なんかロボゲーの世界に転生したんですけど………   作:⚫︎物干竿⚫︎

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30話

約束のパーツが届き、徹夜でバラしたのを組み上げて慣らしがてらに動かしたりだなんだと2日をかけて仕上げたランスターはもう原型がわからない物に成り果てていた。

 

ランスターの胴体に甲武の手脚ってだけでも十分別物レベルだって言うのに、そこに余剰品になった元のランスターの手脚の装甲やらを流用して盛った装甲のせいで面影ゼロで、更に目を引くのは右に比べて大きくなっている左の肘から先だ。

 

はい、炸裂杭を内蔵型にしました。旦那からの要望でもう固定兵装にしろと言うオーダーがあったらしくこうなった。おかげでいちいち撃発グリップとか握らなくても炸裂杭が使える。ただし、代償として大幅に威力は低下した。前みたいにシールドの上からまとめてぶち抜いたりは流石に出来ないが、本体装甲なら問題無くぶち抜けるから十分許容範囲内な威力だ。その分、左腕がフリーで使えるのでむしろ取り回しが良くなったくらいだ。

 

 

「ここまでイジってもほぼパーツの流用だから大して金自体はかかって無いってマジ?」

 

「実際にはこの基地の設備を使わせて貰えたから、ですよ」

 

「なんでもいいよ。とにかくコイツはもう動かせるんだからな」

 

「ツギハギなのは変わりませんから無理無茶は程々にしてくださいね?」

 

「そいつを決めるのは俺じゃなくて旦那なんだよなぁ。どんな仕事ぶっ込まれる事やら。とりあえず、お互い寝ようぜ………流石に2徹でぶっ通し組み立てはキッツイわ。てか、俺はあくまでもバトルフレーム転がしてきたない鉄くず作るのが仕事なのになんでお前の助手やらされてんの?」

 

「他に人を連れて来なかったお父さんに聞いてください」

 

「聞けりゃ苦労はないんだよなぁ。んじゃおやすみ。起きたら多分移動だろうしちゃんと寝とかないと」

 

そうミリアと話しながらいい加減、住み慣れたプレハブ小屋に入る。ちなみに集中治療室から放り出されたトレーラーの運転手も今はここで寝泊まりしていて、3人分しかベッドが無いので俺はソファーが寝床になった。

 

 

「お疲れさん。いやー毎日毎日精が出るもんだ」

 

運転手あらため旦那に雇われた事でアフマン人材派遣所の所員になったルーク・ベイカーが呑気にそう声を掛けて来る。ちなみにコイツのこれからの仕事は旦那に代わって俺を輸送機で仕事場まで運ぶ事だ。とは言え、まだまだ病み上がりだからしばらくはまだ旦那が操縦桿握るらしいが。

 

「旦那に急かされてるからな。とりあえず、寝るからそこ空けろ?」

 

「あいよ。それじゃま俺はボスに報告しに行って来るわ」

 

「そう言えば旦那は?」

 

「ここの司令官とこにナシ付けに行った。明日にも多分出発だな」

 

「あっそ。じゃ後はよろしく頼むわ………」

 

テキトーな返事を返してソファーに転がって眠気に逆らわずに意識を手放す。特に叩き起こされたりする事も無く目が覚めた時には、外は真っ暗になっていた。ダイニングテーブルでは旦那がタブレット端末で何かをやっていて、その向こうのキッチンではルークがせっせと何かをやっている。シャワーの音もするって事はミリアが今入ってる感じか。

 

 

「起きたか」

 

「うっす。ぐっすりと寝させて貰えましたわ。それで話はついたんで?」

 

「ああ、明日出発だ。全く無駄な時間の浪費をさせられたものだ」

 

大体10割こっちの身から出た錆案件で1人も死んでない(自由資本同盟軍の奴らは知らん。撃って来る方が悪い)だけ運が良かったとは言わないでおく。それでなくともここ最近ずっと不機嫌な旦那の機嫌を損ねたくは無い。

 

ピリリリと着信を知らせる電子音が机の上の旦那のごっつい携帯電話から鳴る。旦那が言うには圏外もほぼ無い上によっぽどの状況でも無い限り送受信が出来るもんらしい。

 

 

「俺だ」

 

旦那が電話に出ながらタブレット端末を連動モードに切り替えて俺にも見せて来る。

 

『久しぶりだね坊や。カークスから話は聞いたよ?なんでも自由資本同盟に襲われたんだってねぇ?』

 

「世間話なら切るぞ?」

 

『待ちなって。気の早い男だよ全く』

 

「それでわざわざ連絡を寄越して来るとはどうした」

 

