おかしな人間がブラック鎮守府に着任する話   作:古明地響

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第83話 傷付きながらも抗う者

稲荷山

 

海風「しぶといですね。」

時哉「それが俺の売りなんでな。」

海風「、、、。一つ伺ってもよろしいですか?」

時哉「なんだ?」

海風「貴方は何故あのような方法で私を焚き付けたのか。やりようによっては他にもあったはずです。」

時哉「、、、。さぁな。最後くらい能力を悪用してもいいだろ?」

いきなり時哉は服を脱ぎ上半身裸になる。

その手にはナイフが握られていた。

海風「なんですか?そのナイフで私を刺すつもりですか?」

時哉「いいや。そんなことには使わねぇよ。俺がナイフを握るのはこういうことだ!!」

グサッ

時哉は自身の腹部にナイフを突き立てる。

海風「は?何をしてるんですか?」

時哉の腹部から大量の血が溢れ出る。

時哉「、、、。これで、、、。もう、思い残すことは、、、。いや、結構あるな、、、。だけど、、、。俺はこれで、、、。終わる。能力の、、、。暴走で、、、。あんたを倒す!!」

海風「貴方の能力の正体は依然分からないままですが、長引かせた方がいい気がしますね。」

時哉「あぁ、、、。これは短期決戦のため、、、。後は、、、。任せたぜ、、、。『姉貴(あねき)』。」

 

 


 

 

京都大学 校内

 

?「、、、?時哉?」

?「あれ?どうしたの?市歌(いちか)さん」

市歌「弟に何かあったかもしれない。」

?「え?市歌の能力?」

?「いや、ちゃうわ。市歌の能力にそんなんない。うちも分かるわ。時哉、、、。死ぬかも。」

市「そうね。鹿音(しかね)、私達はこのままここに留まってる訳にはいかないわ。」

鹿音「と言ってもな~。あのいちご野郎もちゆっちゃんも眼鏡もおらんねんなぁー。全く、教え子ほっぽってどこぶらついてんやろ。なぁ!メリー蓮子(れんこ)!」

蓮子「ほんとそうよね!、、、?あれ?確か、市歌と鹿音のとこって四姉弟だよね?一番下の弟と、、、。後一人は?」

メリー「そう言えば、見たこと無いよね?」

市歌「(けい)姉さんなら、右京の方にいるはず。」

鹿音「確かに今日も仕事だって言ってたからなー。はぁー、それにしてもいつまでここに立て籠れば、、、。」

 

ドーーーン!!

 

蓮子「敵襲!!」

市歌「このタイミングで!!」

鹿音「市歌!蓮子!メリー!三人は他の連中を奥に誘導しとけ!!ここがあたいがやる。」

市歌「鹿音、、、。わかったわ。気をつけてね。『鹿介(しかのすけ)』。」

鹿音「そっちの名前で呼ばんでよ。『お市』。」

市歌「貴女もよ。」

蓮子「市歌!!行くよ!」

市歌「わかったわ!!」

鹿音「、、、。行ったか、、、。」

鹿音の両手にはいつの間にか刀が握られている。

鹿音「深海に漂う怨念で造られし怨海剣(おんかいけん)と悪を滅ぼす滅悪剣(めつあくけん)に斬れぬもの無し。斬られたくなければ去れ。我は春町鹿音。またの名を『山中鹿介(やまなかしかのすけ)』。姿が変われど心の奥底にある武士(もののふ)の魂は消えん!!さぁ!覚悟ある者からかかってこい!!」

校内に侵入来てきたのは陸軍の服装の者達。

恐らくクローンである。

鹿音「数が多いな。さて、援軍が来てほしいところだけど、、、。頼むぜ、市歌、、、。誰か呼んでくれよ。」

 

 


 

 

京都大学 食堂

 

メリー「今日は人が少なくて良かったわね。」

市歌「そうですね。」

蓮子「鹿音だけで大丈夫かな?」

市「それは私も心配です。そもそもの話、私達姉弟の中で私だけが戦闘面に優れていない、、、。あっ、一ついい案がありました。」

蓮子「えっ!あるの!!」

市歌「えぇ、恐らく、、、。」

市歌はポケットからスマホを取り出す。

 

prrrr

 

