天の道を往き、総てを司る撃槍   作:通りすがりの錬金術師

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日常(?)が苦手な作者ですが……頑張りました。
上手くかけた自信が……ない。


嵐の前の……

「皆、久しぶり」

 

「あ、未来!久しぶりだね。大丈夫なの、それ」

 

 

 デュランダル移送作戦の数日後。私は頬っぺたにガーゼ、左手にギプスという如何にも怪我人ですって姿で登校していた。いや、実際に怪我人なんだけどね。

 あの後、目が覚めたら病院だった。気を失ってる間に行われた検査の結果、ギリギリ骨は折れてはなかったけど左手を中心にヒビが複数箇所入っていたみたいで、数日入院していた。嫌な音がしていたのを覚えていたから折れたんじゃないかって思ってたけど、良かった。早いこと復学出来たし、響も毎日病院に来てくれたし。

 

 

「うん。運動はダメだけど、日常生活を送るだけなら問題ないってお医者さんが」

 

「そうなんだ……よかった。ヒナが事故にあったって聞いて心配だったんだ」

 

「でしたら今日の放課後に皆さんでふらわーに行きませんか?小日向さんの快復を祝って」

 

「お、いいね!なら響のやつも呼んじゃおう!」

 

「ビッキーもヒナが入院してる間、ヒナの分のノートも取ってたしね」

 

「みたいだね。響が毎日持ってきて教えてくれたし、たぶん勉強はついていけると思うけど……」

 

「え?」

 

「え?」

 

 

 あれ?私何か変な事言った?普通だよね、お見舞いに来るのって。後、響に勉強教えてもらうのも。

 

 

「私たちが行ったら、面会出来ませんって言われたんだけど……」

 

「え……」

 

 

 ちょっと響ぃぃぃぃ!?

 親友が病院に不法侵入してたかもしれない事を知って唖然とする私。え、これってもしかして黙ってた方がいい感じ?とりあえず弓美ちゃんたちには黙っててもらうように目線で伝える。三人は頷いてくれたから大丈夫なはず。

 ちょうどその時、教室に響が入ってきた。聞こうとしたけど、もうすぐチャイムが鳴る時間だったから後回しにすることに。だけどこの日、響から話を聞く事が出来なかった。昼休みはいつもの通り響は食堂で、私は休んでた間の課題を出しに職員室に行っていたし、放課後は私が病院での検査ですぐに学校を出ることになっていたから。それに、響もどこかピリピリしていた……って言うのかな。なんかそんな雰囲気だった。何かあったのかな?

 

 

 

 

 

 

「あ、翼さん!」

 

「ん?あぁ、小日向か」

 

 

 病院での検査が終わって、廊下を歩いていると松葉杖を持ってリハビリをしている翼さんに出会った。

 あの流星群の日、絶唱を唄って倒れた翼さんだけど、私が入院している間に目覚めたそう。それを、お見舞いに来た奏さんから聞いて一緒に翼さんの部屋に行くと驚いた。何せ、部屋の中には服から本や空の弁当箱にペットボトル、果てには下着まで様々な物が散らかっていたから……。私は慌てて何を言ったか覚えてないけど、奏さんはため息を吐いていた。そこで聞いたのは、翼さんが片付けを始めとした家事全般が出来ないこと。まさか、響みたいになんでも出来そうな翼さんが……って思った。

 近くの休憩スペースで座って話をすることに。

 

 

「怪我はもう大丈夫なのか?」

 

「はい、日常生活を送る分には大丈夫だと。それよりも翼さんの方が大怪我だったんですから、休んでいないと」

 

「……小日向は優しいのだな。その気持ちはありがたいがそれは出来ない」

 

 

 え?

 微笑みながらそういった翼さんに困惑する私。

 

 

「私は防人なのだ。幼い頃からそうなるべく育てられてきた私は、戦いの中でしか生きる道を知らぬのだ」

 

「そんな……」

 

「だが、最近は他にもやりたいことが出来たんだ」

 

 

 やりたいことと聞いて思い浮かんだがあった。奏さんがこの前言っていた。ツヴァイウィングに海外進出の提案が来ていると。

 

 

「歌……ですか?」

 

「奏から聞いていたのか?ああ、その通りだ。休んでいる間、ずっと考えていたんだ。そして気付いた、私は歌が好きなんだって事に。だけど、今はこういう状況だろう?だから決めかねているんだ……」

 

「翼さん……」

 

「笑ってくれて構わない。私はこんな状態になるまで自分の気持ちにも気づけなかった、そういう不器用な女なんだ」

 

「そんなことありません!」

 

 

 気づいたら私は立ち上がって声をあげていた。ここが病院だと思い出してすぐに声を小さくして座ったけど。

 

 

「小日向?」

 

「その、確かに翼さんは片付けが出来なかったり」

 

「うっ……」

 

「言葉使いがたまに変だったりしますけど」

 

「へ、変?変なのか、私の言葉は……。なんのつもりの当て擦り……!」

 

 

 そういうのですよ……。あと、戦場(せんじょう)戦場(いくさば)って読んだり……。

 

 

「歌ってる時の翼さんはとても格好良くて、歌が大好きなんだなって感じました。戦いでもとても頼りになりますし、決して笑うなんて出来ません!」

 

 

 言い切った私に翼さんは唖然とするけど、少ししたらクスッと笑った。

 

 

「……フフッ。そうか」

 

「はい。だから翼さんも自分の好きにしたらいいと思います。それに私や奏さんもいるんです、一人で悩まずに皆で考えればいいんですよ」

 

「ああ、ありがとう。小日向」

 

 

 そして翼さんと別れて、私は弓美ちゃんたちが待っているふらわーに向かう。ちょっと話し込んじゃって時間押しちゃったかも。急がないと!

