なんかロボゲーの世界に転生したんですけど……… 作:⚫︎物干竿⚫︎
目の前のモニターに拳を叩き込みそうになるのを必死に堪えながら、長々とくだらない事を言い合っている老人共に向けて口を開く。
「作戦の指揮があるので私はこれでお暇させて貰う」
苛つきを顔と声に出さないように気をつけながら言い切って、形ばかりの敬礼を取って通信機ごしの会議とは名ばかりの老害共の足の引っ張り合いから立ち去る。
モニターが消えるのを待たずに跳ねるように座っていた椅子から立ち上がって、通信室を出る。
「お疲れ様でした閣下」
通信室の外に控えていた側近から軍帽を受け取って被り直しながら硬い廊下を歩く。
「全く、中央の老害共にもほとほと呆れ果てたものだ。こちらは重要な作戦の真っ最中だと言うのにあんな会議とも呼べないようなものに出席しろだなどと………それで、状況はどうなっているか」
「はっ。報告によれば自由資本同盟とエジプトの連合は要塞上部の大型リニアカノン砲1門を破壊したものの、ゴリアテでしたか?要塞攻略の主力となる陸上戦艦を失い、手をこまねいているようです」
「当然だな。あんな戦車の出来損ないのようなもの1隻でどうにかなるなら我が皇華帝国軍が攻略出来ないはずがなかろう。で、こちらの戦況は?」
「装甲騎兵団第一軍、二軍共に第一防衛線を突破。第二防衛線を攻略中です。しかしながら連中は面倒な傭兵を雇ったようで、前進が滞っています」
「また傭兵か。どこの傭兵だ?まさかとは思うがアブレヒトではあるまい」
この作戦には皇華帝国と自由資本同盟が連名でアブレヒトから雇った傭兵が参戦しているが、我々が雇った者どもとはまた違う傭兵が要塞側に着いていたとしても、あそこの成り立ち上居てもおかしくはない。
「ロシアの残党の飛行隊です」
「あの駄犬共か」
かつての統一戦争においてロシアが用いたSU-X03ヴェールクトⅡ。それを操る我が皇華帝国に恭順せずに反逆する愚か者達だったか。よもやここに居るとは………
「またしても傭兵か。あんな者共が戦況を左右するなどとは頭が痛くなるな」
苦虫を噛み潰したような気分になりながら作戦指揮所に入る。
「すまない。今戻った」
「構いません。奴らまたぞろ面倒な相手を出して来ました。そこまで大きな被害こそ出てはおりませんが、いかんせん的確にこちらの脚を止めに来ています」
一時的に指揮を任せていた副官の代わりに司令席に座って戦場の状況が映し出されたモニターに目を向ける。
「シュウ中尉。アレの状況はどうなっている?」
「現在最終調整を行なっています。もう間も無く出せます」
「急がせろ。それから私の機体を準備しておけ」
「かしこまりました………閣下の困ったクセがまた出たわね………」
「何か言ったか?中尉」
「いいえ何も」
小声で何か言っていたが、まあ瑣末な事だろう。
さて、生意気な反逆者共とその飼い犬共をどうしてくれようか。
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機関砲を対空砲よろしくぶっ放して飛んで来る戦闘機を追い払う。例の前進翼の戦闘機の姿が見えないのが不気味だが、ゴリアテ沈めた事でこっちの優先度が下がってんじゃないのかと言うのがカークスのおっさんや旦那の見立てで多分間違ってないんだろうが、それはそれとして、こっちの戦線を抜いて戦闘機が飛んで来てアッツアツの爆弾プレゼントして来るので油断は出来ない。
「ったく、まだ補修終わってないんだぞこちとら」
今のランスターからは補修のために追加装甲が取っ払われているから、奴らが持って来たアッツアツのプレゼントを貰うとどうなるかは火を見るよりも明らかだ。
まあ、基地に配備された対空機関砲やらも一緒になって景気良く鉛玉ばら撒いてるし大丈夫だろう。見た感じ飛んで来てる戦闘機のパイロットの腕もあの前進翼のより大分低いしな。実際、対空砲火を必死になって回避していると言った感じで、砲火の合間を縫ってエントリーからのお届け物をする余裕は無さげだ。
『ハハハハハハ!随分と活きの良いファイターじゃないか!それそれもっと必死にならないと墜としてしまうよ?』
オープン回線でそんな楽しげな声が聞こえて来る。
一緒に迎撃に出張っているアイクが惜しみ無く両腕のガトリングから鉛玉をばら撒いている。戦車はおろか艦船の装甲すらぶち抜きそうな弾幕に追い立てられている戦闘機のパイロットに少しだけ同情する。
「あ、やべ」
戦闘機が1機対空砲火を振り切ってエントリーして来るのが見えるが対空砲も俺も反応が追いつかない。
今にも爆弾を投下しようとした戦闘機だったがどこからともなく飛んで来た鉛玉を受けて汚い花火に変わる。
『こちら独立作戦飛行隊ライトニングAWACSロックハート。待たせたな、援護しよう』
その無線に続いて、戦闘機とバトルフレームが飛んで来る。
忘れたくとも忘れようもないライトニングファルコンと、それに似ているが形状の違う第四世代型が3機、それにF-46ワイバーンが4機。
