なんかロボゲーの世界に転生したんですけど………   作:⚫︎物干竿⚫︎

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26話

途中寄り道をしたりしながらもお花畑を焼いて回る仕事を終えた。

一応は貸与品である火炎放射器と消火器をこの辺の治安維持に派遣されている皇華帝国軍に返して次の仕事のために南下する。

 

「そいや旦那」

 

「なんだ」

 

「あの子置いて来たけど良かったのか?」

 

「あんな骨と皮だけの子どもを連れ歩いてどうする。まだ当分アブレヒトには戻れん以上は売りにも出せん。そうなれば無駄な食い扶持が増えるだけだ。それなら放り出してしまった方が楽だ」

 

「こっちで売るって気は無いのな」

 

「あの見てくれじゃあ好事家にしか売れんし、どうせなら高値で売りたいからな。ここじゃあ端金くらいにしかならん。それで何が言いたいんだお前は」

 

「いんや別に?タダ働きした後だからちょっと気になっただけだよ」

 

なんか前にイリヤが旦那が甘いって言ってた理由がわかったような気がする。それに笑いそうなのを隠すのにミネラルウォーターを飲もうとボトルのキャップを開けた瞬間、激しい揺れと共に世界がひっくり返る。

 

こりゃ死んだかな?

 

呑気にそんな事を思っている間に全身がコンテナの壁に叩きつけられ、中にあった色んなものが降って来た。

 

ライトが切れて薄暗い中で目が覚めた。全身あちこちと痛いがまだ生きてるらしい。無駄に悪運の良い事だ。本当にもしかしたら神様がなんかも目的で生かしてるのかもな。

 

「って、アホな事考えてる場合じゃないな………」

 

覆い被さっているダンボールやらを押し除けて這い出すと、それはもうコンテナの中はシェイクした弁当箱の中じみた惨状になっていた。ランスターがしっかりとハンガーに固定されたままなのはマジで運が良い。

 

「カズキ、大丈夫なんですか⁈」

 

ミリアがそう言いながらランスターのコックピットから出て来た。たまたま調整のために入ってたから助かったようだ。

 

「俺はなんとかな。けど、どっかに旦那埋まってるから掘り起こすの手伝ってくれ」

 

「なんでこんな事に………」

 

「思ってる以上に俺と旦那は敵が多いって事だよ。ほら、手動かせ」

 

足下の工具箱やらなんやらを放り退けて掘ると、頭から血を流して気を失っている旦那を見つけた。

 

「父さんしっかりしてください!目を覚まして!」

 

旦那を引っ張り出してミリアに介抱を任せて、足下に散らばるものの中から治療に使えそうなものを探す。

 

「あークッソ、暗いから何がなんだか分かりにくいったらないな」

 

愚痴りながら掘り出したガムテープとなんかの布を持って戻る。

 

「起きてよお父さん⁈聞こえないの⁈」

 

「止血くらいはなんとか出来そうなの持って来たからちょっと代われ」

 

泣きそうな顔で旦那に呼びかけているミリアの代わりに持って来た布を破って頭と何かで切ったらしい右腕にキツく巻き付けてガムテープでガチガチに巻いて固定する。

 

「起きて、起きてよぉ………!」

 

「とりあえず落ち着けって、このくらいで死ぬタマかよ旦那が」

 

「………うるさい、ぞ………」

 

「お父さん!」

 

「旦那。見ての通りだけどどうする?逃げるってんなら、ランスターで逃げるけど?」

 

「傭兵が、良いようにやられて、黙っている訳が無い、だろう………ぅぐ………」

 

「無理に喋っちゃダメです!逃げましょうカズキ!」

 

ミリアがそう言い募るが、まぁ、俺がどうするかは決まってるか。旦那は殴り返せと言った。それに、逃げるとは言ったが逃げ切れる保証も無い訳で。

 

「ミリア。旦那頼むわ」

 

「カズキ⁈」

 

「悪いけど、俺は旦那の所有物だからな」

 

ミリアにそう言って、トレーラーが横転してるから上にある形になるランスターの腕にジャンプして這い上がりコックピットに乗り込んでメンテナンスモードから諸々の確認をすっ飛ばして戦闘システムを起動させて、右腕を突き上げてコンテナのハッチに炸裂杭を打ち込んで、そのまま押し開けて、ハンガーの固定ボルトを緊急パージしてトレーラーの外に出る。

