なんかロボゲーの世界に転生したんですけど……… 作:⚫︎物干竿⚫︎
ばら撒かれるガトリングの弾は一発一発ならともかく同時に何発も食らおうもんなら指で連打された障子紙みたいにされる。幸い見た目通りの鈍重さのおかげでランスターを走らせる事で回避できているが、逃げた先に撃ち込まれるグレネードがキツい。しかも極め付けが。
『食らえぇい!』
連装砲が火を噴く。操縦桿を引きつつ目いっぱいフットペダルを踏み込んで、半ば無理矢理ランスターをバックジャンプさせる。目の前を砲弾が、足のすぐ下を薙ぎ払われるガトリングの嵐が通り過ぎて行く。
ッドォン!!!と言う凄まじい音をさせながら通り過ぎて行った砲弾が砂丘を大きく抉り飛ばす。あんなもん追加装甲あっても一発できたねぇ鉄くずだよ。
着地しつつ重機関砲を撃ち込むが火花を立てながら弾かれてダメージになっているかすら怪しい。そこへ上半身と車体を同時に旋回させてガトリングをぶち込んで来る。すぐさまランスターを走らせて回避するがさっきと同じ繰り返しだ。
「かったいなぁ!オイ!」
愚痴りながら重機関砲の残弾に目を向ける。まだ残りはあるがまるで足りる気がしない。接近して炸裂杭を打ち込むしかないが、機体本体の鈍重さの割にキャタピラの足周りと腰の旋回が優秀で割と機敏で近付けない。
俺の命は安いとは言ってもただ無駄に使い捨てる程、俺も自分の身が可愛くない訳じゃない。せめて相打ちは出来ないなら捨てる気は無い。
『どれだけ豆鉄砲を撃とうが無駄だぁ!大人しく塵になれぇい!』
撃ち込まれる重機関砲を物ともせず旋回しながらガトリングをばら撒いてグレネードをぶっ放してくる。それを躱しながらなんとか距離を詰めて行く。そして、ガトリングを掻い潜り胴体の上から殴りつけるように炸裂杭を打ち出した。
「んな⁉︎」
ガチガチの装甲を削りこそしたがランスターの左腕が逆に弾き飛ばされて繋がってるランスターの機体が大きく後ろにのけ反り【左腕部フレーム深刻なダメージ】とサブモニターに警告が表示され、杭もなんとか戻せたが戻す時に嫌な軋み方をした。こりゃちょっと歪んだか?
てか、一発でぶち抜けないとかマジかよ。なんつー装甲してやがんだコイツ。バトルフレームの防御力じゃねえぞオイ。とかどうとか言ってる場合じゃねえ⁉︎
グレネードランチャーの銃口がこっちを向いている。装甲で耐えられるだろうからって自爆もお構いなしかよ⁉︎すぐさまランスターをジャンプさせて回避運動に移るとグレネードランチャーの代わりにガトリングが向いていやがった。元からこれが狙いか。なんとかブースターを吹かしてギリギリで回避出来たが、あっという間に推進剤の残りがマッハだ。そりゃそうだ。浮かせるのでも相応に推進剤燃やすのに空中で横に飛ぶなんて無茶すれば当然そうなる。
流石に一発一殺出来ないのは想定外だ。さっきので向こうも警戒するだろうし近付くのがしんどいぞコレは。それに手応え的に左腕が後一回炸裂杭打ち込むのが限界だ。下手しなくても打ち込んだら捥げる可能性が高い。だが、それでもどうにかするしかない。
乾いてきた唇を舐めて操縦桿を握り直す。どうにもならないだとか弱音は今は無しだ。相棒はまだまだ行けるって振動で伝えて来るし、俺だってまだまだ傷一つなくピンピンしてる。なら、まだまだ行ける。
撃ち込まれるガトリングを回避しつつまた接近を試すが、やっぱり警戒されてる。近付こうと前に出たら、丁度そこにグレネードランチャーの銃口が向いていて、行ったが最期。月まで吹っ飛ばされちまう。
『さ、流石に今のはビビったぞ傭兵』
声がちょっと震えてるあたり本気でビビったらしい。朗報ではあるが、もう一発をどうぶち込むかをどうするか考えなきゃならん。今のままじゃ千日手にすらならない。明らかに先にダウンするのはジャンプさせたりだと色々やってる俺の方が先に決まってんだからな。
「生きて帰れたらダメ元でパイロットスーツ強請ってみるかねぇ?」
呟きながらガトリングを回避しつつ重機関砲を撃ち込んでグレネードランチャーを向けて来るのを妨害する。豆鉄砲とは言っても、撃たれるのは嫌なようでそれを活かして距離を詰めて行く。向こうは向こうで少しでも距離を取ろうと動くが、それでもやっぱり鈍重な戦車もどきとある程度の機動性はあるバトルフレームとではこっちに分がある。
