授かりの英雄には精霊の従者がついている   作:修行者‪α‬

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1章 王子と従者
1.報いの英雄には従者が見えない


────■■■■■よりその■■■■■■に授けられし祝福を反転する。

 其が抱えるは堕落の大罪。

 

 其は己が役目を忘却するべし。

 其は未熟たる身であるべし。

 其は不死ならぬ生命であるべし。

 

 反転せよ、反転せよ、反転せよ。

 

 原初の■より賜りし祝福よ、その身を蝕む呪いとなれ────。

 

 

 

 

 

 

 

 むかしむかし、むかしのこと。

 未だアーディティヤの神々が天に座し、太陽神スーリヤが地上を照らしていたころ。

 バーラタの国にパーンダヴァとカウラヴァのふたつの王家があった。

 

 女性に近付くことができないという呪いを持っていた王パーンドゥが娶った妃クンティーが世継ぎのため、むかし仙人から授かったマントラ()を使い、神々との間に設けたパーンダヴァの五人の王子。

 パーンドゥの兄であるドリタラーシュタラの百王子(カウラヴァ)

 彼らはパーンドゥの死によって、引き合わされ王宮で共に暮らすこととなった。

 始めこそどちらも歩み寄ろうとしたものの、半分であっても神の血を引くパーンダヴァと純粋な人の血を引くカウラヴァは互いに互いを底までは理解できず、反目し合うことになる。

 

 五王子は触れるだけで傷付く人の子の弱さがどこから来るものか分からず、百王子の憤りを受け止めることはできなかった。

 百王子はもとより凶兆の表れ。わざとではないとはいえ兄弟達を傷付け、生まれ持った力の差を理解しないパーンダヴァを憎んだ。

 まだいずれも若かったが故にその亀裂が徹底的になることはなかったが、仮初の平穏は長くは続かない。

 

 ある日、王家主催の競技会が開かれた。競技会には数多くの戦士達が己を技量を見せつけようと参加しており、五王子達も参加していた。

 パーンダヴァの三男、雷神インドラの子アルジュナは兄弟の中でも一際武勇に優れており、実力を華々しく披露して競技会を湧かせていた。

 

 しかし、そのアルジュナに勝負を挑む者がいた。

 競技会の真っ只中に降り立ったその者こそ、太陽神スーリヤの子カルナである。

 

 アルジュナとカルナ、どちらも見事な腕前を持っていたが、カルナの身分が低かったが故に挑戦は断られてしまう。

 ここで王子に引けを取らぬ武を持つカルナを高く買ったカウラヴァの長兄ドゥリーヨダナは彼を取り立て、アンガの国の王としたことで挑戦は相成ったかと思いきや……カルナが御者の義理の息子であることがばれ、民衆からひどい侮辱を受けた。彼は自らの養い親を嘲笑われたことで怒りを顕にして、アルジュナとの対決に挑むこととなった。

 

 こののちパーンダヴァとカウラヴァの関係は次男ビーマとドゥリーヨダナ、アルジュナとカルナを中心として激化し、クルクシェートラの大戦争へと発展していくのだが……それはまた別の場所で語るとして。

 ここでひとつ、アルジュナについて触れておこう。

 

 アルジュナに近しい人物には親友であるクリシュナがいるが、その他に彼の命が尽きるまで側に置いた者がただひとりいる。

 それは彼を実母に代わって養育した乳母であり、のちは王子付きの従者となった元は名の無い女。───アドルシタである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと・・・・・・ダウィンチちゃん、話からするとこの子がその『アドルシタ』ってことでいいんだよね?」

 

 カルデアの一室、召喚サークルの前に立てられた水晶柱にはひとりの少女の遺体が封じ込められている。透き通ったそれを見上げて立香は自分の見ているものが確かであるか疑うように瞬きをした。

 

「そうだよ、彼女こそ英雄アルジュナが深く気を許し、その死後も側に置いたアドルシタさ」

 

