異形の存在から解放され、「普通の女の子」として暮らすドールたちが久しぶりに全員集まるお話です。
お祝いにかいたのに全然お祝いっぽくなくて申し訳ない
今回はとある方の要望で「ドールズのその後」描きました(?)
一応、初心者勢に気を使い、ネタバレが無いように作りました(多分)
注意:これは(初)二次創作です。三日クオリティ故あまり期待しない事。「この子はこんなんじゃない」というのあるかも。ネタバレ出てたらごめんね☆。誤字脱字はあると思うからみんな探してね!
あ、おそらく頼まれない限りは二度と書かないと思うのでブックマーク(?)みたいなのはしなくてもいいです。
これは僕の願い 一つの可能性。
僕があの時に一番望んだ可能性。
それは他愛もなく願いにすることの程でもない。
それは全てを知った僕にとっては残酷な願いだろう。
それは儚く脆く絶対叶えられない願いだろう。
だからこそ、叶えられない願いだからこそ叶えられなきゃいけない。
そうだ…そうでなくちゃおかしい。
「そうね、それも悪くないわね。」
この願いには犠牲が必要だ。
大丈夫、それならここにある。
これは祈りでも頼みでもない。
これはただの願いだ。
“この願いには□□□はいらない”
・・・
雨が降り続く6月。
連日雨が続きいわゆる梅雨の季節がやってきた。人々が雨に嫌悪感を抱く中、少女たちは『約束の日』を待ち望んでいた。少女たちは特徴を上げるなら…いや目立った特徴はない今は普通の少女である。
少女たちは過去と現在から解放され未来(いま)に至る。東京の街は少女らによって忘れられた世界で異形の存在から解放された。ドールハウスもその役目を終え、少しずつ姿を変えて人々の記憶からも忘れ去られた。少女らは全てから解放され、国から確実な安念を約束されている。
・・・
『約束の日』
連日続いていた雨が誰かがそう望んだように雲一つない快晴を迎えた。
「うわぁ~いい天気~今日はいい洗濯日和!」
カーテンを開け、快晴であることを確認すると少女は安心感と高揚感が胸の奥から湧き出る。
少女のかつての名は「サクラ」
桜色の短髪にアホ毛が一束、紫紺(ヴィオレット)の瞳を持つ少し華奢な体。掃除が得意で努力家で何事も一生懸命に取り組み、感受性豊かな引っ込み思案な普通の少女だ。
「…じゃなくて! 早く着替えないと!」
彼女は『約束の日』の為に着替えに取り掛かる。
「昨日からずっと考えてたけど全然決まらなかったなぁ~こんなことなら□□さんに相談すればよかった~」
少女は少し後悔し迷いつつもこれだ!というものを選び、持ち物や戸締りを確認し部屋を後にする。
腕時計を確認しながら駅に向かって慣れないヒールで走る。約束の場所は待ち合わせ場所の聖地「ハチ公前広場」。そこには見覚えのある美しい少女がいた。
「すいませーん! 遅れました~ハァ…ハァ…」
「あら、サクラ? どうしたの?息を切らして、まだ約束の時間より一時間も早いわよ?」
息を切らす少女に対して少し不思議そうに尋ねる。
その少女のかつての名は「レイナ」
美しい少女は綺麗できめ細やかな金髪に波のようなウェーブをかけている。サングラスからのぞかせる瞳はまるで宝石の琥珀がはめ込まれたかのように高貴さと価値の良さを感じられる。
服は白を基調としたニットにデニムのパンツとラフな格好だがその二つのおかげでレイナのスタイルの良さを強調され、周りの男性の視線を釘付けにしていた。
「え? あ!そういえば遅れないように時計を一時間早く設定していたのを忘れていました~ってレイ…□□□さんだけですか?」
少女は周りを見渡したが見知った顔は見つけられなかった。まぁ当然と言えば当然なのだが。
