なんかロボゲーの世界に転生したんですけど………   作:⚫︎物干竿⚫︎

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23話

通信が賑やかだ。

私としては弱いモノイジメをしているような感じなんだけど、下の人達にとっては違う。

 

「朱雀を見せ付けて来い、ね。無駄に煽るような事をしてどうするのか分からないけど、お義父さんが喜ぶなら良いかな」

 

ATX-00朱雀。世界で初めて実用化された第五世代型バトルフレームらしい。技術的な事はよく分からないけど、訓練で乗った竜胆なんかとは比べ物にもならないくらいに良く動ける。まぁ、それが出来てるのは機体の方に直接こうしたいと言う意思を送る事で動いてくれるイメージトレースシステムがあればこそなんだけど。

 

私の名前はナタリア。朱雀のパイロットで現状唯一のイメージトレースシステムの適合者らしい。朱雀を作った女科学者が言うにはベースになった機体は直接機体とパイロットとを通信ケーブルで繋ぐ事でやっていたらしいけど人としてどうなんだろう?女科学者も単に美しくないから直接接続じゃなくてイメージトレースシステムを作ったって言ってたし結局は同類だ。

 

さて、それはさておいて私はとにかく朱雀の強さを見せ付けた上で自由資本同盟の人達よりも先にこの要塞を落とさなきゃいけない。

 

「ん。慌てて出て来たね」

 

朱雀のレーダーがこっちに向かって飛んで来る自由資本同盟の飛行隊を探知した。それと同時に真下からのロックオンアラートと共に機関砲を撃ちながら急上昇して来る戦闘機がやって来た。

 

前進翼が特徴的なヴェールクトⅡと言う機体で、旧ロシアを愛する人達が乗っているって話だけど………

 

「守るべき人達を見捨てて逃げ出した負け犬だよね?」

 

少なくとも私にとってはそうだ。雨風を気にしなくて良い住むところ、暖かくて美味しいご飯。そして家族達。それをくれたのはロシアじゃなくて皇華帝国であり、お義父さんでもあるリ・イーシン将軍だ。

 

だから、銃を向けるのにも引き金を引くのにもなんの躊躇いもありはしない。

 

「墜ちろ」

 

朱雀の両手に装備したレーザーライフルが火を吹く。実弾銃とは比べ物にもならないそれをヴェールクトⅡは機体をロールさせて最低限の動きで回避してみせる。腕前だけは良いのが余計に腹立たしい。

 

「鬱陶しい」

 

ギリギリを飛び抜けて行くヴェールクトⅡを躱しながらパチパチと打ち上げて来る要塞の対空設備に向けて朱雀の背中に装備された飛行ユニットを兼ねたマルチレーザーランチャー鳳翼の低出力モードのパルスレーザーをばら撒いて黙らせる。

 

『おのれ!皇華帝国の魔獣めが!』

 

「負け犬はキャンキャン吠えるのが得意?」

 

『女だと⁈ふざけおって!』

 

「女だから何?どうせここで死ぬアンタには関係無いよ」

 

『ほざけ!』

 

機関砲とミサイルを巧妙に撃って来る。なんとかミサイルは撃ち落としたが、機関砲の弾が朱雀を叩く。モニターしてるだろう女科学者が悲鳴あげてそうだが、そんな事はどうでも良い。朱雀がモニターに表示して来たダメージの報告を素早く確認してホロウィンドウを消して、鳳翼のパルスレーザーをヴェールクトⅡに向けて放つが、それに対してヴェールクトⅡが対光学兵器用のスモークを放出して防いだ。

 

「小細工を」

 

再度両手のレーザーライフルを撃つ。パルスレーザーならともかく、これの収束率ならダメージは下がるとしても無効化は出来ないはず。

 

想定通りヴェールクトⅡが回避機動を取るが、それと同時にミサイルを撃って来た。当然迎撃しようとしたが目前で爆発して、中に詰め込まれた薬品やらと反応した炎に朱雀が炙られた。

 

ミサイルの種類が見切れない。私もそうだが、朱雀に搭載されているAIもまだまだ未熟でそこまでの判断が下せない。

 

『援護するぜ?皇華帝国のパイロット』

 

その声と共に自由資本同盟軍の戦闘機ワイバーンが1機飛び込んで来た。それに少し遅れて第四世代型バトルフレームのライトニングファルコンがやって来る。

 

