「ていうか本当にいいのか……?全員でなんて……」
「待て、通形先輩の時と同じだ。一人だからって油断したら全員やられんぞ」
「ああ……確かに……」
「しかし物間ねぇ……アイツがあんなに違って見えるとはな……」
「ああ、なんか歴戦の強者って感じがするな……」
「しかもあの服越しでもわかる筋肉……!間違いなく砂糖を超えているぞ……」
「物間の個性ってコピーだよな?確か触れられるとコピーされて五分間使い放題……」
「ああ触れられるとこれほど厄介なものはない」
皆が僕対策で作戦を立てている。まあ一瞬で勝つのも悪くないがたまには運動しないとな。
そして作戦会議が終わって皆が僕の前に対峙する。
プレゼントマイクの実況で試合が始まる。
「それでは!物間寧人バーサスA組B組の対決!始めぇ!」
開始同時に僕は一瞬で柳さんの間合いに詰めた。近づくだけなら脚力増強を使う必要なんてない。
『なっ!?』
僕のスピードに驚いたのか皆目を丸くしていた。
そして柳さんを殴り飛ばして触ることであたかも今コピーしたかのように見せる。
「柳さん!」
「速い!なっ!?」
そしてポルターガイストの個性を使って轟くんを引き寄せてタッチすると
「不味い!轟くんの個性をコピーされた!」
「じゃあ……あばよ」
そして最大火力の氷結を繰り出しすとTDLの半分が氷に覆われる。
「ほぅ……耐えたのは君たちだけか……」
耐えた人物は緑谷、爆豪、轟、常闇、飯田、切島、鉄哲、だけだった。一瞬で半分以上がやられたのに皆動揺を隠せない。
そして頭に浮かんだのはー
"強い"
コイツは皆が知っている物間じゃない。完全に別物だ。
「バカな……僕がこれほどとは……」
「まあ、力ってのは使いようだ。といっても僕がいっても嫌味にしか聞こえないだろうがな」
「それはどういう……!?」
「じゃあちょっとだけ見せてあげるよ。僕の実力を」
そして僕はエクトプラズムを発動させて分身を作り出すと
『なっ!?』
これには生徒たちはおろか教師陣も驚いた。
まだエクトプラズムは触れられていない。なのに何故コピーされたのか。その疑問が頭から離れなかった。
「実はね、僕は個性をコピーするのに触れる必要がないんだ。見ただけで相手の個性をコピーすることができる」
「なんだと……!?」
相澤先生が呟く。
「それにね。僕は個性をストックできるんだ。一度コピーした個性は永遠に使うことができるんだ。だからいちいち君たちの個性をコピーする必要はなかったんだ」
「マジか……!?」
この事実に生徒たちは勿論、教師陣も恐怖する。
それはつまり全ての個性を使えるといってるようなものだ。
「んじゃあ……俺たちは……最初から遊ばれていたのかよ……!」
爆豪が僕を睨めつけながらそう言う。
「いや〜!そうじゃないんだよ。たまには運動したほうがいいかな〜って」
「違うだろ!結局本気で来なかったかって言ってんだよ!!!クソが……!!!」
「本気ねぇ……君たちに本気を出すまでもないって言っただろ?」
僕が冷たく言い放つと
「クソがあああ!!!」
爆豪が突っ込んできたので
「霊槍ボルギヌス!」
ボルギヌスを亜空間から取り出して僕の前に出してガードする。
「なっ!なんだこの槍は!」
「ふぅ……さてさてさーてやりますか。ボルギヌス!」
ボルギヌスの先端からレーザビームを放つと爆豪は吹き飛ばされた。
「爆豪/かっちゃん!」
爆豪は吹き飛ばされるも空中で体勢を立て直して着地する。
そして僕を睨め付ける。
「僕がいく!フルカウル……!」
「レシプロ……バースト!」
飯田くんと緑谷くんが僕に向かってくるが僕は分身を前に出した。
「シュートスタイル!」
「レシプロエクステンドぉ!」
それぞれの蹴りが僕の分身に炸裂した時僕の分身は爆発した。
「なっ!?」
「ぐあわっ!?」
爆発に吹き飛ばされた二人は後ろにとんで様子を伺う。
「エクトプラズムって爆発しただろうか!?」
「いや!僕たちの知らない個性だ!」
「正解!これは爆弾化という個性でどんなものでも爆弾に変えることができる。まああまり人には使わないがな。そして……」
剛翼を発動させて羽を緑谷くんたちに向かって飛ばす。
「あれもまさか!?」
「おそらくそうだ!避けろっ!!」
へぇ〜避ける避けるね〜まあ無意味なんだけどね!