「えぇ少し早く目覚めてしまって…早く来てしまったわ。あと□□□じゃなくていいわあの時のようにレイナって呼んでちょうだい?今日くらいは…ね?」
「はわぁすいません! レイナさん!」
と少女は何度も頭を下げそれを見る少女は「いいのよ」と言いつつ、どこか懐かしさを感じて笑みを漏らす。
「まさか貴方が先に来ると思わなかったわ。てっきりミサキが来ると思っていたわ。」
「そうですね。でも逆にミサキさんなら『待つなんて非効率よ』って五分前くらいにくるんじゃないですかね?」
とサクラが少しつり目になり声も似せようとしているのか少し低めで少しクールな口調で真似をした。
「フフッそれってミサキの真似? もう少し無愛想にしなくちゃ。」
「無愛想でわるかったわね…」
その声を聴き振り向くと一人のクールビューティーな少女がいた。
少女のかつての名は「ミサキ」
深海のように暗い青髪を水の流れを一つにするようにくくられていた。眼は髪同様青く、髪の色より少し明るくこちらは空を見ているかのようだった。右下には泣きぼくろがあり顔は全体的に整っており一人の戦士のような気迫も感じる。
が、それとは反対に服は大き目なデニムジャケットに白のひらひらのプリーツスカートと清楚なイメージのファッションだった。
「あら?ミサキいつからそこに?その服、なんだか意外ね。」
「いま来たところよ。シオリが前日に来て…」
「す、すいません! ミサキさん…もしかしてさっきの会話…」
とばつが悪そうに顔を下からのぞかせると
「な、何のこと? 聞いてなかったわよ…!」
と少し恥ずかしそうに眼を逸らすミサキとその言葉を信じて「よかった」と安堵するサクラ。
(あの子、ミサキのことわかってきているわね。)
「ミサキさんがこんな早いなんて意外ですね。」
「いえ…そのみんなと話すことがいっぱいあったから…」
そう気恥ずかしそうにいうミサキ。
「フフッそうね、まだ時間があるし、近くでお話ししましょ?」
・・・
サクラ、レイナ、ミサキの三人が集まり待ち合わせには時間があるので集合場所が見える位置のカフェでくつろぐ事となった。内容は近況から他愛の話まで色々話した。普通の女の子のように。
「ドールハウス以外で気軽にこうやって皆さんとおしゃべりができるなんて夢見たいです!」
「そうね、『DOLLS』の頃ならまず考えられなかったわね。」
少女は元々アイドルグループ『DOLLS』だったが、国から不要と判断され、解散となった。
少女たちがドールだったこともあり、アイドルグループ『DOLLS』を覚えているのは少女達と関係者くらいだ。忘れたのはファンだけではない全人類、いやおそらく地球の記憶から消えているだろう。
「懐かしいですね~斑目さんやカナさん、今どうしてるだろうなぁ~」
「斑目前所長とカナさんはまだ公務員としてどこかの部署で働いているんじゃないの?」
「あら、知らないの? 班目前所長とカナならこの前連絡があったけど班目前署長が反発してそれについてくように二人ともやめたわよ?」
「「え⁉」」
カフェの一席で他愛もない会話が繰り広げられる。
・・・
約束の時間の三十分前、余裕をもって家を出た少女がゆっくり約束の場所へ向かう。
少女のかつての名は「シオリ」
七分袖の青のチェックに紺色のスカートに肩まで伸びた緑髪の上に藁のカンカン帽をかぶっている。瞳の緑は草原のように広く感じ、全てを受け入れてくれるようだった。
「ミサキさん、私の選んだ服着て行ってくれたかしら?ってあら?」
そう心配しながら駅へ向かう途中、見知った後ろ姿を発見する。
「ムムゥ…」とショーウインドウと睨めっこしている少女がいた。
少女のかつての名は「ナナミ」
紫の短髪の上に黒いベレー帽をかぶり、ミリタリーシャツを羽織り黒いロングスカートをワクワクしているのか音楽でも聴いているのか小刻みに左右に揺れていた。
