なんかロボゲーの世界に転生したんですけど………   作:⚫︎物干竿⚫︎

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31話

ただの雑魚掃除じゃないとは思ってはいた。けどだからって、

 

「拠点攻めとまでは聞いてないんだけど⁈」

 

この前の英雄の乗ってるバトルフレームに描かれているのと同じ太陽を貫く剣の形のエンブレムが描かれたランスターの腹に炸裂杭をぶち込んで黙らせながら怒鳴る。

 

『拠点なんて大層なもんじゃないよこんなのは。ただのたまり場って言うのさ』

 

俺の愚痴にそう答えながら、軽快にバトルフレームの常識からは外れた跳躍力で飛び回りながらカーシャのバトルフレームが無防備な頭上から鉛玉をぶち込んできたない鉄くずを量産して行く。

 

 

カーシャと合流していざやって来てみれば、場所はジャングルの中に巧妙に隠された暁の剣の戦力集積地で、ジャングルの向こうからわらわらと種々雑多にバトルフレームが出て来る。ドーラスにランスターやら竜胆にツギハギされたキメラなカイウスに無骨やらとまるでバトルフレームのバーゲンセールだ。ばら撒かれる鉛玉を増強した正面装甲を頼りに重機関砲と擲弾砲を敵の群れにぶち込みつつ前進して圧力を加える。

 

俺も前に出て暴れたいところだが、明らかに俺が正面から威圧してカーシャが蹴散らした方が効率が良いから耐える。実際、瞬発力も火力もカーシャには劣っているしな。

 

「そりゃ、タイマン特化機体でこんな仕事するとか幾ら弾が有ったって足りゃしないわな!」

 

カーシャが撃ち漏らしたのが押し寄せて来る。ランスターの手脚が引っ付いたニコイチカイウスが馬上槍をそのままバトルフレーム用にしたような槍を繰り出して来る。右のペダルを踏み込み、左の操縦桿を引いてランスターを半身にさせて回避しつつカウンターに突進して突き飛ばしながら炸裂杭を打ち込んで無力化して後続の敵に押し付けつつ重機関砲で吹っ飛ばす。

 

息を吐く間も無く押し寄せて来るが、後ろからカーシャにぶち抜かれて粉砕される。時折、脚部の先に付いたクローで文字通り引き裂いて俺の前に立つ。

 

『間に合わせっぽい機体の割には粘るじゃないか。坊やのとこの技師も良い仕事をするじゃないのさ』

 

「うちの自慢の技師なんで。てか、坊やはやめてくれね?」

 

『まだまだアンタは坊やで十分さね。さて、おかわりが来たみたいだよ!』

 

「忙しいな!全く!」

 

重機関砲で追加の敵の牽制をする。そこへ三角飛びよろしく木を蹴って、上を取ったカーシャが左右のショットガンで1機ずつ仕留め、落下の勢いのままにクローを突き立てて着地しながら片脚だけでぶん回して残りの敵に投げ付けてショットガンを叩き込んで吹っ飛ばす。

 

いくら俺は壁役に徹してるとは言え、さっきから明らかに撃破数が段違いだ。俺が2、3機仕留めるまでの間に倍は仕留めてやがる。はっきり言って、こいつが敵じゃなくて良かった。そりゃ、こんだけやれるなら壁役さえ居ればたった2機でも戦力を集積してるとこに真正面から突っ込んで行ける訳だ。

 

俺が旦那に突っ込まされて来た襲撃は相手側がまともに防御を固めるより前に放り込まれたからこそなんとかなって来た面も強い。と言うか、完全防御態勢固められたらどうしようもない。アフリカ来た時に最初にぶっこまれたあそこはバトルフレームの性能差とガバガバな防御態勢だったからどうとでもなったに過ぎないし。

 

『そっち行ったよ坊や』

 

「だから、坊やはやめてくれって!」

 

答えながら、明らかわざとカーシャが見逃したっぽい竜胆を迎撃する。伊達に機体バランス多少崩れるのも許容して装甲をより強化した訳ではない左腕で竜胆が振りかぶったメイスを防ぐ。

 

刀剣類の装備は刃をしっかりと当てないといけない特性上、こうした打撃武器は珍しい装備ではない。ドーラスなどの自由資本同盟の機体は半分機械制御で優秀なモーションプログラムが組み込まれているから新兵レベルであっても問題無くナイフを扱えるが、マニュアル制御の竜胆だともろにパイロットの技量が影響する。

 

「重さは力なりってな!」

 

突進の勢いのままに振るわれたメイスには竜胆の機体重量も乗ってはいるが、俺のランスターはびくともしない。逆に押し飛ばしてたたらを踏んだところに踏み込みと同時に炸裂杭を叩き込む。前みたい粉砕して両断とはいかないが、それでも障子紙を指で突いたように竜胆のコックピットをぶち抜く。

 

杭を戻して、バックパックの左側にマウントした直方体の箱のようなコンテナの下部にある取り出し口から重機関砲の箱状の弾倉を取り出して物言わぬ残骸の陰に隠れながらリロードする。

 

予備弾薬を持ち込めるようになったのは良い事だが、弾倉がデカいのもあってリロードが微妙に手間だ。前の竜胆の時は撃ち切ったらパージして炸裂杭でぶち抜いて回るのが基本だったからちょっと想定外。

 

「ったく!一体こんだけのバトルフレームかき集める金がどこにあるのやら!」

 

