なんかロボゲーの世界に転生したんですけど……… 作:⚫︎物干竿⚫︎
うーむ、ロボものって書くのむずかちいね(
ガタガタと揺れる薄暗いコックピットの中で考える。
なぜ、こんなことになったのだろうか。
『間も無く作戦領域に突入する。いつにも増して下からは盛大な歓迎の鉛玉のパーティーだが、そこはまあ諦めろ』
通信機の向こう側に居る老年に差し掛かる男性のそんな冗談交じりの言葉にため息をついて、
「で。やる事もいつもと同じってか」
『その通りだ。敵を撃って撃って引っ掻き回せ。傭兵が自身の命を惜しむなんて贅沢を許されるものかよ』
「知ってるけどさ。ホントもう笑っちまうくらい傭兵ってのはやっすい命だなぁオイ」
鉛玉が機体の装甲を掠め甲高い音を立てる。それを聞きながら言い返して、機体の戦闘システムを立ち上げる。
「っし。んじゃテキトーに投下よろしく」
『死ぬなら一機でも多く敵を潰してからにしろよ?スクラップからでっち上げた機体だってタダじゃないんだからな』
「へいへい」
通信を切り操縦桿を握るのとほぼ同時に輸送機の下部ハンガーにぶら下げられた俺を乗せた鉄の巨人が空中に放り出される。
汎用人型戦術武装装甲外骨格。通称バトルフレームと呼ばれる兵器であり、2138年現在における機甲戦力の代名詞である。
俺が今乗っているこのバトルフレームは君主制を復興させ中華人民共和国から皇華帝国と名を変えたユーラシア大陸の6割以上を支配する大国が今から50年ほど前に開発した第二世代型機の竜胆をスクラップからリペアしたもので、右腕に38ミリ重機関砲を左腕には60口径対装甲目標単装砲を備え、バックパックにダメ押し3連装ガトリング砲を左右2門と言う火力キチである。そこにこれでもかと増し増しにした追加装甲のせいでもはや原型機である何処と無く中華甲冑風な竜胆の面影はそれとなく爬虫類を思わせる形状の頭部くらいしか残っていない。
操縦桿を引き、フットペダルを踏み込み地面に向かって落ちる機体を立たせる。その最中にも御構い無しに飛びかかる鉛玉が装甲を叩きアラート音がコックピット内に鳴り響くが、それは無視して撃たれた際の衝撃も利用して機体を直立姿勢まで持っていき、ブースターを噴射して減速しながら地面に半ば激突するような勢いで着地する。
早速機体の下半身のフレームが過負荷異常の悲鳴をあげるが、重装甲化に加える関節部の強化によってなんとか耐える。
「まーったく着地するだけでダメージってどんな重量なんだか」
愚痴りながら竜胆の武装達をワラワラと居る子どもの頃にテレビで見たアニメの主人公でも乗ってそうなスラリとしたデザインのアメリカ合衆国を盟主とする自由資本同盟の第3世代型バトルフレームのコルベットに向けて、
「特に恨みも何も無いけど、明日の俺の飯のためにくたばりやがれぇいっ!!!」
竜胆の全ての武装が一斉に火を噴き、コルベット達を鉄くずに変えて行く。重機関砲とガトリング砲がいとも容易くコルベットの堅牢さと軽量さを両立した装甲を食い破り、単装砲が味方を守るため盾を備えて前に出てきたものを盾ごと撃ち抜き、その後ろに居たものまで吹き飛ばす。
だが、それも長くは続かない。
この竜胆は見ての通り最新鋭機であるコルベットですら歯牙にかけない圧倒な火力と装甲を備えているが、それでなくとも超過重量の機体に予備の弾丸など積める筈も無し。3分も斉射を続ければ弾切れである。
こちらの弾切れを悟ったコルベット達の反撃が始まる。お返しとばかりの十数機以上のコルベットから一斉に放たれた鉛玉があっという間に竜胆の装甲を削って行く。
「どいつもこいつも景気良いねえオイ!」
サブモニターの機体状態を示すところに目を向ければ、万全を示す緑から限界を示す赤に瞬く間に変わっていた。然もありなん、バトルフレームとしては重装甲とは言え最新の対装甲目標を想定した弾丸を雨あられと食らえばそりゃこうなる。
だが、そんな事は想定の範囲内だ。でなきゃ敵陣ど真ん中に単騎特攻とかダイナミック自殺以外の何でもない。まあ、事実この時代の傭兵ってのは自殺志願者みたいなもんなんだけどさ。
ターミナルコンソールを操作して、実行する。
竜胆の機体を覆う装甲が内側から吹き飛び、周囲が煙に覆われた。ちなみにこの煙にはチャフとしての効果がある。多対一の状況において効果を発揮するスモークである。
フットペダルを踏み込みブースターを吹かす。両腕に備えるのは弾切れになって用済みになった重機関砲と単装砲ではなく、重装甲の下に仕込まれた対バトルフレーム炸裂杭………ようはパイルバンカーである。
スモークの効果時間はおよそ10分。それまでにヤるだけヤってケツをまくらなきゃ今度は俺がきたねえ鉄くずの仲間入りだ。
重装甲状態の竜胆を想定した出力のブースターは装甲を脱ぎ捨て軽量化した竜胆(軽量化したとは言ってもコルベットよりは余裕で重い)を滑走させることなど容易い。あっという間にスモークに包まれて易々とは発砲出来ないコルベットに近付き、すれ違いざまにコックピットがある人間で言う鳩尾部分に拳を叩きつけるようにしてパイルを打ち込む。それを何度か繰り返しているとスモークが薄れ始め、近くのコルベット達がライフルを撃ち始めたのでさっさとおさらばする。
「38機撃破の4機大破………あんだけ弾ばら撒いてコレかぁ。まあ、飯代くらいは出るだろ」
ブースターを全力で吹かして同盟軍の駐屯地から脇目も振らずに逃げる。やってるバカが言うのもアレだがバカじゃないのだろうか依頼する連中。自分らで攻めるには被害がーってなるとこにわざわざ高い金払って傭兵送り込むとか傭兵がアレだと完全に払い損だろうに………
とは言え、前歴とか身分問わない仕事だからこそ俺みたいな転生者なんて言う戸籍も何も無い怪しさ抜群な野郎でも食いっぱぐれずに済んでるわけだが、
俺の名前はカズキ・クジョウ。
ただのロボゲー好きだった工場勤めが何の因果か、やってたロボゲーの世界みたいなロボットが戦場を闊歩する世界に放り出された者だ。
推進剤も使い切り、すっぽりと中が空洞になるような奇跡的な崩れ方をしていたビルの廃墟に身を潜めていると輸送機が拾いに来た。
『ほう、また生き延びたか。今度の傭兵は当たりみたいだな』
「仕事内容も理解した上で契約はしたけど、だからって死ぬだろうなで放り出すのやめね?」
『命が惜しいなら大人しくどこかの軍隊に所属することだな。尤も待遇の約束はしないがな』
「金のかからない傭兵扱いされるオチ確定じゃないですかやだー」
そんなやり取りをしながら、降下してきた輸送機のハンガーに機体を固定して本当の意味でおさらばする。
とりあえず思ったのは、ロボゲーがリアルになるとかロクなもんじゃねえってことだな、うん。
『それはそうと今回のお前への報酬だが、前回の赤字分の補填で0だ』
「命がけで戦ったのにそりゃねえよ⁈」
傭兵は世知辛いとです。
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