なんかロボゲーの世界に転生したんですけど………   作:⚫︎物干竿⚫︎

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40話

暁の剣の連中の本拠地は地下にあるらしい。そりゃ、自由資本同盟と皇華帝国が探し回っても地上しか見てないんじゃ見つからないわ。と、そんなこんなで暁の剣殲滅作戦が間近になって来た日のこと、カークスのおっさんに呼び集められて久しぶりに他の傭兵連中と顔を合わせる事になった。

 

「久しぶりに会ったと思ったら随分と貧相な機体になってますねぇー?」

 

「炸裂杭ぶち込まれたいのかお前」

 

ドーラスを見るなりイリヤにそう言われた。コイツの機体は特に変わり映えも無く、武装は大型のスナイパーライフルに機関砲とレーダーユニットのままだ。この割り切った装備で単機で俺よりかなりの数の傭兵崩れやら暁の剣の連中やらを転がしまくってんだから大したもんだが、それはそれだ。

 

「いくらホバーを仕込んでいると言っても、ドーラス程度に接近を許す訳がないじゃないですかぁー。近付く前に綺麗に風穴開けて差し上げます」

 

「まぁまぁ、ひとつお茶でも飲んで落ち着こうじゃないか」

 

アイク提供の茶を飲んで一息入れるとめっちゃ落ち着いた。ちなみにイリヤのと違ってアイクの機体は武装が多少変わっている。まず両腕を占めていたガトリングだが、右腕だけになっていて左腕には俺も前に使っていた単装砲をベルトリンクによる給弾式に改造された物を付けていて、バックパックのロケットランチャーも一回り大型化されていた。で、俺達若造組の中じゃコイツがぶっちぎりで掃除した数が多い。てか、カーシャとアイクがツートップできたない鉄くずを量産している。

 

 

「よーし、野郎ども集まったな?」

 

呼び集めた当人のカークスのおっさんが俺達の顔を見回して至極真面目そうな顔でそう言う。

 

「まずはよく集まってくれた。感謝するぜ」

 

「勿体ぶらずに用件を言いなよ」

 

「そう焦んなって………んでまぁ、お前ら集めた理由だが、お行儀良く奴らの言う事にハイハイすんのは終いだ。暴れるぞ」

 

「やっとかさね。待ちくたびれたよ」

 

「パーティーの時間だね⁉︎」

 

カーシャとアイクのトリハピコンビが真っ先に食い付く。それにカークスのおっさんがニヤリと笑って、

 

「おう、暴れ放題食い散らかし放題だ。良い加減、俺も奴らに付き合ってサービスすんのも飽き飽きなんだよ」

 

まぁ、俺も色々あったし良い加減、アフリカからおさらばしたいのは同感だ。

 

「一応は自由資本同盟と皇華帝国の包囲にある程度は合わせるが後は俺達は俺達でやって、向こうの命令やらは一切無しだ。いかにも俺達らしいだろ?やりたいようにやって、依頼主が満足するなら万々歳ってな」

 

「侵入ルートは既に仕上がっている。あとは行くだけだ」

 

「つー訳だ。派手に暴れて引っ掻き回すぞ」

 

 

とまぁ、そんな感じで坑道跡っぽいところをえっほえっほと全員でお散歩中である。

 

『離れずに着いて来い。迷ったら地上には戻れないぞ』

 

先導するボリスからそんな通信が届く。その言葉の通り、等間隔にある曲がり角やらで方角やらの感覚が掴みにくい上にGPS機能もジャマーがかかったみたいに使い物にならなくなっている。これ近距離通信以外も無理だな。

 

『少し待て』

 

その言葉と共にほぼ無音でボリスの機体が坑道の暗闇に紛れるように姿を消して、それから少しして恐らくバトルフレームが倒れた音が聞こえて来たかと思えば、何事も無かったかのように戻って来た。

 

『少しはアタシらにも回しなよ』

 

『発砲音で気付かれたらどうする?数ではどう足掻いても勝てないのだから確実に奇襲を成功させなければならない』

 

『ま、もうちっとばかし我慢しろよ。パーティー会場までもう少しなんだしよ』

 

『難儀なもんだねぇ』

 

そんな風に駄弁りながら進んで行くと坑道の警備らしきドーラスと竜胆が転がっていた。どちらも綺麗に胴体に深々とブレードをブッ刺した跡があってそこからは赤いものが流れているが、まぁ考えるまでも無くアレだろう。うん。

 

『ここからは一直線に走り抜けるだけだ。好きにしろ』

 

