なんかロボゲーの世界に転生したんですけど………   作:⚫︎物干竿⚫︎

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11話

アフリカ。

そこではかれこれ30年以上の間、民族主義やら宗教やら鉱物資源やらを巡った戦争が続いている。元の世界のアフリカでも時折小競り合いがあったくらいだったが、こっちの世界のアフリカのように毎日そこかしこで汚い花火が上がるような世紀末ではなかった。

 

 

「戦場で飯の種稼ぐ傭兵である俺が言うのもなんだけどさ。ウン十年も戦争続けるって馬鹿じゃねえの?」

 

メインコンソールを操作してランスターの機体状態を確認しながらぼやく。

 

「そうですね。誰かしらに不幸を与える貴方が言えた義理じゃないですね。とりあえず、そのケーブルを繋いでください」

 

「へいへい」

 

そう答えてミリアに言われたようにメインコンソールパネルの下部にあるコネクターに渡されたケーブルを繋ぐ。

 

「全く、なんで私までアフリカまで行かなきゃならないんですか。言っておきますけど、機体本体はともかく両腕の武装の調整までは難しいですよ?」

 

「マジで?お前んとこの親方さんが問題なくやれるって言ってたから頼んだんだけど」

 

「真に受けるあたり馬鹿ですね。父さんならコネやらなんやらでウチの親方以上の技師だって引っ張ってこれるだろうにわざわざ私みたいな未熟者を連れて来るとか、本気で馬鹿ですね」

 

「ぶっちゃけ白状するとランスターの改造費割り引いてくれるって話だったから、それに飛び付きました。だって仕方ないだろ!それでなくたって赤字まみれなんだよ!」

 

「やっぱり貴方も命よりもお金が大事なんですか」

 

「それ抜きにしてもお前に頼んでたけどな。腕は良くても信用出来ないヤツより信用出来るヤツを選ぶよ俺は。それに両腕のは最悪バラして単品で使えばいい。それくらいは出来るだろ?」

 

旦那なら手抜き仕事するような技師は引っ張って来ないだろうが、それでも見ず知らずの相手よりは良く見知った相手の方が良い。長期間一緒に仕事をするならより一層だ。

 

「やっぱり馬鹿ですね貴方。まぁ、こっちも仕事として引き受けたからにはやるだけはやりますよ。未熟者の技師でもそれくらいのプライドはありますから」

 

「おう。なぁに多少ボッコでもなんとかするさ。半分くらいぶっ壊れてたって動くのは竜胆が証明してくれたし」

 

「今残っている竜胆の部分はコックピットだけですけどね」

 

「大丈夫。武装的にも実質竜胆だからコイツ」

 

砲にガトリングにグレネードに装甲マシマシ。ほら、竜胆と一緒だ。全然違う?知らんな。乗ってる俺が竜胆って言うんだから竜胆なんだよ。イイネ?はて、俺は誰に向かって言っているんだろうか。

 

ランスターのメンテを終わらせた後は特にやることもなく退屈なので船の甲板でボーっと海を眺めてみる。そういや、純粋に何かをするでもなくただ海を見るのってこの世界で初めてだわ。

 

 

 

「まるでそこかしこでドンパチ起きてるのが嘘に感じるくらい安穏としてんなあ………」

 

この世界に来てから3年目くらいか。他に道がなかったとは言え、よくまあ生き延びてるもんだわ。バトルフレームを操縦する才能とか悪運の強さをくれた神様に感謝すべきなんだろうな。いや、そもそもなぜこんな世界にブッ込んだって怒鳴るわ。元の世界に帰せって。

 

「いや、今の俺があそこに戻ったところで生き苦しいだけか………」

 

ドンパチの無い当たり前で平和な暮らし。そんなモノはもう俺には分からないし、今の俺にとっての普通はバトルフレームに乗って引き金を引く事だ。今更それを忘れろって言うには引き金を引きすぎた。

 

 

「そんな所で黄昏れてないで一緒にお茶でもしないかい?」

 

声が聞こえた方を振り向くとトリハピ野郎が立っていて、俺が甲板に出て来た時点じゃなかったはずの折りたたみ式の机と椅子が並んでいて、机に取り付けられた日除け用の傘の下ゴスロリ女が椅子に座っていた。お前らいつ来たし。

 

「まあ、それくらいなら旦那も怒らねえかな」

 

「独立していない傭兵は大変だね。何をするにもオーナーに伺いを立てなきゃならないんだからさ。最初から独立傭兵で始めたボクには無関係だったけど」

 

「初っ端から独立傭兵って金持ちだなぁ………やっぱそれなりの家の出なのな」

 

「これでも元はロイヤルの貴族の御曹司だからね!流石に誰かの下で奴隷のように使われるってのは外聞的にも避けたかったんだろうさ」

 

「御曹司を勘当って大概だな」

 

「なぁに弟がそこらへんは上手くやってるよ。たまに泣き言のメールも来るけど」

 

押し付けられたか………頑張れ見ぬ弟君。超頑張れ。

そうやって話しながら椅子に座ると、トリハピ野郎はせっせとお茶の準備を始めた。

 

「驚いた。ゲンドウ氏の屋敷でのやり取り的に、お前らあんま個人的な付き合いは無いって思ってたんだけどな」

 

「タダで美味しいお茶が飲めるんですからぼっちに付き合うくらいはしてあげますよぉ。そっちこそ割と自由に動いてるんですねぇ」

 

にっこりと笑顔でゴスロリ女が割と辛辣な事言ってるが、まあトリハピで軽くサイコパス入ってるような奴と友達になりたいような奴は居ないわな。

 

