なんかロボゲーの世界に転生したんですけど……… 作:⚫︎物干竿⚫︎
両手剣を担いでカイウスが突進してくる。凄まじい速さだ。スピード特化のカイウスらしいと言えばらしいが、にしたって速い。
まあそのタネは至って単純、あの機体に追加されたブースターだ。
カイウスはバックパックと腰後部に高出力のメインブースターを2基ずつと腰横部アーマーに瞬発性と機動性を確保するためのサブブースターを基本装備にしているんだが、目の前の奴はそれらに加えて脚部にまで追加のブースターを施していやがる。そりゃ、重たい両手剣担いでもスピード落ちんわ。
『シャアッ!!』
オープン回線でそんな事を吠えながら、突進の勢いを乗せて両手剣を振り下ろして来る。ランスターを後ろにジャンプさせてその一撃を躱す。空を切った両手剣の刃が地面に振り下ろされ、地面を固めるコンクリートが砕かれて破片が飛び散る。あんなもんまともに受けたらどうなるかわかったもんじゃねえ⁈
そして、その状態からこちらに背中を向けるようにしながら一歩踏み込んで来て返す刃で斬り上げて来る。それを左半身を前に向けるようにして躱しながら、そのままカイウスの懐に飛び込もうとしたが、カイウスの脇下から甲武の斧槍が飛び出して来た。咄嗟に左のヘルファイアの盾で防ぐが、ランスターが後ろに吹っ飛ばされる。
崩れた体勢を立て直して着地しながら舌打ちをする。
手は速いが攻撃一辺倒なイノシシなカイウスにパワーはあっても鈍重な甲武。思いの外上手いこと噛み合ったコンビしてやがる。
カイウスの大振りでぶん回される両手剣は確かに剣そのものの重量もあってまともに食らえばシャレにならないが、見切るのはそう難しくない。連撃も繋がったとしても精々が3回。たぶんだがそれ以上は腕もそうだが機体の方が負荷に耐えられないんだろう。だからこそ、今ですよー攻撃してくださいと言わんばかりに隙が出来る。
けれど、常にカイウスの後ろに続く甲武がさっきのようなカウンターなどでその隙を埋める。防御でも回避でも他なんでもいいからとにかく相手の動きが止まればそれで十分。体勢を整えたカイウスが再び攻撃を繰り出す。
これがこいつらの戦闘スタイルなんだろう。
シンプルと言うか稚拙な連携だと言うかは人によるだろうが、厄介は厄介だ。
さて、どう仕留めたもんか。
カイウスと甲武、どっちかだけならそこまで撃破は難しくない。カイウスはさっきのように連撃を凌いだ後の隙を突いて杭を打ち込めば片付くし甲武に至っちゃ攻撃させる前に懐に飛び込んじまいさえすればこっちのもんだからな。これだから一撃必殺の炸裂杭はやめられない。まあ、旦那が外すって言ったらそこまでだけども。
『オラオラァ!びびってねえで攻撃して来いよ!』
だから、いつまでオープン回線開いてんだお前はよ?命の取り合いしてる相手と仲良くお喋りでもしたいのか。
突進しながらそんな吠え声を上げながらカイウスがまた突進して来て、その突進の勢いのまま刺突を繰り出してくる。
それを左のヘルファイアの盾を両手剣の腹にぶつけるように振るって逸らし、右のヘルファイアの盾を構えて、それを勢いに乗っていて止まり切れずに突っ込んで来たカイウスに叩き付ける。そして、仰け反ったカイウスの脇の下に左腕を潜り込ませてカノン砲を撃つ。
効くかは知らんけど後ろの甲武への牽制くらいにはなる。
やる事やった左腕を引っ込めて、カイウスに今度は盾を構えタックルを仕掛けて吹っ飛ばす。
「欲しいならくれてやんよ!激アツの鉛玉ァ!」
グレネードランチャーの照準を吹っ飛んだカイウスとそれを受け止め切り揉みしている甲武に合わせてM4グレネードランチャーの弾倉に残った通常のグレネード弾3発全弾を叩き込む。
着弾したグレネード弾が連撃で爆発して、炎と煙を撒き散らす。左右を倉庫の壁に挟まれた擬似的な閉塞空間なのも相まって立ち込めた煙が視界を塞ぐ。どうとでも動けるように身構えた瞬間、煙の向こうから竜胆が姿を現した。てか、竜胆⁈あ、俺が乗ってたヤツと同じで竜胆に追加で甲武の装甲着込んでたんですねわかります。って、自分で自分にツッコミ入れてる場合じゃねえ。
飛び出して来た竜胆の手には仕込み武器らしき柄も何も無いシンプルな片刃の短剣が握られていて、突進の勢いのまま刺突を繰り出して来た。ギリギリ左のヘルファイアを割り込ませる事が出来たが、短剣とは言え機体の全重量を乗せた一撃は両手剣やら斧槍と言うヘビー級な武装を防いで損耗していた盾を貫いて下のカノン砲と杭の機関部にまで届き、左のヘルファイアが使えなくなった。そして、そのまま斧槍をぶん回していたパワーにものを言わせた投げで立て続けに左側の倉庫の壁に叩きつけられ、鉄筋コンクリートの壁を破壊しながらランスターが倉庫内の床に倒れる。
すぐにランスターを起き上がらせながら、ぶち抜いた壁の割れ目の向こうに右のヘルファイアを向けて、そこに居る竜胆に向けてカノン砲を撃とうとした瞬間、横から左腕を失い頭部も半ば砕け半壊したカイウスが突っ込んで来た。
「まだ生きてやがったのか⁈」
咄嗟にランスターの右腕を引いて後ろに一歩分跳んで、突進の勢いのままに振り下ろされる両手剣を躱すが、叩きつけるように振り下ろされた両手剣が横薙ぎに振るわれる。盾で防ぐが、まだ空中に浮いたままだったランスターはバットで打たれたボールのように吹っ飛ぶ。
『ハッハ!死ぬかと思ったぜ!あの距離じゃあテメェもグレネードの爆破範囲に巻き込まれかねないってのによぉ』
そのセリフを聞きながら着地して、カノン砲をカイウスに向けて撃つ。だらりと垂れ下がった右腕は動く様子もなく、無防備のまま俺が撃った弾がカイウスに命中し、ぐらりと後ろに向かって倒れて行く。
『先ぃ逝ってんぜ?相棒』
『ああ、そうは待たせぬよ』
倒れていくカイウスの手から両手剣を取って、竜胆がそれを引き摺るようにしながら走って近づいて来る。それにカノン砲を撃ち込もうとしたが、弾詰まりを起こして撃てない。間が悪過ぎんだろおい。
くそったれめ!