 浅黒い肌に美しい黒髪、長い睫毛は伏せられて、その下の瞳を伺うことは出来ない。幾重もの薄い布に覆われた凹凸の少ない身体は滑らかで猫のようにしなやかだ。どう見ても成人しているとは思えない、それどころか十代半ばを超えているかも怪しい彼女こそマハーバーラタで語られる英雄アルジュナの乳母『アドルシタ』であるとダウィンチは言う。

 

「乳母って言ったってどう見てもずっと年下の女の子にしか見えないんですが・・・・・・ねぇ、マシュ?」

「そうですね、先輩・・・・・・あ!」

 

 立香の言葉に賛同したマシュはふと何かに気付いたようにダウィンチの方へ向いた。

 

「そういえばダウィンチちゃん、確かアドルシタは見た目通りの年齢ではないとマハーバーラタでは語られていましたよね?」

「その通り、良く知ってるね。正確な年齢は言及されていないけど確か五兄弟よりも上じゃないかな。彼らの師のドローナとそう変わらないはず。認識されないながらもクンティーの代わりにアルジュナの世話をしていた位だからね」

 

 なるほど、と頷く立香だったがダウィンチの言葉のひとつに引っかかるものを感じる。

 認識されない、とは一体。

 

「ああ、彼女にはある呪いがかかっているんだ・・・・・・」

「呪い?」

 

 聞き返すとダウィンチはぱらぱらとファイルに挟んだ資料を捲り始めた。

 

「アドルシタという名前はね、サンスクリット語で『見えないもの』って意味なんだ。えーと、『求めるものには気付かれず、避けるべきものには気付かれる』・・・・・・ここが由来だね」

「それって・・・・・・」

 

 顔を見合わせて二人は不安げな顔をする。互いの頭に浮かんだのは恐らく同じものだ。

 

「────一番気付いてほしい人に分かってもらえないってこと?」

 

「うん、そうさ。生まれてすぐの頃はそうでもなかったみたいだけど……しばらく見えなかった時期があったらしい。一番この呪いが影響を及ぼしたのは彼女の最期だ」

「・・・・・・はい、それは私も知っています。カウラヴァから王国を取り戻すためパーンダヴァが起こしたクルクシェートラの戦いの中行われたアルジュナとカルナの一騎打ち。その際、彼らに匹敵するほどの武力を持たないアドルシタは主と別れ、戦の混乱で逃げ惑っていた民を説得し安全地帯へと導こうとしたのですが・・・・・・。呪いによって、その肝心の民に存在を認識されませんでした。結果、激しくなる暴動に巻き込まれて危機に陥った奴隷階級(シュードラ)の少年を救うために己の身を投げ出し・・・・・・」

 

 ────飛んできた石で頭部を強かに打ち、当たり所が悪かったのか倒れてそのまま起き上がらなかった、と。

 

「死んでしまってからやっと、彼女がパーンダヴァの三男の大事な侍従であることに民は気付きました。民たちはばれては敵わないとどうにかアドルシタの身体を隠そうとしましたが、それは彼女に庇われたシュードラの少年によって防がれました。遺体は彼の手によってカルナを討った直後のアルジュナの元へと届けられることとなったのです」

 

 そうして────アルジュナは宿敵を不意打ち紛いの一撃で屠った後悔と生涯共にあると思っていた筈のアドルシタが己の預かり知らぬところで亡くなっていたと知った悲しみを一編に味わった。

 

 その後は表面上は変わらなくとも、確実に彼は壊れていった。

 

 そう、任された仕事をこなすだけの、定められた行動を繰り返すだけの絡繰のように。

 

 ただひとつ彼が自発的に行ったことと言えば────永遠に朽ちぬよう水晶の中に閉じ込めた物言わぬアドルシタに語りかけ、暇さえあれば水晶を磨いていた事くらいのものだろう。

 