?『モシモシ、コチラ深海城(しんかいじょう)天守閣。』

市歌「木蓮さん。私、市です。」

木蓮『市歌カ??ドウシタ?』

市歌「今、京都で戦が起きてるんだけど、、、。」

木蓮『ソノ事カ?既ニ軍ヲ向カワセテイル。ダガ、十本刀ハ日本ノ各地ニ散ッテイル。ナノデ暇ソウニシテイタ奴ラヲ送ッタ。モウジキ京都ニ着クダロウ。』

市歌「ありがとうございます。木蓮さん。誰をこちらに向かわせてるんですか?」

木蓮『今京都ニ向カッテイルノハ五名。中村一氏(なかむらかずうじ)百地三太夫(ももちさんだゆう)弥助(やすけ)滝川一益《たきがわかずまさ》柴田勝家(しばたかついえ)ダ。』

市歌「そう、、、。ありがとうございます。木蓮さん。」

木蓮『アァ。デハ、私ハ城カラ動ケナイカラナ。武運ヲ祈ッテイル。』

そこで通話は終了する。

市歌「、、、。ふふふ、、、。」

メリー「市歌ちゃん?どうしたの?」

市歌「いえ、少し希望が見えて、、、。笑みが溢れました。」

市歌は満面の笑みであった。

蓮子「、、、。市歌、その笑顔は私みたいな人間を腐敗させる。だから、せめて私に向けないで。」

市歌「はい!蓮子!」

蓮子「あっ、死んだ、、、。」

 

宇佐見蓮子(うまみれんこ) 死亡(リタイア) 死因:尊死

 

蓮子「人を勝手に殺すな!」

 

 


 

 

京都 稲荷山

 

海風「しぶといですね。戦いを長引かせるのは成功したのに、依然として戦い続けられるのですか?」

時哉「、、、。」

海風「言葉を発することも出来なくなりましたか。」

時哉「ウガァァァァァァァァァーーーーーー!!!!

海風「叫ぶことしか出来なくなった獣畜生。この私が貴方に引導を渡しましょう。せめて、苦しまないように。私の力で。」

海風は時哉に向けて手をかざす。

彼女の能力により胸に大穴を開けた時哉が倒れている、、、。

筈だった。

海風「あれ?いなくなった?」

その場に時哉の姿はなかった。

?「悪いな。こんなところで俺の息子を死なせるわけにはいかねぇんだよ。」

少し離れたとこに時哉を抱える一人の男性。

中性的な顔立ちで女性と言われても違和感がないような人物。

海風「、、、。なるほど、どおりで春町って聞いたことがあると思ったんですよ。医学界に現れた神童。治療不可と言われた病を次々と直していく神たる医者。春町長政(はるまちながまさ)。」