『やっとかい!言われるまでも無く行かせてもらうよ!』

 

言うが早いかカーシャが全速力で飛び出して行く。さて、それじゃあ俺も行きますかね。

 

ホバーを起動させてカーシャの後を追ってドーラスを突っ込ませる。横並びになって、目の前の坑道の見た目に不釣り合いな装甲板のゲートにキャノン砲をぶち込み、そこへ飛び込むようにして俺が左腕の炸裂杭をゲートに突き立てる隣では同じように炸裂杭で出来た隙間にカーシャがクローを突き立てる。そして、そのままバトルフレーム二機分の重量でゲートをぶち破って、

 

「こんにちは!そんじゃ死んでけ!」

 

突っ込んだ先はバトルフレームの格納庫で大量のバトルフレームがハンガーに固定されて雁首を揃えていて、パイロット達やら整備士やらが居る。そいつらへ向けて手当たり次第にライフルとキャノン砲をぶっ放す。

 

『おいおい、僕の分が無いじゃないか』

 

格納庫内のバトルフレームやらをあらかた片付け終わったところで残りの連中も坑道から入って来る。そして、中の様子を見るなりアイクがそう言い出した。

 

「獲物ならそこのシャッターの向こうにいくらでも喰い散らかし放題なんだから文句言うなって」

 

『それもそうだね。それじゃあ気を取り直して………派手に行こうじゃないか!』

 

アイクがガトリングをぶっ放す。障子紙を破るようにシャッターをぶち破った鉛玉がその向こうに居たドーラスを蜂の巣にしつつ更に向かいの格納庫から出て来た赤いのを粉砕する。

 

『さあ、良い声で鳴いておくれよ!』

 

『ダンスの時間だよ!さあ、踊りな!』

 

そんな事を言いながら景気良くガトリングと単装砲をぶっ放しながらアイクが格納庫を出て行き、それに合わせるようにカーシャと言葉も音も無くボリスが飛び出して行った。

 

『おうおう、やる気満々じゃねーか。そんじゃ俺らも行くぞ』

 

『全部アレら任せで良いんじゃないですかぁー?まあ、報酬分くらいには私も働きますけども』

 

「俺も俺でほどほどに暴れさせて貰うさ………よし、弾の補給OKと」

 

残骸の山を漁って無事な弾倉を拾って装填しつつ予備もふたつほど拝借して行く。ドーラスのこう言うとこは広く普及しているだけあって鹵獲品での補給が楽で助かる。

 

「それで?自由資本同盟と皇華帝国の連中はどれくらいで突っ込んで来るんだ?」

 

『さてな。まあ、中で俺らが暴れた分だけ奴らも早く侵攻出来るだろうから気楽に行けよ。気楽に』

 

『言うわ易しって言うヤツですねぇー………実際のところ生きて帰れない可能性の方が高いじゃないですかぁー。カズキ使えそうなライフルあります?』

 

「一挺だけ使えそうなのはあるが、精度やら動作やらは保証出来ないな」

 

『それでいいですよぉー。流石に手持ちの弾薬だけじゃ厳しいですし贅沢は言ってられませんからねぇー』

 

残骸の山の中から奇跡的に壊れずに残ったいつだかの赤いのが持ってたのと同じ銃剣が一体化したライフルを拾ってイリヤに渡す。空いている左手で受け取ったイリヤが壁に向けて一発撃つ。

 

『ライフルそのものを近接武器として扱うだけあって頑丈ですねぇー。ブレもこれならまぁ良いでしょう。ただコレ、文字通りの銃の機能もある近接格闘装備なんですねぇー。弾倉をその場で交換してのリロードは無理みたいですぅー』

 

「ならこっちのライフル使うか?」

 

『良いんですかぁー?』

 

「最悪外でドンパチやってる連中が作った残骸の中からこっちはこっちで探すよ。大体、お前の機体じゃ近接格闘無理だろ」

 

『なら遠慮なく使わせて貰いますねぇー』

 

イリヤにドーラスのライフルを渡して代わりに拾ったライフルを受け取る。

 

『いつまでもたついてねぇで、さっさと行くぞボウズに嬢ちゃん』

 

カークスのおっさんに急かされて外に出ると、そこはいくつもの格納庫がやらなんやらが並ぶめちゃくちゃご立派な地下要塞だった。まぁ、絶賛あちこちから黒煙上がっててトリガーハッピーどもが共通回線で高笑いしながら汚い鉄くず作りまくってんだが。

 

『良いね良いね良いねぇ!もっと良い音を奏でておくれよ!』

 