ツイてない自分に文句を言いながら、カノン砲から炸裂杭に切り替えて竜胆を迎え撃つ。コンクリートの床を削って火花を散らしながらランスターの左脇から右肩に向けて斬り上げるように振り抜かれた両手剣を左のヘルファイアで防ぐが、楔のように突き立ったまま途中でへし折れてめり込んだままになっていた短剣の刃が更に深く減り込み、ランスターの左腕まで届き、左腕破損のアラート音が鳴り響く。それを聞きながら左腕の出力を上げて過負荷異常の警告アラートも無視して両手剣を跳ね上げる。
『ぬ⁈』
「あばよ。先に行ってるヤツによろしく言っておいてくれや」
最後にオープン回線を繋いでそう言って、ガラ空きの竜胆の胴体に右のヘルファイアの炸裂杭を向けて杭を打ち込む。上に着込んでいた甲武の装甲ならいざ知らず、頑丈さよりも軽量さを優先させた竜胆の装甲が耐え切れるわけもなく、あっさりとひしゃげ、内側から爆発するように砕け散り、残った竜胆の下半身の膝が崩れて倒れ、上半身の残った部分がランスターの頭上を通り過ぎて後ろに落下する。
深くため息を吐いて、杭を撃発した状態の右腕を下ろす。左腕が力が抜けたようにだらりと垂れ下がっているが、まあ大丈夫だろう。こいつら以外の後詰めが居なければだけどな。
「旦那。終わった」
【丁度こちらもカークス達から終わりの通信を貰ったところだ。グッドタイミングだな】
「それとランスターぶっ壊れたんだけどコレ、ミリアに直せるかね?」
【さあな。アレに直せなければ、そのまま出て貰うだけだ】
「ですよねー」
わざわざ他の傭兵連中がそれぞれ独自に連れて来てる技師に頼んでまで直さんよな。最悪、左脇取っ払ってなんか代わりの腕を付けりゃ良いだけだし。パーツはどっから調達するか?目の前に残骸があるじゃろ。後はわかるな?
ま、とりあえず両手剣は貰ってこう。なんか役立ちそうだし。
右のヘルファイアのグリップを格納して、フリーになった右腕で両手剣を拾って肩に担ぐ。それなりに重いが、ぶん回すならともかく担ぐ分には問題無いだろ。
のっしのっしと歩いて(倉庫の壁に叩き付けられた時にバックパック破損してた)港町まで戻ると、既に他の傭兵連中は戻って来ていた。特に疲れた様子もハンガーに並んでるバトルフレームも破損した様子も無いのにイラッと来たが、黙って割り当てられたハンガーに向かい担いで来た両手剣をハンガーの武装懸架用ラックに立てて、ランスターを格納する。
主電源を切って、コックピットハッチを開けると目の前の乗り降り用のキャットウォークに旦那譲りの仏頂面をしたミリアが立っていた。なんか言えよこえーよ(真顔)
「まずは、単独襲撃お疲れ様でした」
「お、おう」
まさか労われるとは思ってなかった。ランスターぶっ壊れてるからそれに怒られるかと思って損したわ。
「また、壊れちゃいましたね」
「生きてて怪我も無いなら御の字さ。で、コレ直るか?」
「バラした次第です。前にも言いましたけどヘルファイアはともかく機体本体ならなんとかします」
「んじゃ頼む。コイツの状態次第で俺がどうなるか変わるし。と言うわけでそこ退いてくんね?降りられないんだけど」
ミリアが退いたのを確認して、シートに体を固定するベルトを外してランスターから降りて軽く伸びをして凝り固まった体を解しながら歩いて階段を降りて、格納庫内の休憩室に向かって冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターを取り出してソファーにどかりと座り込みながら飲んで、
「今日もまた生き延びた。さて、明日はどうなることやら………」
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今回投稿日を見る。
これアカンヤツや………(白目)
俺も頑張らなきゃ、タ●キも頑張ってたし!(フラグ)
甲武と見せかけた竜胆だったって言うオチだけど、カズキくんの乗ってた竜胆も似たようなもんやしセフセフ。てか、この先も似たような感じで便利使いすると思われる竜胆
キャラ紹介他はどのあたりに入れた方がいいか
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