竜胆の残骸を蹴飛ばして、更に後から来た3機のドーラスにぶつけて団子にして擲弾砲で纏めて吹っ飛ばす。で、俺がそうやってる間にもカーシャがジャングルの奥の集積地に突っ込んで行く。

 

それを追いかけて行くと有刺鉄線付きのフェンスに囲われたテントと物資類のコンテナが建ち並ぶだけの本当にただの集積地があって、そこへフェンスを蹴破りながらカーシャが突っ込み、残った数少ない1機のランスターと3機のドーラスがライフルで迎撃を行うが、軽快に左右に跳ぶカーシャの動きに翻弄されあっという間に距離を詰められてしまう。

 

左右のショットガンで2機のドーラスを仕留めながらランスターの腹にクローを突き立てる。そして、ランスターに乗っていたのがここの指揮者だったようで残ったドーラスがライフルを手放して投降の意思を示すが、

 

『おめでたいねぇ?散々に撃っておいて今更それが通ると本気で思ってんのかい。後悔はあの世でして来な』

 

カーシャがそう言いながらショットガンを撃ち込んで蜂の巣にする。

 

『さて、それじゃあ補給したら次だよ坊や。今日は忙しくなるよ』

 

「ここの始末はどうするんだ?」

 

『一応、自由資本同盟がやる事になってるよ。次のとこは皇華帝国だね。あの英雄を引き摺り出すのがアタシらの仕事さ。本命はカークスとボリスに自由資本同盟と皇華帝国からの助っ人がやるって話になってる』

 

「あんたはてっきりそっちに混ざるかと思った」

 

てか、ちょっとした雑魚掃除って言ってなかったか?いやまぁ、実際やってるのって雑魚の相手なんだが。

 

『混ざれたら良かったんだけどねぇ。乱戦必至の状況でショットガン付いてるのは貰い玉のリスクが高いってんで外されたんだよ』

 

「そいつはご愁傷様。で、カークスのおっさんはなんとくわかるけど、あのボリスってのそんな強いのか?」

 

今のところあいつだけ直接戦ってるのってほぼ見た事無いんだよな。

 

『そうだね。坊やみたいな目で見てる奴は確実に死ぬ事になるだろうね。大体がアブレヒトにどれだけ傭兵が居ると思ってるんだい?その中から選ばれてるんだからただの木端な訳が無いんだよ』

 

「どちらかと言うと、俺ってその木端の方なんだが」

 

『そこいらの木端に比べれば上等さね。ほら、いつまでもお喋りしてないで次行くよ!次!』

 

そんな感じで旦那が操る輸送機にドナドナされつつ(話が違うだのなんだのと旦那とカーシャの口喧嘩を聴きながら)潰して回って行く。俺が受けてカーシャが適当に暴れて片付けるだけでそれはもう面白いくらい簡単に鉄くずが増えて行く。

 

『当たりを引いたみたいだね。気合い入れな坊や』

 

「言われずとも」

 

雑魚掃除行脚3箇所目はガチガチの防壁に色々備えた文字通りの拠点と言える場所だった。たぶん潰して回ってたのはここを中心にした駐屯地くらいのもんなんだろう。カーシャの言った通りたまり場みたいなもんだった訳だ。

 

地面に掘られた塹壕から戦車の砲撃が飛んで来る。大分本気で固めてるなコレ。流石にそれなりにへタレて来た装甲で戦車砲の直撃はマズいので横に2歩ほど移動して回避する。

 

『コレだけのトコだ。少しは楽しませてくれるんだろうね?』

 

そう言いながらカーシャが突っ込んで行く。戦車砲も設置された砲座もあってないかのように軽快に跳びながら距離を詰めて行く。

 

『ほらほらどうしたんだい⁉︎一丁前は装備だけかい⁉︎だったらさっさと死にな!』

 

『なら、お相手願おうかね?』

 

オープン回線で放たれた言葉に続くように壁の上に3機のバトルフレームが姿を見せ、その中のイリヤが使ってるもんに比べれば大人しいが、それでも両手で抱えなきゃ保持出来ないようなサイズのスナイパーライフルを装備した機体がカーシャに向けてそれをぶっ放す。

 

一様にカーシャの機体のように脚部が逆関節の物になっているが、全体的なシルエットはちゃんと人の形をしていると言うか、例の英雄さんの機体に近い。

 

難を逃れた戦車や他の塹壕に居た生身の兵隊達が引き下がって行く。なんかの指示が出たんだろう。

 

『うんうん良い子だ。物分かりのいい子供は好きだ。まあ、それはそれとしてお仕置きは必要なようだがね?親に教わらなかったかね?人を殴ってはいけません、と』

 

動いてたら持った砂でぶち抜いて来るだろうにいけしゃあしゃあとパイロットの爺さんがそう言う。

 

『お下がりください老師』

 

『こんな奴ら我々だけで十分』

 

言いながら壁の上から両手に銃剣と銃身が一体化した独特なライフルを装備した2機が飛び降りて来る。姉妹らしく良く似た感じの声をしている。

 

『は!ありがたい説教だけどね。アタシらをなんだと思ってんだい?』

 

「悪いけどこっちも仕事なんでね」

 

ある意味ではお約束ってヤツだろうか。もう大分記憶薄れて来たが、この世界に来る前に遊んでいたゲームとかだと割とよくあるシチュエーションってヤツだ。

 

『ああ、全く惜しい事だ。素晴らしい戦士になっただろうに』

 

その言葉と共に銃声が鳴り響き、この行脚の締めくくりのボス戦的なものが始まった。

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