なんかロボゲーの世界に転生したんですけど……… 作:⚫︎物干竿⚫︎
賊の拠点襲撃から3日ほどが経ったところで港町に自由資本同盟軍を示すマークが描かれたバトルフレーム用に後部コンテナがハンガーになっているトレーラーがぞろぞろとやって来た。ちなみに俺達のとこに当てがわれたトレーラーはコンテナが2輌編成で、ランスターも輸送機もどっちも収容できるようにしてあった。意外と良対応でびっくりした。
広大なアフリカを移動するための足らしい。マジでアフリカを東へ西へ南へ北へと俺達を使い倒すつもりらしい。
で、早速それを使って移動してるわけだが、
「とりあえず、直せるだけは直しましたけど、左のヘルファイアは駄目ですね。ああまで壊れていてはオーバーホールして完全整備するか、新しいものを積むしかありませんね」
だろうな。折れた短剣が完全に機関部貫いててぶっ壊れてたし。
そんなミリアの言う事を聞きながら、横倒しでハンガーに固定されたランスターに目を向けて、
「で、右のヘルファイアバラして、カノン砲右手にシールドと炸裂杭はひとまとめに左腕、と」
「親方が見たら泣きますね」
「そうかい。俺にはどうでもいいけど」
「それで、あの両手剣本当に使うんですか?」
「当然。だから持って来たんだ」
やっぱりパイルバンカーはロマンだけど、身の丈くらいあるデカイ剣もオトコノコ的に考えてぶん回したい。
「ところで旦那は?」
「カークスさんと何かを話し合ってるみたいです」
この傭兵グループのまとめ役は経験やらなんやらから自然と旦那とカークスのおっさんになってた。まあ、この2人以外は精々が20か30の若僧ばっかだしそうなるのは当たり前か。て言うか他の連中全員、集団のリーダーとか務まりそうにないしな、俺含めて。
「次の行き先かねえ?」
「私に分かる訳ないじゃないですか」
「ですよねー」
そんな他愛のないやり取りをしていると、左手首に付けた腕輪型の端末からピーピーとアラームが鳴った。ちなみにコレも供与品である。なんか怪しい仕掛け(毒針とか爆弾)だとか無いかと怖かったがそんな事は無かったけど、このなんも無さが逆に怖い。
「さて、それじゃお仕事始めますか。ま、ランスターの中に待機してるだけだけで特になんかする訳じゃないけど」
「武装の確認は忘れないでくださいね?何か起きた時はすぐに出さなきゃいけませんから」
「わかってるって」
端末のアラームを止めて、開け放たれたランスターのコックピットに入る。機体を寝かせた状態でも乗り降り出来る様にバトルフレームのコックピットはある程度回転する様に出来ているので特に無理もなくシートに座りベルトを締めてランスターをスタンバイ状態で起動させて武装と機体の状態を確認する。特に問題は無し、なんかあってもこれならすぐ対応出来るだろう。
特に何かをするでもなくボーッとシートに体を預けながら、この前の2人組の傭兵達との戦いを思い返す。はっきりわかったのは、自分の操縦技術の未熟さだ。カークスのおっさんには上等、上等って褒められたけども単にあのおっさんが基準にしてるラインを下回っていないだけだ。実際、赤毛の女の傭兵には微妙な顔されたし。
て言うか、そもそもがなんでゲンドウ氏は旦那に依頼の話を持って来たんだ?いまいち実感は無いが、名前の売れて来た新進気鋭の傭兵?そんなもん俺以外にだって吐いて捨てるほど居るだろうになぜわざわざピンポイントでウチなんだ?分からん。さーっぱりわかんねえ!
高卒でも工場で働いてたヤツにそん権謀術数出来るわきゃないにしても考えないと下手すりゃこの前の補給艦隊襲撃の時みたいにハメられる。再三繰り返してるが、ウチは自由資本同盟から撃たれても文句言えないくらいに襲撃をしまくってるんだからな。
『やあ、カズキ。そっちの調子はどうだい?』
そんな風に考えに耽っていると、トリハピ野郎のアイクからいきなり通信が飛んで来た。なんなの?友達居ないの?あ、こいつぼっちだったな。とりあえず、通信に応じる。
「別に、普通にランスターの中で待機してるよ」
『暇だろう?ちょっと話でもしようじゃないか』
「一応、俺仕事中なんですがね?そこんとこ分かってる?」
『堅苦しいのは抜きで行こうじゃないか。ボク達は軍隊でもなんでもない傭兵なんだからさ』
「仮にもプロ的にそれはどうなんだ」
『ハハ、行儀の良い傭兵なんて傭兵じゃないよ』
まあ、その通りっちゃその通りなんだけども………うーんこの
『仕事だカズキ。お喋りしてないで出ろ』
「うっす」
お喋りしてるのバレテーラ。とりあえず、ランスターをスリープ状態から戦闘状態に切り替える。それと同時に武装のロックの解除を進めて行くとコンテナ上部が前方向へ中折れ式で折り畳まれて、ランスターを固定しているハンガーが起き上がり、ハンガーのロックが解除される。
『進行方向の直進10キロの場所から救難信号が発信されている』
「タダで人助け?いつから俺らそんな聖人になったんよ?」
『勘違いするな。救助はあくまでもついでだ、恐らく賊か何かに追われてるんだろう。となればこちらの進行の邪魔だ。まあ生きていれば拾ってやれ』
