天の道を往き、総てを司る撃槍   作:通りすがりの錬金術師

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評価人数が10人を越えて……お気に入りも増えてきてるし……感謝です。新しい話投稿の度に20とか30とかお気に入り増えていって……。
これからも頑張りたいと思います!


折れる翼、決意の未来

【CHANGE BEETLE】

 

 

 キャストオフしたことにより身軽になった響は、自分の体の調子を確かめるように手足を動かす。

 

 

「ッ!このやろっ!」

 

 

 ネフシュタンの鎧を纏った少女は『ソロモンの杖』というノイズを召喚し操る杖を使い、大量のノイズを呼び出す。そして、一斉に響に突撃させる。響はそれをこれまでより素早く、的確に、拳や蹴りを用いて倒していく。

 

 一方の翼もノイズを倒しつつ、隙あらば二人めがけて剣を振り衝撃波を飛ばす。だが、がむしゃらに放たれたそれは避けられたり、防がれたりしてダメージを与えるに至らない。

 

 ネフシュタンの少女はすでに翼のことは眼中に無かった。とはいえ、攻撃を避ける為程度には意識しているが。そして少女は目の前の『カブト』について、『飼い主』に言われたことを思いだし、警戒していた。

 

 

 

『いい?『カブト』が鎧をパージしたら手の動きにはよく注意しときなさい。腰を叩こうとしたら迷うことなく、即座に防御の姿勢をとること。いいわね?』

 

 

 

 少女は何故?と疑問を持ちながらも、『飼い主』の言葉に従っていれば間違いはないだろうと信じ、警戒を怠らなかった。そのお陰なのだろう、防御が間に合ったのは。

 

 

「クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 瞬間、響の姿が消えた。いや、正確には消えたのではない。タキオン粒子の働きにより周りと異なる時間で活動しているだけだ。

 

 

 

 

 クロックアップにより停滞した世界で響は片っ端から、呼び出されたノイズを倒していく。停まっている(ようにみえる)敵などただの的でしかない。

 

 

【ONE】

 

 

 その最中、ネフシュタンの少女に近づいていくと共にカブトゼクター上部のボタンを押していく。

 

 

【TWO】

 

 

 響も翼のことは眼中にないのか、ノイズを倒すと翼を無視してネフシュタンへと一直線。

 

 

【THREE】

 

 

【CLOCK OVER】

 

 

 ネフシュタンの少女の後ろに響が立ち、ゼクターの角を一度戻した時、クロックアップが終了した。

 

 

「な、なにが!?」

 

 

 響の姿とノイズが一瞬のうちに消えたことに翼は困惑するが、警戒していた少女は気づいていた。自分の背後に響の気配を感じるのだ。

 

 

「ライダー……キック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 響がゼクターの角を再び操作すると、ゼクターから生成されたエネルギーが角へと収束。そこで増幅され足に。少女が振り向くと同時に響の回し蹴りが突き刺さる。少女はそのまま吹き飛んで、近くの林に突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「す、っげぇ……」

 

 

 私も思っていた事を奏さんが代弁してくれた。響だからどんなことしても驚かない自信はあったけど、それを軽く乗り越えてきた。それに()()()()()私は確信していた。二年前、助けてくれた人と響の使っているものは同じだってことを。

 

 

「……なぁ、未来。あたしの勘違いだといいんだが、あの鎧の奴は、響だよな?」

 

 

 そして唐突にそう言われて、私は固まった。

 

 

「聞き間違えるはずもないさ、『あの人が言っていた……』ってやつ。使ってるの響しかいないだろ?」

 

「そう、ですね……私も響以外が使ってるのは聞いたことないですし」

 

「だよな……」

 

 

 とりあえず翼さんの下へ向かう私と奏さん。あまりに一瞬に起きた出来事に翼さんが呆然としてしまっているからだ。本当は響のところに行きたかったけど……。

 

 

「おい、翼!しっかりしろ!」

 

「……ハッ!奏!?奴とノイズは!?」

 

「落ち着け。ほら、あそこだ。ちなみにネフシュタンの奴は蹴り飛ばされてあの林の中だ」

 

 

 それを聞いて、剣を持って響に向けて駆け出そうとする翼さんを奏さんが羽交い締めにして止める。

 

 

「何するの!離して、奏!」

 

「やめろ、翼!今はあいつ……響よりもネフシュタンだろうが

 

「ぇ……響って……まさか」

 

 

 奏さんが翼さんの耳もとで呟くと、翼さんの手から剣が抜け落ちて、半ば絶望した顔になる。

 

 

『……三人とも、聞こえるか。あの鎧の人物の事だが、先ほど聖遺物の反応がくっきりとした。ガングニール……奏と同じ、ガングニールだ』

 

「……じゃあ、あれもシンフォギアなんですか?」

 

『んー、そうとも言えないわね。とりあえず詳しい話はそっちに着いてからね。今向かっているから』

 

「あ、あぁ……」

 

 

 翼さんの様子がおかしくなって声をかけようとしたその時、ネフシュタンの女の子が飛ばされた方向から倒れたと思われる木が飛んできた。それは私たちのところにつく前に落ちたけど、その後ろから鎧にヒビが入り、ボロボロになったあの子が。

 

 

「あいつ!まだやるのか!?」

 

「アタシはまだ負けてねぇ、負けるわけにはぁぁ!!」

 

 

 私たち――響含む――が構えた瞬間、翼さんがふらふらと、ゆっくりと、あの子の方へと歩いていった。その手には小刀が。

 

 

「翼?おい、翼……体が!?」

 

 

影縫い

 

 

 そして小刀を全員の影に投げ、刺さるとその場から動けなくなる。

 

 

「お前、何を……」

 

