なんかロボゲーの世界に転生したんですけど………   作:⚫︎物干竿⚫︎

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22話

なんの茶番劇だろうかコレ。

そんな事を思いながらドーラスの胴体に炸裂杭を打ち込む。オイルやらなんやらをぶちまけながら砕ける機体を蹴り飛ばして健気に撃って来る固定銃座を黙らせる。

 

「陸軍がどうだの空軍がどうだのそんなもん今更持って来んなっての」

 

作戦の主導権が陸軍から空軍に変わったとかでモニター越しに偉そうってか実際軍のお偉いさんのおっさんから「お前らの尻拭いしてやるから掃除済ませとけ」みたいな事を言われてえっちらおっちらと戦闘中だ。

 

『まあ、良いじゃないか。面倒な要塞はあっちでやってくれるって言ってるんだからさ。それよりさっさと次に行こう。ふふふ、さて次の連中はどんな風に歌ってくれるかな?』

 

一緒に景気良く鉛玉をばら撒いていたアイクがそう言って来る。歩兵相手にすら両腕のガトリングをばら撒いてるから辺りはミンチよりひでぇやな惨状である。

 

「聞こえるのって爆音と金切音だけだろ。歩兵じゃあるまいに」

 

黙らせた防御陣地から次へと向かおうとランスターの向きを変えた瞬間ロックアラートが鳴り響く。右のフットペダルを踏み付けつつ操縦桿を引いてランスターを反転させて飛んで来た誘導ミサイルを防ぐ。

 

どうやら生き残りが居たらしい。そのまま死んだふりでもしてりゃ良いのになんで手を出して来るのやら。まぁ、どうでもいい。撃って来るなら黙らせるだけだ。

 

慌ててミサイルの発射器を投げ捨てて逃げ出そうとする歩兵に向けて砲弾を撃ち込む。無駄弾な気もしないでも無いが、瓦礫に阻まれてやり損ねるよりはマシだ。

 

「よしクリア」

 

『酷いなぁせっかく良い音が聞けそうだったのに』

 

「遊んでる場合じゃねえからね?」

 

『僕からすればカズキはもっと余裕を持って愉しんだ方が良い』

 

割とまともかと思ったけどやっぱりコイツ頭おかしいわ。

ため息を吐きつつアイクと一緒に次の防御陣地に向かう。ちなみに俺達はイリヤがクソデカ砲台を落とした側の掃除で、まだ残ってる方はカークスのおっさん達が行っている。時折クソデカ砲台からの砲撃が盛大に爆発を起こしているが、アレ自分達の方にも被害出てるんじゃなかろうか。

 

「てか、砲台無いからって俺とアイクと連合軍の部隊と協働って話のはずがなんで俺らだけで突出してんだ?」

 

『それは僕らがくたばろうがどうしようが損害に数えなくて良い傭兵だからさ』

 

「知ってた」

 

『それにどうせ僕もカズキも仲良くおてて繋いでみんなで進みましょうなんて性に合わないじゃないか。ぶっちゃけ邪魔だろう?』

 

「弾除けにはなるじゃん?」

 

そんな風に駄弁りながら後ろからの援護射撃と言う名の前に進めやと言う熱いコールに押されるように次の防御陣地へとランスターを進める。

 

戦車やらバトルフレームやら固定銃座やらのお出迎えを防ぎつつ次の目標の防御陣地に突っ込む。俺を盾にしていたアイクが景気良く鉛玉をばら撒き、戦車も歩兵も区別無くミンチに変えて行くのを見ながら長刀を持って突っ込んで来る竜胆を迎撃する。

 

「軽いんだよ」

 

言いながら長刀を受け止めた左腕を外側に向けて広げると、あっさりと竜胆の懐がガラ空きになる。そこに右腕を殴り込むようにして炸裂杭を打ち込む。

 

『君の奏でる音も素敵だよカズキ』

 

「はいはい。残敵は………後ろの連中に耕して貰えばいいか。てか、俺ら居るのに問答無用過ぎんだろ」

 