ナナミのトレードマークであるメガネは変わっておらず、そのレンズから見える明るい紫の瞳は未来を見据えているかのように遠くを見ているような感じだが今は目の前の「あるもの」に夢中らしい。
「ナナミさん?」と恐る恐る声をかけると夢から覚めたように気付き、少し慌てふためき、かと思えばすぐにオホンと咳払いし、いつも通りの物静かな雰囲気をだして
「こんにちはシオリさん。奇遇ですね。いやー今日もお美しいですね。こんなところで、私はちょっと暑かったので木陰で休んでいたところなんです! さあ一緒に行きましょう!」
とこの場から立ち去ることを促す。
当然のことながらシオリにはナナミの真意は見えており、「ちょっと待っててくださいね。」と店の中にはいって行き、しばらくしてから店から出てきたシオリの手にはクマのストラップがあった。
「いえ、別にそれが欲しいわけじゃ…」
「折角あったのも何かの縁です。私からのプレゼントです。受け取って戴けませんか?」
と笑顔で渡され、それを「それなら仕方ないですね」と渋々(演技)で受け取る。
相手は違えどある程度行われた一連の流れに違和感を抱くことなく駅へ向かう。
「あ、ナナミさん、一緒に写真撮りませんか?」
「いいですね! グループにあげましょう!」
ハイ、チーズ!
・・・
サクラのスマホがポケットでブーと震え、メッセージを確認すると
「? あ、シオリさんとナナミちゃんが合流したらしいですよ!」
『ナナミさんとバッタリ会っちゃいました♡』というメッセージと共に二人のくっついた自撮り写真が送られてきた。
「Beautiful! なんて美しい写真なのかしら!」
「この組み合わせはちょっと珍しいわね、シオリはあまり変わらないけど、ナナミは別人のように見えるわね。」
「まだまだあの子も成長期ってことよ♪」
三人で小さなスマホを囲いながら母親のような気分に…
「あら? もうこんな時間。そろそろ集合場所に戻りましょ?」
「ええ、そうしましょう。ところで他のメンバーは?」
スマホを取り出し「えーとぉ…」とサクラが一生懸命、会話履歴から探す。
「えーっとぉアヤさんはユキさんと合流してヤマダさんの所に向かっているらしいです。ヒヨちゃんは…ちょっとわからないですぅ。」
「チームCは相変わらず仲がいいわね。ヒヨはちょっと心配ね。」
「あの二人はアヤじゃないと手に余るからじゃない?」
「ヒヨちゃん大丈夫かなぁ~?」
・・・
とある公園にて
「銀河検察の輝ける星! シャリババーン、銀河の彼方より降臨!」
子供達に囲まれながら一人一際大きめの背の少女がいた。
少女のかつての名は「ヒヨ」
左に一つにくくられた茶髪にエメラルドグリーンの曇りなき瞳は少年少女に向けられている。服はデニムのジャケットに動きやすい黒いズボンにスニーカーを履いていた。
「おねぇちゃん! もうシャリババーンはちょっとふるいよぉ~」
「ひよっ⁉ でもでもみんな! シャリババーンもかっこいいでしょ?」
「かっこいいけど今はイタタターンかなー」
と今の子供と意見が合わずにいた。
道路に目をやるといつも話していた老人がいた。
「あ、みんなごめんね! ちょっと行かなきゃ!」
と子供達をかき分け、老人の所へ駆け寄った。
「おばあちゃ~ん! こんにちは!」
「あらこんにちは。」
ヒヨは老人の荷物を代わりに持ち、近くのバス停のベンチまで運んだ。
「いつもありがとうね。」
「いいよ、気にしないで!」
老人の荷物を老人の隣に置き正面に立って、話を聞く。
「そういえばこの前話してたお友達の話聞かせて?」
「うん! えーとねぇ~」
とドールハウスで繰り広げられた日常の続きを少し話す。優しくしてくれた人、厳しくしかってくれた人、一緒に暮らしていた幸せな日々の話。
