢だよ。
「奏!小日向!」
「お、翼。そっちは終わったのか」
「ええ。小日向も、大丈夫かしら」
「はい……。その、ごめんなさい」
私が謝ると二人はお互いの顔を見合わせた。そして気にするなって声をかけてくれた。やっぱり私は……。
「はい、難しく考えるのは止めろって」
「い、いふぁいでふ……」
私の両頬をつまんで横に引っ張ってくる奏さん。
「無理はしない方がいい。じゃないといざというときにギアを使えなくなっちまうからな……」
そう言った奏さんの顔は悲しそうだった。linkerという薬で適合係数を引き上げて戦っている奏さんは戦える時間に制限がある。二年前、それで響にケガを負わせたことをまだ引きずっているみたい……。だけどそれは私もそう。
二年前、会場にノイズが現れた時に私たちは逃げ遅れた。ノイズに人々が襲われる中聞こえたツヴァイウィングの歌が気になったからだ。その最中、私たちのいた場所が崩れて、下に落ちてしまった。ノイズがこっちに来た所で奏さんが割って入ってノイズを相手どる。それに乗じて駆け出すけど、私が瓦礫に躓いて足を捻ってしまった。その時に響が何かに気づいたのか、私の前に庇うように立った。次の瞬間、響の胸を何かが貫いて血を吹き出しながら響は倒れた。
「響ぃぃぃ!!!」
「おい、死ぬな!目を開けてくれ!生きるのを諦めるな!」
そこで奏さんが口にした言葉は今でも私の中に残っている。
「ゴホッ……」
「響……!」
「そいつの側にいてやってくれ。あたしはあいつらを倒して……クッ!?体が……」
響がわずかに目を開けたのを見た奏さんは何かをしようと歩こうとしたけど、膝をついてしまう。今なら何をしようとしてたのかわかる。了子さんに聞いた決戦機能である絶唱を唱おうとしたのだろう。奏さんが動けなくなってからすぐ、ノイズは消えた。翼さんが倒した?いいえ、翼さんではない。その人の正体はわからない。いや、
こっちに来ていたノイズがいきなり炭になった。それを始めに次々とノイズが炭になっていく。
「自壊……したのか」
奏さんはそう言ったけど、違う。私の目にはしっかりと――ほんの一瞬だけど――見えていた。
昔を思い出していると、爆発音が近くで聞こえ意識を戻す。そっちを向くと二人の人影が。一人は鞭のついた白銀の鎧を着た女の子。そしてもう一人は膝をついていたオレンジと銀の全身鎧の人――響――だった。
「お、おい。あれは……この前の!?」
「それに、ネフシュタンの鎧!?」
「ん?ああ、お前らもいたのか。別にあんたらはお呼びでないんでね。こいつらとでも遊んどきな!」
ネフシュタンの鎧というらしい鎧を着た女の子は取り出した銃のような杖を振るとそこから多数のノイズが。
「ッ!?奏は小日向を守ってて!ネフシュタンは私が!」
「な、おい待て!翼!」
さっと呼び出されたノイズを斬り刻んだ翼さんはネフシュタンの子に向かって斬りかかる。その子は舌打ちしながら鞭でそれを受け止めた。残ったノイズは奏さんが私を守る為に近づかせないように倒していく。
でも奏さんが戦える時間はそんなに残されていない。このままじゃ私たちは…………嫌だ。誰も死んでほしくない。じゃあどうしたらいい?そんなの決まってる。守るんだ、私が、絶対に!
「 Rei shen shou jing rei zizzl 」
私の思いに答えてくれたのか、神獣鏡を再び纏う事に成功する。痛みも何もないどころか体が軽く感じる。
「おい、大丈夫なのか!?」
「はい!心配をおかけしました。私も援護します!」
奏さんと一緒にノイズを倒しながら翼さんたちの会話を聞く。
「なんだ、お前。お呼びじゃないって言ってるだろ!」
「忘れるものか……」
「あ?」
「私の不手際で失われた命を!奪われた物を!」
激しく声を荒げながら攻め立てる翼さん。
「あー、もう。翼の馬鹿、頭に血が上ってやがる」
「って、それで済ましていいんですか!?相手は人ですよ!?同じ人間なんですよ!?」
「「
「……へぇ?意外とあんたとは気が合いそうだな」
「だったら相手してもらえるかしら?」
「それはお断りだな!」
それが聞こえていたのか、翼さんとあの女の子に怒鳴られた。翼さんの攻撃を避けつつ軽くあしらう鎧の女の子。そこに聞こえる響の声。
「あの人が言っていた……」
「あ?」
「未熟な果実ほど酸っぱい。未熟者ほどよく喧嘩すると」
響が立ちあがりながらその言葉を発した瞬間、場の空気が凍った。次に口を開いたのは翼さんとあの女の子。
「ほう……。お前は、私を未熟者と言ったか?この身を剣として、防人として鍛えたこの私を!」
「そうかい。そんなに死にたいのか……。ネフシュタンの力を舐めるんじゃねぇぞ!」
それに……と女の子は続けて言う。
「未熟者と言ったあたしにやられてるお前こそ未熟者なんじゃないかい?」
「いや、この姿でどこまでやれるか試していただけだ」
「何?……まさか!?」
響は腰についてるカブトムシの角に触れて少し持ち上げた。すると、鎧に一瞬電気が走って少し浮き上がる。
「キャストオフ」
【CAST OFF】
そして一気に角を反対側に持っていった。それと同時に鎧がパージされて、飛び散った鎧でノイズが何体か倒される。
【CHANGE BEETLE】
外れた鎧の中には
その見た目は赤いカブトムシ。少し違うけど、二年前に見た人と似ていたのだった。
※393は純人間です。愛が少し大きいだけの人間です。
銀朱色:黄色の強い赤色。ほとんどの朱肉はこの色らしい。若干ガングニールカラーを混ぜたくて黄色感ある赤色はないか探してたら見つけた。ただし、赤には変わらないので別段黄色いとかではない。黄色の要素が強いってだけ。
ちなみに公式のカブトは深みのあるワインレッド。