なんかロボゲーの世界に転生したんですけど………   作:⚫︎物干竿⚫︎

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33話

良い感じに状況が煮詰まって来た。

そんな事を思いながら、それなりに付き合いも長いモニターの向こうに映る友人を見る。

 

『カークス。ウチはどれだけ貧乏くじを引けば良い?次第によってはウチはウチで勝手に動かせて貰うぞ』

 

「まぁ、落ち着けよヨルド」

 

よっぽどあのボウズが気に入ったらしい。まぁ、俺だって使い潰すには惜しいと思うくらいにはかなりの上玉だ。

 

カズキ・クジョウ。ヨルドが裏路地に袋叩きにされて転がされていたのを拾った日ノ本出身らしき傭兵で、下手な独立傭兵より腕も立つ。少なくとも十分に今でも独立傭兵としてやって行けそうな実力はある。まぁ、色々と隙だらけだからヨルドのとこから出すには危なっかしいしまだしばらくは飼われてた方が良いだろう。

 

『いくら機体の修理等の費用はゲンドウ・ミツハラが持ってくれるとは言ってもこう何度も大破クラスの損害を受けていてはとてもじゃないがやってられん。ここでは満足の行く部品の調達すら難しいんだ』

 

「いっその事ドーラスあたりに変えちまえよ。アレなら十分な性能のも手に入るだろうがよ」

 

ドーラスは本家の自由資本同盟じゃ生産自体が終了している機体だが、あちこちでコピーされてるだけあって十分実戦に耐える物も多く出回っている。傭兵を抱えるオーナーがこぞってドーラスを買い揃えるのは何も安いだけが理由じゃない。まぁ、動くだけのポンコツも大量にあるのは確かだが。

 

『今更、ドーラス程度にカズキを乗せられるものか。まず、アレでは性能不足だ』

 

つくづく思うが傭兵を使うにしては甘い男だ。そんな事を考えて乗せるバトルフレームを選ぶようなオーナーは少なくともアブレヒトにゃこいつくらいなもんだ。

 

「ま、こっちでも色々漁ってみるさ。そっちで頑張って貰ったおかげでこっちはこっちで英雄サマ引っ張り出す算段が付いたしな」

 

実際、カーシャとカズキや他の若造組があちこちで暴れてくれたおかげで良い感じに暁の剣の戦力を削れた分、自由資本同盟と皇華帝国から戦力を引っ張る事が出来た。特に自由資本同盟からはライトニングファルコンを、皇華帝国から例の最新型の第五世代型が引き出せたのはデカい。

 

てか、コレだけ揃えてどうにも出来ないってんならあの英雄サマ殺すには、アブレヒトからクソカラス野郎を引っ張って来るしかない。

 

「あん?悪いヨルド、ボリスの奴から連絡だ」

 

『そうか。精々そっちも死なないようにな』

 

「誰に物言ってんだ。俺はカークス・オルドだぞ?そんな簡単にくたばるかよ」

 

ヨルドとの通信を切って、ボリスからの通信を開く。

 

『指定通りのターゲットは始末した。戦士の誇りか何かは知らないが、楽な仕事だった』

 

ボリスには暁の剣を支援する企業やら資産家の始末と有力なバトルフレーム乗りやらを消して貰った。ぶっちゃけコイツが居なかったらここまで上手く事が運んでいなかったはずだ。

 

『それで、本当にアザーブ・スイマンはそのままで良いのか?』

 

「ああ。奴さんは英雄サマ釣る餌だ。支援者やらなんやら消したからな。で、名前の売れてる実力者も粗方片付けた。ぶっちゃけ、コイツが最後の命綱だろうよ。そこでコイツまで消したら渾身一擲の賭けとやらに出て来かねねぇ。数だけはまだまだ多いからな。そいつらが一斉に動き出したら自由資本同盟と皇華帝国も押し切られかもしれないからな。逆に言うと、残しとけば守るために死力を尽くすだろうよ」

 