「・・・・・・愛が、重い」

 

 神話といえば神話らしい話にぞっと背筋が凍るような悪寒を覚えて身を震わせる。

 

「ただの男女の情愛でなかったのは確かなんだけどね。それだけ正義たれと願われ、英雄となった彼にとっては生まれた頃からありのままを見せてきた彼女はそれこそ親友にも匹敵するような支えであったってことさ。現代っ子の立香ちゃんにはちょっと重過ぎたかな」

 

 そう言ったダウィンチは目線を水晶に向けると、にっこりと笑う。

 

「これはね、正真正銘本物の伝承の実在を証明するものなのさ。晩年アルジュナがヒマラヤで息を引き取った時に遺体は朽ちても、一緒に背負ってきたこれだけは残った。何千年と経って、神体として崇拝され密教の儀式の品に使われていた所を見つけてね」

 

 ───ああ、儀式ってのはね・・・・・・向こうは性力を力とする所も多いから、結構アダルトな方向のやつ。

 

 ぼかして言ってはいるが、その背景にあるものを何となく察する。あー、と半眼であらぬ方向を見た立香は考えることを放棄した。その側で疑問符を浮かべる少女はそのまま純粋なままでいて欲しい。

 

「秘匿される筈の神秘がすぐに民間に触れられるような場所にあるのは危険だと判断した協会が手を回す前に、前所長が買い取ったんだ────サーヴァント召喚の聖遺物として、ね」

 

 聖杯戦争などにおいて魔術師が英霊を呼ぶ場合、特に条件が無ければ当人に近い、あるいは縁のあるサーヴァントが召喚される。

 だが、聖遺物────その英霊が生前所持していたものやその存在を匂わすものがあれば縁は限りなく絞られる。

 恐らく、この水晶ならば英雄アルジュナか封じ込められた当の本人アドルシタのどちらかを確実に呼ぶ事が出来るだろう。

 本来ならばカルデアの奥深くに厳重に保管されているはずのそれが何故ここにあるのか、それは当然────。

 

「つまり、この水晶が召喚サークルに運ばれて来てるってことはこれから縁をたどって英霊を呼び出すってことだよね?」

 

 それしか、考えられない。

 

「うん、正解だよ。────さて、カルデア唯一のマスター・藤丸立香、そしてマシュ。君たちは絶望的な局面を乗り越えてレイシフトした冬木から無事帰還してきた。志半ばにして亡くなった所長の意思を継いで、これから君たちはカルデアスに現れた特異点を修正していくわけだけど・・・・・・それはこのカルデアにいる職員だけでは成し得ない」

 

 かつて、覇を唱え、道を開き、人々を導いてきた者達。人であり人ならざるもの。

 

「英霊として人類史に名を残す彼らの力を借り、人理を取り戻す。そのために、出来ることは今しておきたい。その手始めとして立香ちゃん、君にはこの聖遺物を使って縁のある英霊を呼び出して欲しいんだ」

 

 はい、とダウィンチが差し出した手のひらから数個の石を受け取る。立香の手の上でころりと転がったそれは絶えず明滅し、七色に輝いていた。

 

「聖晶石、と言ってね。冬木を探索している内に集まったエネルギーを固めたものだ。これが三個もあれば召喚に必要とする魔力を補える。────やってみるかい?」

 

 ただでさえ平凡な、カルデアからの書状が来るまで自分に魔力があることなど知らなかった。才能が無いなら無いで、自分にできることはなんでもやりたいと願っている立香に否定の言葉などあるはずもない。

 

「────はい!!」

 

 己を試すような問に、眼差しに固い決意を乗せてしっかりと少女は返事をした。

 

 

 

 

 

 

 聖晶石をサークルに投げ入れれば、眩い光が周囲に放たれる。

 ごう、と巻き起こる魔力風。三重の円環が回り、収束する。

 そして、一際眩しくサークルが輝きを放った────。

 