「それでねーそれでねーしばらく会ってなったけど今日久しぶりに会えるの…ってあ!」
「あらあら、間に合うの?」
「わからないけど早くいかなきゃ!ごめん、おばあちゃんまたね~」
老人に見送られながらヒヨは大慌てで走り去った。
・・・
「アヤさん! ジブンの事は置いて先に行くっす! ジブンが敵ギルドの攻撃を耐え抜くっすから今のうちに! さあ!」
日光がほとんど入らない真っ暗な寒い部屋の中、ピコピコと効果音と大きなゲーム音を鳴らしながら大きな画面の前で布団にくるまっている。こちらには一切目もくれずにずっとコントローラーを器用に動かす少女。
少女のかつての名は「ヤマダ」
ボサボサの綺麗な水色の髪から一束の長い三つ編みが肩に垂れ流れる。眼は血のように赤く残忍性を感じられるが戦いがない今、牙を抜かれた虎同然である。いつもはやる気のない様子だがゲームをやっている時はこのように…
「ヤマダ、さん…」
「もうアンタねぇ…もう遅刻確定よ…ほら! 行くわよ!」
「⁉ アヤさん何するんすか! この鬼! 悪魔!」
ヤマダのゲーム機の電源を切り、強制的に着替えさせる少女。
少女のかつての名は「アヤ」
オレンジの髪を両側に赤いリボンで二つくくっている。水晶のように綺麗な青い瞳に小柄な体型を超えるスタイルの良さが目立つ。服の白いワンピースはシーツのように肌触りがよく、クーラーの風によって小さくなびく。
ヤマダは着ていた紫の半纏を無理矢理脱がされ、
「あ~れ~」
アヤが持ってきた服に着替えさせられる。
「クッソ…後で覚えてろっす…」
「元がいいからやっぱり映えるわね…」
頭にキャスケット帽、青のニットのカーディガン、チェック柄のスカートとおそらく最近の流行の服なのだろう。ヤマダは普段からケアを行っていないがアヤと勝らずとも劣らない髪質やいい肌だった
「髪は…いいからメイクは移動しながらやるわよ!」
「んなもん必要ねぇっすよ…」
少し不機嫌なヤマダの右腕を引っ張りながら戸締りを済ませ、
「ごめんユキ! それじゃあ行くわよ…」
とドアの前で待っていたユキに声を掛けたつもりだがそこには誰もいなかった。
「っていな~い!」
「フヒヒッもたもたしてるからっすよw」
「アンタのせいでしょうが!」
・・・
約束の時間十分前
「あら? お早いんですね皆さん。」
シオリとナナミが待ち合わせ場所に到着し、合流する。
「シオリさん、ナナミちゃん!お久しぶりです。」
「お久しぶりです。サクラさんも元気そうで何よりです。」
一言ずつ挨拶を済ませた後、メッセージが届く。内容は、
『ごめんみんな!m(__)m ヤマダが準備してる時にユキがどこかに行っちゃった!』
「アヤも大変ね…」
「流石個性派のチームCですね…」
「あとはヒヨとチームCね」
「ヒヨちゃんは未だに連絡ありませんし…」
心配しているとシオリに肩をたたかれ、
「サクラさん、あれってヒヨちゃんじゃないんですか?」
と全員がシオリの指さす先を見るとヒヨがもの凄いスピードでこちらに向かっていた。
「ごめ~ん! みんな!」
かなりの距離を走ったせいなのか大量の汗をかき、息を切らしていた。
「大丈夫よ。時間には間に合ってるから」
「大丈夫、ヒヨ? こんなに汗だくになって美しくないわ。このタオルで汗を拭いて」
「ありがとう、レイナちゃん!」
レイナは鞄から取り出した白いタオルを手渡し、ヒヨはそれで体の汗を拭いた。
「これであとはチームC面々だけですね。」
「ユキさんはどこに行ったんでしょう…?」
「そういえばヤマダさんってどこにお住まいででしたっけ?」
シオリは何か思いついたのかスマホを取り出し、何か調べ始める。
「そうね、確か…大江戸線あたりの家賃が安いワンルームのあの場所じゃなかったかしら?」