降り注ぎ始めた砲弾に文句を言いながらフェンスをぶち破って防御陣地を抜けたところでランスターの肩の追加装甲が吹き飛び大きく体勢を崩され、咄嗟に左腕の盾で機体前面をカバーして崩れた姿勢を立て直す。

 

「狙撃か?アイク生きてるか?」

 

『大丈夫だよ。君が盾になってくれたからね』

 

「そいつは何よりだ。ミサイル残ってる?」

 

『ミサイルじゃなくてロケットだね。まだまだたっぷり残ってるよ』

 

「んじゃ、前方400メートル先を吹っ飛ばせ」

 

『はいはい』

 

アイクがバックパックのロケットをぶっ放して狙撃をかまして来た機体に直接単装砲を固定した自走砲台のような見た目になっているドーラスを木っ端微塵に吹っ飛ばす。

 

「よし次行くか」

 

『そろそろ序曲は終わりたいところなんだけどね』

 

「残念ながらメインディッシュはお空の連中のもんだよ」

 

『世知辛いね』

 

防御陣地に突っ込んで耕して回っていると、要塞から戦闘機が飛んで来た。訳の分からない動きをする前進翼の奴じゃなくてデルタ翼の方だ。

 

カークスのおっさんならともかく俺もアイクも高速で飛び回る戦闘機を撃墜するような偏差射撃は出来ないんだが、だからと言って出来ないだのとは言ってられないか。

 

戦闘機が撃って来たミサイルを回避するが近接信管のミサイルの爆炎に機体を炙られるがまだ問題無い。

 

「おかしな機動をしないならこうすれば良いんだよな?」

 

機関砲を戦闘機に向けて撃つ。当然、戦闘機がそれを回避する。目に見えてスピードが落ちているところへカノン砲を向けて、おおよその感覚で3発連射。2発は外れたが1発が主翼を抉り取り綺麗にくるくるとスピンしながら明後日の方に飛んで行った。

 

「意外とやれば出来るもんなのな」

 

『流石だね』

 

「あのヴェールクトだっけか?アレが来ない事祈りたいね」

 

カークスのおっさんしかまともに相手に出来ねぇしアレ。

割とマジでそう思いながら次の防御陣地に向かう。残りは確か3つか。さっさと終わらせよう。

 

「あん?」

 

防御陣地に向かっていると突然、要塞の残っていた大型レールガンが吹っ飛んだ。なんか共有通信の無線が騒がしい。

 

『皇華帝国が新しいオモチャ持ち出して来たみたいだね?空を見てごらんよ』

 

「赤いバトルフレーム?」

 

両手にライフルを持った背中に4枚の鳥を思わせる翼を持った赤いバトルフレームが空中に居て、不動のまま背中の翼からレーザーを撃ち出して飛んで来るミサイルを全て迎撃している。

 

「わざわざこっちまで来させるとか派手な見世物だねえ」

 

『カズキ。何が見えるんだい?』

 

「ほい」

 

ランスターのカメラでスクリーンショットを撮ってアイクに送る。

 

『へぇ、噂に聞く第五世代型バトルフレームってやつかな?』

 

「んー?なんで皇華帝国がアレ持ってんだ?確か日ノ本のナントカって研究所で試験してたはずなんだけどな」

 

『知ってるのかい?』

 

「前に模擬戦の相手をちょっとね」

 

『まあ、よくある技術のパクり合いだろうね。流出させてたとしたらその研究所の責任者は首が飛んでるね、物理的に』

 

「ま、なんであれ俺らには関係無い。次行くぞ次」

 

あの赤いバトルフレームの出現は敵に少なくない動揺を与えてるようで防御陣地からの抵抗もあっさりとしたもんだった。で、その俺達の上を大慌てで自由資本同盟の戦闘機と第四世代型バトルフレームの飛行隊が飛んで行くのだった。

 

本当にまるで何かの茶番劇だ。

 




いつぶりだろうねコレ?

キャラ紹介他はどのあたりに入れた方がいいか

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