『こちらライトニング1。少し出遅れた』

 

「援護はありがたいけれど、邪魔にはならないでね?」

 

『あん?女ぁ?』

 

『皇華帝国は何を考えて………』

 

お決まりの反応だ。大体の人達はこう言う反応をする。

 

『ええい!資本主義の犬どもまで来よって!』

 

ヴェールクトⅡのパイロットは大分頭に来てるらしい。怒って冷静さをかいてくれる分には大歓迎だ。

 

しかしそこは腕のあるパイロット。動きのキレが良くはなったものの特に冷静さを欠いている様子は無い。ワイバーンとライトニングファルコンに追い立てられるようにしながらも巧みに攻撃を回避しながら逆に仕掛けて来る。

 

レーザーライフルはともかく鳳翼は味方が居ると使えない。攻撃に巻き込む可能性が高すぎる。むしろ私からすればなんで明らかに射線上に互いが居るような状態でもあの自由資本同盟軍の2人は普通に攻撃を仕掛けられるのか。

 

「やりづらいなぁ!」

 

援護と言いつつあの2機の動きは完全に2機だけで完結したもので、こちらの攻撃を差し込む隙間が少ない。なるほど、他を置いてこの2機だけ突出しているのも納得だ。連携しようにもこれじゃあ返って邪魔だ。

 

下の方を見れば彼らのお仲間らしい戦闘機とバトルフレームが残っていた要塞の対空兵器だとか敵の戦闘機部隊やらと盛大にやり合ってるのが見える。うーん、このままだと全部自由資本同盟に持って行かれそう。

 

「それは流石にマズいよね?」

 

あのワイバーンとライトニングファルコンの邪魔になろうと知った事じゃない。そっちが好きにやるならこっちも好きにやらせてもらう。朱雀からのフレンドリーファイアの警告を無視して突っ込む。

 

ワイバーンから放たれたミサイルの接近アラートが鳴り響くが、ギリギリまで引き付けて朱雀バク転させるようにして躱しながら、朱雀のサポートの自動照準で鳳翼から短連射でパルスレーザーを撃って、更に追い討ちのレーザーライフルを叩き込む。

 

普通の戦闘機なら問答無用ではたき落とされるような弾幕だが、それすらもヴェールクトⅡは切り抜けて機関砲を撃って来る。流石にミサイルは品切れらしい。

 

『祖国復興のため、私は!私は!負けられんのだァ!』

 

『最期の言葉はそれで十分か?』

 

『何⁈』

 

綺麗にヴェールクトⅡにライトニングファルコンのスナイパーライフルの弾丸が命中し、制御を失って炎を上げながら落ちて行く。トドメ持って行かれちゃった。

 

そして、下を見るとそっちでも粗方決着が付いたらしい。どうやら私達と戦っていたヴェールクトⅡのパイロットが特別強かっただけで残りはそう大した事無かったようだ。

 

『全軍進めェい!一気呵成に攻め落とすのだ!』

 

繋ぎっぱなしの共有通信から李将軍の声が聞こえたと思えば皇華帝国側から攻め寄せている方のゲートが破壊されてバトルフレームが雪崩れ込んで来た。先頭には甲武をベースに作られた李将軍の専用機の姿があり機体の全長を超える程の巨大な剣を振り回して、蹂躙している。

 

副官の中尉さんがまた深いため息ついてそうだ。と言うか、なんで真っ先に突っ込んで来てるの⁈

 

『アレが噂に聞く猛虎将軍な。自ら先頭突っ走るとかなかなか面白えじゃねえか』

 

『いやアレは………』

 

自由資本同盟の2人が何か話してるけど、そんな事を気にしてる場合じゃない!急いで朱雀を降下させて、将軍の機体を攻撃しようとしている敵を鳳翼で吹き飛ばす。

 

ああもうなんでこう血の気の多い人かな⁈

 

ちなみに言うまでも無いだろうけど、要塞を占拠していた反政府勢力が降伏するまでは私達があのヴェールクトⅡを撃墜してから30分もかからなかった。




まさかの主人公一切出番無し。
今頃カズキくんは水でも飲みながら「はいはい茶番劇茶番劇」ってな具合に呆れ返ってます。

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