撃たれながらもお構い無しに鉛玉をアイクがばら撒き、その先ではアイクがばら撒く鉛玉をきにもせずに縦横無尽に飛び跳ねるカーシャが暁の剣の防御隊形をめちゃくちゃに引っ掻き回し、その隙間に滑り込むようにボリスが両腕のブレードでズバズバと斬りまくっている。

 

『随分と遅かったじゃないか二人とも!』

 

「色々と準備があったんだよ。そっちは楽しそうで何よりだよ」

 

『そのままテクノブレイクで逝けたら幸せそうですねぇー………』

 

「とりあえず、俺もこれからあそこに混ざって来るからヒャッハーもほどほどにしてくれな?マジで」

 

アイクに言うだけ言って、ホバーを起動させてドーラスを突っ込ませる。気付いた暁の剣の連中が撃って来るが、それをシールドで耐えながら一気に距離を詰めて、引っ掻き回されてぐちゃぐちゃな敵陣に飛び込みつつ正面のランスターの背後に回り込んで左の炸裂杭を背中からぶち込んで右手のライフルを適当にぶっ放す。

 

『正気かこいつら⁈』

 

俺の撃った弾がボリスの機体を掠めそうになったのを見てドーラスに乗っている暁の剣のパイロットが慌てたように言うが、傭兵なんてそんなもんだ。俺なんか行けって言われたらそれに命賭けるんだぞ?今更だろう。

 

『人様のこと気にするなんて随分と余裕だねぇ?』

 

上から飛び降りて来たカーシャの機体のクローが深々とそいつに突き刺さった。そして、踏みつけるようにしてクローを抜いて次の獲物目掛けてジャンプで去って行く。俺は俺でフットペダルを蹴飛ばすように踏み込んでそこを離れた瞬間、アイクが左腕の単装砲をぶっ込んで来た。しかも装填してある弾は成形炸薬弾らしく盛大に爆発を引き起こす。

 

ぐちゃぐちゃの混戦から抜け出した暁の剣の機体がアイクの方に向かおうとするが、そいつをイリヤが俺が渡したライフルで足止めをしてそこをアイクがガトリングで薙ぎ払う。

 

てか、やっぱりアイクの奴こっちに当たるかもとかお構いなしだ。まぁ、俺もやったから人の事言えないんだけどさ!

 

そんな感じでドンパチやっていると遠くから響くような爆発音が響いて来た。どうやら自由資本同盟軍と皇華帝国軍が乗り込んで来たらしい。

 

『くそッ!こんな時に⁈』

 

「はい、ご苦労さん。あの世でゆっくり休めよ。お友達もいっぱい送ってやるから寂しくないだろ?」

 

『まさか貴様ら⁈』

 

どうやら指揮官らしい赤いのに乗ってるコイツは勘付いたらしい。右腕の出力目一杯でそいつが動揺した隙を突いて鍔迫り合い状態から押し切って炸裂杭をぶち込む。やっぱりこのバトルフレームは軽いし、華奢な見た目通りパワーが弱い。

 

「さてさて、俺達がくたばるかおっかねぇ自由のおじさん達と赤い花屋さん達がプレゼントお届けに来るのどっちが先になるやら」

 

『少なくとも君達はここで死ぬだろう………いやはや育て上げるのに時間も何もかもがかかった暁の剣も崩れる時はなんとも容易い事か。だが、せめて一矢は報いさせて貰おうかね?』

 

そんな事を言いながら現れたのは既に交戦して来たのかあちこちにダメージのあるいつぞやの爺さんの赤い逆関節脚の機体で前とは違い、両手には銃剣付きライフルを装備している。どうやらあの爺さんの本来のスタイルもアレらしい。

 

『老師!』

 

『悪いが死出の道に付き合って貰うよ皆』

 

『いいえ老師。例えここで我らが力尽きようとも意志を継ぐ子らが居れば我らの火は消えはしません』

 

『はは………そうだな』

 

爺さんはどうなるかわかっているみたいだ。自由資本同盟も皇華帝国も力の無い女子供まで根切り、とはしないだろうが、徹底的に叩き潰すに決まっている。暁の剣さえ潰してしまえば表立って楯突こうとする奴らは居なくなるんだから。

 

『精々足掻かせて貰おうかね』

 

そう言って向けられた銃口は前よりも濃厚な殺意を放っていた。




他に筆が滑ったりだなんだとしてたらまた間が空いてしまった(白目)
話の並び順ミスった。申し訳ない。

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