そうとなれば必然的にあの英雄サマも出さざるを得ない。後はどう仕留めるかを考えるだけだ。まぁ、それが考えるのも嫌なくらいめんどくせぇんだが。

 

「ま、十分アフリカは堪能させて貰ったしな。英雄サマぶっ殺して、暁の剣ぶっ潰せばもう後はどうとでも出来るだろうし、良い加減アブレヒトに帰ろうや」

 

 

で、色々と詰めて2日。英雄サマぶっ殺す当日だ。雲一つ無い快晴無風の良い天気だ。アイツらが信奉してる太陽の神様とやらに見送られながらとか絶好の死に日和じゃぁないの。

 

餌になるアザーブ・スイマンはオアシス都市を実質的に支配する大富豪で警備隊と言う名の傭兵団を雇っている事はわかっている。しかも、マネーパワー全開でどっから仕入れたのやらコルベットを使っていると言う話だが、こいつらを相手にするのは俺達じゃない。自由資本同盟と皇華帝国の両軍から持って来た部隊連中だ。

 

プランとしてはシンプルにこの部隊で街を攻める。てか、傀儡状態のこの街の本来の市長からの要請による作戦行動に英雄サマぶっ殺すのに乗っからせて貰ったのが正しい。

 

 

『ねぇ、おじさん。本当に来るの?』

 

相棒のコックピットの中で寛いでいるとスザクとか言ったか?皇華帝国の第五世代型のパイロットの嬢ちゃんからそんな不満混じりの声が飛んで来た。ライトニングファルコンの方は何を考えてるのか知らねぇが、ずっと黙りこくったままだ。

 

「来るさ。ここ落とされてふんぞり返ってるお山の大将を取られたらアイツらには後が無いんだからな。地力の無い武装ゲリラの限界ってな」

 

『そんなものなの?偉そうなお題目掲げる割に俗物って言うかさ』

 

「何事にも先立つ金がいるのさ。集めた兵隊食わせる食い物に武器弾薬諸々と金はいくらあったって足りやしない。お前さんのそいつだって馬鹿みたいに金掛かってるはずだぜ?」

 

バトルフレームでも運用可能な光学兵装に飛行を可能にするだけの出力のブースターとそれだけでもどれだけの金が飛ぶのやら。想像もしたくねぇってのはまさにこの事だ。

 

『お金が無きゃご飯も食べられないし、服だってちゃんとしたもの着られないもんね。どんなに綺麗事並べても結局はお金に行き着く、か』

 

「さて、そろそろあっちがおっ始める頃合いか」

 

時計を見れば、展開した部隊の作戦開始時間が迫っていた。既に街は完全に包囲状態で人の出入りも出来なくなっている。街から脱出しようとした民間人達も一時的にひとまとめに拘束されている。その中に混じって連絡員やらが居るかもしれんからな?

 

と言うのは建前で本音は目の前で叩き潰すのを見せ付ける事でなんかやろうって言う気力を奪うのが目的だ。英雄サマぶっ殺すのだって奴さんが暁の剣の戦意の主柱だからだ。でなきゃ、良い感じに孤立させるだけに済ませたって良い。だが、奴さんが生きて戦い続ける限り暁の剣やらなんやらと湧いて来るのが止まらないんじゃ仕方ねぇ。

 

少なくとも傭兵である俺からすれば、自由資本同盟と皇華帝国が提示して来た最初のあの報酬だけでやる仕事としては英雄サマぶっ殺すのはサービス過多にも程がある。

 

そんな事を考えている間に時間がやって来て、派手にドンパチがおっ始まる。街の外縁部を耕す勢いでぶち込まれる砲弾に合わせて部隊が前進して行く。

 

『始まったか』

 

ずっと黙りこくっていたライトニングファルコンのパイロットが絞り出すようにそう言った。短い一言だが、声音には命令である以上、戦いはするがいかにも納得してませんよ感が乗っている。

 

軍人ってのは正義だなんだが本当に好きらしい。まあ、気持ち良くブン殴る大義名分としては最高だわな。自分達が正しくて悪いのは相手。実にわかりやすい。

 