長政「俺は神なんかじゃねぇよ。ただの医者だ。まぁ、医神にはちょっと憧れるな。何せ死者を蘇らせたんだからな。それにしても、、、。艦娘?とは少し違うようだな。」

海風「えぇ。私は蘇生艦。艦娘としては死に不死身の怪物として蘇らされた兵器です。」

長政「兵器か、、、。俺には残念ながら兵器には見えねぇな。時哉もそうだと思うぜ。」

海風「人間の感性なんてどうでもいいんです。私達は兵器。ただ、それだけ何です。」

海風は長政に向けて手をかざす。

だけど、長政の姿はない。

長政「俺は便利な能力を手に入れたと思う。人のために使えば命を助けられるからな。」

いつの間にか海風の背後に回っていた長政。

海風「貴方の能力、、、。うっすらと見えていますがこの円形の結界が関係していますね。」

長政「あぁ、俺の能力は『ROOMを扱う程度の能力』。ただ、それだけだ。」

海風「おかしな能力ですね。ROOM、、、。それを使うだけの能力。瞬間移動が出来ると言うことだけは把握しました。」

長政「うーん。それはどうかな?」

先程まで抱えていた時哉の姿が消えて長政の手には二本の刀。

海風「今のは恐らく物質の入れ替え。この結界、ROOMの中の物体を自由に入れ替える。」

長政「飲みこみが早いな。まぁ、そんなところだ。でもな、いつまでもこの中にいていいのかい?いるんだったら容赦なく斬るよ。」

長政は刀を構える。

海風「斬れるものならどうぞ。人間が私を斬れるわけ、、、。あれ?」

気が付けば海風の腕は地に落ちていた。

だが、痛みは無いし動かすことも出来、血も出ていない。

長政「油断大敵、、、。今は腕を狙ったけど次はその首だ。この中では俺の攻撃を避けることは出来ない。退くならその腕を直して見逃してやる。さぁ、どうする?」

海風「、、、。ここは退くのが賢い選択肢のようですね。」

長政「そうか、、、。」

長政は何かを操作するように指を動かす。

すると、斬られた海風の腕が元に戻っていた。

海風「これも、貴方の能力なのですね?」

長政「あぁ、そうさ。俺は今から息子の治療を行う。邪魔はしないでくれ。」

海風「分かりました。約束は守りましょう。」

海風は何処かへと消えていた。

長政「、、、。全く、無茶しやがって。流石、俺の子だ。」

時哉「うっせぇ、、、。それより、、、。姉貴達は無事か?」

長政「あぁ、大丈夫。それより今はお前治療が優先だ。(すみれ)の血で何とか生きてる状態だからな。」

時哉「母さんにはつくづく感謝するよ、、、。じゃなきゃ俺は何も守れやしない。そう言えば、父さんはじーちゃんのところに行ってたんじゃないのか?」

長政「あいつに京都に戻れって戻らされてよ。」

時哉「じーちゃんと父さんって仲悪いのか?まぁ、じーちゃんに会ったことはないけど。」

長政「仲が悪いのか、、、。さぁな。さて、治療に入るぞ。」




キャラクター紹介

春町市歌(はるまちいちか)

種族 半人半深海棲艦

能力 予言する程度の能力

詳細 春町家次女。京都大学秘封倶楽部(ひふうくらぶ)に所属する二年生。鹿音(しかね)とは双子の姉。物静かだが、とある人物達が絡むと暴走することもしばしば、、、。その正体は乱世の世を生きたお市の方(おいちのかた)。乱世で死に春町家次女として転生した。


春町鹿音(はるまちしかね)

種族 半人半深海棲艦

能力 走れば走るほど強さが増す程度の能力

詳細 春町家三女。京都大学秘封倶楽部(ひふうくらぶ)に所属している。市歌(いちか)とは双子の妹。関西弁で話し明るい朗らかな性格だが、怒るとかなり怖い、、、。その正体は乱世の世を生きた武将山中鹿介(やまなかしかのすけ)。乱世で死に春町家三女とし転生したが最初の頃は性別が違うためかなり苦労したそうだ。彼女曰く悪霊となった武将達が羨ましいと言っているが全員女性である。


名前 春町時哉(はるまちときや)

種族 半人半深海棲艦

能力 傷付けば傷付くほど強さが増す程度の能力

詳細 春町家長男。身長は高いがガタイはあまりデカくないセンタープレイヤー。センタープレイだけでなく外からのシュートも狙える。
喧嘩では素手ではなく武器を使った戦闘スタイルだが、能力使用時は素手。



春町長政(はるまちながまさ)

種族 人間

能力 ROOMを扱う程度の能力

詳細 日本屈指の名医で治療不可能と言われた病や傷を治す神童。中性的な顔立ちのせいで女性と間違われることもある、、、。その正体は乱世の世を生きた武将浅井長政(あざいながまさ)。乱世で死にこの世に転生した。能力と自身の剣術を駆使して戦闘を行う。信長の十女(すみれ)と結婚したが結婚する前に信長とは一悶着あったが今の関係は良好らしい?


宇佐見蓮子(うさみれんこ)

種族 人間

能力 星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かる程度の能力

詳細 京都大学秘封倶楽部(ひふうくらぶ)を立ち上げた二年生。かなり活発に活動をするがよく空回りする。幻想郷に来たさいには翔を秘封倶楽部に率いれようとした(顧問公認)。


マエリベリー・ハーン

種族 人間


能力 結界の境目が見える程度の能力

詳細 京都大学秘封倶楽部(ひふうくらぶ)に所属している二年生。マエリベリーと呼びにくいからとあだ名であるメリーと呼ばれることが多い(普通名前を呼ばれた事がない。)顧問の夢美(ゆめみ)には「マエリベリーって誰?あっ、メリー。マエリベリーって生徒知ってる?」と言われ罰として夢美を廊下に吊るされた。
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