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「フィーネ。やってやるよ、アタシがあの『カブト』を倒す!」

 

「やれるのね?」

 

「ああ!あの力もあってはならないんだ、あんなのがあるから世界は!」

 

「そうね、その通りよ。頑張りなさい、クリス」

 

「行ってくる!」

 

 

 フィーネの館。そこでクリスがフィーネに啖呵をきっていた。走り去るクリスを見送ったフィーネは呟く。

 

 

「……そろそろ、あの子も潮時かしら。準備ももう終わる。ゼクターの解析も終わり()()も完成間近。クリスにカブトは倒せないと思うけど、万が一もある。一応期待しておこうかしら?」

 

 

 そして、館を飛び出たクリスを追いかける一つの影があった。誰の目にも止まらぬスピードで動いていたので、その存在にはフィーネすら気づけなかった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

『いいか、響くん。これも俺の独り言だ。よって誰が聞いていても関係ないからな。この前、未来くんたちを襲ったのは『ネイティブ』と呼ばれる存在だ。彼らは―――』

 

 

 この日、朝の日課の手合わせ終わりに弦十郎が言っていた事が響の頭から離れなかった。この世界に存在する『ネイティブ』。響はこの前戦ったのは『ワーム』だと思っていたが、違ったようだ。

 響の手にした『カブト』。それはこのネイティブ――それも過激派――に対抗するために造られた物だと。響の『知識』とこの世界では、ゼクターが造られた理由が違う事から、この世界にはワームがいないのかも知れない。

 それにあの逃げ出したネイティブが持っていった荷物。あれは一体なんなのか、それも気になっているところだ。響が考えうる選択肢の中で、一番可能性の高い物は『ハイパーゼクター』。次点でカブトゼクター以外のゼクター。……まあ、実際はデュランダルという完全聖遺物なのでこの考えは間違いであるのだが。

 響が完全に理解しているのは、あの荷物は()()が必要としている事だけ。それ以外はほとんどわからない。だが、響には関係ない。なぜなら彼女は『天の道を往き、総てを司る女』。そして、尊敬している彼ならどうするだろうかを考えた。

 

 

「あの人が言っていた……。私は世界の中心。ならば世界は私が救ってやる。例え、奴らが何を企んでいようとも」

 

 

 ネイティブも絡んでいる以上、恐らく敵の狙いはろくな事ではないだろう。そうであれば、未来や妹のひよりや周囲の人に何かあるかも知れない。そう考えた響は決意を口にする。

 そして響は携帯を取り出し、そこに来ていたメールを見て商店街の方へと歩みを進めた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「焼き上がったよ。さぁ、たんとお食べ!」

 

「ありがとうございます!」

 

「じゃあ……未来の退院を祝って、乾杯!」

 

 

 ふらわーに着くと、そこには弓美ちゃんたち三人と響が待っていた。響にはこの話してなかったと思って、聞くと三人にメールで誘われたらしい。それを聞いて私は少し嬉しかった。あの響が、親衛隊に遠巻きに見守られて、家族と私以外だとおじいちゃんおばあちゃんと子供たちくらいしかまともに話さない響がこうして仲良く……。そう思うと涙が出てきた。

 

 

「え、ちょ、未来!?どこか痛むの?」

 

「ううん、ちょっと嬉しくて……」

 

「今日はあんたたちの貸し切りだからね。ゆっくり周りを気にしないで食べるんだよ」

 

 

 え、貸し切り!?おばちゃんに言われた事に驚いてお好み焼きを落としそうになった。反省。

 

 

「私がおばちゃんにお願いしましたの。小日向さんの退院祝いをしたいから場所を貸してくれませんかって」

 

 

 詩織ちゃん……。ありがとう。

 

 

「さあ!寮の門限近くまでいっぱい食べるよー!!」

 

「板場さん、太りますわよ?」

 

「今日くらいいいじゃん!お祝いなんだし!」

 

「……そうだね。だから詩織ちゃんも創世ちゃんも、もちろん響も!食べよう!」

 

「ヒナ!?……ま、本人がいいならいいか」

 

「ですわね」

 

 

 あれ、響は?

 一言も発してないから気になって顔をあげると、いつの間にかおばちゃんの横に立って一緒になってお好み焼きを焼いていた。やっぱり響と言うべきか、おばちゃんにも引けを取らない腕前だ。

 

 

「はい、お待ち」

 

「おおー!ビッキーのお好み焼き……」

 

「立花さんの料理、やっぱりナイスですわ!」

 

「材料も作り方もおばちゃんと同じだがな」

 

「でも、ありがとう。響」

 

 

 響が私たちに作ってくれたお好み焼き。響の愛情たっぷりのお好み焼き。とても美味しい。

 こんな幸せが、皆で楽しく過ごせる日々が続きますように。この先も、ずっと、永遠に。私はそう心の中で祈った。




デュランダル移送作戦の翌日、朝。


弦「ああ、響くん。未来くんのお見舞いに行くならこれを受付で見せるといい」

響「……これは」

弦「面会許可証だ。安全面の観点から関係者以外の面会は遮絶しているが、響くんなら問題ないからな」

響「ありがとうございます」

弦「……これは俺の独り言だが、奏と未来くんを助けてくれた鎧の戦士には感謝しているんだ。こうして独り言を言うくらいにはな」


的な事がありました。響が未来のお見舞いに行けた理由ですね。
さて、次は……原作だと正体バレの所ですね。

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