「今夜は月が綺麗で良かった……さぁ、今のうちに終わらせましょう?」

 

「やめろ、翼ァァァ!!!」

 

 

 翼さんが30秒ほどの短い歌を口にしたと思うと、あの子の所へ歩いて行って、とてつもない輝きが視界を埋め尽くした……。

 

 

 

 

 光が収まるとそこには翼さんだけが立っていた。あの子はどこかへ消えたみたい。

 

 

「翼!」

 

「……見ててくれたかしら?」

 

 

 奏さんが声をかけるけど、翼さんは何も返さずに響の方を見てそう言った。

 

 

「これが、貴女が未熟と言った、私の……」

 

 

 全身から血を流しながらそこまで言って翼さんは倒れた。そこに駆けつけた一台の車。そこから弦十郎さんと了子さん、緒川さんが降りてくる。

 

 

「お前たち、無事か!!!」

 

「旦那!了子さん!翼が、絶唱を!」

 

「ッ!?救護班、聞こえる!?急いでこっちにきて!」

 

 

 了子さんが急いで連絡を取り、弦十郎さんも翼さんの所へ。響はそこで踵を返して歩いて行く。

 

 

「待ってくれ!」

 

 

 そんな響に弦十郎さんが声をかける。響は一瞬反応するけど、何も言わずに腰の所を叩いて消えた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「……しっかりと見させて貰った。しばらくは私に任せてゆっくり休むといい」

 

 

 クロックアップした時間流の中で、響はそれだけ呟いた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「とりあえず翼ちゃんは一命を取り止めたわ。まだ油断は出来ないけどね」

 

「良かった……」

 

 

 二課本部に戻ってきて、了子さんにそう教えられた。奏さんも安堵の息をついている。

 

 

「さて、それでは今回新たにわかったことについて説明するわよん♪」

 

「お願いします!」

 

「さて、まずは……全身鎧の人の方から言おうかしら。彼女の使っていた鎧から検知された聖遺物の反応は奏ちゃんと同じガングニールだとわかりました」

 

「あたしと同じ……」

 

「ええ、だけどあの鎧はシンフォギアではないわ。だってシンフォギアを作れるのは私だけですから」

 

「待て、了子くん。なんで女性だと決めつけているんだ?根拠は?」

 

「それは後の説明に関係してくるから後回しね」

 

「えっと、じゃああれはなんなんですか?」

 

「んー、推測だけど、()()()()()()()()()と戦う為に作られたものだと思うわ」

 

 

 ()()()()()()()()()?あれ、じゃあなんでノイズと?

 

 

「推論に推論を重ねるんだけど、その鎧に奏ちゃんのガングニールの欠片か何かを融合させたんじゃないかしら?それならノイズに触れても炭化しないためのバリアフィールドがあったり、ノイズを倒せるのも一応説明が付くのよね……」

 

「ガングニールの欠片か……だが、一体どこで……」

 

「それがわかれば苦労しないわよ。私たちが管理していたのにどこから漏れたのか……」

 

 

 ガングニール……欠片……響はそんなの持ってたっけ?

 

 

「あ、そうそう。さっきの推論についてだけど。シンフォギア搭載の機能が発揮してる事から欠片をシンフォギアとしても起動させてる可能性が高いのよ。で、適合者としての可能性が高いのが女性。だから彼女って言ったわけ。……まあ、男性である可能性もゼロじゃないんだけどね?これまでに男性適合者も候補者も見つかっていないから限りなく低いけど」

 

「あれ?でも了子さん、さっきあれはシンフォギアじゃないって……」

 

「鎧はシンフォギアではないのは確かよ。機能としてシンフォギアを起動させてるかも、ってこと」

 

 

……?よくわからないけど、いいか。

 

 

「……もうひとつのネフシュタンの鎧の方も説明したかったが、とりあえず今日はここまでだ。時間も遅いし色々あったので、ゆっくり休んでくれ」

 

「わかった。じゃあ行こうぜ、未来」

 

「え、あ、はい!」

 

 

 奏さんに引っ張られる形で司令室を出ていく……あ、そうだ。

 

 

「あの、奏さん」

 

「ん、なんだ?」

 

 

 廊下を歩きながら、声を小さくして奏さんだけに聞こえるように話す。

 

 

「その、なんで響の事言わなかったんですか?」

 

「……ま、なんていうか。少し負い目があるのさ」

 

「負い目、ですか?」

 

「ああ。たぶん観測されたガングニールは二年前のあれが原因だと思う。体の中に残ってる可能性があるからな」

 

 

 そうだ。響のケガは奏さんのガングニールの欠片が刺さった事による……。

 

 

「関わりを持ってるっちゃ持ってるが、あいつをこれ以上関わらせたくないのさ。だから黙ってた……まあ、知ってるのバレたら怒られるかもしれないけどな?」

 

 

 秘密だぞ?って奏さんに言われたから頷く。私も響にばかり頼っていられないから。もっと強く、シンフォギアをしっかりと扱えるようにならないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………そういえば。

 

 

「あの、奏さん。翼さんが目覚めたら弦十郎さんたちに響の事、伝わるんじゃ……?」

 

「あ……」




了子の推論
鎧の人物(『カブト』)の鎧は聖遺物とかではなく、『ノイズではない何か』(『ワーム・ネイティブ』)と戦う為の人工物。ノイズと戦えるのは(どうやったか不明だが)ガングニールの欠片と融合しているからだろう。鎧の人物の正体はガングニールの適合者である可能性が高く、欠片をシンフォギアとしても起動させていて、バリアフィールドや調律機能が働いている可能性大。正直認めたくない。




了子さんの推論の為、実際の理由は少し違いますが、間違っているわけでもない。まあ、ここら辺は作者でも少し設定に無理がありそうな気もしてる。

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