瞬く間に反政府勢力の戦闘機は途中参加の飛行隊によって空の汚い花火に変わった。正に瞬殺である。
感心していたらコックピット内にロックオンアラートが鳴り響いた。操縦桿を引いてフットペダルを蹴飛ばすようにランスターを旋回させてバックパックの機関砲を上に向ける。
「ったく、怨み買ってるのは分かりきっちゃいるけど、それはそれでビビるわ!」
機関砲をぶっ放しそうなのを堪えて、ロックオンレーザーを向けて来る戦闘機を見る。覚えのある機動ってか、いつだかの補給艦隊襲撃の時のやつだ。尾翼と主翼のパーソナルマークが広げた鳥の翼と稲妻に変わってるがそこは所属が変わったとかそんな感じのだろう。
『機体こそ変わっちゃいるが、あの時のクソ野郎だな?』
戦闘機のパイロットからの通信だ。
「おいおい、こちとらそっちからの依頼受けてここに居るんだけど?」
『笑わせんじゃねえ。あんだけ好き放題やってくれた奴がどの面下げてそこに居やがるってんだ』
「文句は依頼して来た奴に向けろや」
『うるせぇ!てめぇがやったのは事実だろうが!』
やれやれ、こりゃまた盛大に嫌われたもんだわ。まあ、未だに撃たれてないだけ向こうも我慢出来てる方か。
『そこまでだロニー。今すぐ彼の機体からロックを外すんだ』
『嫌だね』
『ロニー、俺に引き金を引かせてくれるな』
『クソが!けどな、降りたらぶん殴りに行くから首洗って待ってろよ』
そんな言葉を残して戦闘機からのロックが外れ、ロックオンアラートが鳴り止む。
『隊の仲間が失礼した。ライトニング隊隊長のアイザック・フローライトだ。彼に代わって謝罪する』
「気にしなくて良いよ。俺達傭兵はそう言うもんだし特にウチはおたくら自由資本同盟からの評判は悪いだろうしな」
そう言う情報規制でもかかってるのかもしれないが、むしろ今の今まで後ろから撃たれてないだけ温情とすら言えるくらいには、自由資本同盟の連中をきたない鉄くずに変えて来た俺からすれば、今更怒る事でも無いし、それどころか撃たれても因果応報としか言えない。
ランスターをハンガーに戻して、手持ち無沙汰だからミリアの手伝いでランスターをいじっていると、金髪の某私は帰って来たぁ!とか言うあの人っぽい感じのイケメンな自由資本同盟の兵士が一人やって来た。
「呼ばれてんぜ鉄槍サン」
アイクのとこの技師がやって来て、格納庫の入り口に居る兵士を親指で指す。
「わざわざどうも。それとその呼び名はやめろ?んな二つ名貰うような傭兵じゃないんで」
そう技師に返して、ミリアに断りを入れてから兵士の方に向かう。
見たところ拳銃の携帯とかもしていないからひとまず命の心配は無い。
「アイザック・フローライトだ。先程のことに関して改めて謝罪しに来た。本当にすまなかった」
そう言って律儀に頭を下げて来る。別にそこまでやらなくても良いんだけどなぁ。そもそもアレも承知した上でこうしてアフリカまで来てんだし。
「わざわざ律儀なことで。んで?ぶん殴るとか言ってた方は?」
「次の出撃まで営巣に入っている」
「そうかい。てか、マジで謝罪のためだけに来たのか」
「主な目的はそうだが、聞きたいことがあって来た。なぜお前は引き金を引くんだ?」
「傭兵にそれ聞く?雇い主が撃てって言うんだから、それ以上もそれ以下もねぇだろ」
少なくとも俺にとって引き金を引く理由はそれだけだ。旦那が、雇い主が撃てって言うんだから俺はそう言われた通りにして、代わりに金を貰う。ただそれだけだ。いちいち考えてたらキリが無いわ。
「自分の意思も無くあれだけ撃てるものなのか」
「逆に考えてみなよ。そうでも無きゃパンクしちまう。人間ってのはおかしな事に馬鹿みたいに殺し合ったりしてる割に殺すとそれで精神的に馬鹿みたいにダメージ受けるもんだからな」
俺?とうに考えるのはやめた。必要なら誰だろうときたない鉄くずにするし、特に必要無いならその場に応じて考える。
「あんたにとっての引き金を引く理由なんざ俺は知ったこっちゃないけど、そこに意味を見出してどうすんだ?引き金を引く意味を良く考えろとは良く見たり聞くけども、じゃあきちんと深く考えたなら撃っても良いって?そんな訳無いだろうがよ。そんなのは撃った事実から逃げてるだけだ。どんな理由があれどてめぇ自身の意思で引いたんだ。そんな事でウジウジ悩んでるような奴は銃なんざ捨てて教会で牧師でもやってろ」
もう俺からこいつに特に言う事は無いし、話すだけ無意味そうだから軽く手を振ってランスターの整備の手伝いに戻る。
ロボモノってなんで自然と前線病罹患者な指揮官が湧くんだろうか。
主人公って戦う事に悩み抱えてるもんじゃん?なお、割り切り済みガンギマリなカズキくん。仕方ないね。トリプルスコアで人ぶち転がしてるからね()むしろここまで来てウジウジしてるようなのは死んでると思うの
投稿日に関してはもう何も言わない(真顔)
キャラ紹介他はどのあたりに入れた方がいいか
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