「旦那曰く何から何までこっちで面倒見るのは御免だ、だってさ」

 

「普通は傭兵の反逆を恐れてそんな事しないんですけどねぇ。まぁ、個人的に調べた限りでもオーナーとしてはかなりのお人好しなあのおじさまならそんな事考える必要ないんでしょうねぇ」

 

「盛り上がってるみたいだね。なにやら泣きたくなる事言われたような気がするけど、それはまあいいとしてお茶にしよう。ボクのとっておきの茶葉を使ったから味は保証するよ」

 

トリハピ野郎がそう言って小洒落たティーカップに注がれた紅茶が目の前に置く。ゴスロリ女に倣ってとりあえず一口飲んでみるが、美味いのはわかってもどう表現していいのかわかんねぇや。

 

「グリュネソルトの茶葉はいいですねぇ。心が落ち着きますよぉ」

 

「とりあえず美味い茶って事だけはわかったわ」

 

「はは、お気に召したようでなによりだよ。さて、それじゃあこれからも仲良くしていくためにも自己紹介をしようか。ボクの名前はアイク・ロッソよろしく頼むよカズキ」

 

ああうん、こっちの名前は知られてるんですね。

 

「イリヤ・ネウロイ・ヴェルノイアですよぉ。まぁ、アフリカから生きて戻れたならこの先もよろしくお願いしますねぇ。もしかしたら仕事の手伝いを頼む事もあるかもしれませんしぃ」

 

「そっちはなんか知ってるみたいだけど、俺はカズキ・クジョウ。別に忘れてくれて良いぞ」

 

独立傭兵でも無いのに名前覚えられるとかロクでもない事になるフラグでしかない。

 

「普通なら売り込みするところだよ、ここは」

 

「それなり以上に好印象与えて来たはずの皇華帝国に騙して悪いがされたばっかなんで………」

 

「傭兵なんて稼業やってれば騙して悪いがなんて事はよくある話さ。むしろ、そんな依頼が来るって事は名前が売れて来た証明だよ。気楽に使い捨て出来る都合の良い存在であると同時に目の上のコブのようなものだからねボク達傭兵は」

 

「ですねぇ。傭兵なんて命を切り売りするのと同じくらいに騙されてなんぼですしぃ」

 

「コレが一級の傭兵の価値観か………」

 

木っ端傭兵の俺とは見てるものが違いすぎる………騙される事前提ってお前。

 

「まあ、目に見えて怪しい依頼は受けないのが基本さ」

 

「傭兵の鉄則ですねぇ、依頼内容の割に報酬の良い仕事は避けるものですよぉ。たまに適正の報酬でも騙される事ありますけどぉ」

 

「もう木っ端傭兵で良いよ俺は」

 

あー茶が美味しい。

 

「無理だね」

 

「無理ですねぇ」

 

「ですよねー。わかってたよチクショウめ」

 

少なくとも自由資本同盟からは目の敵にされてもおかしくない。アフリカ着いたら後ろからの不幸な一撃貰わないよう気を付けなきゃ。向こうに駐留してる軍隊とは基本的に別行動らしいが、場合によっては協働もあるはずだ。そうなった時に『不慮の事故』として始末されないようにな(

 

 

●●●●●●●●●

 

 

「まさかこのような場所で再び会う事になるとは思いませんでしたよ。ハートマン艦長」

 

狭いがそれなりに小綺麗に整えられた船長室で机を挟んで向かい会った老齢の船乗りに向かってそう話しかける。

 

彼は俺、ヨルド・アフマンがかつて自由資本同盟軍に属していた時の最後の任務で俺達の隊を任務地に輸送した船の船長であるロイス・ハートマンあの時は少佐だったか。

 

「もう昔の事さ。私もこうして君と再び出会う事になるとは思わなかったよアフマン君」

 

「昔の事、ですか………自分にとってはそうではありません。確かにこの身この命を捧げる事を選んだのは自分ですが、だからと言って祖国の為でも同盟の為でも何でもなく、ただ理事にとって外聞が悪い。潔白アピールのためだけに殺されるなど冗談ではない。今だって国内の傭兵に俺達が担っていた仕事をやらせているではないか」

 

「そうだな。私も任務を終えた後、半ば強制的に軍を追われこうしてしがない船長をする事になるまでは信じられなかったよ」

 

そう言って、ハートマン艦長が机の上に置いたくたびれた自由資本同盟軍の軍帽に手を置く。

 

「俺達の存在を無かった事になどさせはしない。第33独立作戦小隊は消えはしない」

 

「君の怒りはわかる。が、その復讐をあの少年に背負わせ続けるのはやめたまえ。いつか後悔する事になるぞ」

 

少年、カズキの事か。

たまたま通りかかった路上にボロ雑巾のような姿で打ち捨てられていたのを拾った俺の傭兵であり、復讐の代弁者。

 

「後悔、ですか………しかし最早自分は止まれません。俺を逃がしてくれたロウ隊長やジェシカ、アイク、リロイ、テミス。戦友達には申し訳ないですがね」

 

彼らが今の俺を見たら確実に泣くだろうが、どうしようもない。理不尽に友を、家族を奪われて黙っていられるほど俺は大人にはなれなかった。

 

マグカップに残っていたコーヒーを飲み切り、船長室を辞する。




夏の暑さにやられて死んでた。更新滞って申し訳ない(焼き土下座)
毎日毎日熱中症とかワロエナイ。皆もポカリ飲んで熱中症に備えてな

次はドンパチ戦闘回にしたい。

キャラ紹介他はどのあたりに入れた方がいいか

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