シオリは「やっぱり」と納得した様子で
「私、ユキさんがどこに行ったのか分かったかもしれません♪」
・・・
一方ヤマダ宅周辺
ヤマダはアヤに腕を引っ張られながらあたりを探すが見当たらない。
腕を引っ張るのは「ヤマダが逃げ出さないように」であるが本人同士そんなことは怒らないことはわかっていた。
「アヤさ~ん、向こうでは全員集合したらしいのでこっちに来るらしいっすよ~」
ヤマダが携帯のゲームを片手で器用に操作しながらメッセージの内容を伝える。
「あ~ほんとごめんねみんな、あとで何か奢るから~!」
とアヤが申し訳なさそうに本人たちはいないのに謝罪を口にする。
「マジっすか!何奢ってもらうっすかね~」
「アンタのぶんは無いに決まってるでしょ!」
と口喧嘩をしているとメッセージととある場所の住所が届く。
「そういえばシオリさんからここに来てほしいってメッセージがきてるっす。」
「どれ?」
とヤマダのスマホを確認し、二人はその場所へ向かう。
・・・
二人が向かった先は川沿いにある教会だった。
古くなっているのか所々ヒビが入っており、少し汚れた白色になっていたがまだ使っている様子だった。
木でできたドアも少し朽ちていて乱暴にすると壊れてしまいそうだった。
アヤが「失礼しまーす」と恐る恐るドアを開けると少し見覚えがある内装だった。
正面に大きな聖母マリアを模したステンドグラスとその前に大きな十字架、両側長椅子がきれいに並べられており、左側の二番目の長椅子の端で一人の少女が眠っていた。
少女のかつての名は「ユキ」
綺麗な銀色の髪を左右の耳から上の後ろを三つ編みでひとつにまとめられ、瞳は今は睡魔によって塞がれているが小麦のようなきれいな黄色は不思議な魅力を感じさせる。
服は胸元と袖にフリルがついた白いシャツに紺のロングスカートロリィタよりの格好だった。
「ユキ、起きて! もう…勝手に入ってその上寝ちゃうなんて…」
「アヤさん…ヤマダ、さん? おはようございます。」
「流石ユキさん…相変わらずマイペースっすね~」
呆れながらアヤが既視感から周りをじっくり見渡す。
「アヤさん、どうしたんっすか?」
「ちょっとね。前にここに来たような気がするの…」
周りをちゃんと見渡しても具体的どこだと思いだせなかった。
そこへ賑やかな話声が外から聞こえ、ドアがゆっくり開くと
「アヤさん、ヤマダさん! ユキさんは見つかりましたか?」
シオリが顔を出し、ぞろぞろと他のメンバーが入ってきた。
「みんな久しぶり! 全員が集まるのはいつぶりだろ…」
「みんな中々予定が合わなかったからね~」
「ジブンは予定が合ったのに…」
「貴方のことだからどうせゲームなんでしょ?」
「すいません、ミサキさんそろそろ離してもらえませんか?痛いです。」
他愛もない会話が繰り広げられる
サクラがワクワクした表情で
「いや~楽しみですね! 早く来ないかな~」
「? サクラ、誰を待ってるの?」
と不思議そうにレイナが聞く
「あれ? 私、誰を待っていたのでしょう?」
少し疑問があるが、その疑問はすぐに流される中、違う一つの疑問に焦点があてられた。
「そういえばシオリ、なんでユキの居場所が分かったの?」
「えっと…ここのことやっぱり覚えていないのですね。」
問いかけるアヤに対し、シオリはアヤとレイナの顔を見て、少し残念そうな顔をした後にこう続ける。
「実はここ私たち『DOLLS』の始まりの場所でもあるんですよ?」
「始まりの…場所ですか?」
それはまだアヤやレイナが感情を取り戻していない頃、ミサキや□□□がまだDOLLSに加入していなかった頃の話。