 

手早く周囲を確認すると爆弾かなんかで走っていた道から逸れた林の中に俺達のトレーラーは横転していて、いかにも特殊部隊と言った感じの歩兵に取り囲まれていた。

 

「自由資本同盟、ね」

 

歩兵の持つ銃から大まかに判断するのと同時に逃げようとする歩兵の背中に向けて機関砲をぶっ放す。ミンチより酷い有様になるが、情け容赦をかける必要は無い。

 

逃げながら無線機に向かって吠えている奴が居る。そいつに機関砲の照準を向けた瞬間、林の中から森林迷彩のコルベットが突進して来て銃剣を着剣したカービンライフルを叩き付けて来た。

 

それをヘルファイアの盾で防いで押し返す。たたらを踏んでコルベットが大きく仰け反った。いつもの感覚でそこから踏み込んで右腕を振りかぶる。そこへコルベットが仰け反った姿勢のままカービンライフルを撃って来るが、構いやしない。そのまま右腕を叩き込んで炸裂杭を打ち込む。

 

「ちぃ!ただじゃ死なねえってか!」

 

炸裂杭を抜いて腹に風穴の空いたコルベットを転がそうとしたらそのコルベットが盛大に爆発した。至近距離での爆発にコックピット内にアラートが鳴り響くが無視して、フットペダルを踏み込んでランスターをそこから跳び退かせる。その際にランスターの肩を林の中から飛んで来た鉛玉が削る。

 

すぐさま林の中にランスターを退避させる。敵がどこに居るのかは分からないが、開けた所で一方的に撃たれるよりはマシだ。それに特殊部隊だってんならこっちがこうやって逃げるくらい分かってるだろうし、そのように動くだろう。

 

林に飛び込んだ瞬間、ランスターの肩を削ったものに比べれば大した事は無いが鉛玉の雨が襲い掛かって来る。分かり切ってるから驚きはしないが随分と手慣れた動きだ。

 

「鬱陶しい!」

 

グレネードランチャーを射撃が飛んでくる方に当てずっぽうだが弾道がバラけるように装填されている分を全部ぶっ放して黙らせて、もう片方へ向けてランスターを突進させる。

 

いかに迷彩塗装を施した所で、ギリースーツの歩兵ならともかく全長10メートルの巨体は酷く目立つ。草木を薙ぎ倒しながら見えて来た機影に向けてヘルファイアと機関砲をぶっ放す。ジャンプして鉛玉を回避しながらコルベットが手榴弾のような物を投げ、それが目の前で爆発する。俺もそうだがお互いに森が燃えようが知った事じゃない。

 

燃え広がる爆炎の中にランスターを突っ込ませて高音異常のアラートを無視してそのまま突っ切りコルベットに肉薄して右腕を突き出すが、そこへ横槍が飛んで来てランスターの右腕の肘から先を盾ごともぎ取って行く。が、それに構わず左腕を叩き込んで炸裂杭を打ち込み、そのまま左腕をフルスイングして杭を引き抜きながらコルベットを投げる。さっきのように盛大に吹っ飛ぶ音を聞きながら、狙撃が飛んで来た方へと向かう。

 

「なるほどレールガン」

 

イリヤが要塞の時に装備していたのと同じレールガンを装備したコルベットがそこに居た。接近して来る俺に気付くと躊躇なくレールガンとジェネレーターをパージしてカービンライフルを拾い上げてそれを撃ちながら距離を取ろうとするが逃す訳が無いだろ。そのまま距離を詰めて炸裂杭をぶち込んで吹っ飛ぶ前に放り投げて周囲を警戒するが鉛玉が飛んで来る様子は無い。

 

まだ戦闘は継続は可能だが一旦横転したトレーラーの所まで戻るとミリアがトレーラーの運転手の介抱をしていた。どうやらまだ生きてるらしい。運の良い運転手だ。

 

残った左腕でコックピットをカバーするようにしてランスターを屈ませて降りる。

 

「歩兵は来なかったみたいだな」

 

「ですけど、父さんもこの人もかなり危ない状態です。少しでも早く助けを呼ばないと危険です」

 

多少時間が空いたのととりあえず旦那が生きてるってので少しは冷静さをミリアも取り戻したみたいだ。

 

「連絡用の通信機積んでただろ。盛大に吹っ飛ばしてくれやがったから壊れてるだろうが、なんとか動かして皇華帝国の部隊に連絡を入れてみてくれないか?」

 