そこら辺で考えるとスザクの嬢ちゃんは変わってる。軽く話しただけだが正義だ悪だのにはこだわりが無い。将軍サマに命じられたから戦う。俺達傭兵にも通じるところのあるシンプルさだ。まあ、その分盲目的っぽいがそこは使う将軍サマ次第だろう。

 

「さて、いつ来るかねぇ?まさか英雄サマが自分達の手助けしてくれる相手を見捨てるような事はしねえよなぁ?」

 

呟いて持ち込んだガムを口に放り込む。雑に甘いだけで正直言って大して美味くも無いが気に入っている物で仕事前にはいつも食っている。いわゆるルーティーンだな。

 

 

『西より急接近する機体有り!単機だと⁈』

 

 

おいでなすったか。声を掛けようかと思ったが、その必要も無くライトニングファルコンが飛び上がって右手に装備したスナイパーライフルを構えて撃った。

 

『どう?当たった?』

 

『いや、躱された。凄まじい機動性だな。まるで第四世代型バトルフレームだ。こっちに来る』

 

「よーし、そんじゃ俺らもおっ始めるぞ」

 

そう声を掛けてガムを口から出して相棒の待機状態を解除して同時に武装もすぐに撃てるようにする。それに少し遅れて砂丘の向こうから赤いバトルフレームが姿を見せるなり両手の銃をぶっ放して来た。

 

『卑劣なる侵略者共め。だが、何をしようと無駄だ。我らがお前達に屈する事は決して無い』

 

『そう。じゃあ勝手に満足して死ねば?』

 

スザクのバックパックから伸びる翼状の武装から大量の光弾がばら撒かれるが、英雄サマは小刻みにブースターを吹かしては左右に瞬間移動しているとすら思える程のスピードで弾幕を掻い潜って前進して来る。大したモンスターマシンぶりだが、大体想定通りではある。

 

そのまま殴り掛かるような勢いで英雄サマが突っ込んで行く。それに対してスザクの方が右のライフルを前に突き出すのに合わせてバックパックの武装がさながら力を溜めるように伸びて来たかと思えば、極太のレーザーが発射される。並のバトルフレームなら回避出来ずに突っ込んで消し炭間違い無しなそれも左側に逸れる事で回避して見せる。

 

『嘘⁉︎』

 

驚きの声を上げながら嬢ちゃんがスザクを飛行状態に移行させて英雄サマの反撃を回避するが、すぐさま追撃をぶち込もうとしたそこへライトニングファルコンからの援護射撃が入り英雄サマの追撃を防ぐ。

 

「ったく、コレだから割に合わないってんだよ」

 

愚痴りながらライフルを指切りのショートバーストで撃つ。大体の英雄サマのスピードは見えた。それを考慮しつつの偏差射撃も組み込みつつ、注意を引くために前に出る。

 

明確に英雄サマの殺意がこっちに向くが、まぁ慣れたもんだから良い。むしろ、これは食い付いた証拠だ。

 

空中からのスザクやライトニングファルコンの射撃をいなしながら俺を墜とそうと向かって来る。良いぞ。その調子でもっと来い。

 

上の2人が鬱陶しいと言わんばかりに意識を向けようとしたところでライフルを撃って視線をこっちに戻させる。そうそう、ちゃーんと見てないと背中からぶち抜いちまうぞ?