ドールはフィールを利用し、動く。国はフィールを集める手段を探していた。フィールを集める方法の一つに「歌を歌う」という方法があり、実験的に利用された場所の一つがこの教会らしい。
「ここがドールズの始まりの場所、思い出の地…ですか。」
「それから段々活動が活発になってきてこの場所にはこれなくなってしまいましたが、まだあったんですね。少し嬉しいです。」
「そうだ! 折角全員そろった事ですし、ここで歌いませんか?」
「Excellent! 素晴らしい考えね!」
「そこに歌詞があるし、賛美歌を歌わない?」
9人が二列に並び、全員が本を持ち、レイナの合図で歌い始める。
元々アイドルグループという事もあり、息のそろったパフォーマンス。客はいないがその歌声は神にささげられ、自らの幸福を歌えど自らの不幸を歌う者は一人もいなかった。少女たちはこれまでの戦いから強い絆を結び、未来に誰一人欠けることなく生きている。いや、ここまで迎えることできなかった彼女の別れ、頼もしい仲間やすべてに謎に包まれた敵など様々な出会いと別れを経て今の彼女たちがいる。彼女たちはその運命から解放され、「普通の女の子」として安寧の日々を過ごしている。
歌い終わり9人全員少しの間余韻に浸る。少ししてからヤマダが口を開く。
「じゃあ次に行きますか。行くところもたくさんありますし。」
「そうね。あの子の所にも行かなきゃいけないし。」
「そういえば! ここら辺においしそうな甘味屋さんが、今はあるかわかりませんが一緒に行きませんか?」
「いいわね! 今日くらいは体重を気にせずいっぱい美味しいもの食べようっと!」
と次々教会のドアへ向かう中、一人何か物足りない様子でその場を動かなかった。
「どうしたの、サクラ?」
「何をもたもたしてるの? 早くいくわよ。」
「だから離して…」
「やっぱり、何か足りないです。私たちが歌い終わった後、戦っている時、私たちが9人でいる時に一緒にいてくれた人がいました。」
「さ、サクラ? どうしたの?」
「私たちドールズを表も裏でも支えてくれたあの人が…でも名前も顔も思いだせない。」
と淡々と何か思い出したかのように語る。
「あ!そーだよ! ライブが終わった後に褒めてもらった!」
「なーんか言われてみればいたような…気がするっす」
段々思い出していくメンバーおぼろげながら口が勝手に動くように語る。
「皆さん覚えていないんですか? あの時、私が皆さんに出会って変わっただけじゃない! あの人と出会ってから!」
サクラの言葉が少女達の記憶に直接呼びかけるようだった。
その言葉は少女達に届き、
「そうね、あの人は私たちの文字通り一番近くで支えてくれた。」
「最初は気に食わなかったけどアタシ達にとってかけがえのない存在になっていた。」
「あの人はいつでもいた。辛い事も苦しい事も一緒に乗り越えてきた。」
「あの時もあの人のおかげで私はみんなとまた一緒に戦うことができた。」
レイナ、アヤ、シオリ、ミサキと次々に口を開き、少女たちになかった記憶は一つの形となって形成される。
「どこに、行って、しまったのですか、マスター?」
「マスター、思い出してホッとしている自分がいるのが悔しいですが、認めざるを得ないようですね。マスターは私たちにとってそれほど大切な存在になっていたようですね。」
9人が全員同じ人物を思い浮かべ、少女達は一人の存在を確信する。形をなくした体は一つずつ形成され、明確な存在として現れた。
その姿は非常に情けない姿だった。小さく丸く包まってすすり泣いていた。何を悲しみ泣いているのか、わからなかったが少女たちがいつも見ていた頼もしい姿はそこにはなかった。ドールだった少女たちならわかる。その体からはいつも感じる暖かくて安心するフィールではなく、絶望や悲しみ、憎悪といった負のフィールだった。
「マ、マスター?」