問題は2回目で装甲抜けなかった場合だ。流石にそこまでの防御力は無いと思いたいが、杭が刺さらないどころか腕が弾かれるくらいだ。最悪の場合、撤退も考えなきゃならない。炸裂杭に2回も耐える装甲とか自爆特攻かましたところで破壊出来るか自体が怪しい。
そう言えば装甲車はどうしたんだ?出て来たのは戦車だけで連中が出て来る様子が無い。いやまぁ、出て来たところで走り回るデコイくらいにしかならんだろうけど。
『カズキ。お前が居る場所の反対側から装甲車の一団を確認した。どうやら連中、自分達のボスを見捨てて逃げ出すつもりらしい』
「流石にそっちまでは無理すわ。目の前の戦車もどきだけで精一杯だわ」
ガトリングを回避しながらそう返してお返しに重機関砲を撃ち込む。普通のバトルフレームだったら蜂の巣どころかバラバラに粉砕出来てるくらいは撃ち込んでるんだが、多少応えてるくらいにしか見えない。マジでコレ炸裂杭もう一発で行けるのか不安になって来たぞ。
『わかっている。近くに展開している自由資本同盟軍には連絡済みだ。対処は任せておけだそうだ。全く舐めた事をしてくれる』
まあ、それってつまりいつでも動かせる戦力あって叩き潰せたのに放置してるって事だしな。とは言え、そう言う使いっ走りの鉄砲玉が俺達傭兵だから間違ってはいない。旦那も単に自由資本同盟に良いように使われてるのが腹立つだけだろう。
と、旦那と話してる場合じゃない。再装填が終わったらしい連装砲をぶっ放して来た。それを重機関砲を杖のように突き立てて急制動をかけつつそのまま機体をターンさせて重機関砲を引き抜きながらランスターをジャンプさせて薙ぎ払われるガトリングを回避する。サブモニターに脚部異常の警告が表示されてるが、もう一回攻撃したらもげそうになってる左腕よりはマシだ。それよりも推進剤と重機関砲の残弾の方が怪しい。そして、この時点で炸裂杭二発目で駄目だったらもう俺に戦車もどきをきたない鉄くずに変えれる手札が無い事が確定した。
『ちくしょう!ちくしょう!なんで⁉︎なんで当たりやがらない⁉︎』
そりゃ当たったら死ぬからだよ。わざわざ答えてやる必要も無いから心の中だけでツッコミを返しながらヤケクソじみたガトリングの薙ぎ払いを回避して重機関砲を撃ち込む。あ、装甲の一部が剥げた。こんだけやってようやくって本当イカれた防御力だな。俺が最初に食らった集中砲火も余裕で耐え抜くぞコレ。
さて、今ので大分弱って来たのはわかったが、トドメの炸裂杭をどうやって打ち込むかは考えどころだ。いい加減向こうも残弾厳しいとは思うが、向こうが弾切れになる前にこっちが弾無しガス欠のまな板の鯉になる方がマッハに決まってるし。
「攻めるしか無いか」
腹を括ってランスターを前進させる。ガトリングを回避しつつ無理矢理進めばグレネードがぶっ放される。それに向けて残弾も少ない重機関砲を投げ付けて盾にしてそのまま突っ込む。グレネード弾と重機関砲をがぶつかり目の前で爆発して重機関砲が木っ端微塵に砕けるのを見ながらそのど真中を突っ切って距離を詰める。薙ぎ払われるガトリングを無手になった右腕を盾として前に出す。鉛玉の嵐があっという間に装甲を削り、右腕そのものが砕け胴体にも着弾し始めるが、
「あと一歩ぉ!」
サブモニターに一瞬目を向けてギリギリ耐えられそうなのを確認してそのまま踏み込んで左腕を叩きつけつつ杭を打ち込む。金属と金属が擦れる金切り音を上げながら打ち出された杭が今度こそ戦車もどきに深々と突き刺さり、ランスターの左腕の肘も一緒に砕けた上に逃し切れなかった反動でランスターが尻餅をつくような姿勢で倒れる。
これで生きてて動くようならもう駄目だ。何も出来ない。
「マジか」
ギギギと軋みながら戦車もどきの連装砲がこっちを向き、ロックオンアラートがコックピットに鳴り響くがランスターは動かない。操縦桿を引いてもフットペダルを踏んでもまるで脚が動く様子が無い。これはどうやら今日が俺の地獄行きの番って事らしい。相棒が健気な警告をしてくれちゃいるが、真正面に居る上に身動きも取れないんじゃどうしようもない。