「皇華帝国のですか?」

 

「ああ。自由資本同盟の方に入れたら下手したらおかわりが来る」

 

「攻撃して来たのは自由資本同盟なんですか?」

 

「間違いなくな。何せ特務仕様の自爆装置付きのコルベットとついさっきまでド突き合ってたからな。言ったろ?俺と旦那は思ってる以上に敵が多いってな。とりあえずなんでも良いから連絡を取れ。分かったな」

 

ミリアに言うだけそう言って、俺はランスターの中に戻って再度の襲撃に備える。歩兵はともかくバトルフレームなら多少の被弾くらいじゃ下がる理由にはならないし、特殊部隊ともなればこのまま引き下がるなんて事はありえない。間違いなく攻撃して来る。

 

案の定来やがった。燃える炎やらを巧みに利用しながら駆動音らしい駆動音も立てずに忍び寄って来たコルベットを迎撃する。トレーラーに流れ弾が行かないようにランスターを盾にするようにして突っ込ませる。

 

被害を抑えるためにぶん投げたりしてるとは言え、近距離での爆発のダメージはシャレにならない。盾はもちろんランスターの装甲にもダメージがそれなりに来ている。追加の装甲はもうほぼダメだ。

 

「これ誰が直すと思ってんだよチクショウ!」

 

目の前のコルベットに文句を言いながら、半ばデッドウェイトになっている追加装甲とグレネードランチャーをパージしつつ盾を叩き付けるようにタックルを仕掛けるが、突き出した盾をジャンプ台のようにしながらコルベットがバックジャンプしながらおまけとばかりに鉛玉を撃ち込んで来る。そろそろ盾もヤバいな。

 

距離を空けたコルベットに向けて機関砲を撃ってトレーラーから引き離す。機関砲も弾切れだ。こっちも躊躇なくパージを実行し、更に身軽になったランスターを突っ込ませる。迎撃にコルベットがカービンライフルを撃って来るが、不自然なタイミングで途切れる。弾詰まり起こしたか弾が尽きたかどっちでも良いが、こっちとしては願ったりだ。

 

コルベットが銃身下のレール部に取り付けた銃剣を取って重りにしかならないカービンライフルを捨てて前に出て来る。

 

ランスターよりも身軽で腕の振りも速いコルベットの攻撃が先に飛んで来るがそれを盾で受け流すようにして防ぎ、すぐさま左腕を引いて炸裂杭を打ち込もうとするが、銃剣を弾かれた姿勢からコルベットが蹴りを繰り出して来て狙いがブレて打ち出した杭はコルベットの胴装甲の一部を削るだけだ。

 

杭を戻しながら互いに息を合わせたように一旦距離を取る。至近距離すぎて互いに攻撃が出来ないから当然と言えばそうだがコルベットの方には自爆もある。とは言え、好き好んでダイナミック自殺はしたくないだろう。

 

そして、仕切り直した俺達はまた一歩踏み込んで、俺は炸裂杭をあっちは銃剣をそれぞれのコックピットにぶち込むために殴り合う。

 

コルベットが左手のマニピュレーターが壊れるのも厭わずに叩き付けて来てランスターが仰け反り、そこへ銃剣を突き立てて来る。それを仰け反った勢いのまま足を振り上げて蹴り上げるようにしながら追加の脚部のブースターがオーバーロードするのを構わずに全力噴射して無理矢理ランスターをバク転させて凌ぐ。無茶の代償にブースターが死んだが、命の代わりになったと思えば安い。

 

流石に今の蹴りは想定外だったようで対処しきれなかったコルベットが大きく姿勢を崩している。やるなら今しかない。ブースター全開で距離を詰めて左腕をコルベットの腹にぶち込んで炸裂杭を打ち込んでヘルファイアをパージ。突進の勢いのまま突き飛ばされたコルベットが吹っ飛んだ。

 

「流石にもう居ないよな?」

 

サブモニターに表示された全武装喪失の文字を見て冷や汗をかきながら周囲を警戒するがどこからも鉛玉が飛んで来る様子もない。ただただ林が燃えているだけだ。てか、これ森林火災起きないよな?

 

うん、自由資本同盟が吹っかけて来たせいだ。俺は悪くない。うん。




あれ?なんか旦那さん生き延びたぞ?

キャラ紹介他はどのあたりに入れた方がいいか

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