『ちょっと手が足りなくてねぇ、アンタんとこの坊やを借りたい。ただの雑魚散らしだから心配はいらないよ』

 

「丁度新調した機体の試運転はしたいところだったからそれは構わないがなぜウチに頼む」

 

『単純に坊ちゃんもお嬢様も他に仕事が入ってて、カークスとボリスは2人で自由資本同盟から仕事振られてそっちで手一杯だからってだけさね。ただ、手が足りないのは本当だよ』

 

「用件はわかった。こちらとしても新調した機体の丁度いい試運転の機会だ。受けよう」

 

『感謝するよ』

 

そこで通信が終了し旦那が携帯電話を机に置いて、連動を解除したタブレット端末で何事も無かったかのように何かをやり始めた。

 

「起きたんですねカズキ。良くまぁ、それだけ寝られますね」

 

シャワールームからミリアが出て来て顔を見るなりそう言って来た。

 

「そりゃ2徹なんてすりゃこうなるって」

 

「そうですか?2徹くらいなら珍しくも無い事かと」

 

「それはお前んとこの工房がブラックなだけだろ」

 

「否定はしませんけど、技術屋なんて大なり小なりどこもこんなものですよ。寝ても良いけど手は止めるなって言われるんですからね」

 

「俺達とはまた違う意味で命切り売りしてね?あ、それから次の仕事が決まったわ」

 

「皆好きでやってるんですから良いんです。で、仕事ですか………え?」

 

「さっきカーシャから通信来て手伝えって。んで、旦那が試しを兼ねて受けた。まあ、ぶっつけ本番は今に始まった事じゃない」

 

「理不尽に慣れ過ぎじゃね?ほら、飯出来たからさっさとテーブルを空けるんだよ」

 

言いながらルークが机の上に皿を置いて行く。遠い記憶の彼方にあるビーフシチューか何かのような見た目だが匂いは全然違う料理だ。

 

「いつも使ってるって言う缶詰をちょっとアレンジしてみた。缶詰そのまんまよりはちゃんとしたメシになってるはずだぜ」

 

「出来ると言うから任せてみたが、思った以上にやるな」

 

「お褒めに預かりどうも」

 

久しぶりに食ったまともな飯は美味かった。雑な野郎飯でもやっぱりちゃんとした飯は腹だけじゃなく心も満たしてくれた。

 

 

で。腹も満たして心機一転お仕事の時間である。

 

ルークが言ってたが、俺をいつも運んでた旦那の輸送機はマザーグースって名前が付いてるらしい。なお、襲撃食らった時にスクラップ行きになった。旦那のここ最近の不機嫌の理由の一つだ。

 

代わりの機体は用意出来たらしいってか、この前の仕事でも世話になったのと同じ輸送機を買ったらしい。これも便宜の一つなんだろうか?ちなみにコイツは旦那の財布から出てるらしい。曰く「コイツまでは集れん」との事だ。

 

 

「旧式っても皇華帝国のに触る機会なんてそう無かったから新鮮だわ」

 

鼻歌交じりにマニュアルを読みながらルークが隣でそう言う。ミリアは輸送機の点検をしていて旦那は挨拶回りに行っている。俺達はその間こうして待機命令を受けてこうしていると言う訳だ。

 

「にしてもあのボスの下に付くってなってどうなるかと思ったけど、なんか大丈夫そうで良かったわ」

 

「だから、言ったろ?」

 

「いや、だって傭兵使ってる奴って大体、死のうがお構い無しな事言って来るもんじゃん?」

 

「俺の突っ込まされたこれまでの仕事の話聞く?」

 

「いや良いわ」

 

「まぁでも、他所のオーナーよりは優しいよ。バトルフレームはちゃんとしたものに乗せてくれるし、食い物だって缶詰って言ってもそこそこ食えるのだしな」

 

「確かに缶詰としちゃ上等だし、一応アレだけ食ってても平気なようには出来てるもんだが良くまぁ平気だよなアンタ」

 

「食えるだけマシってね。と、旦那が戻って来た」

 

こっちに歩いて来る旦那が手振りだけで乗れと指示を出して来る。ちなみにランスターはもう輸送機の腹に納まってる。

 

「んじゃクソッタレな仕事場に行きますかね。よーく勉強しとけ?新人」

 

「新人って、これでも運び屋としてら結構やって来たんだぜ俺も。まぁ、どんなもんか見せて貰うとするさ。先輩?」

 

いい加減旦那が怒鳴って来そうなのでそそくさとランスターに乗り込んでいざ出発だ。雑魚掃除だなんだとか言ってたが実際はどうなるやら。

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