まぁ、訳もわからない世界に放り込まれた割には頑張ったんじゃないだろうか?そう思いながら操縦桿も手放して全身から力を抜く。
そして、今まさに連装砲がぶっ放されようとした瞬間、連装砲が根本から内側から爆発して残っていた砲弾も誘爆して戦車もどきが下の車体部分を残して吹っ飛んだ。
「は?」
思わずそんな気の抜けた声をあげてしまった。いや、今のはどう考えても二人で降れば怖くない地獄坂だろ。目の前の現実がいまいち飲み込めないがどうやら生き延びたらしい。
とは言え、これでもし歩兵の生き残りが居てロケットランチャーでもぶち込まれたなら結果は変わらないけども。でも、居たなら戦車もどきとやり合ってるうちから横槍入れて来てるはずだ。
『カズキ生きてるな?』
「ワンチャン命拾いましたわ」
『機体の方は………聞くまでもないな』
「これ直して使うのキツくないっすかね」
『わかっている。あまり貸しを作りたくはないし、自由資本同盟に皇華帝国に肩入れしていると思われるのは癪だが、もうそうも言ってられん』
どうやら皇華帝国軍に機体のおねだりをするっぽい感じだ。竜胆が来ると助かるんだが………まあ、乗れって言われたならなんでも乗るけども。
そして回収に来た旦那に拾われてどんぶらこと工場に帰って来る頃には日が暮れ始めていた。ちなみにランスターは脚が死んでるのでクレーンゲームのようにクレーンで運んだ上でハンガーに固定された。電源を落としてランスターから降りると疲れた顔でミリアが薄く笑っていた。
「私にも直せる限度があるんですよ?この前も半分オーバーホールするくらいの整備したんですよ?」
「しょうがないだろ。俺だって毎度毎度こんなになるとか嫌だよ!とりあえず旦那は次の機体考えてはくれるらしい」
「どちらにせよ貴方が使えるようにするのは変わらないじゃないですか」
「俺も一緒になってやるんだからノーカンだろ」
2人揃って同時に深くため息を吐いて、ボロボロのランスターと不機嫌そうに携帯電話をいじっている旦那を見比べる。
「とりあえず、水貰えるか?」
「はい」
ミリアから冷蔵庫から出してそれなりに時間が経ってすっかり人肌温度なミネラルウォーターをぐいっと飲む。キンキンに冷えちゃいないが疲れた体に水が体に良く染みる。
「あー大将?ボスが呼んでる」
「旦那が?わかったすぐ行くよ」
飲み干したミネラルウォーターの空のボトルを呼びに来たルークに渡して旦那のところへ向かう。
「来たな。機体の方だが暫くはドーラスになる」
うわぁすげえ不満そうな顔。
「暫くってどう言う意味なんです?」
「そのままの意味だ。流石に皇華帝国もすぐにこっちに渡せる機体は無いらしい。中古の竜胆を一機手配はしてくれるらしいがな」
「ドーラスってなるとしんどいなぁ」
悪い機体じゃないとは思うが、ブースターとか無いからなぁ。武装の方も手持ちのはともかく基本的にバックパックに一体化したのばっかだし。とは言え、生きて帰って来れただけ運が良いんだしこれ以上は欲が過ぎるってもんか。
はい。また例の如くお久しぶりでございます。
最近暑くなりすぎでヤバいのよ。皆さんも暑さに気を付けてお仕事学校行ってね!
もうちょい引っ張るつもりだったランスターさん壊れちゃった。
自分で書いて実感するけど、戦車やらなんやら相手に無双しまくった上に敵のネームドを粉砕して回るアーマードコアやらって頭おかしいわ。
カズキくん頭おかしい言ってるけど、カズキくんのランスターも最初の砲撃耐えたように大概頭おかしい防御力なんですがね。だって、こっちも一発はとっつきの直撃に耐えれる想定ではやってるし。
キャラ紹介他はどのあたりに入れた方がいいか
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最初
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節毎
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最後