僕が指を鳴らすと羽は透明となった。
「なっ!?どういうことだ!?」
「まさか!透明にする個性!ぐわっ!」
「緑谷くん!グハッ!」
緑谷たちがやられていく様を見ていた先に脱落した者たちは
「なんだよ……あれ……」
「強すぎだろ……才能マンかよ……いや……そんなレベルじゃねぇ……」
教師陣も
「アレハ……ソコラノプロイジョウダ……」
「とんでもないですねぇ……」
「いや、間違いなくナンバーワンに近い男だ……」
「あの個性……オールフォーワンではないのか……?」
「ああっ……!あの目付き……!顔……!好みだわっ!」
と物間の強さに恐ろしさを感じていた。
爆発に巻き込まれるも立ち上がって物間をまだ戦えるといった感じで見ていた。
「くくっ……!いいねぇ……それでこそ面白い!」
「ダークシャドウ!」
常闇くんがダークシャドウによる攻撃を僕に当てようとしたので僕は
「なっ!?」
「すり抜けた!?」
「それに消えた!?」
「まさかあれは!?通形先輩の!?」
「そうさ!透過も僕の力だ!それに……ボルギヌス第六形態!
そしてボルギヌスを何十もの光の星屑に形を変えると
「なっ!?グワアァァア!!!」
「ダークシャドウ!!!」
ダークシャドウを切り刻んだ。
ダークシャドウは原形を留めておらなかったがすぐに元に戻った。
「よくも……!」
「はあっ!」
轟が氷結を放ち爆豪が爆破しながら突っ込んできて鉄哲と切島が硬化して突っ込んできて緑谷がフルカウルで物間の頭を捉えた時、世界の時が止まった。
ふぅ〜さ!時間を止めたことですし!終わらせますか!
止まっているそれぞれに攻撃を当てていく。勿論ツインインパクトの力を込めた一撃だ。
そして時間を動かすと
『なっ!?グワアァァア!!!』
物間が突然移動して緑谷たちは吹き飛ばされた。
「なっ!?どういうことだ!?」
「なにって……時を止めただけさ」
僕の言葉に皆は唖然としていた。
そしてこうも思った。
(勝てねぇ……)と
そして緑谷たちの完全敗北で模擬戦は終わった。
・・・・
「クソガァアアアアア!俺はまだ負けてねぇええええええ!!!」
「かっちゃんやめなよ!」
「そうだぜ!爆豪!」
未だに負けが認められない爆豪くんが僕に突っかかってくる。
はぁ……僕の世界の爆豪くんのほうがマシだったな。
「これで信じてもらえましたか?」
「ああ……正直お前が敵じゃなくてよかったよ」
「しっかし……もう一人の僕、どうやってそれほどまでの力を身につけたんだ?」
こちらの僕が聞いてきたので
「ただ鍛錬あるのみだと思うけどな?力がないから努力しないのは違う。はっきりいって僕は恵まれたほうだ。どんなに力を持っていようと諦めた奴が負けるのさ」
「………」
「僕は5歳からこの力を鍛え続けた。そして今の力を手に入れたんだ」
「ふ〜ん……ありがとう。僕にも希望が持てたよ。トップヒーローになるという希望が」
「そりゃよかった。んじゃあそろそろ帰るわ」
「そうか、じゃあな」
「ま、またきてくれるかな……?」
「たまにこっちに来るよ。じゃあね」
こうして僕はパラレルワールドを後にした。