「・・・・・・成功、したかな?」

「どう、でしょう?」

 

 光が収まったあと、目を開ければそこには灰色の長衣を纏った『壮年』の男が佇んでいた。

 

「───救え、と言うなら救いましょう。乞われたのなら与えるのみ。与えられたのなら報いるまで」

 

 朗々と、しかし淡々と機械のようにその口上は告げられた。

 

「私はキリーティ。秩序を持って混沌を制すものです。クラスはライダー・・・・・・耳馴染みの良い名ならアルジュナ、ですか」

 

 その面差しは暗く、黒曜の瞳は目の前の人々を写しているようで写していない。サーヴァントと言えば冬木で会ったキャスターやセイバー、シャドウサーヴァント位しか見知らぬ立香にとっては初めて対面するタイプだ。

 

「・・・・・・うん、よろしくお願いします。キリーティさん」

 

 少し気圧されつつも健気に背をまっすぐのばして手を伸ばす。関係の始まりは握手から────そう思ったが故の行為だったのだが。

 

「・・・・・・マスター」

 

 サイズの合わない金輪を身に付けた腕が、立香に向かうことはなかった。

 手は取られなかった。と、言うよりもアルジュナ改めキリーティの興味は別のところにあるようで、差し出された手に気付かぬ様子で視線を向ける先は聖遺物である水晶だ。

 

「『あれ』は私が保有していても構いませんね」

 

 おかしいな、疑問形なのに疑問形じゃない。もうそれは断定だ。

 触媒として使い終えた以上特に問題もないだろうとダウィンチと目配せしたとき、立香はそれを見た。

 

「どう、・・・・・・ぞ?」

 

 ─────口角を薄く上げ、それはそれは幸せそうに微笑む男の姿を。

 

 ひえ、と漏れそうになった声を既のところで我慢する。

 

「どうしました?」

「イエ、ナンデモアリマセン」

「ならば良いですが・・・・・・」

 

 これは持っていきますね、と壊れ物を扱うように水晶を抱える。

 

「マシュ、彼を部屋に案内して来てくれるかい?」

「あ、はい。キリーティさん、私についてきて頂けますか?」

「はい、これはどうもよろしくお願いします。・・・・・・マスター、御用があればいつでもお呼びください。ですが、それ以外の時は部屋に篭っていますがどうかご容赦を。それと、もうひとつ────」

 

 黒曜が瞼に隠される。それは言うか言うまいか考えているようで。何かあるのだろうか、と言葉を溜めた続きを待つ。

 沈黙が降りてしばらくして、彼は口を開いた。

 

「────召喚の触媒は良く熟慮した方が宜しいかと」

 

 私だったから良かったものの、この系統のものは英霊の逆鱗に触れる可能性もありますので────。

 

 そう言い残したキリーティがマシュに連れられて、扉を抜け、廊下に響く足音が聞こえなくなるまで立香は動けなかった。

 忠告とともに放たれた視線は経験した中で一番冷たかったと後に彼女は語る。

 

 ・・・・・・あれ絶対怒ってたって。

 

「・・・・・・ダウィンチちゃーん」

「先にそういう可能性もあるって言っておかなかった私も悪かったけど、何事も経験だよ。大丈夫。マイナスからのスタートかもしれないけど友好的じゃないって訳でもないし、立香ちゃんなら仲良くなれるさ!!」

「駄目じゃん!!なぁにその私への過度の信頼は!?」

 

 頑張るけど、頑張るけどさぁ・・・・・・。前途多難だなぁ、とがっくりと肩を落とした。

 

 

 

「あの」

 

 うん?と立香は首を傾げる。今、自分でもダウィンチでもない声が聞こえたような気が。

 

「あの、マスター。大丈夫ですか」

 