 

「さて?いつまで保つかねぇ?」

 

単純な話として、どれだけ腕が良かろうが推進剤が切れればブースターによる三次元機動なんて出来やしないし、弾薬だって無限じゃない。それに何よりもアレだけの動きをしてて中の人間の方がそう長く保つ訳が無いんだからな。

 

これが地上に居るバトルフレームだけだったなら問題無く蹴散らせるだろうよ。運動性も機動性も加速性もコルベットや甲武と言った普及している数多くの第三世代型を遥かに凌駕している。そこにそれを十全に活かせるパイロットが乗ってりゃまさに鬼に金棒ってヤツだ。

 

そして、だからこそのスザクでありライトニングファルコンだ。空中と言うのはやっぱり圧倒的な強みだ。いくら優れた機体であっても基本的に地面這いずり回る事しか出来ない機体でどうにかなるかよ。

 

『舐めるなよ侵略者!』

 

吠えるなり英雄サマが跳んだ。そして、空中をブースターを吹かして駆けて行く。スザクやライトニングファルコンの迎撃の射撃をブースターの噴射で強引に回避してはライトニングファルコンの方へと向かって行く。

 

 

「よし、やれ」

 

『了解』

 

 

ライトニングファルコンに向けて突き出したショットガンを持った腕が切断され、胴体部からも火花が散る。どうやら咄嗟に後ろに仰け反って躱したらしい。だが、それでも十分な切れ込みが刻み込まれていて、着地した英雄サマの機体が膝を着く。

 

『伏兵、だと?』

 

「なんで馬鹿正直にお前みたいなのと戦わなきゃならねぇ?勝ちゃあそれで良いんだよ。依頼主とも後臭いのが残らなきゃ万々歳ってヤツさ」

 

昔の奴らも良い言葉を残したもんだ。勝てば官軍、負ければ賊軍。実に良い言葉じゃねえか。勝ちつつもやり方がスマートならより良い。俺達傭兵に求められるのは依頼された事をその通りにやり切る事であって、それ以外はぶっちゃけ些事だ。無論、あんまりにも手段を選ばないってのは問題だが、これくらいなら十分にクリーンな方だ。

 

『こうやって同志達を殺して来たのか………貴様らに誇りは無いのか⁉︎』

 

「知るかよ。それじゃあ明日の飯が食えないだろうが」

 

『ふざけるな!我々の想いをそんな………がッ⁉︎』

 

英雄サマの機体の胸に後ろからブレードが突き立てられ言い切る間も無くあっさりと終わった。

 

『長々と口ばかりを動かすからそうなる。勉強になったな。まぁ、次は無いが』

 

突き立てたブレードを引き抜きながらボリスがそう言い、機体の姿が徐々に顕になる。どう言う経緯が有ればこんなのが出来るのか知らんが、透明化にステルス備えた暗殺特化のバトルフレームとか用途が限定的過ぎるってかわざわざバトルフレームでやる意味がわからねぇわ。そのために装備はブレードだけとか完全に欠陥品だろコレ。

 

『え?何?どう言う事?』

 

『俺達は囮だったと言う事だな。傭兵』

 

「ああ、助かったぜ?自由資本同盟軍のエースに皇華帝国肝入りの最新型バトルフレーム。極上も極上の釣り餌だ」

 

俺と木っ端の雑魚部隊だけじゃ引き付けつつボリスの存在隠し切るの無理だったからな。やっぱり強い光があればその分、日影もデカいから楽なもんだ。

 

 

『なんだよつまんねーな。英雄が居るとか言うから来てみたらただの雑魚じゃねーか』

 

 

いつからそこに居たのか知らないが、そこには1機のバトルフレームが立っていた。黒をベースに金の差し色が入ったフォーミュラーカーを彷彿とさせる流線型の胴体部に両肩には特徴的な大きなエアインテークを備たバイザーカメラが赤く輝くその機体は俺もよーく知っていると言うか、アブレヒトには知らない奴は絶対に居ない奴が駆る機体だ。

 

「なんでテメェがこんなとこに居やがるんだ?ええ?クソカラス野郎」

 

レイヴン。それがアブレヒト最強にして最低の傭兵の名前だ。




英雄とエースのド派手なドンパチ?悪いけど、それウチじゃ扱って無いんですよ………

はい。と言う訳で、卑怯?卑劣?勝てればそれで良いよなぁ!なカークスおじさんの英雄サマクッキングのお時間でした。いやだって色々出来るのにわざわざフェアプレイ縛りする必要ある???

最後の?なんか筆が滑った()

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