「迂回とかはしないんで?」
『生憎とこのトレーラーで通れるような道は今走っているここしかないから迂回しようがない。手間だが叩き潰してこい』
「りょーかい」
そう返事を返して、コンテナの床を蹴ってランスターをジャンプさせて外に出るのと同時にブースターを点火してランスターを加速させる。
鈍足な部類に入るランスターでもブースターまで使えば時速300キロは普通に出せる。10キロなんてあっと言う間だ。そして、見えて来たのは3機のお揃いのライムグリーンで統一されたカラーリングに左肩アーマーに歯が金歯になっているドクロと言う趣味の悪いマークが描かれたドーラスに、それと同じマークが描かれたバンが追いかけっこをしていた。てか、ドーラスの方完全にバンの方いたぶって愉しんでるなアレ。
どう見ても、オーナーに反逆した傭兵と傭兵に反逆されたオーナーですね本当にありがとうございました。
あ、気付かれた。まあいい、どうせやる事は変わらんしな。3機のうちバックパックにグレネードランチャーを備えた右後方のドーラスにカノン砲を向けて撃ち込んでさっさと無力化し、ランスターの足下を走り抜けて行くバンを見送る。
そして、この前の賊連中よりよっぽど優れた精度で撃ち込まれる弾丸を左にステップを踏んで躱し、牽制としてバックパックの機関砲を撃ちながら一気に距離を詰めて、正面、左後方のドーラスを殴り飛ばすように左腕を突き出しながら杭を打ち込む。砕けた上半身と飛び散る破片やオイルやらを無視して杭を戻しながら、ブースターの左側だけを吹かしてランスターをコマのようにターンさせて、こちらに右半身を向ける様に旋回中のドーラスに左腕を叩き込む。
それに対してドーラスが咄嗟に右肘を畳んで腕全体を盾にする様にして受け止める。そのまま杭を打ち込むが、ドーラスの右腕と胴体の一部を砕くに留まり、逆に格闘用ナックルガードに覆われたドーラスの左の拳がランスターのガラ空きの腹に突き刺さる。
「かっ⁈」
モロに衝撃を受けた事で激しい揺れと共に固定用のベルトに体が圧迫され一瞬動きが止まる。モニターには立て続けにタックルを仕掛けてくるドーラスの姿が映っているが体が動かず、そのままタックルを食らいランスターが大きく吹っ飛ぶ。
宙に浮いている間に呼吸が戻り、それに合わせて手脚に力が戻る。背中から地面に倒れそうなのをブースターを吹かしてなんとか堪える。
「やってくれんじゃねえか」
サブモニターに目を向けるが、特に機体に異常は無い。流石ランスターだなんとも無いぜ。と、一人でネタやってる場合じゃないな。機体は大丈夫でも、さっきので中の俺に小さくないダメージがあった。良く吐かなかったもんだわ。万一吐いてたら、吐いたもので喉詰まらせてたかもしれなかった。ゲロに塗れて死ぬのは流石に嫌だわ。
ひとつため息をついて落ち着いて、カノン砲を走り寄って来るドーラスに向けて撃ち込む。シールドでも構えているならともかく、右腕は砕けて左腕にも格闘用ナックルガードしか残っていないドーラスに防ぐ手立てがあるわけもなくあっさりとカノン砲の砲弾がドーラスの胴体部、丁度コックピットブロックのあるあたりを貫き、ドーラスが倒れ伏す。
「ふぅ………やる事やったし戻るか」
右腕を下ろして、適当に路上のドーラスの残骸を退かしてかっ飛ばして来た道を歩いて戻る。向こうもこっち向かって来てるんだし、わざわざブースター使って推進剤を消費する必要もない。
で、戻って来てみれば逃げたはずのバンが一緒に居て移動の脚を止めていた。何か面倒ごとの臭いがプンプンするぜぇ………
トレーラーにランスターを格納して、グループの全員が集まっている件のバンのところに向かうと、揉めてますよと言う空気を通り越して殺し合いでも始まりそうな雰囲気が漂っていた。
お、旦那が気付いた。
「戻って来たか。機体は壊れていないな?」
「ちょっとトチってぶん殴られたから少しジャケットアーマー削れたけど、ダメージらしいダメージはそれくらい。後は強いて言うなら俺が吐きそうになったくらい」
「そうか。なら問題無いな」
うん、なんの問題もないな。ちょっと目頭が熱いけど、コレは目に砂が入っただけだからなんでもない。
「おい!無視してんじゃねえぞコラッ!」
なんかコテッコテの昔読んだマンガとかで出てきた背広に貴金属類身に付けた成金臭漂うおっさんが血走った目で怒鳴って来た。
これならあの時、見逃さずにどさくさに紛れて踏み潰しときゃ良かったかもしれない。
前回よりランスター動きまくりだって?
ヘビー級武装一個分減った分機体の出力にもの言わせてブン回してるだけです。簡単に言えば、過⭐︎積⭐︎載状態と許容重量かの違い
キャラ紹介他はどのあたりに入れた方がいいか
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最初
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節毎
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最後