 はて、どこから声が聞こえるのだろうかとそっと周囲を伺えば、触れるほど近くからひとりの少女が立香を見上げていた。

 華奢で小さな体躯に透き通った薄布を纏い、胸には白い布が巻かれて申し訳程度に素肌を覆っている。

 その淡い橙の色は美しく、美しい浅黒の肌に良く映えていた。

 

「・・・・・・は」

 

 表情は乏しいながらも金色の目はこちらの身を案じるように揺れていて────それが誰であるのか理解するが否や、立香は走り出していた。

 

 扉を抜け、廊下を駆け、職員から危ないよと注意されながらも彼女は走る。

 

「あれ?先輩、どうかしたんですか・・・・・・先輩っ!?」

 

 丁度マシュに促されて部屋へと入ろうとしていた男の腕を引っ掴み、来た道をまた駆けて戻る。

 

「マスター!?いきなりどうしたのです、何かあったのなら口で教えてください・・・・・・!!」

「そんな場合じゃないんだよ!」

 

 ─────アドルシタが・・・・・・アドルシタがいるの!!

 

 己がマスターの言葉にキリーティははっと目を見開いた。

 その目は今にもこぼれ落ちかねない位で、それで彼の驚きの度合いが推し量れるというもの。

 

「・・・・・・彼女が、アドルシタが・・・・・・?」

 

 呆然とした男を連れて、立香は元来た部屋にやっとのことでたどり着いた。

 特段運動が得意だった理由でもないから、全力疾走した後は呼吸がひどく乱れるがそれすら意に構わないという様子で彼女は叫んだ。

 

「────アドルシタ!!」

「はい、おかえりなさいませマスター」

「おかえり立香ちゃん。ああ、連れてきたんだね」

 

 出迎えたのはぺこりと礼儀正しく頭を下げた少女と微笑んだ美女。

 

「・・・・・・ねぇ、いるでしょう?」

 

 息を整えながら、立香はキリーティの反応を伺う。

 それこそ、先ほどと同じ笑みを浮かべていたりしてと期待して彼女は振り向いた。

 

 

 

 

 

「・・・・・・いませんよ」

「え?」

 

「────貴方がアドルシタと呼ぶ、誰かはどこにも」

 

 何を言っているのですか、と本当に分からないといった様子で続けられた言葉にサーヴァントである少女は目を伏せた。

 

「アルジュナさま」

 

 返事はない。

 

「・・・・・・アルジュナさま」

 

 返事は、ない。

 

「アルジュナ、」

 

 返事は、なかった。

 

 これではっきりした。

 ─────キリーティはアドルシタを認識出来ていないのだ。

 

 その異常を傍から見ていた三人の頭に過ぎったのはマハーバーラタの一節。

 

 ────求めるものには気付かれず、避けるべきものには気付かれる。

 

 それは、つまり。

 

「マスター、来てすぐに笑えぬ冗談とは・・・・・・金輪際こんなことは止めて頂きたい。それでは、失礼いたします」

 

 怒りを顕にするどころか、意気消沈した様子で彼は踵を返して退室した。

 

「えーっと、あの・・・・・・」

 

 かけるべき言葉が見つからない。

 

「支障はありません、慣れて、いますから」

 

 去っていくかつての主君を黙って見送った可愛らしい顔立ちに似合わぬ温度のない声で、淡々と少女は述べる。

 

「────サーヴァント、アサシン。名はアドルシタ。マスターのために精一杯お仕えさせていただきます」

 

 服の裾を握り、上品に深く頭を下げる。

 

 

 能面のようにぴくりとも動かない表情からは、彼女が今何を考えているのか1ミリたりとも伺えそうに無かった。

 

 

 

 

 

 

────反転せよ、反転せよ、反転せよ。

 其は求めるものには気付かれない。

 其は避けるべき難を逃れられない。

 

 これは正しく、神でありながら人に味方した■■■■■の冒した過ちへの罰である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マテリアル

 アドルシタ

 アサシン

 混沌・善・天

 真名『■■■■■・■■■■■■■』

 宝具 『■■■■』(使用不可)