その姿を見た少女達は困惑し、駆け寄ることができなかった。
その姿が一瞬目に移った次の瞬間。
その体を中心に黒い何かが広がり、視界を奪う。
手を伸ばすも届かず、光は消えていった。
・・・
次に目を覚ますと何もない暗闇にいた。闇からは凄い不安感を感じさせ、周りを見渡してもさっきまでいた頼もしい仲間がいない。孤独感が少女を襲う。
「どうして? 貴方が『マスター』と慕うあの人が願ったことよ?」
突然、どこからともなく女性の声が聞こえてきた。その声には一切聞き覚えがない。
「だ、だれ?」
しかし声の主は問いかけに応じず続ける。
「あの人は貴方たちが「普通の女の子」として生きてほしいという願いから生まれたものよ?」
「え?それって…」
「あの人は少女たちの安寧を願う為、必要ではなかった犠牲を自ら支払い、この世界を作った。最も、あの人が勝手に犠牲になったせいでこの世界が破壊されてしまったのだけど…」
次々と語る声は不思議な言葉を重ね続ける。今の少女には理解はできなかった。
「あの人が犠牲にならなくてもあの人の頼みなら聞き入れられたのに…どうして大きなものには代償が伴うと考えるのかしら? もっと私を信じてもいいのに…」
声の主は少し悲しそうにつぶやく。
「そうね、ねぇ貴方? もう一度あの世界に戻りたい? 貴方が決めていいわ。ちゃんとここで記憶も消す、勿論あの人も一緒よ? いい提案だとは思わない?」
少女はすぐにYESと答えてしまいそうになった。無理もない大きな不安感と孤独感の中で弱気になるのも仕方ない。しかし少女をそうさせなかったのは今までの戦いや今はいない仲間の存在を自分の中から感じるからである。
「いいえ、もどります。」
その一言を出すにはこれからの不安や恐怖から逃げたくなる気持ちを押し殺し、自らの運命に立ち向かわなければならない強い意志が必要だからである。
「そう…そうね、まだ貴方達は私の××に報いてないものね。ではまた会いましょう。感情の奴隷たち、あの人によろしくね」
そこで少女の意識は電源を落とされたかのように急に消えた。
・・・
目を覚ますとそこは自分の部屋だった。気だるい体をゆっくり起こし、部屋を出る。
事務所に向かうとあの人と出会う。特に話すことがなかったのか夢を見た話をする。あまりよくは覚えていなかったが、とても幸せな夢であったことを話した。
あの人は優しく微笑み「いつかそんな日が来れば…」と話し始める。
少女は静かに聞く。後から来た少女たちはみんな同じ夢を見たという。
『皆さん!ピグマリオン反応です!至急現場に向かってください!』
そのアナウンスは少女達が「普通の女の子」ではないことを示す始まりに合図。
少女達は戦う。忘れられた世界で。
少女達は向かういつか来る未来へ。
こんばんわ、皆さんご存知イモータルです。(違う)
今回は二周年に何かしたいという気持ちととある方からの後押しがあり、書かせていただきました。
何故二日前にかき始めたのかというとそれまでとある規格で忙しかったからです。
おそらく近日(6月23日現在)行われると思います。
内容としてはまぁどこかで見たような夢落ちを東京ドールズに当てはめただけです。彼女たちの成長した姿を書いたつもりです。
因みに服選びが書く時間より長かったと思いますw
まぁその後設定ですから、服だけでも一新しようと考えた次第です。
ちょいちょい小ネタ挟んでるつもりです。
具体的に何年後とかは決めてありますが、各々の想像にお任せします。
曖昧に書いている部分は自分の想像で…
長くなりましたがこれで終わります。
感想をいただけると気が向けば読みに行きます。(創作活動では冷奴メンタル故)
長文の初心者文章をどうも最後まで見てくださりありがとうございます。