 

 アルジュナの別側面として現界したライダー・キリーティに続いて連鎖召喚された不安定なサーヴァント。

 キリーティの逸話とアサシンながら所持している単独行動に支えられる形で奇跡的に存在を維持している。

 

 現状、宝具は使用できない。これは宝具の解放に霊基が耐えられないという理由の他に、そもそも認識阻害(呪)の保有スキルによって宝具自体が隠蔽されているためである。

 

 今のところ戦闘では力を発揮できないが、従者として身に着けた家事雑事で大いにカルデアの活動に貢献している。ロリママ。

 また、バラモンの賢者を養父に持ち、かつて導師として活動していたこともあったため教師としてのスキルはピカイチ。いずれ、先生系サーヴァントとお茶会を開く日も近いかもしれない。

 

 神々の■・■■■■■の■■として本来の力を取り戻す時、彼女は人理修復の旅においてこの上なく心強い味方となるだろう。

 

 

 筋力C

 耐久E

 敏捷A

 魔力D

 幸運D-

 宝具A

 

 クラススキル

『■■の■■B』

『気配遮断A-』

『単独行動C』

 

 保有スキル

『認識阻害(呪)EX』→『???EX』

 反転した祝福。完全であるならそれは神の目さえ欺き、見たものの己への認識を改ざんすることが出来る。しかし、呪いによって操作性が極度に低下しており、本当に必要な時に機能せず、不要な時に作用する。そのため、気配遮断が安定しない場合がある。

 

『限りなき献身A』

 自愛は薄く、他者への愛は深く。それは本来の姿であったとしても変わらぬもの。

 己が身を盾に、他者を守る献身が形となった。

 従者として行動する際の仕事の仕上がりを向上させる。

 

『我の探究者C』

 真理を探求する導師としての在り方が形となったもの。

 ただしアドルシタの場合、探究の対象が概念としての真理・根源でなく己のルーツであるためランクが下がっている。

 生前叶えられなかった使命が果たされる日は来るのだろうか。

 

 

 

 キリーティ

 ライダー

 秩序・善・天

 

 クルクシェートラの大戦後、『英雄』としての全盛期の姿。

 己の醜さを受け入れ、世界の不条理を認め、愛しい贄の犠牲をもって──ここに『王冠を頂く者』は完成した。

 

 灰色のシャルワニに青を基調とした装飾を幾らか、腕に遺品の金輪を身に付けた、三十代半ばから四十代と見られる美丈夫。

 高貴な佇まいで常に緩やかな微笑みを浮かべている。

 だが、その目が写すのは望まれた平和でなく愛した家族達でもない。

 

 この度はライダーとして現界しており、有事の際は戦車を呼び出し自ら御者として馬を駆る。

 戦闘時は炎神の咆哮をメイン宝具として使用する。また、晩年近く己の力が弱ったことを察し弓を手放した逸話を第二宝具として昇華している。

 炎神の弓を返上(=破壊)することで、壊れた幻想を引き起こし周囲に大規模な炎上と崩壊を生み出すが、代わりに自身のステータスを大きく低化させる自滅宝具。

 裏を返せば、宝具を使うまでは全盛期の強さを誇るということ。自バフ盛々、向かうところ敵無しのトップサーヴァント。ジシュヌ(常勝の者)の異名は伊達ではない。

 破壊神の手翳は、大戦末期に返上したため、非所持。

 

 バーサーカーたる彼が争いを憎み絶対神としてすべてを統一しようとしたアルジュナだとすれば、キリーティは争いを厭い授かったものをすべて手放したアルジュナである。

 

 ……とはいえ、彼には生前ひとつだけ、返すことの叶わなかったモノがある。

 返された手翳、代わりに残されたのは永遠をカタチにした結晶。

 手に入れられなかった幸福と罪の証。

 

 天上の■■は今もなお、■■の帰還を待っている。

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